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【税理士監修】福利厚生費の勘定科目完全ガイド!迷いやすい支出をわかりやすく解説

【税理士監修】福利厚生費の勘定科目完全ガイド!迷いやすい支出をわかりやすく解説

2025.12.22

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
福利厚生費の勘定科目について、判断に迷うケースは少なくありません。本記事では、福利厚生費の勘定科目を「法定福利費」と「法定外福利費」の二つの軸で整理し、迷いやすい支出の判断基準を具体例とともに解説します。給与認定を避けるための3つの条件や、個人事業主の特別ルールなど、企業が抑えておきたいポイントを押さえた実務ガイドです。

福利厚生費の勘定科目|基本ルールと判断のポイント

福利厚生費の勘定科目判断は、「法定福利費」と「法定外福利費」の区別から始まります。まずは、用語の整理から判断の軸、非課税になる条件まで解説します。

「福利厚生費」とは?用語の整理と勘定科目の判断

「福利厚生費」という言葉には、「福利厚生にかかる費用全般」を指す総称としての意味と、会計上の勘定科目としての意味があります。

総称としての福利厚生費は、法律で義務づけられた「法定福利費」と、企業が任意で設ける「法定外福利費」に分類されます。それぞれの勘定科目は以下の通りです。

  • 法定福利費 → 勘定科目「法定福利費」
  • 法定外福利費 → 勘定科目「福利厚生費」

つまり、社会保険料等の法定福利費は「法定福利費」として、社宅や食事補助など企業が任意で設ける制度は「福利厚生費」として処理します。この二軸で整理すれば、勘定科目の判断がシンプルになります。

「法定福利費」と「法定外福利費」の違い

「法定福利費」とは、法律で義務づけられた以下の6つの費用を指します。

  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 労災保険料
  • 介護保険料(40歳以上が対象)
  • 子ども・子育て拠出金(全額事業主負担)

一方、「法定外福利費」は企業が独自に導入する制度で、社宅・食事補助・慶弔見舞金・社員旅行・法定外の健康診断・資格取得支援などが該当します。

勘定科目の処理では、法定福利費は「法定福利費」、法定外福利費は「福利厚生費」です。経団連の調査によると、2019年度の法定外福利費は従業員1人あたり月平均24,125円となっています。

参考:一般社団法人 日本経済団体連合会|2019 年度福利厚生費調査結果の概要

 

 

項目 法定福利費 法定外福利費
法的義務 あり なし
主な内容 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険、介護保険、子ども・子育て拠出金 社宅、食事補助、慶弔金、社員旅行等
勘定科目 法定福利費 福利厚生費
企業の裁量 なし(法定) あり(任意)

福利厚生費として非課税になる3つの条件

法定外福利費を「福利厚生費」として経費計上し、非課税扱いにするには、国税庁が定める3つの条件を満たす必要があります。

  • すべての従業員が利用できること
  • 社会通念上、妥当な金額であること
  • 現物支給であること(換金性がないこと)

これらの条件を満たさない場合、福利厚生費ではなく「給与」として扱われ、所得税や社会保険料の課税対象となります。例えば、役員のみを対象とした人間ドック、金券の配布、特定部署だけの飲み会などは、福利厚生費として認めらず、給与とされてしまいます。

参考:国税庁|No.2508 給与所得となるもの

社宅・食事代・寸志は福利厚生費?|ケース別の勘定科目

同じ「社宅」や「食事代」でも、条件によって福利厚生費になる場合と給与扱いになる場合があります。ここでは、社宅・通勤手当・寸志・お土産・慶弔金・食事代について、勘定科目の判断基準と非課税となる条件を整理します。

社宅・通勤手当

【社宅】
企業が賃貸契約を結び、従業員に社宅として貸し出す場合、従業員から賃貸料相当額の50%以上を徴収していれば、その差額である企業負担分を福利厚生費として計上できます。一方、従業員負担が50%未満の場合は、差額が給与として認定されるリスクがあります。

また、現金で家賃補助を支給する場合は、福利厚生費ではなく「給与」として扱われ、所得税や社会保険料の課税対象となるため注意が必要です。

【通勤手当】
通勤手当の勘定科目は、「旅費交通費」または「福利厚生費」のいずれかで処理されます(企業の会計方針によって異なります)。

非課税枠は、公共交通機関を利用する場合は月15万円まで、自動車や自転車で通勤する場合は距離に応じて異なります。ただし、もっとも経済的かつ合理的な経路であることが条件です。

参考:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
参考:国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
参考:国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

寸志・お土産・慶弔金

これらの支出は、「従業員向けか、社外向けか」が勘定科目判断の軸となります。

【寸志】
従業員向けであれば福利厚生費として処理できますが、現金で支給する場合は給与として課税される可能性があります。賞与の性質を持つ場合は「給与」、取引先など社外向けであれば「交際費」として処理します。

【お土産】
従業員へのお土産は福利厚生費、取引先へのお土産は交際費です。なお、お土産の送料も同じ区分で処理しますが、従業員向けの送料を福利厚生費とするケースは実務上限定的です。

【慶弔金】
社内規程に基づいて従業員向けに支給する慶弔金(結婚祝い・出産祝い・香典など)は、福利厚生費として計上でき、非課税扱いとなります。一方、取引先への慶弔金は交際費として処理します。

判断に迷った場合は、「その支出が従業員のためのものか、社外の人のためのものか」を基準に考えるとシンプルです。

参考:国税庁|No.5261 交際費等と福利厚生費との区分

食事代・夜食

食事代は、福利厚生費の中でも特に判断が求められる費目です。

【残業時の夜食・弁当】
残業や休日出勤の際に支給する夜食や弁当は、全額を福利厚生費として計上できます。

【通常の昼食補助】
通常の昼食補助を福利厚生費として非課税扱いにするには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

・従業員が食事代の50%以上を負担していること
・企業負担額が月3,500円(税抜)以内であること

この条件を満たさない場合、給与として認定され課税対象となります。

【深夜勤務の現金支給】
深夜勤務などで食事の提供が難しい場合、1食あたり300円(税抜)までの現金支給であれば非課税として認められます。

【まかない(飲食店)】 
飲食店の厨房で作ったまかないは、通常の昼食補助とは異なり、材料費全額を福利厚生費として計上できます。 非課税の条件は、従業員が材料費の50%以上を負担していることです。 なお、月3,500円の企業負担上限はまかないには適用されません。

食事補助は国税庁が条件を明確に定めているため、制度設計がしやすい福利厚生の代表例です。適切に運用すれば、従業員満足度の向上と税務リスクの回避を両立できます。

参考:国税庁|No.2594 食事を支給したとき

個人事業主は福利厚生費を計上できる?

個人事業主が福利厚生費を計上できるかどうかは、従業員の雇用状況によって異なります。

【計上できないケース】
事業主本人のみ、または家族のみを雇用している場合は、福利厚生費を計上できません。これは、福利厚生費が「従業員」向けの費用であるのに対し、個人事業主本人や青色事業専従者(家族従業員)は従業員として扱われないためです。

【計上できるケース】
家族以外の従業員(パートやアルバイトを含む)を雇用している場合は、その従業員向けの支出を福利厚生費として計上できます。認められる費用には、従業員の健康診断・慶弔金・残業時の食事・社員旅行(従業員分のみ)などがあります。

【注意点】
社員旅行など、事業主や家族も参加するイベントの場合は按分が必要です。従業員分は福利厚生費として計上できますが、従業員ではない事業主の家族が同伴する場合その家族分は「事業主貸」として処理し、経費にはできません。また、全従業員を対象とすること、社会通念上妥当な金額であることという条件は、法人と同様に適用されます。

関連記事:【社労士監修】個人事業主が福利厚生費を活用できる条件とは?知っておきたいポイント

福利厚生費の勘定科目を正しく判断し制度を活用しよう

福利厚生費の勘定科目判断は、「法定福利費」と「法定外福利費」の区別が基本です。法定外福利費を福利厚生費として計上するには、全従業員対象・妥当な金額・現物支給という3条件を満たす必要があります。

なお、非課税枠を活用できる福利厚生は人手不足対策としても有効です。自社の求める条件にフィットする福利厚生を活用し、経理担当者の負担軽減と従業員満足度向上を両立する福利厚生制度を整えましょう。

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関連記事:【2025年最新】チケットレストランとは?採用・定着・健康経営を支える「食の福利厚生」

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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和

フリーター(塾/家庭教師、コンビニ店員、ビル掃除、 宅配便配送員、自販機ベンディング作業、駅構内配送など)、コンサルティング会社・通販会社にて勤務を経て、税理士を目指し、今に至る。1級FP や日商簿記1級、宅建資格も持ち、幅広い視野と知見でサポートしています。
舘野義和税理士事務所
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