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中小企業の採用戦略|人手不足時代を乗り越える実践的アプローチ

中小企業の採用戦略|人手不足時代を乗り越える実践的アプローチ

2025.08.05

中小企業の採用は年々困難さを増しています。人手不足が深刻化する中、企業体力で劣りがちな中小企業が採用を成功させるにはいったいどうすればよいのでしょうか。本記事では、最新の採用市場データを基に、中小企業が直面する現実と、限られたリソースで優秀な人材を獲得するための戦略的アプローチを詳しく解説します。求職者へのアピールに効果的な福利厚生サービスもあわせて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

深刻化する日本の人手不足|採用市場の現状を徹底分析

日本の労働市場は深刻な人手不足に直面しており、企業の採用活動は年々困難になっています。特に中小企業においては、大企業との人材獲得競争で劣勢に立たされ、事業継続すら危ぶまれるケースも珍しくありません。まずは、その現状を詳しく解説します。

大卒求人倍率1.66倍、企業規模で分かれる明暗

リクルートワークス研究所が2025年4月に公開した「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」によると、2026年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした大卒求人倍率は1.66倍となりました。前年の1.75倍から0.09ポイント低下したものの、依然として売り手市場が続いていることを示しています。

従業員規模別求人倍率推移

出典:リクルートワークス研究所|大卒求人倍率調査(2026年卒)|調査

しかし、企業規模別※に見ると大きな格差が存在します。5,000人以上の大企業の求人倍率が0.34倍にとどまっている一方、300人未満の中小企業では8.98倍に達しています。この圧倒的な格差によって、中小企業がいかに厳しい採用環境に置かれているかが改めて浮き彫りとなりました。

※同資料では、従業員規模について、300人未満企業を中小企業・300~999人企業を中堅企業・1000~4999人企業および5000人以上企業を大企業と定義しています

業界別採用難度|建設業・流通業が最激戦

同じく「第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)」から業界別の求人倍率を見ると、建設業が8.55倍、流通業が8.77倍と特に高い水準となっています。これらの業界では慢性的な人手不足が続いており、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)の影響も相まって、採用競争が一層激化しているのが実情です。

また、製造業は2.33倍・サービス業は0.41倍・情報通信業は0.28倍・金融業は0.21倍と、業界によって採用の難易度に大きな差があることがわかります。

特に労働集約型の業界ほど人材確保が困難な状況にあり、業界の特性を踏まえた採用戦略の構築が急務となっています。

関連記事:【2024年問題】解説まとめ|背景と課題・企業に必要な対策とは

【中小企業の採用】人手不足の厳しい実態

中小企業の採用環境は、データが示す以上に深刻な状況です。大企業との格差がさらなる格差を生み、中小企業の持続的成長を阻む根本的な課題となっています。詳しく見ていきましょう。

参考:リクルートワークス研究所|大卒求人倍率調査(2026年卒)|調査

求人倍率8.98倍が示す現状

300人未満の中小企業における求人倍率8.98倍という数字は、1人の求職者に対して約9社が競合している状況を意味します。これはコロナ禍前のピークである2019年卒の9.91倍に迫る水準であり、中小企業の採用がいかに困難な状況にあるかを物語っています。

一方、5,000人以上の大企業の求人倍率は0.34倍で、約3人の求職者に対して1社という状況です。中小企業との格差は26倍以上に達しており、この圧倒的な差が中小企業の人材確保を困難にする大きな原因となっています。

なお、300人未満企業の求人総数39.9万人に対し、民間企業就職希望者数は4.4万人にとどまっており、35.4万人もの人材不足が生じています。

進む新卒者の中小企業離れ

新卒者の中小企業離れも深刻な課題です。300人未満企業への就職希望者数は前年の6.7万人から4.4万人へと33.3%も減少しており、若手人材の大企業志向が一層強まっています。

この背景には、働き方改革への関心の高まり、キャリア形成への意識変化、安定志向の強まりなどがあります。

特に注目すべきは、300人から999人の中堅企業への就職希望者数が12.6%増加している点です。これは、中小企業から中堅企業へのシフトが起きていること、すなわち規模の小さい企業ほど人材確保が困難になっていることを意味します。

これらの事実からも明らかなように、新卒採用市場における中小企業の立ち位置は厳しく、従来の採用手法では優秀な人材の確保が困難なのが実情です。

中小企業の採用が難しいのはなぜ?5つの課題

中小企業の採用難には構造的な要因が複数存在します。これらの課題を正確に把握し、適切な対策を講じることが、採用成功への第一歩となります。

知名度・ブランド力不足による認知度の低さ

中小企業最大の課題は、知名度の低さです。求職者の活動パターンを見ると、多くのケースで大手企業が優先され、中小企業は後回しになりがちです。大企業は豊富な予算でテレビCMや広告を展開し、大学でのセミナーや説明会も頻繁に開催しているため、これはある意味しかたがないことともいえます。

露出機会の限られた中小企業は、優秀な学生にその存在を知ってもらうことがそもそも困難です。また、採用サイトの整備やSNS活用も大企業に比べて遅れがちで、デジタル時代の情報発信において不利な立場に置かれています。

企業の魅力を伝える前に、まず存在を知ってもらうという根本的な課題に直面しているのが現実です。

限られた採用予算とリソース

中小企業の採用活動は、予算とリソースの制約に大きく左右されます。大企業が数千万円規模の採用予算を確保している一方、中小企業は数十万円から数百万円程度の予算で採用活動を行わざるを得ません。この予算格差によって、利用できる採用手法や媒体が大幅に制限されます。

さらに深刻なのは、人的リソースの不足です。多くの中小企業では人事担当者が他の業務を兼任しており、採用活動に専念できる体制が整っていません。採用ノウハウの蓄積も不十分で、効果的な採用戦略の立案や実行が困難な状況にあります。限られたリソースの中で、最大限の効果を上げるための工夫と戦略が必要となるのです。

労働条件・待遇面での競争力不足

初任給・福利厚生・キャリアパスなど、労働条件面での大企業との格差は、中小企業の大きなハンディキャップとなっています。

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、令和6年の企業規模別平均賃金は、次のようになっています。

常用労働者数 平均賃金
1,000人以上 364,500円
100~999人 323,100円
10~99人 299,300円

賃金を中心とする待遇は、求職者が企業を選ぶ際の重要な要素です。この点で比較しても、中小企業の競争力は劣りがちなのが実情です。

また、働き方改革への対応も中小企業の課題となっています。テレワーク制度の導入・有給休暇の取得促進・長時間労働の是正など、若手従業員が重視する働き方の改善が遅れている企業も少なくありません。

現代の求職者が重視する価値観と、企業が提供できる条件との間にミスマッチが生じており、これが採用難の一因となっています。

参考:厚生労働省|令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況

採用ノウハウと戦略的アプローチの欠如

多くの中小企業では、採用活動において戦略的なアプローチが不足しがちです。ペルソナの設定・応募者を集める仕組みづくり・採用プロセスの最適化など、現代の採用活動に必要な要素が整備されていないケースが多く見られます。

面接や選考プロセスについても改善の余地が大きく、多くの場合、応募者に対する適切なフォローアップや、企業の魅力を効果的に伝える手法が確立されていません。また、採用活動の効果測定や改善サイクルの構築も不十分で、PDCAサイクルを回しながら採用力を向上させる仕組みが欠ける傾向にあります。

これらの課題を解決するためには、採用に関する知識とスキルの向上が不可欠です。

採用がうまくいかない場合の深刻なリスクと影響

採用活動の失敗は単なる人手不足にとどまらず、企業の存続にも関わる深刻な問題を引き起こします。ここでは、採用がうまくいかない場合に想定される主なリスクについて解説します。

事業成長の停滞と競争力の低下

人手不足は直接的に事業機会の損失につながります。受注があっても人手が足りずに断らざるを得ない状況や、既存業務の維持が精一杯で新規事業展開ができない状態が続くと、企業の成長が著しく阻害されるためです。

既存従業員の負担も深刻な問題で、長時間労働による疲弊やモチベーション低下が発生し、生産性の低下や離職率の上昇を招きかねません。

さらに懸念されるのは、技術継承や組織ノウハウの断絶です。熟練技術者の高齢化が進む中、若手人材が確保できなければ、企業が長年培ってきた技術やノウハウが失われるリスクがあります。これは一度失うと回復が困難な企業の重要な資産であり、競争力の源泉でもあります。

なお、帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査(2025上半期)」調査によると、2025年上半期における人手不足を原因とする倒産件数は202件と過去最多を更新しました。人手不足が企業存続に直結する問題となっていることがよくわかる結果となっています。

参考:株式会社 帝国データバンク[TDB]|人手不足倒産の動向調査(2025年上半期)|(2025年7月4日)

採用コストの増大

採用活動が長期化すると、コストは雪だるま式に増加します。求人広告費・人材紹介会社への手数料・採用担当者の人件費など、直接的なコストに加えて、機会損失による間接的なコストも膨大になります。

就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、新卒1人当たりの採用コストは約93.6万円です。採用活動の長期化はこのコストをさらに押し上げます。

また、採用に失敗して早期離職が発生すると、再度採用活動を行う必要があり、追加コストが発生する悪循環に陥ります。このような状況は中小企業の財務を圧迫し、経営の安定性を脅かしかねません。

参考: 就職みらい研究所|就職白書2020

中小企業が採用を成功させるための戦略的アプローチ

厳しい採用環境の中でも、戦略的なアプローチにより成功を収めている中小企業は存在します。ここでは、限られたリソースを効果的に活用し、差別化を図る具体的な手法を詳しく解説します。

コミュニケーションを重視した職場環境づくり

現代の求職者は、企業選びにおいて「過ごしやすい職場の雰囲気」を重視する傾向にあります。採用活動において、この点を効果的にアピールすることが差別化要因となるため、採用サイトや会社説明会では社内の交流風景を積極的に発信し、働きやすい職場環境をアピールしましょう。

具体的には、以下のようなアクションが効果的です。

  • 職場見学時に従業員同士の自然な交流を見せる
  • 現場従業員との座談会の場を設ける
  • SNSで社内イベントの様子を発信する

また「会社経費を投じてコミュニケーションを促進する取り組み」を行っていることを採用時にアピールすることも効果的です。実際に定期的な社内イベントやメンター制度などを導入している場合は、それらを採用の強みとして前面に押し出すことで、企業の魅力度を大幅に向上させることが可能です。

採用コストの削減

中小企業が限られた予算で最大限の効果を上げるためには、コスト効率の高い採用手法の活用が不可欠です。

その点、SNS採用は特に若手人材にリーチしやすく、低コストで実施できる有効な手段です。InstagramやXを活用した企業の日常発信、従業員インタビューの配信などにより、企業の魅力を効果的に伝えることができます。

リファラル採用も中小企業に適した手法です。既存従業員からの紹介により質の高い人材を確保でき、採用コストを大幅に削減できます。一時金や特別休暇などのインセンティブをつけることにより、より多くの優秀な人材をコストを抑えながら獲得できるチャンスが広がります。

また、地元の大学との連携強化・地域イベントへの参加・商工会議所との協力などを主軸とした地域密着型の採用戦略も効果的です。

福利厚生の戦略的拡充

限られた予算の中でも、戦略的に福利厚生を拡充することで採用力を大幅に向上させることができます。

中でも効果的なのは、日常的に利用される実用性の高い福利厚生です。食事補助のように日常の支出を補う福利厚生は、従業員自身も福利厚生としてのメリットを実感しやすいため、特に高いアピール効果が期待できます。

福利厚生の大きな魅力のひとつが、一定の条件を満たすことによって所得税の非課税枠を活用できる点です。これにより、同額を給与として支給されるよりも従業員の実質的な手取り額を増やすことができます。また、企業の法人税も軽減されます。

その他、通勤手当の充実・健康診断の拡充・家事代行サービスの利用補助など、コストパフォーマンスの高い福利厚生を組み合わせることで、求職者にとって魅力的な職場環境の構築が可能です。

成功事例に学ぶ:株式会社ほねごり様

鍼灸接骨院・整体院を展開する「株式会社ほねごり」では、従業員のリクエストによって2024年1月に食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入しました。

導入後、「チケットレストラン」をはじめとする福利厚生の充実と独自の積極的な採用施策との相乗効果によって、同社の2025年の新卒採用者数は前年の2倍にまで増加したそうです。

▼「株式会社ほねごり」の詳細な導入事例はこちら

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

中小企業の採用は差別化が鍵

求人倍率8.98倍という厳しい環境下でも、戦略的なアプローチにより採用成功を実現している中小企業は存在します。重要なのは、限られたリソースを効果的に活用し、大企業にはない独自の魅力を打ち出すことです。

コミュニケーションを重視した職場環境づくりや「チケットレストラン」などの実用的な食の福利厚生サービスの導入、コスト効率の高い採用手法の活用など、複数の施策を組み合わせることで大きな成果を生み出せます。

自社の独自性を明確にしたうえで、それらを効果的に発信し、幅広い優秀な人材から選ばれる企業づくりを実現しましょう。

チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。

参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
    :「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!

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エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

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