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【社労士監修】2025年版|スタートアップが活用したい助成金・補助金完全ガイド

【社労士監修】2025年版|スタートアップが活用したい助成金・補助金完全ガイド

2025.02.25

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

スタートアップにとって、資金調達は避けて通れない課題です。特に、事業の土台づくりとなる創業期は、いかに資金を集めるかがすべてといっても過言ではありません。そんな中で、ぜひ活用を検討したいのが、国や自治体等から給付される返済不要の助成金・補助金です。本記事では、スタートアップ向けの主要な助成金・補助金を網羅的に解説し、制度の選び方や活用のポイントを紹介します。また、助成金・補助金を活用しながら従業員満足度を高める福利厚生施策についても詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

スタートアップが助成金・補助金を活用すべき理由

中小企業庁の調査によれば、スタートアップの約6割が資金調達を課題として挙げています。

創業期の事業者が直面する課題の種類

出典:日本商工会議所|「中小企業等の成長資金調達の多様化に向けた提言~未上場株式や新事業への投資環境整備を~」の公表について|P21

スタートアップ企業は、創業期の収益が安定しない中でも、事業拡大や人材採用のために多くの資金を必要とします。資金調達の手段といえば、まず融資が挙げられますが、実績のないスタートアップが十分な融資を受けることは決して容易ではありません。

その点「助成金・補助金」であれば、国や自治体等の審査を通過することで返済不要の資金を受給できます。

さらに、助成金・補助金を受給する過程で国や自治体等の審査を通過した実績は、取引先や金融機関からの信用力向上につながります。企業としての信用が高まることで、追加の資金調達や新たな事業機会が生まれるケースも少なくありません。

このように、助成金・補助金を活用するスタートアップは、財務基盤を強化しながら成長を加速させることができるのです。

参考:日本商工会議所|「中小企業等の成長資金調達の多様化に向けた提言~未上場株式や新事業への投資環境整備を~」の公表について

助成金と補助金の違いとは

助成金と補助金は、どちらも返済不要の資金支援制度ですが、その特徴は大きく異なります。

助成金は、厚生労働省が所管し、主に雇用の促進や従業員の処遇改善を目的としています。一方、補助金は経済産業省をはじめとする省庁が所管し、事業の革新や生産性向上を支援するものです。

また、助成金は要件を満たせば受給を見込めるのに対し、補助金は応募者の中から審査を通過した事業者のみが受給できるという違いがあります。

項目 助成金 補助金
所管省庁 厚生労働省 経済産業省など
主な目的 雇用促進
・従業員の処遇改善
事業の革新・生産性向上
受給要件 要件を満たせば基本的に受給可能
(予算上限に達すると早期終了するケースも)
応募者の中から審査を通過した事業者のみ受給可能
競争性 なし
(一定の条件を満たせば支給)
あり
(申請者の中から選抜)
申請期間 通年受付が多い 募集期間が限定されている
支給までの期間

種類によって異なるが    比較的短期間

長期間かかることが多い

申請前に確認すべき3つのポイント

スタートアップが助成金・補助金を申請するにあたり、確認しておきたいポイントを以下にまとめました。

以下のようなテーブルに整理しました。

確認項目 内容
申請資格の確認 創業後の経過年数制限
従業員数や資本金の要件
業種による制限
補助対象経費の確認 人件費の計上可否
設備投資の範囲
外注費の制限
実施スケジュールの確認 申請から交付までの期間
事業実施期間の制約
報告義務の有無

助成金・補助金の申請には、適用条件・対象経費・スケジュールなど、制度ごとの要件を事前に確認することが重要です。特に、申請条件や補助対象経費が自社の事業計画と合致しているかを慎重に見極め、スムーズな活用につなげましょう。

スタートアップ向け助成金・補助金の選び方

助成金・補助金は、制度によって支給要件や補助金額、申請手続きが異なります。多くのスタートアップ企業にとって、どの制度を活用すべきか判断に迷うところですが、以下のポイントを押さえることで、自社に最適な制度を選択することができます。

制度選びの基本ポイント

助成金・補助金制度を選ぶ際は、まず自社の事業フェーズと目的を明確にすることが重要です。創業間もない時期に使える制度なのか、ある程度の実績が必要なのかを見極める必要があります。

また、補助対象となる経費の範囲や、実際に使える金額(補助率)なども重要な判断基準となります。

申請要件の確認ポイント

助成金・補助金を申請する際には、それぞれの要件や審査基準を確認することが重要です。

特に、売上高や従業員数などの数値要件・創業からの経過年数・業種による制限などは、申請前に必ず確認しておきましょう。

申請時期と準備のポイント

補助金の多くは、年に数回の募集時期が設けられています。一方、助成金は通年で申請できるものが多く、年度の予算枠に達すると受付が終了するケースもあります。

準備不足による申請機会の逸失を防ぐため、関心のある制度については募集開始時期を事前に把握し、必要書類の準備を計画的に進めることが重要です。特に、決算書類や事業計画書など、作成に時間を要する書類については余裕を持って準備を始めましょう。

スタートアップが活用できる主要な助成金・補助金

スタートアップ企業向けの助成金・補助金は、支援の目的や特徴から大きく6つのカテゴリーに分類できます。以下、それぞれの概要を説明します。

1. 創業・起業支援
創業時の初期費用を支援する制度群です。国や自治体等が実施する補助金が中心で、創業時期や事業内容に応じて選択可能です。主に、事業立ち上げに必要な資金や設備投資費が補助対象となります。

2. 事業拡大・成長支援
既存事業の拡大や新規事業の展開を支援する制度群です。設備投資やIT導入・販路開拓など、幅広い用途に対応する補助金が含まれます。事業規模を拡大したい企業向けの支援策が充実しています。

3. 研究開発・イノベーション支援
技術革新や新しい製品・サービスの開発を支援する制度群です。経済産業省やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などが主に実施する研究開発向けの補助金が含まれます。

4. 人材採用・育成支援
人材の採用や育成を支援する制度群です。厚生労働省が所管する助成金が中心で、新規雇用者の人件費支援や、スキルアップ研修の助成などが対象となります。

5. グローバル展開支援
海外展開を支援する制度群です。JICA(国際協力機構)などの専門機関が実施する支援策が含まれます。海外市場開拓や現地法人設立に向けた費用の補助が主な内容です。

6. 地域特化型支援
各地方自治体が独自に実施する支援制度群です。東京都や大阪府、福岡市などの主要都市では、独自の創業支援補助金を用意しているケースが多く、地域の特性に応じた支援を提供しています。

これらのカテゴリーは相互に重複する場合もあり、ひとつの助成金・補助金が複数のカテゴリーの特徴を持つケースも珍しくありません。

以下、各カテゴリーの具体的な制度について詳しく解説していきます。

関連記事:スタートアップ企業におすすめ福利厚生ランキング|導入時の注意点も

創業・起業支援の助成金・補助金

日本政府は起業促進を重要施策と位置づけており、さまざまな創業支援制度を展開しています。ここでは、主に創業期のスタートアップが活用できる主要な支援制度を紹介します。

起業支援金制度

概要

都道府県が、地域課題の解決を目的とする社会的事業を新たに立ち上げる事業者に対し、事業立ち上げの伴走支援と事業費の助成を行う補助金制度です。特に、地方創生の観点から、東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域での起業を支援しています。

対象となる事業者

●東京圏以外の道府県または東京圏内の条件不利地域において、地域課題解決に資する社会的事業を新たに起業する者
●申請日以降に起業する事業者・または申請日以前1年以内に起業した事業者

補助金額と補助率

●補助上限額:最大200万円
●補助率:補助対象経費の1/2以内

補助対象となる主な経費

●設備費(事業用機械・器具・備品等)
●広報費(広告宣伝・パンフレット作成等)
●展示会等出展費
●人件費(従業員給与)
●店舗等借料(創業期の賃借料)

審査のポイント

●地域課題の解決に資する事業であるか
●地域の需要や雇用を創出する効果が期待できるか
●事業計画の実現可能性が高いか

※詳細は都道府県ごとに異なるため、各自治体の募集要項を確認する必要があります

参考:起業支援金・移住支援金 - 地方創生
  :福島県|地域課題解決型起業支援事業補助金公募要領

事業拡大・成長支援の助成金・補助金

スタートアップの成長フェーズでは、設備投資・IT導入・新規市場開拓などのために多額の資金が必要となります。これらの事業拡大を支援する補助金・助成金は、事業の持続的成長を促し、競争力の向上につながるため、積極的に活用するのがおすすめです。

小規模事業者持続化補助金

概要

全国商工会連合会および日本商工会議所が、事業の持続・発展に取り組む小規模事業者を支援するために設けられた補助金制度です。主に販路開拓や業務効率化のための投資に対する補助を受けることができます。

対象となる事業者

●常時使用する従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合は5人以下・それ以外の業種は20人以下の小規模事業者
●事業拡大や販路開拓を目指す事業者

また、本補助金を申請するには、商工会または商工会議所の助言・指導を受けながら、経営計画を作成し、事業支援計画書の発行を受けることが必須です。

補助金額と補助率

補助上限額:通常枠 50万円・特定枠200万円
●補助率:補助対象経費の 2/3以内
●インボイス制度対応特例:インボイス制度への対応に伴い、新たに登録事業者となる場合、補助上限額が50万円から100万円に引き上げられる特例が適用される可能性があります

補助対象となる主な経費

●広報費(広告、チラシ制作等)
●販路開拓費(展示会出展等)
●IT導入費(HP制作、ECサイト構築等)
●設備投資費(業務効率化のための機器導入)

参考:全国商工会連合会|小規模事業者持続化補助金【一般型】
  :経済産業省 中小企業庁|事例から学ぶ「持続化補助金」

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

概要

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するために設けられた補助金制度です。企業の生産性向上や新規事業展開を目的として、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援します。

対象となる事業者

●中小企業・小規模事業者
●付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上を見込む事業者
●1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県の最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
●事業所内最低賃金を最低賃金+30円以上とする企業

補助上限額

企業規模に応じた補助上限額が設定されています。

●5人以下:750万円(特例適用後 850万円)
●6~20人:1,000万円(特例適用後 1,250万円)
●21~50人:1,500万円(特例適用後 2,500万円)
●51人以上:2,500万円(特例適用後 3,500万円)

補助率

●通常:中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3
●特例:「最低賃金引上げ特例」に適用される場合、補助率2/3に引き上げ。

補助対象となる主な経費

●機械装置・システム構築費(必須)
●技術導入費
●専門家経費
●運搬費
●クラウドサービス利用費
●原材料費
●外注費
●知的財産権等関連経費

参考:ものづくり補助金総合サイト|ものづくり補助事業公式ホームページ 
  :中小企業庁|令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要

関連記事:【社労士監修】2024年版|中小企業賃上げ支援の6つの補助金・助成金を徹底比較

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

概要

中小企業・小規模事業者等の業務効率化や労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。

対象となる事業者

●中小企業・小規模事業者(※業種や組織によって資本金や従業員数の要件あり
●ITツール(ソフトウェア、クラウドサービス等)を導入する事業者

補助金額と補助率

●補助上限額:最大450万円(導入するITツールの種類により変動)
●補助率:補助対象経費の1/2以内

補助対象となる主な経費

●クラウドシステム導入費
●業務管理ソフトウェア導入費
●セキュリティ対策ツール導入費

参考: IT導入補助金2025|トップページ
  :中小企業庁|IT導入補助金

事業再構築補助金

概要

事業再構築補助金は、日本国内の中小企業や中堅企業が、ポストコロナ時代への対応として、新市場への進出や業態転換、事業再編など「事業再構築」を行うための補助金です。国内回帰や地域のサプライチェーン維持・強靭化などの取組みを通じて、日本経済の構造転換を促すことを目的としています。

対象となる事業者

●中小企業者(資本金・従業員数の基準を満たす法人または個人事業主)
●中堅企業等(資本金10億円未満の法人または従業員数2000人以下の法人)
●国内に本社を有する事業者
●事業再構築の取組を行う事業者
●金融機関や認定経営革新等支援機関と連携し、事業計画を策定する事業者
●補助事業終了後、付加価値額または従業員一人当たりの付加価値額の年平均成長率3.0%~4.0%以上の増加を見込む事業者

補助金額と補助率

補助金枠 対象企業 補助金額 補助率
成長分野進出枠
(通常類型)
中小企業者等 100万円~
1億円
1/2(2/3)
中堅企業等 100万円~
1.5億円
1/3(1/2)
成長分野進出枠
(GX進出類型)
中小企業者等 100万円~
1億円
1/2(2/3)
中堅企業等 100万円~
1.5億円
1/3(1/2)
コロナ回復加速化枠
(最低賃金類型)
中小企業者等 100万円~1500万円 3/4(2/3)
中堅企業等 2/3(1/2)

補助対象となる主な経費

●建物費(工場・事業所の建設・改修費用)
●機械装置・システム構築費(生産設備の導入・ITシステム開発)
●技術導入費(ライセンス取得など)
●専門家経費(外部コンサルティング費)
●広告宣伝・販売促進費(新規事業のPR費用)
●クラウドサービス利用費(SaaS導入など)

参考:事業再構築補助金|トップページ
  :METI/経済産業省|事業再構築補助金
  :事業再構築補助金事務局|事業再構築補助金 公募要領(第13回)

事業承継・引継ぎ補助金

概要

中小企業がM&Aや事業統合を行う際の経費を支援する補助金制度です。経営資源を引き継ぐことで、事業の継続や地域経済の活性化を促進することを目的としています。

対象となる事業者

●事業譲渡・株式譲渡・合併などの形態で事業の引継ぎを行う企業
●事業の継続性があり、地域経済の活性化に寄与することが見込まれる企業
●3期分の決算を完了している法人または開業後5年以上の個人事業主

補助金額と補助率

買い手・売り手支援(Ⅰ型・Ⅱ型):補助率2/3以内または1/2以内・補助額50万円~600万円・廃業費上乗せ最大+150万円

補助対象となる主な経費

●M&A仲介費用
●デューデリジェンス費用
●事業譲渡に伴う契約書作成費用
●在庫廃棄・解体・原状回復費
●移転・移設費用

参考:事業承継・引継ぎ補助金
  :中小企業庁|中小企業生産性革命推進事業「事業承継・引継ぎ補助金」(十次公募)の公募要領を公表します
  :事業承継・引継ぎ補助金【10次公募】の概要

  事業継承・M&A補助金 

研究開発・イノベーション支援の助成金・補助金

スタートアップが新しい技術や製品を開発する際、研究開発には多額の資金が必要です。国や自治体等では、技術革新を促進するための助成金・補助金を設けており、これらの制度を活用することで、技術開発の加速や市場競争力の強化を図ることができます。

SBIR(Small Business Innovation Research)制度

概要

スタートアップや中小企業による研究開発を支援し、国としてのイノベーションを推進する補助金制度です。アメリカのSBIR制度をモデルとし、政策課題の解決や新市場の創出が期待される技術の実用化を後押ししています。

対象となる事業者

●原則設立15年以内の研究開発型スタートアップ(※科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第2条第14項に規定される中小企業者等)
●事業を営んでいない個人(研究者等)であって、研究開発成果の事業化を目指す者
●J-StartupまたはJ-Startup地域版に選定されたスタートアップを含む

補助金額と補助率

SBIR制度は、技術の成熟度に応じたフェーズごとに補助金が支給されます。

フェーズ 内容 事業期間 補助金額
フェーズ1 概念実証(PoC)・
実現可能性調査
1年以内 300万円~3,000万円
フェーズ2 研究開発
(フェーズ1の成果を基に実施)
1~2年 1,000万円~数億円
フェーズ3 大規模技術実証
(実環境下での実証)
最長5年 技術分野に応じた規模
事業化 ・
政府調達
フェーズ
フェーズ2またはフェーズ3によって開発された技術・製品等の事業化に向けた準備 事業に応じた期間 設定なし

※フェーズ1、2については、高評価の事業に限り定額補助での支援が可能
※「事業化 ・政府調達フェーズ」では、政府調達やテストマーケティング・技術調査事業・民間企業とのマッチング等
による支援が行われる

補助対象となる主な経費

●研究開発費(試作品開発、実証実験等)
●人件費(技術者・研究者の給与)
●知的財産権取得費用
●研究開発管理費用、特許関連経費
●研究成果の事業化に必要な経費(試作費・市場調査費・展示会出展費 等)

参考:内閣府|Csti Startup Policy-SBIR制度 特設サイト
  :内閣府|SBIR制度 - 科学技術・イノベーション
  :指定補助金等の交付等に関する指針について

NEDOの各種支援事業

概要

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、研究開発型スタートアップの成長支援を目的としたさまざまな事業を展開しています。特に、「開拓コース」「躍進コース」は、ディープテック分野の技術を持つ企業や起業家を対象に、ビジネスモデル構築や研究開発を支援しています。

対象となる事業者

開拓コース:技術シーズを活用したビジネスモデルの具体化を目指す個人・企業。起業前の個人も対象
●躍進コース:一定のビジネスモデルを持ち、研究開発や市場開拓を推進する企業

補助金額

コース名 最大補助額
開拓コース 最大300万円(税込)
躍進コース 最大3,000万円(税込)

補助対象となる経費

●研究開発費(試作品開発・技術検証など)
●人件費(エンジニア・研究者の給与)
●市場調査費用
●事業化のためのビジネスモデル構築支援

参考:NEDO 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
  :NEDO Entrepreneurs Program - NEP | 創業初期の起業家候補人材の育成と支援

JSTの起業支援プログラム

概要

科学技術振興機構(JST)は、研究成果の事業化を支援するため、さまざまな起業支援プログラムを提供しています。特に大学発スタートアップの支援に力を入れており、研究開発型の企業が資金調達や事業化を進める際に活用できます。

対象となる事業者

● 大学発スタートアップ
● 研究成果をもとに事業化を進める中小企業

補助金額

●例:ディープテックスタートアップ支援:最大3億円(プログラムにより異なる)

補助対象となる主な経費

● 研究開発費(プロトタイプ開発、技術検証)
● 事業化推進費(市場調査、マーケティング)
● 外部委託費(技術コンサルティング、知財取得)

参考:大学発新産業創出プログラム|START

人材採用・育成支援の助成金・補助金

スタートアップは、成長を支える優秀な人材の確保と育成が不可欠です。しかし、資金が限られる中で人件費や教育コストを捻出するのは容易ではありません。政府や自治体等では、企業の人材採用や研修を支援する助成金・補助金を提供しており、これらを活用することで、コストを抑えながら質の高い人材を確保できます。

早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)

概要

中途採用の拡大を目的とした助成金制度です。企業が中途採用の機会を増やすことで、労働市場の活性化を図ることを目的としています。特に、45歳以上の中途採用の拡大に取り組む企業には、より手厚い助成が行われます。

対象となる事業者

●中途採用の拡大を図る事業者
●雇用保険適用事業所

助成金額

●中途採用率の拡大:50万円
●45歳以上の中途採用率の拡大:100万円

助成の対象となる主な取組

●中途採用計画の策定と提出
●中途採用者の雇用管理制度の整備
●中途採用率の向上(20ポイント以上の上昇が要件)
●45歳以上の中途採用率の場合、10ポイント以上の上昇と賃金の5%以上上昇が追加要件

参考:厚生労働省|雇用関係助成金一覧
  :早期再就職支援等助成金ガイドブック-中途採用拡大コース-

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

概要

有期雇用労働者や派遣労働者を正社員へ転換する企業を支援する助成金制度です。企業の人材定着や労働者のキャリアアップを促進する目的で支給されます。

対象となる事業者

●有期雇用労働者や派遣労働者を正社員(無期雇用労働者含む)に転換する企業
●有期雇用労働者や派遣労働者を勤務地限定・職務限定・短時間正社員へ転換する企業

助成金額

1人当たりの助成額(※大企業は支給額が異なる)

  有期雇用労働者 無期雇用労働者
中小企業 80万円
(40万円×2期)
40万円
(20万円×2期)
大企業 60万円
(30万円×2期)
30万円
(15万円×2期)

※各種加算あり

参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金
  :キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)

関連記事:【社労士監修】キャリアアップ助成金正社員化コースが拡充!改正ポイントと注意点

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

概要

ハローワークや民間の職業紹介事業者を通じ、高年齢者・障害者・母子家庭の母など、就職が困難な求職者を継続して雇用する事業主に対して助成金を支給する制度です。企業がこれらの求職者を採用する際のインセンティブとなることを目的としています。

対象となる事業者

●ハローワークや民間職業紹介事業者を通じて、特定の求職者を採用する事業者
●採用した労働者を正規雇用・無期雇用・有期雇用(一定の条件あり)で雇い入れる事業者
●雇用保険の適用事業主であること
● 対象労働者を継続して雇用することが確実であると認められること
●雇入れ日の前後6カ月間に従業員の解雇をしていないこと

助成金額(※大企業は支給額が異なる)

対象者 支給総額 支給方法
母子家庭の母等・高年齢者(60歳以上)・ウクライナ避難民など 最大60万円
(短時間労働者は40万円)
30万円×2期
(短時間労働者は20万円×2期)
身体・知的障害者 最大120万円
(短時間労働者は80万円)
30万円×4期
(短時間労働者は20万円×4期)
重度障害者・45歳以上の障害者・精神障害者 最大240万円
(短時間労働者は80万円)
40万円×6期
(短時間労働者は20万円×4期)

※大企業向け別要件あり

参考:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
  :特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)のご案内

関連記事:【社労士監修】人材採用に役立つ助成金の支給要件や支給額は?活用の注意点も解説

グローバル展開支援の助成金・補助金

近年、日本国内市場の縮小を背景に、海外市場への進出を目指すスタートアップが増加しています。しかし、海外展開には、市場調査・販路開拓・現地法人設立・通関手続き・法規制対応など、多額の費用と準備が必要です。こうした状況を踏まえ、国や公的機関等では、海外展開を支援する助成金や補助金を提供し、企業のグローバル化を後押ししています。

JICAによる海外進出支援(民間連携事業)

概要

JICA(国際協力機構)が、日本企業の技術やノウハウを活用し、発展途上国の課題解決を目的としたビジネスを支援する助成金制度です。現地調査や実証事業の支援を通じ、企業の海外展開を後押ししています。

対象となる事業者

●中小企業・中小企業団体・中堅企業・みなし大企業・その他本邦登記法人
●開発途上国の課題解決に貢献する持続可能なビジネスモデルを持つ企業
●対象国での持続的なビジネスの実現に向けて、安定した経営基盤及び実証された製品・技術・ノウハウを持つ企業

助成金額

●ニーズ確認調査:上限1,500万円
●ビジネス化実証事業:上限4,000万円
●強力準備調査(海外投融資):予備調査(上限3,000万円)|本格調査(上限1億2,000万円)

主な支援内容

●途上国向けビジネスの案件形成支援
●現地調査、技術検証、実証事業の支援
●官民連携による市場開拓サポート

参考: JICA|民間連携事業 | 事業について
  :JIKA|支援メニュー一覧 | 事業について
  :中小企業・SDGsビジネス支援事業‐ JICA Biz ‐

地域特化型支援の助成金・補助金

地域ごとに独自の創業支援を行う助成金・補助金も多数存在します。これらの制度は、東京都や大阪府などの大都市圏だけでなく、地方都市や過疎地域でも展開されており、地域特性に応じた支援が受けられる点が特徴です。ここでは、東京都が実施している事業について紹介します。

東京都創業助成事業

概要

東京都および公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する創業支援事業で、都内の創業予定者や創業後5年未満の中小企業者等に対し、創業初期に必要な経費の一部を助成します。 

対象となる事業者

●都内で新たに創業を予定している方
●申請時点で創業後5年未満の中小企業者等

主な申請要件

●TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者
●インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設の入居者
●東京都および都内区市町村が行う創業を対象とする制度融資利用者
●都内区市町村で認定特定創業支援等事業(産業競争力強化法)による支援を受けた方
※上記を含む、指定された創業支援事業の利用が必要

助成金額

●助成限度額:最大400万円
●助成率:助成対象経費の3分の2以内

助成対象となる経費

●賃借料
●広告費
●器具備品購入費
●産業財産権出願・導入費
●専門家指導費
●従業員人件費
●市場調査・分析費

参考:東京都|創業助成事業 第2回募集のお知らせ

その他のスタートアップ向け支援プログラム

スタートアップが活用できる制度は、助成金・補助金だけではありません。ここでは、助成金・補助金以外でスタートアップが知っておきたい支援プログラムを紹介します。

J-Startup支援プログラム

概要

グローバル展開を目指す有望なスタートアップを官民で集中支援する制度です。経済産業省が、ベンチャーキャピタルや大手企業などとともに、次世代を担うユニコーン企業の創出を目指しています。

対象となる事業者

革新的な技術やビジネスモデル を有する企業
●グローバル展開 を目指すスタートアップ
●ステージは問わないが、成長性が高いと認められる企業
●推薦委員 からの推薦を受けた企業

支援内容

●規制改革等の施策実現に向けた優先的支援
●各種補助金における審査での加点
●政府関係機関による海外展開支援
●ビジネスマッチング機会の提供
●人材採用支援
●メディア露出機会の創出

選定のポイント

革新性(技術やビジネスモデルの新規性)
●成長性(市場規模、スケーラビリティ)
●実現可能性(経営チームの実行力)
●社会的インパクト(社会課題解決への貢献)
●グローバル展開の可能性

参考:J-Startup

JETROによるスタートアップ支援(海外展開支援)

概要

JETRO(日本貿易振興機構)が提供する、スタートアップの海外展開を支援するプログラムです。世界共通の課題を解決する製品、技術、サービス、アイデアを持つスタートアップに対し、海外のトップアクセラレーターと連携したアクセラレーションプログラムや、海外拠点を通じた支援を提供します。

対象となる事業者

●世界共通の課題を解決する製品・技術・サービス・アイデアを持つスタートアップ企業
●海外での事業展開や資金調達を検討しているスタートアップ
●海外の投資家や事業パートナーとのネットワークを構築したい企業

主な支援内容

【グローバル・アクセラレーション・ハブ】

各国の有力なスタートアップ支援拠点と連携し、現地情報・メンタリング・事業戦略支援・コワーキングスペースの無料提供などを行う

【グローバル・スタートアップ・アクセラレーションプログラム(GSAP)】

●海外トップレベルのアクセラレーターによるエクイティ・フリー型のプログラム(出資なし)を提供
●資金調達・販路/顧客開拓など、さまざまな形の海外展開を見据え、実践的に世界トップレベルのビジネス展開スキルの向上をサポートする
●各アクセラレーターが持つコミュニティへのアクセス・メンターや投資家とのコンタクト機会を提供
●BtoB・AI・サステナビリティ・ディープテック・バイオテック・製造業など、幅広い分野に対応したコースを提供

【海外市場向けPR支援】

●ETROのグローバルサイトに企業概要やピッチ動画を掲載し、海外投資家・事業パートナーへのPRを支援
●海外展示会・商談会への参加支援
●各国の展示会や商談会への出展支援、現地のビジネスパートナーや投資家とのマッチングを実施

参考:ジェトロ|日系スタートアップの海外展開支援 | イノベーション・スタートアップ - 目的別に見る

新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

概要

事業開始後おおむね7年以内の女性・35歳未満の若者・または55歳以上のシニアを対象とした融資制度です。特別利率が適用され、設備資金や長期運転資金として利用できます。 

対象となる事業者

●女性の方・35歳未満の方・55歳以上の方
●新たに事業を始める方・または事業開始後おおむね7年以内の方

融資限度額

●最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)

資金の使いみち

●設備資金(開業費等資産計上される資金を含む)
●長期運転資金

利率

特別利率が適用されます。詳細は日本政策金融公庫の公式サイトをご確認ください。 

返済期間

●設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
●運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)

担保・保証人

必要に応じて相談

参考:日本政策金融公庫|新規開業資金

さらに競争力を高めるなら『福利厚生の活用』

助成金・補助金の活用はスタートアップの成長に欠かせませんが、資金調達だけでなく、従業員の定着率向上や採用競争力の強化も重要です。特に、スタートアップは大手企業と比較して給与や待遇面で競争力を持ちにくいため、福利厚生の充実によって優秀な人材を確保し、組織の安定性を高めることが求められます。

福利厚生は企業のブランドイメージを向上させるだけでなく、従業員の満足度向上やパフォーマンス向上にも効果的な施策です。中でも「食事補助」や「家事支援」 など、生活を直接サポートする制度が特に人気を集めています。

福利厚生の充実がスタートアップの競争力を高める理由

福利厚生は、従業員の働きやすさやモチベーションに大きな影響を与えます。以下、スタートアップが福利厚生を充実させる主なメリットを紹介します。

  • 人材確保・定着率の向上:大手企業と比べて給与水準が低くても、福利厚生が充実していることで企業としての魅力が増す
  • 従業員の満足度向上と生産性アップ:ワークライフバランスの充実により、ストレス軽減やエンゲージメント向上につながる
  • 企業ブランディングの強化:「働きやすい企業」としてのイメージが確立され、採用市場での競争力が高まる

スタートアップにおすすめ「チケットレストラン」

人気の食事補助の福利厚生として、日本一の実績を持つサービスが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、一定の条件を満たすことにより、非課税枠を活用しながら全国25万店舗以上の加盟店での食事が実質半額になるサービスです。

加盟店のジャンルはコンビニ・ファミレス・カフェなど幅広く、若手従業員からシニア人材まで、あらゆる年代・性別・嗜好の従業員が平等に利用できます。

自由度が高く低コストで始められることから、スタートアップの福利厚生としておすすめのサービスです。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

助成金・補助金を活用した成長戦略と人材定着の実現

スタートアップにとって、助成金・補助金は、事業の成長を支える重要な資金調達手段です。創業期の資金不足を補い、事業拡大や人材確保を後押しするこれらの制度を戦略的に活用することで、企業の競争力を高めることができます。

しかし、助成金・補助金の活用は資金調達だけが目的ではありません。経営基盤を強化し、従業員が安心して働ける環境を整えることも重要です。「チケットレストラン」のような福利厚生は、少ないコストで導入でき、従業員満足度の向上につながる施策として注目されています。

助成金・補助金を適切に活用し、成長戦略と働きやすい環境づくりを両立させて、スタートアップの持続的な発展を目指しましょう。

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参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
    :「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!

新キャンペーンのお知らせ①:従業員の生活支援に!「第3の賃上げ」導入応援キャンペーン開始 ~食事補助サービス「チケットレストラン」で“手取りアップ”を実現~

新キャンペーンのお知らせ② :【愛知県限定】物価高対策・従業員の生活支援に!「第3の賃上げ」導入応援3月無料キャンペーンを実施

※記事内の助成金・補助金・支援プログラムの内容は変更されることがあります。参考にする際は最新の情報をご確認ください。

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