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「健康企業宣言」と「健康優良企業認定制度」とは?メリットや定義について

2022.09.13

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近年、企業経営の重要なキーワードとして「健康経営」があげられるようになりました。

健康経営とは、社員の健康保持・増進の取り組みを経営的視点から考え、戦略的に実行することです。「社員の健康状態の向上は将来的な収益性を高めるための投資である」という考えのもと、健康経営を推進する企業が増えています。

そんな中注目を集めているのが、「健康企業宣言」です。

「健康企業宣言」とは

健康企業宣言 健康経営

「健康企業宣言」とは、企業全体で社員やそのご家族の健康づくりに取り組むことを宣言することです。健康企業宣言を行い、一定の成果を上げた企業は、「健康優良企業」として認定されます。

健康企業宣言や関連する制度について、確認してみましょう。

「健康経営優良法人」との違い

健康企業宣言と混同されやすい制度に、「健康経営優良法人」の制度があります。

「健康経営優良法人」は、特に優良な健康経営を実施している企業として、経済産業省が推進する「健康経営優良法人制度」で認定された企業のことです。この健康経営優良法人の申請には、健康企業宣言を実施し、社内外に発信していることが必須条件となっています。(※1)

「健康企業宣言」を実施→「健康経営優良法人」に申請・認定→「健康経営優良法人」

健康優良企業認定制度の運営団体

健康企業宣言を含む健康優良企業認定制度は、健康保険組合等が実施するものです。東京都においては、健康企業宣言東京推進協議会が運営団体となり、医療保険者や経済団体、自治体などが参加しています。

健康企業宣言のメリット2点

健康企業宣言を行うことで得られる企業のメリットは、2点あります。

1点目として、社員の健康意識が増進し、労働生産性の向上につながります。

令和4年6月に発表された経済産業省ヘルスケア産業課の「健康経営の推進について」では、健康経営の効果について、社員の健康意識が高まることで健康行動が誘発され、結果的に事故や労災等のリスクが下がり、生産性損失が減ると整理しています。

また、社員の心理的・身体的な健康が増進されれば、日々の業務に生き生きと取り組むことができ、生産性の向上に寄与すると言えます。健康企業宣言は、そのきっかけとなるものです。(※2)

 

2点目のメリットとして、企業のブランド価値向上があげられます。

健康企業宣言を行い、健康優良企業として認定されると、「健康優良企業認定証」が交付されます。社員の健康増進に取り組む企業として社内外にアピールすることで、ホワイトな企業としての認知を高めることができます。結果として、優秀な人材の採用や、ビジネス上の取引においても有利に働く可能性が高まるでしょう。

健康優良企業に参加できる条件は?

健康優良企業に参加するには、条件があります。

「加入している健康保険の保険者が、健康宣言等の取り組みを実施していること」です。

全国健康保険協会では支部(都道府県)ごとに、健康保険連合会では都道府県連合会ごとに、健康宣言事業を実施しています。健康宣言への具体的な取り組み内容は、保険者の各ホームページで確認することができます。

参加手続きと「銀の認定」「金の認定」

健康企業宣言 健康経営

健康企業宣言を実施するにあたり、「健康優良企業」の種類の確認と、手続きの内容を把握をしておきましょう。

「健康優良企業」には「銀の認定」と「金の認定」の2種類があります。その色が示す通り「金の認定」の方が優位にあり、「金の認定」を得るためにはまず、「銀の認定」を取得しなければなりません。

細かな手続き等は保険者や地域により異なりますが、今回は東京都における「健康企業宣言」から「健康優良企業認定 銀の認定・金の認定」までのフローを紹介します。

「銀の認定」から「金の認定」への手続きと流れ

ステップ1として、健康経営を行うための職場環境の整備を行い、「銀の認定」を目指します。

まずは経営者を中心とした健康推進体制を構築し、自社の健康づくりに関する現状を分析しましょう。その上で実際に宣言する取り組み内容を決定していきます。東京都保険組合連合会が提供している「健康企業宣言チェックシート」を使用すると、効率よく自社の分析を進めることができます。

東京都保険組合連合会「健康企業宣言チェックシート」

取り組み内容が決まったら、保険者に対して健康企業宣言の申し込みをします。申し込みが受領されると、健康保険組合連合会東京連合会が発行する「健康企業宣言 宣言の証」が交付されます。6か月以上取り組みを行った後、実施結果レポートを提出し、基準点を満たした場合には、全国健康保険協会東京支部より「銀の認定」を受けることができます。

 

「健康企業宣言」の申し込み→「健康企業宣言 宣言の証」交付

→6か月以上実施、実施結果レポートを提出→「銀の認定」

 

ステップ2では、職場の健康づくりにとどまらず、社員の家族の健康づくりや安全衛生にも取り組むことで、「金の認定」を目指します。

再度自社の課題を分析し、今後の取り組み内容を決定した上で申し込みを行います。ステップ1同様6か月以上の取り組みを行った後、実施結果レポートを提出します。一定の基準を満たすことで、健康企業宣言東京推進協議会より「金の認定」が得られます。

このように、自社の現状を考慮した上で段階的に健康経営の活動に取り組み、認定を受けられる仕組みになっています。(※3)

 

「金の認定」申し込み→6か月以上実施、実施結果レポートを提出→「金の認定」

 

健康優良企業認定でインセンティブも!

「健康宣言」を行い、「健康優良企業」となると、健康経営をさらに促進するためのうれしいインセンティブを得られます。2つの具体例を紹介します。

1つ目は、「みずほ健康アシスト」です。

この制度では、健康宣言の後「宣言の証」を交付されている企業に対して、東京都中小企業制度融資「政策特別融資」による支援が受けられます。健康経営に対する課題抽出から解決までのサポート、さらには資金調達のニーズを支援することを目的とした制度です。

2つ目は、東京信用保険協会が実施する「健康企業応援・ダイバーシティ推進保証制度」です。

「宣言の証」を交付されている企業を対象とし、運転資金または設備資金としての融資に信用保証料率の優遇が受けられるものです。

健康企業宣言は、企業の生産性向上やイメージアップにつながるだけでなく、いくつかの優遇制度を受けるための条件にもなっているのです。(※4)

取り組みを達成できない場合はどうなる

せっかく健康企業宣言をしたものの、取り組みを達成できなかった場合はどうなるのでしょうか。

取り組みが未達だった場合でも、「健康企業宣言結果レポート」を提出することにより、取り組み期間を更新することができます。更新された期間内で、継続してチャレンジすることが可能になるのです。

登録の辞退・認定の辞退も簡単

一方、なんらかの理由で登録や認定の継続が難しくなる事態が発生するかもしれません。その場合は、所定の「辞退届」を保険者に提出することで、登録や認定を辞退することができます。辞退になってしまったとしても、ペナルティは一切設けられていません。

取り組み事例や参加企業一覧をチェック

健康企業宣言 健康企業

最後に、実際に健康経営に取り組んでいる企業の事例や、健康企業宣言の参加一覧をチェックしてみましょう。

取り組み事例に関しては、全国健康保険協会東京支部や東京商工会議所のウェブサイト、健康保険連合組合連合会東京連合会のリーフレットなどで確認できます。

健康企業宣言®認定取得事業所レポート/協会けんぽ健康サポート」
健康経営実践事例/東京商工会議所」
「健康企業宣言」で職場の健康づくりを!(PDF)/健康保険組合連合会東京連合会」

健康企業宣言の参加一覧は、全国健康保険協会のホームページにて閲覧可能です。

健康企業宣言に取り組んでいます!/全国健康保険協会」

さいごに

健康経営の重要性は把握していても、実際にどのような取り組みを、どんな手順で実施すべきか頭を悩ませている企業も多いかもしれません。「健康企業宣言」をし、「銀の認定」「金の認定」を得ることをひとつのロードマップとするのは、自社の健康経営推進に向けての有効な手段と言えるでしょう。

東京商工会議所が主催する、無料の健康経営専門家派遣サービスなどもありますので、ぜひ有効活用しながら、健康経営の実現に取り組んでみてはいかがでしょうか。(※5)

【参考資料】

※1 「健康経営優良法人認定制度/経済産業省」

※2 「健康経営の推進について(PDF)/経済産業省ヘルスケア産業課」

※3 「健康企業宣言「銀の認定」・「金の認定」を目指しましょう/全国健康保険協会」

※4 「「健康企業宣言」募集中!/全国健康保険協会」

※5 「健康経営 専門家派遣(東京都職域健康促進サポート)/東京商工会議所」

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