監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
「健康経営向けのサービス」とは、どういったものでしょうか?健康経営向けのサービスが必要とされる理由や、健康経営優良法人とは何か、認定基準も踏まえて深堀します。また、2024年度の健康経営優良法人認定基準と、健康経営支援のために取り入れやすい福利厚生サービスやおすすめの健康管理サービスを大・中小規模企業別に15選を紹介します。自社の健康経営優良法人認定獲得に活用しましょう。
健康経営向けのサービスとは?
健康経営向けのサービスとは、健康経営優良法人の認定基準を満たすための施策に活用できる民間企業のサービスを指します。
健康経営優良法人の認定を受けると、行政や金融機関からさまざまなインセンティブが受けられたり、企業のブランディングに役立ったりと多くのメリットがあるため、健康経営優良法人を目指す企業が急増中です。しかし、健康経営優良法人の認定基準を満たすには、自社内のリソースだけでは難しいため、多くの企業が健康経営向けのサービスを活用しています。
健康経営とは?
健康経営とは、従業員の心身の健康を企業の資源と位置づけ、従業員の健康維持・改善に向けた施策にかかる経費をコストではなく投資として捉える経営戦略です。日本では深刻な少子高齢化を受け、今後、人材確保があらゆる企業で円滑に経営・運営していくための大きな課題になると考えられています。そうした中、人材の健康に注力する健康経営は政府や厚生労働省、経済産業省が中心となり、目指すべき企業運営の在り方として推奨されています。
健康経営優良法人とは?
経済産業省では、健康経営に真摯に取り組む法人を「健康経営優良法人」と認定する制度を推進しています。健康経営優良法人認定制度は、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2部門に分かれています。企業の大小にかかわらず、地域の健康課題に関する取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みに対して、真摯に向き合い健康経営を実践している法人を表彰する制度と考えるとわかりやすいです。
また、2016年より東京証券取引所との共同で、健康経営優良法人のうち上場企業の株を「健康経営銘柄」として評価・選定する制度にも注力しています。健康経営銘柄選定は、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に、健康経営優良法人を紹介する取り組みです。
参考:日本健康会議について
参考:経済産業省 健康経営銘柄とは?
参考:チケットレストラン|健康経営優良法人とは?認定基準やメリットについてわかりやすく解説
2024年度健康経営優良法人の認定基準とは?
健康経営優良法人の認定基準は「①経営理念」「②組織体制」「③制度・施策実行」「④評価・改善」「⑤法令遵守・リスクマネジメント」の5項目で構成され、健康経営認定基準は大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2部門に分かれています。
令和5年8月21日に、2024年度の健康経営優良法人申請受付が開始され、2024年度の健康経営優良法人認定要件が発表されました。これから健康経営優良法人認定を目指す企業は目を通しておきましょう。
大規模法人部門の方が、中小規模法人部門よりクリアすべき評価項目が多いです。また、中小規模法人部門に申請するには、事前に加盟保険者の健康宣言事業への参加が必要です。
出典:健康経営銘柄2024選定基準及び健康経営優良法人2024(大規模法人部門)認定要件 出典:健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)認定要件
参考:経済産業省 「健康経営銘柄2024」・「健康経営優良法人2024」の申請受付開始!
参考:ACTION!健康経営
健康経営優良法人認定サービス例とは?
健康経営優良法人の要件を満たすためには、民間のサービスを利用するのが効果的です。わかりやすく社内外にアピール可能で、取り入れやすいサービス例を見ていきましょう。
食事補助などの直接的な福利厚生
採用活動や従業員のエンゲージメントを向上のために、福利厚生を充実させる企業が増えていますが、健康経営の実現にも効果的な福利厚生を取り入れるのが早道です。福利厚生の中でも、食事補助は従業員の健康に直結し「従業員の心と身体の健康づくり」の評価項目において「食生活の改善に向けた取り組み」を実施していると認められる可能性が高いです。
また、食事補助制度を利用して従業員のコミュニケーション機会を創出する企業もあります。その場合は「健康経営の実践に向けた土台づくり」の評価項目「コミュニケーションの促進に向けた取り組み」の要件を満たしたと認められる可能性も高いです。
近年のビジネスシーンでおすすめなのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」は、従業員の健康づくり、栄養管理に直結した電子カード配布型の食事補助サービスで、出社する従業員はもちろん、リモートワークやワーケーション、交代制シフト出張など、多様なワークスタイルで勤務する全国の従業員が利用できるため、公平で使い勝手が良いサービスだと好評を得ています。
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健康管理システムの導入
健康管理システムとは、従業員のストレスチェックや健康診断の結果管理などを行うシステムです。治療や運動・食事指導など、各従業員への健康課題や行動タスクを提示する機能を備えたシステムなどもあります。このような健康管理システムの導入により「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」の3項目と「従業員の心と身体の健康づくり」の「⾧時間労働者への対応に関する取り組み」「保健指導の実施および特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み」をクリアしたと認められる可能性が高いです。
また、健康管理システムの導入効果として、企業が従業員の心身の健康を一括管理しやすくなるだけでなく、長時間労働や不足する福利厚生制度が明白になるなど、健康経営の実践に向けて課題が見つかりやすくなります。
心身の健康教育の実施
健康経営を行う上で、従業員それぞれのヘルスリテラシー向上を図るサービスを導入するのもよいでしょう。特に、管理職に向けた心身の健康に向けた教育サービスは、実施する価値があるものです。研修やセミナーのほかに、一般の従業員も参加しやすい動画などの健康教育サービスなども存在します。
「健康経営の実践に向けた土台づくり」の「管理職・従業員へのヘルスリテラシーに関する教育」や教育内容によっては、ほかの評価項目も実施したと認定される可能性もあります。自社の課題に合ったサービスを探してみましょう。
運動やセルフメンテナンス機会の創出
従業員の健康増進・ 生活習慣病予防対策のために、改めて身心の健康への直接的なアプローチをかなえ、セルフケアに役立てられる取り組みを行うことも健康経営には求められます。
たとえば、社内でスポーツレクレーションやクラブを企画したり、散歩の時間を設けたりなども有効です。自社内にリソースが足りない場合は、スポーツイベントの企画・運営サービスを利用するのもよいでしょう。これらの施策は、従業員の運動不足解消を図るだけでなく、社内レクレーションの充実で従業員間の垣根をなくし従業員間のコミュニケーションを取りやすい環境づくりの推進に役立ちます。
そのため「従業員の心と身体の健康づくり」の評価項目「運動機会の増進に向けた取り組み」だけでなく「健康経営の実践に向けた土台づくり」の「コミュニケーションの促進に向けた取り組み」をクリアしたと認められることもあります。
健康経営実践のコンサルティングサービス
健康経営の実現を目指す企業では、従業員の健康保持・増進実現に働きかける組織体制の整備が欠かせませんが、その際に外部の健康経営コンサルティングサービスを活用するのもよいでしょう。健康経営に対する施策の実行に際し、企画の段階から管理職や役員会を含めた意識作りや組織体制の強化などが期待できます。
健康経営実践のコンサルティングサービスを利用すると、健康宣言事業への参加から、健康経営優良法人制度の認定基準の要件実行までがスムーズになるでしょう。
健康経営と福利厚生の違いとは?おすすめのサービスと成功事例一覧
健康経営優良人大規模法人部門向けサービス10選
健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門申請に向けて、施策の策定や実行におすすめの民間サービスを10選紹介します。
1.ヘルスケアソリューション
NTT ExCパートナーの「ヘルスケアソリューション」は、従業員の健康をデータで管理し、事前に不調を感知するサービスです。また、従業員一人ひとりの受診管理やデータ一元化による健康情報の見える化・予防・改善に向けた行動変容を促します。心身の体調不調者の復帰支援にも注力し、今後サービスの広がりが期待できそうです。NTTグループ20万人への提供実績のある企業が、健康経営向けに、社員の健康管理から予防までのトータルサポートを実現できる健康管理システムです。
2.けんさぽ
株式会社Personal Health Techの「けんさぽ」は、健康管理システムとアナログ作業代行サービスです。システムだけでなくアナログ領域までサポートすることで、煩雑な業務による負担を大幅に削減します。健康診断などの情報の一元管理やヘルスケアアプリの提供、きめ細やかなコンサルティングサービス付きなど4つのサービスがあり、自社の健康経営施策のニーズにあわせたサービス選びが可能です。
3.SOMPOヘルスサポート
国内の損害保険事業のリーディングカンパニー・SOMPOホールディングスは、健康経営支援サービスとして、健康経営の総合コンサルティングサービス「SOMPOヘルスサポート」を立ち上げました。経験豊富なコンサルタントが、健康経営の推進に必要な現状把握からコンセプトづくり、目標設定をサポートするサービスです。事業の特性柄、さまざまな知見を積む専門コンサルタントが、大規模法人の健康経営の実現に向け伴走してくれます。
4.ベネフィット・ステーション
株式会社ベネフィット・ワンの「ベネフィット・ステーション」は、映画やショッピング、観光など全国各地で使える140万以上のサービスを備える総合福利厚生サービスです。同社は、健康経営に向けたサービスも多く取り扱っています。たとえば、フィットネス施設や介護サービスの利用割引や健診データと結びつけて、従業員の健康状態を可視化する健康支援サービスです。この健康支援サービスは、従業員の生活スタイルによって独自の健康ポイントが貯まるシステムで、貯まったポイントはクーポンや商品に交換できます。
5.ライフサポート倶楽部
リソルライフサポート株式会社の「ライフサポート倶楽部」は「ウェルビーイング」を意識した健康支援福利厚生サービスに力を入れる、総合福利厚生代行サービスです。健康支援サービスの中でも、ライフイベントや心身の健康不調からの職場への復帰を、人材確保と健康経営におけるメンタルヘルスケアにとって重要な課題と捉えられて注力しています。特に、女性活躍支援に注力しており、出産・育児・介護にまつわるサービスを広く提供しています。保養やワーケーションにも使える施設利用に関するサービスもあり、日々の健康管理や息抜きだけでなく、リフレッシュもサポートします。
6.HELPO
「HELPO」はオンライン診療をはじめ、体調が悪くなり始めたときや、ちょっとした身体の不安を医師・看護師・薬剤師の医療専門チームに気軽に相談できるヘルスケアアプリです。このアプリは、従業員の健康管理だけでなく、導入企業の従業員の健康にまつわる不安を24時間365日いつでもチャットで応えるという、オリジナルのサービスで注目を集めています。体調不良の際の受診科の選定や健診結果と結びついた個人の健康相談などにも応じます。従業員本人の心身に関する相談だけでなく、家族の相談にも対応してくれるので、ホームドクターのような役割を果たします。
7.KENPOS
総合福利厚生サービス「WELBOX」で知られる株式会社イーウェルの「KENPOS」は従業員の健康管理に特化したWeb・アプリサービスです。KENPOSを使って企業は、従業員の健康状態や目標設定、行動記録などの管理を一元化し、従業員は健康情報の取得やキャンペーン参加といった健康維持・増進を支援するコンテンツが利用できます。従業員の健康管理の「やり方がわからない」「どんな健康イベントが良いかわからない」などといった健康経営推進が難しい企業や健康経営を担当する部署の悩みにこたえるサービスを多く扱っています。
参考:株式会社イーウェル
8.オフィスおかん
「オフィスおかん」は、オフィスに家庭的なお惣菜などを常備する食事補助サービスです。メニューは全て、栄養管理士が監修し、可能なかぎり添加物を使わない、健康を意識したお惣菜が揃っています。従業員が味に飽きないように、毎月複数の新メニューを考案するなどさまざまな工夫がされています。食事は健康に直結するものです。オフィスおかんのサービスを利用することで、簡単に健康的な食事が叶うと好評を得ています。
参考:株式会社OKAN
9.おふぃすこんびに
オフィスコンビニの老舗「おふぃすこんびに」は、関西を中心に、関東、東海地方で提供されているサービスです。使えば使うほど得をするポイントバック制も導入しているので、大規模法人など従業員人数が多い企業にはおすすめのサービスです。健康経営に特化したサービスではありませんが、気軽に軽食や飲料が購入できるオフィスコンビニを導入することで、従業員に水分補給や休憩や昼食などへの意識づけになるでしょう。周辺にコンビニや飲食店が少ない企業はぜひ検討しましょう。
参考:おふぃすこんび
10.RIZAPウェルネスプログラム
RIZAP株式会社の法人向けサービス「RIZAPウェルネスプログラム」は、RIZAP流のメソッドで健康経営支援を行うサービスです。座学とトレーニングを組み合わせたセミナープログラムによる健康増進や社内イベントによるコミュニケーション活性化を支援します。また、テレワークメインの企業向けにオンラインサービスも開始され、勤務場所が離れていても参加できる利便性の良さも注目され、多くの大企業での導入実績を目指しています。
参考:RIZAP
健康経営優良人中小規模法人部門向けサービス5選
健康経営優良法人認定制度の中小規模法人の認定要件を支援する民間サービスを5選紹介します。
1.office de BIO
Works合同会社の「office de BIO」は法人向けのオーガニックスナックサービスです。数あるオフィスコンビニの中でも従業員の健康にフォーカスし、世界中から集めたBIO食品・無添加食品を利用のプロが企業の希望に合わせた商品をセレクトして届けるサービスです。栄養バランスの取れたおしゃれな食品が並ぶことから、女性従業員からの支持は厚いようです。月額料金3万円の小規模なコースもあるため、健康経営施策にあまりコストをかけられない企業でも利用しやすいサービスとなっています。
2.オフィスdeリラックス
株式会社イーヤスが提供する「オフィスdeリラックス」は、プロの施術師が企業の職場へ定期的に出張訪問し、従業員の身心の疲れやストレスを軽減・解消する、福利厚生サービスです。現在は、東京・大阪・名古屋・札幌と都市部でのみ提供されているサービスですが、導入企業では、利用率95%以上を誇ります。「オフィスdeリラックス」の利用によりコミュニケーションをはじめとした職場の環境づくりに役立ったという声もあります。従業員のセルフケア意識向上にもつながっているという声もあるそうです。
参考:株式会社イーヤス
3.kickake
avivo株式会社の「kickake」は、従業員の健康づくりに必要なストレスチェックやアンケート、セミナーや社内のスポーツレクリェーションの実施をサポートする福利厚生サービスです。サービス名は「きっかけ」と読みます。その名の通り、健康意識を持つのに必要なきっかけを提供するためのサービスメニューが揃っています。従業員の健康状態の把握からスポーツレクリエーションのイベントまでを一括でマネジメントするサービスで、健康経営に乗り出すために「何から始めたらよいかわからない」といった企業では導入に大きなメリットがあるでしょう。
参考:avivo株式会社
4.KIRIN naturals
KIRINホールディングスが運営する「KIRIN naturals」は、従業員の健康管理をサポートできる福利厚生サービスです。サービス内容は、従業員の健康支援を動画やeラーニング、サーベイなどで行い分析、検証までを行うウェルネスストアと、オリジナルの栄養バランス抜群のスムージー提供をメインとしたオフィスコンビニ「ウェルネススタンド」の2種類です。初期費用、月額利用料がかからない、オフィスコンビニ「ウェルネススタンド」の利用のみも可能です。こちらは商品の購入代金のみの負担なので、企業はコストを気にせず気軽に導入できると好評です。
5.オフィスでやさい
「オフィスでやさい」は、オフィスに設置された専用冷蔵庫の中から、健康的で野菜中心の惣菜やフルーツなどが自由に購入できるオフィスコンビニです。管理栄養士の監修のもと、国産食材、無添加にこだわった旬のおかずが提供されています。初期費用や月額利用料はかかりますが、健康経営施策として導入する企業が増えています。
参考:オフィスでやさい
企業規模を問わず健康経営優良法人を目指すなら「チケットレストラン」
健康経営優良法人認定制度の認定基準は、評価項目が年々増え、自社内の取り組みだけではクリアしづらいものもあります。健康経営施策の企画や実行にリソースが足りない場合は民間サービスを上手く利用しましょう。
健康経営支援のサービスは、企業規模によって利用できるものとできないものがありますが、企業規模にとらわれず、直接的な従業員の健康支援につながるのがエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。チケットレストランは、30年以上の歴史を持ち、全国で15万人以上の利用者がいる食事補助サービスとしては歴史が長く、代表的なサービスです。
導入企業では「利用率99%・継続率99.6%・満足度90%」と重宝され、多くの健康経営優良法人が導入している食事補助の福利厚生サービスです。チケットレストランへの加盟店は、2025年8月現在、25万件を超え、ヘルシー志向のレストランやカフェの加盟や Uber Eats ともサービス提携を始めました。多様な雇用形態や食に関する好み・特性・規制がある人にも平等に健康な食事を提供できます。
一定の条件を満たせば税制優遇措置を受けられたり、従業員の身心に直接的な好影響を与えたりする福利厚生サービス「チケットレストラン」をぜひ検討しましょう。