物流2024年問題とは、時間外労働の上限規制が物流・運送業界に適用されることから懸念されている、人材不足や輸送量の減少などのさまざまな影響のことです。2024年4月の適用から1年が経過して、どのような状況になっているのでしょうか?
物流2024年問題の概要と現状
2024年4月から、時間外労働の上限規制が自動車運転の業務にも適用されました。これにより引き起こされるさまざまな問題が物流2024年問題です。具体的な影響について見ていきましょう。
参考:厚生労働省|時間外労働の上限規制|時間外労働の上限規制わかりやすい解説
関連記事:【2024年問題】人材不足にどう対応する?想定されるリスクと対策
ドライバー人材不足
時間外労働の上限規制によりドライバーの労働時間が減少したとき、それまでの稼働時間を維持しようと思うと、より多くのドライバーを確保しなければいけません。
物流・運送業界はこれまでも人手不足を長時間労働で補ってきた背景があるため、人手不足の深刻化が懸念されていました。
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和7年5月)の概況」で発表されている、労働者過不足判断D.I.をチェックすると、運輸業・郵便業は2025年に入ってからも全体と比べて高い水準であることが分かります。
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年月 |
運輸業・郵便業の労働者過不足判断D.I. |
全体の労働者過不足判断D.I. |
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2024年11月 |
57 |
46 |
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2025年2月 |
58 |
46 |
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2025年5月 |
55 |
44 |
※労働者過不足判断D.I.とは、人手不足という回答の割合から人手過剰だという回答の割合を差し引いた数値のこと。大きいほど人手不足感が強い業界といえる
また「物流の2024年問題対応状況調査結果」でも、62.3%の企業が「ドライバーが不足している」と回答しており、人手不足が進行している様子がうかがえます。
参考:
厚生労働省|労働経済動向調査(令和7年5月)の概況
全日本トラック協会|物流の2024年問題特設ページ|物流の2024年問題対応状況調査結果
関連記事:【2025年最新】人手不足の日本の現状と中小企業の生き残り戦略
輸送量の減少
ドライバーが不足すれば、これまでよりも運べる荷物の量が少なくなります。輸送量が減少することで、物流が滞る可能性も考えられていました。
ただし帝国データバンクの調査によると、2024年4~7月の輸送量は前年の同時期より増加しています。2024年問題の影響で輸送量が急激に落ちるといったことは、各企業が輸送の効率化を進めた結果、起こっていないようです。
参考:帝国データバンク|物流の2024年問題の現在地、貨物輸送量はこれまでと同水準を維持!?
利益の減少
運べる荷物が少なくなれば、運送会社は利益が減少します。
「物流の2024年問題対応状況調査結果」によると、2024年問題の良い影響として「運賃・料金の引き上げができた」をあげている企業は68.5%です。
ただし75.8%の企業がドライバーの賃上げを行っていますし、燃料費も高騰しています。コストが上がっている分、利益が減少している企業もあるでしょう。
運賃の上昇
運べる荷物の量が減っても運送会社が必要な利益を得るには、運賃を上げる可能性もあります。運送会社を利用する荷主の間では、負担の増加が懸念されていました。
「物流2024年問題」に関する荷主アンケートによると、運送会社からの相談を受けて運賃を見直した荷主は81.1%です。多くの荷主が運賃の値上げに応じています。
参考:厚生労働省山口労働局|「物流2024年問題」に関する荷主アンケートの調査の結果を公表します
時間外労働の上限規制や改正改善基準告示の対応状況
物流・運送業界に時間外労働の上限規制が適用され始めてから、丸1年が経過しました。運送会社の対応状況を「物流の2024年問題対応状況調査結果」をもとに見ていきましょう。
参考:全日本トラック協会|物流の2024年問題特設ページ|物流の2024年問題対応状況調査結果
時間外労働の上限規制は遵守できる企業が多数派
「物流の2024年問題対応状況調査結果」によると、調査が行われた2024年11月時点で、時間外労働の上限規制を「遵守できる見通し」と回答した企業が90.2%でした。内訳は以下の通りです。
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時間外労働の上限規制遵守の見通し |
回答の割合 |
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全ドライバーが遵守できる |
64.4% |
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大多数のドライバーが遵守できる |
25.8% |
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遵守できるドライバーとできないドライバーが半々 |
7.2% |
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大多数のドライバーが遵守できない |
1.0% |
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全ドライバーが遵守できない |
0.1% |
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分からない |
1.4% |
改正改善基準告示は1日の拘束時間を守れていない企業が多い
2024年4月から、ドライバーの長時間労働を改善するために設けられた改善基準告示が改正され、拘束時間や休息時間が以下のように変更されました。
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拘束時間や休息時間 |
2024年4月から変更した内容 |
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1年の拘束時間 |
原則3,300時間以内 |
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1カ月の拘束時間 |
原則284時間以内 |
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1日の休息期間 |
継続して11時間与えるよう努めることを基本として9時間を下回らないようにする |
※拘束時間とは労働時間と休憩時間の合計で、ドライバーが企業に拘束されている時間。休息時間は業務終了から次の業務開始までの時間
この改正改善基準告示は70.1%が「守れている」と回答していますが、29.9%は「守れていない基準がある」と回答しています。守れていない基準があると回答した企業に、何を守れていないか聞いた結果は以下の通りです。
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改正改善基準告示で守れていない基準 |
回答の割合 |
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1日の拘束時間 |
59.3% |
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1日の休息期間 |
42.0% |
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1カ月の拘束時間 |
38.4% |
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運転時間 |
36.4% |
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連続運転時間 |
29.5% |
参考:自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト|トラック運転者の改善基準告示
長時間の荷待ちが課題
「物流の2024年問題対応状況調査結果」によると、改正改善基準告示を守れない原因として、40.9%の企業が「荷待ち時間が長い」をあげています。
また運送1回あたりの荷待ち時間が30分以上のケースは、37.5%です。荷待ち時間が長くなれば、ドライバーの拘束時間はその分長くなるため、1日の拘束時間を守れないことにつながります。
ドライバーの待遇改善には「チケットレストラン」がおすすめ
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運送業を展開している共進運輸株式会社では、いつでもどこでも利用できる「チケットレストラン」の導入が、ドライバーの満足度向上につながっています。他社との差別化により、人材定着にもつながっていると感じているそうです。
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物流2024年問題の影響は今後大きくなっていく可能性
物流2024年問題により輸送量は大きく低下するとの予想もありましたが、2024年4~7月の輸送量は前年の同時期を上回っていました。
ただし人手不足は進行していますし、荷待ち時間の長さからドライバーの労働時間は思うように減りません。このままでは将来的に深刻な輸送力不足に陥る可能性もあるでしょう。
物流の業務効率化は、運送会社のみでは不可能です。関係する荷主にも協力を求める必要があります。
併せて、ドライバーの待遇改善により、人手不足解消に取り組むことも重要です。例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入して、ドライバーの満足度向上につなげた企業もあります。
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