監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
テレワークを導入するときには、福利厚生の見直しも必要です。このときポイントになるのは、費用を福利厚生費として扱えるかどうかです。テレワーク向きの福利厚生を福利厚生費として扱える要件をチェックしましょう。
あわせて、テレワーク向きの福利厚生として、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入した事例についても紹介します。
テレワークの福利厚生費に関するQ&A
まずはQ&Aで、テレワークの福利厚生費に関する概要を押さえていきましょう。
関連記事:【2025年最新】福利厚生費の課税・非課税を完全解説|早見表+実務チェックリスト
テレワークにおすすめの福利厚生は?
テレワークを導入するときには、在宅勤務の環境づくりをサポートする制度や、在宅勤務でも使いやすい制度がおすすめです。例えば在宅勤務手当、仕事に必要な機器やオフィス家具の購入費用補助・貸与、オンラインフィットネス、食事補助などがあります。
関連記事:【社労士監修】リモートワークにおすすめの福利厚生|働き方に合わせた制度の整備を
在宅勤務手当はいくらまでが非課税?
在宅勤務手当は実費相当額であれば所得税の課税対象外です。ただし毎月定額を支給する在宅勤務手当は所得税の課税対象となります。
関連記事:【税理士監修】所得税が非課税になる手当を一覧で確認!非課税となる要件も解説
参考:国税庁|在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
通信費や光熱費の補助は福利厚生にできる?
通信費や光熱費の補助は福利厚生にできます。業務に使用した部分を合理的に計算した金額を支給する場合には、所得税の課税対象外です。ただし毎月定額を通信費・光熱費相当額として支給するなら、所得税の課税対象となります。
参考:国税庁|在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
テレワークの福利厚生にかかる費用は福利厚生費にできる?
テレワーク向けの福利厚生を導入したとき、その費用を福利厚生として計上できるのは「従業員が平等に利用できる機会があること」「支給する金額が妥当なものであること」「現物以外で支給されること」という要件を満たしている場合です。
他社が導入しているテレワークの福利厚生は?
テレワークの福利厚生として、ストレスなく勤務できる通信環境や、リモート勤務手当、食事補助などを支給している企業があります。
テレワーク導入時には福利厚生の整備も必要
テレワークを導入する、もしくは導入している場合には、テレワークで働きやすくなる制度や、出社しなくても利用できる制度の導入を検討するとよいでしょう。従業員の働きやすさはもちろん、企業のセキュリティにも影響を及ぼす可能性があります。
ここではテレワーク向きの福利厚生が必要な理由を見ていきましょう。
在宅勤務の環境づくりにコストがかかるため
従業員が自宅でオフィスと同じように仕事に取り組めるようにするには、パソコンや周辺機器、安定した速度の出る通信環境、作業しやすい机や椅子などが必要です。
場合によっては、自宅に仕事のために使えるスペースがないため、引っ越しをしたり、コワーキングスペースを利用したりする必要がある従業員もいるかもしれません。
これらの費用を全て従業員の負担とすると、家計を圧迫して生活に支障が出る可能性があるため、企業が制度としてサポートすることが重要です。
環境構築を従業員任せにするとセキュリティ面のリスクがあるため
仕事に使うパソコンやその他の機器を従業員が自分で用意する場合、セキュリティの設定が甘くなる可能性があります。不正アクセスを受けると、重要な情報が社外へ漏えいしかねません。セキュリティ面のリスク管理のためにも、環境構築は企業が主導するとよいでしょう。
従業員のモチベーション低下につながる恐れがあるため
テレワークの環境整備にかかるコストや、毎月の光熱費・通信費の増加は、従業員の負担感につながります。これまでと同様に仕事に取り組んでいるにもかかわらず、負担が増えることで可処分所得が減れば、モチベーションの低下につながりかねません。
適切に福利厚生を整備することで、従業員のモチベーション低下の抑制にもつながります。
テレワークにおすすめの福利厚生
自社でテレワークを行うときに、おすすめの福利厚生について見ていきましょう。福利厚生とした場合に、所得税の課税対象となるかどうかも、国税庁の「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」をもとに解説します。
またこれらの福利厚生にかかる費用が、福利厚生費として認められるには、以下の要件を満たしていなければいけません。
- 従業員が平等に利用できる機会があること
- 支給する金額が妥当なものであること
- 現物以外で支給されること
おすすめの福利厚生を導入するときに、費用を福利厚生費として計上するには、この要件を満たしていることにも注意しましょう。
参考:国税庁|在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
在宅勤務手当
オフィスに出勤して働くために通勤費が必要になるように、テレワークで働くためには通信環境や仕事場所を用意しなければいけません。この出費をサポートするために支給するのが在宅勤務手当です。
月5,000円というように、決まった金額の手当を支給することもあれば、環境構築や業務の遂行にかかった費用を計算して実費を支給することもあります。
どちらの支給の仕方を選んでも構いませんが、毎月定額の手当は給与として扱われるため従業員の所得税額の負担が増える点に注意が必要です。従業員の税負担を増やすことなく手当を支給するには、実費で支給しましょう。
機器やオフィス家具の購入費用補助
今まで出社して働いていた従業員の中には、リモートワークに必要なパソコンや仕事に集中できるデスク・椅子などが自宅にない人もいます。このような従業員が、業務に必要な機器やオフィス家具をそろえるには、大きな費用がかかります。
この費用を補助する制度があれば、従業員は業務に取り組む環境を整えやすくなるでしょう。実費の補助であれば、従業員が負担する所得税額を増やすことなく支給できます。
機器やオフィス家具の貸与
業務に必要な機器やオフィス家具は、企業が購入して従業員に貸し出してもよいでしょう。貸与であれば従業員が負担する所得税に影響することなく、環境構築ができます。
通信費や光熱費の費用補助
自宅で業務を行う場合、従業員は新たにインターネット回線を引かなければいけないかもしれません。パソコンを使って仕事をするため、これまでより電気代も高くなることが予想されます。
このような費用負担に対して、補助を行うのも有効です。従業員の所得税の負担を増やさないようにするには、合理的に計算した業務のために使用した部分の実費を支給します。
国税庁の「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」に記載されている、通信費や電気代の算出方法を見ていきましょう。
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費用 |
業務のために使用した料金を求める計算式 |
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通信費 |
従業員が負担した1カ月の基本使用料や通信料など×(1カ月の在宅勤務日数÷その月の日数)×1/2 |
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電気料金 |
従業員が負担した1カ月の基本使用料や電気使用料など×(業務に使用した部屋の床面積÷自宅の床面積)×1/2 |
毎月定額を通信費や光熱費の補助として支給する場合には、給与と同じように所得税の課税対象となります。
運動不足を解消するオンラインフィットネス
テレワークで働く従業員の運動不足を解消するには、オンラインフィットネスを福利厚生の一環として取り入れるのが有効です。自宅で運動に取り組めるため、シューズやウエアなどを持っていない従業員でもすぐに始められます。
従業員の健康の維持増進に、経営面から取り組む健康経営にも役立つ福利厚生です。従業員全員が利用できる制度として導入すれば、従業員の負担する所得税が増えることはありません。
関連記事:【2025年版】健康経営のメリット・デメリット|健康経営優良法人認定の手順もチェック
食事補助
日々の食事代をサポートする食事補助も、テレワークに向いている福利厚生です。同じ食事に関する福利厚生でも、社員食堂では出社している従業員しか利用できません。一方、食事補助であれば、働く場所にかかわらず利用できます。
食事代の補助があれば、気分転換を兼ねて食事に出かけやすくもなるため、テレワーク中の食事を充実させやすくなるでしょう。従業員がバランスの取れた食事をとりやすくなることで、健康経営にもつながります。
従業員の負担する所得税を増やすことなく食事補助を支給するには、以下の要件を満たしていなければいけません。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
要件を満たして食事補助を支給するなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。サービスの内容をはじめとする詳細については、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。
関連記事:リモートワークにおけるランチの問題点と解決策とは?
テレワークの福利厚生として「チケットレストラン」を導入した事例
DXコンサルを手掛ける株式会社鈴木商店では、テレワークで働く仕組みが整っています。そこで出社せずに働くケースも含めて、従業員が平等に利用できる福利厚生を探していました。
健康経営優良法人の認定項目を満たせるサービスであることや、運営上の手間を最小限に抑えられるメリットもあることから、「チケットレストラン」を導入しています。
この結果、2023年より2024年、2025年と3年連続健康経営優良法人に認定され、健康習慣アンケートでは健康改善の結果が見られました。
詳細な導入事例はこちら:株式会社鈴木商店
他社が導入しているテレワーク向け福利厚生の事例
テレワークを実施している企業では、どのような福利厚生を導入しているのでしょうか?具体的な事例を紹介します。
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企業 |
福利厚生の事例 |
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サイバーエージェント |
VPN回線・ビデオ会議システム・業務用フォルダのクラウド化などによる環境整備 |
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サイボウズ |
月5,000円のリモートワーク環境手当 ※所定労働時間が月80時間以下の場合は月2,500円 |
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note |
年間最大12万円のリモート勤務手当 |
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kubell(旧チャットワーク) |
自宅に業務に必要な環境構築をする際、付与されるポイントを利用して備品をレンタルできるリモートワーク環境貸与制度 |
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ドワンゴ |
月2万円のテレワーク手当 |
テレワークの実施時は福利厚生の見直しも
テレワークを導入するときには、働き方の変化に合わせて福利厚生の見直しも行いましょう。在宅勤務手当や環境整備にかかる費用の補助などを実施すれば、従業員の働きやすさを確保できます。
また新たな福利厚生を導入するときには、「従業員が平等に利用できる機会があること」「支給する金額が妥当なものであること」「現物以外で支給されること」を満たしていると、福利厚生費として計上可能です。
テレワークで働く従業員でも利用しやすい福利厚生の導入を検討しているなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか。
近隣にあるコンビニやファミレスなどの加盟店で食事を購入できるため、働く場所によらず利用できます。
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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和
宅配便配送員、自販機ベンディング作業、駅構内配送など)、コンサルティング会社・通販会社にて勤務を経て、税理士を目指し、今に至る。
1級FP や日商簿記1級、宅建資格も持ち、幅広い視野と知見でサポートしています。
