監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
非課税手当とは、所得税や住民税が課税されない手当のことです。企業が支給する手当には、通勤手当・出張手当・食事手当など「非課税扱いとなるもの」と「課税されるもの」があります。非課税手当を正しく理解し活用できれば、従業員の手取り額を適切に管理することに結びつきます。
本記事では、非課税手当の種類・上限額・適用条件を解説します。2026年度税制改正で食事手当の非課税上限が7,500円に拡大となった最新情報も含め、食事補助の非課税枠が使える「チケットレストラン」の魅力もチェックしましょう。
【速報】食事手当の非課税上限が7,500円に引き上げ
2026年4月1日、国税庁の通達改正により、食事補助の非課税上限が月額3,500円(税別)から7,500円(税別)へ正式に引き上げられました。1984年以来42年ぶりの見直しで、賃上げに代わる従業員の手取り改善策として改めて注目されています。
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参考:令和8年度税制改正の大綱(食事補助に関する明記はP.30-31)
手当とは基本給の他に支払われる賃金
手当とは基本給に上乗せされる賃金のことです。基本給は仕事内容・能力・経験・勤続年数などをもとに決まる固定賃金で、従業員全員に支給します。
一方、手当は条件に当てはまる従業員のみに支給される給与です。たとえば時間外手当は1日8時間・週40時間といった法定労働時間を超えて働いた場合に支給されます。条件に当てはまらない法定労働時間内で勤務した従業員には支給されません。
関連記事:【社労士監修】手当の種類一覧を紹介!ユニークな手当や非課税の手当もチェック
手当は2種類に分けられる
条件を満たす従業員の基本給に上乗せされる手当は、労働基準法第37条1項で定められているものと、企業が個別に定めているものがあります。労働基準法で定められているのは「時間外手当」「休日手当」「深夜手当」です。手当は以下の要件を満たすときに規定の割合で支給するよう定められています。
|
手当 |
支給要件 |
支給割合 |
|
時間外手当 |
法定労働時間を超えて勤務する場合 |
25%以上 ※月60時間を超える場合は50% |
|
休日手当 |
法定休日に勤務する場合 |
35%以上 |
|
深夜手当 |
原則22:00~翌5:00の深夜に勤務する場合 |
25%以上 |
たとえば所定労働時間が9:00~18:00の職場で勤務している従業員が20:00まで残業した場合、18:00~20:00の給与は25%以上の手当が上乗せされるルールです。
企業が個別に定める手当は複数あります。「役職手当」や「住宅手当」「地域手当」など比較的多くの企業が導入している手当もあれば、「花粉症手当」「ネイル手当」などの珍しい手当を支給している企業もあります。
参考: e-Gov法令検索|労働基準法
参考:厚生労働省・中小企業庁|月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
関連記事:【社労士監修】【給与における手当一覧】手当とは?課税・非課税の違いは?
手当の課税・非課税に注意が必要な理由
従業員に支給する手当は給与の一部にあたるため、原則として所得税が課されます。ただし中には要件を満たしている場合に限り、非課税となる手当もあります。
企業が手当の課税・非課税に注意しなければならないのは、所得税の源泉徴収額に関わるためです。源泉徴収では、従業員の給与から源泉徴収税額表をもとに定められている一定額をあらかじめ差し引き、従業員に代わって企業が所得税を納税します。
源泉徴収税額表で従業員の給与から差し引く源泉徴収額を求めるときには、給与等の金額から厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料などを控除した金額を用いるよう定められています。
このとき要件を満たして非課税となる手当は、給与等に含めません。手当の課税・非課税を誤ると、正しい源泉徴収税額を算出できず、従業員の所得税を多く納め過ぎてしまうことがあります。
源泉徴収を正しく行うには、手当の課税・非課税の正確な把握が欠かせません。
関連記事:【税理士監修】手当と税金の基礎知識|課税・非課税の違いをわかりやすく解説!
所得税が非課税となる手当一覧
企業が従業員に支給する手当の中には、要件を満たすと所得税が非課税となるものがあります。
通勤手当
勤務先へ出社して仕事をしなければならない場合、交通費は必ずかかります。この費用の負担を軽くする、もしくはなくすよう、企業が実施するサポートが通勤手当です。支給要件は以下のように企業が独自に定めます。
- 全額支給する
- 月3万円を上限に支給する
- 公共交通機関を使い通勤する場合のみ支給する
- マイカー通勤は距離に応じたガソリン代のみ支給する
- マイカー通勤は距離に応じたガソリン代を支給し敷地内の駐車場の無償利用を許可する
たとえば都心部で駅から近いオフィスであれば、公共交通機関を使用した場合のみ支給するルールでも問題ありません。一方、勤務先が駅から離れている場合、マイカーで通勤する従業員が多くいると考えられるため、ガソリン代や駐車場の料金にあてる通勤手当の支給を検討する必要があります。
関連記事:【税理士監修】通勤手当・交通費の非課税ルール完全ガイド|2025年改正対応版
出張手当
出張手当とは出張しなければかからなかった費用の補填や、身体的・精神的な疲れに対する慰労を目的として支給される手当です。
企業によって出張と外出の基準は異なります。片道の移動距離が100~200kmを超えると出張とするケースが多いようです。
関連記事:【社労士監修】長期出張時の食事補助|経費削減と従業員ケアの両立策
宿日直手当
宿日直手当は従業員が宿直や日直をしたときに支給する手当です。宿日直は通常の業務とは異なります。特定の場所で緊急電話を受けたり、来訪者の対応をしたり、盗難を防いだりする業務です。
夜間に宿泊しながらこれらの業務に携わることを宿直、日中にこれらの業務に携わることを日直といいます。
従業員を宿日直に従事させるには、所轄労働基準監督署長の許可を得なければいけません。許可を得る条件として、宿日直手当を支給する必要があります。
在宅勤務手当
在宅勤務で働く従業員に支給する手当が在宅勤務手当です。自宅で業務に従事するには、電気代・インターネット回線代・端末代などがかかります。仕事に使える机や椅子がなければ、それらも用意しなければいけません。
業務の遂行に必要な出費を賄う目的で支給する手当です。実費相当額を現金で支給することもあれば、パソコン・机・椅子など業務に必要な物品を貸与して提供することもあります。
関連記事:【税理士監修】テレワーク向き福利厚生の費用は福利厚生費にできる?制度ごとに確認
資格取得手当
資格取得手当とは、従業員が業務に必要な資格を取得するとき、その取得にかかった費用を企業が支給することです。従業員の能力開発の実施や、業務に従事するために必要な資格を取得することは、事業の推進や業績アップに関わります。
たとえば電気工事を担っている企業であれば、第二種電気工事士や第一種電気工事士がいなければ仕事を請け負えません。資格を持っている人材の採用に加え、採用した人材の資格取得を推進することも必要です。資格取得手当を支給することで、従業員の負担を減らしつつ有資格者を増やせる可能性があります。
結婚・出産祝い金
従業員の結婚や出産を祝って支給する祝い金です。福利厚生の一環として広く活用されています。
見舞金・弔慰金
従業員の病気やケガ、家族の死亡などに際して支給する金銭です。大きな人生のイベントにおいて、従業員の生活を直接支えます。
社宅・社員寮
企業が従業員に住居(社宅・社員寮等)を提供する福利厚生です。都市部での採用力強化や、転勤者の生活支援として導入できます。
食事手当
従業員が勤務中に食事をするとき、食事にかかる費用を企業がサポートするのが食事手当です。デリバリーのお弁当で現物支給を行うほか、現金や金券で支給するケースもあります。
食費にかかる費用の一部を企業が負担することで、従業員の食事を充実させられる手当です。従業員の健康管理を経営面からとらえ戦略的に取り組む健康経営につながる手当でもあります。
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
所得税が非課税となる要件
各種手当が所得税非課税となるには、要件を満たしている必要があります。手当によって要件が異なるため、正しく支給するには、それぞれの要件を確認しておかなければいけません。
【最新】通勤手当は一定額以下が非課税
通勤手当にかかる所得税が非課税となるには、支給される金額が一定額以下である必要があります。バスや電車などの公共交通機関のみを使って通勤している場合、経済的で合理的な経路で通勤するときの通勤定期券の金額は非課税です。ただし最高限度は1か月につき15万円と定められています。
マイカーや自転車などで通勤している場合には、以下の通り距離によって1か月あたりの限度額が定められています。
2025年11月19日、所得税法の改正により非課税限度額が見直されました。変更前後を比較したのが以下です。
| 片道の通勤距離 | 1か月あたりの非課税限度額(令和7年4月1日以後適用) | 1か月あたりの非課税限度額(改正前) |
| 2km未満 | 全額課税 | 全額課税 |
| 2km以上10km未満 | 4,200円 | 4,200円 |
| 10km以上15km未満 | 7,300円 | 7,100円 |
| 15km以上25km未満 | 1万3,500円 | 1万2,900円 |
| 25km以上35km未満 | 1万9,700円 | 1万8,700円 |
| 35km以上45km未満 | 2万5,900円 | 2万4,400円 |
| 45km以上55km未満 | 3万2,300円 | 2万8,000円 |
| 55km以上 | 3万8,700円 | 3万1,600円 |
また公共交通機関とマイカーや自転車などを併用している場合には、公共交通機関の通勤定期券と、マイカーや自転車などの1か月あたりの限度額が非課税限度額として定められています。この場合も公共交通機関のみを使用するときと同様で、最高限度は15万円です。
1か月の通勤手当が限度額を超えた部分は、所得税の課税対象となります。
関連記事:【税理士監修】通勤手当・交通費の非課税ルール完全ガイド|2025年改正対応版
出張手当は必要と認められるものが非課税
出張手当は本来の業務に当然必要と認められるものであれば所得税がかかりません。たとえば出張の行き先や業務内容によって日帰りできないと考えられるときには、往復の交通費に加えて宿泊費用を支給しても、所得税の課税対象外です。
一方、日帰りが可能な行き先や業務であるにもかかわらず宿泊すると、往復の交通費は非課税の出張手当となりますが、宿泊費用は課税対象の給与として扱われます。
ただし出張手当が必要と認められるものかどうかを1件ずつ確認するのは手間がかかります。チェックの手間を抑えるには「旅費規程」を設けるとよいでしょう。規程に則って日当や宿泊費を支給していれば、支給額と実際の費用に差額が合っても税務上問題ないと判断されます。
宿日直手当は一定額以下が非課税
宿日直手当は1回あたり4,000円までは所得税が非課税です。1か月に4回の宿直もしくは日直がある場合は1万6,000円までを非課税で支給できます。この金額を超えて支給する場合は課税対象です。
ただし宿直や日直を担当する従業員に食事を支給している場合には「4,000円−食事代」が非課税の上限となります。
在宅勤務手当は実費相当額が非課税
在宅勤務手当は自宅で業務に従事するために必要な実費相当額であれば、所得税の対象となりません。
たとえば在宅勤務に必要なパソコンや机、その他の事務用品などを従業員が立替払いして購入したときや、企業が仮払いしたあとに従業員が購入した場合、支給する手当は非課税です。
その他に通信費や電気代のうち、業務に関する部分を合理的に計算し、手当として支給する場合も所得税はかかりません。
ただし月5,000円というように、金額を決めて毎月支給する在宅勤務手当は課税対象となります。混同しないよう注意が必要です。
参考:国税庁|在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)
資格取得手当は業務に関係する資格取得であれば非課税
従業員が携わっている業務に関わる資格を取得するとき、研修会・講習会の参加費用や学校の聴講費用などを手当として従業員へ支給しても、給与として課税されることはありません。
事業の運営や拡大に必要な費用と考えられるためです。ただし技術者が簿記を取得するというように、取得する資格が業務に直接関係しない場合には、所得税の課税対象となります。
参考:国税庁|No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
結婚・出産祝い金は社会通念上相当な金額であれば非課税
一般的な相場の範囲内であれば非課税です。金額の目安は明確に定められていませんが、結婚祝い金であれば数万円程度が目安とされています。特定の従業員のみを対象とする場合は課税対象となります。
見舞金・弔慰金は状況に応じた相当額が非課税
病気・ケガ・死亡など状況に応じた相当額が非課税です。業務上の災害による見舞金も非課税対象です。金額が常識的な範囲を超える場合は、超過分ではなく全額が給与として課税対象になります。
社宅・社員寮は賃料相当額の負担があれば非課税
国税庁が定める計算式にもとづく賃料相当額(※)を従業員が負担していれば非課税です。無償提供や著しく低い賃料での提供は、賃料相当額との差額が給与として課税されます。
※使用人から1か月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額の50%以上)を受け取っていること
参考:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
【最新】食事手当は2つの要件を満たすと非課税
従業員に食事手当を支給するとき所得税が非課税になるのは、以下の2つの要件を満たしている場合です。
- 従業員が食事代の半分以上を負担していること
- 「食事代-従業員の負担している金額」が月7,500円以下(※)であること
要件を満たしていない場合には、支給した食事手当から従業員の負担した金額を差し引いた残額に所得税がかかります。
※2026年4月1日以降に支給する食事に適用。改正前は3,500円。
参考
:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
:快挙!月額7,500円と倍増へ!政府、食事補助非課税枠引き上げを閣議決定!
関連記事:【税理士監修】食事補助を非課税にする条件は?給与にしないための非課税限度額
食事手当を導入するなら非課税活用の「チケットレストラン」
2026年4月1日より、食事手当の非課税上限が月額7,500円に引き上げられました。この制度改正を有効活用しつつ、導入・運用の手間を抑えられるのが日本で約40年の実績を有するエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。
全従業員が公平に使える
福利厚生の一環として食事手当を導入しても、運用の仕方によっては利用できる従業員に偏りが出る場合があります。たとえばお弁当を支給する場合、昼食時にオフィスに出社している従業員以外は利用できません。
一方エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、全国にある25万店舗以上で利用できる食事補助の福利厚生サービスです。在宅勤務で働く人や、昼食時には営業回りといった仕事で外出している人、毎日異なる現場で働く人なども利用しやすい仕組みです。
実際に導入した企業では、従業員利用率98%と高水準を維持しています。
従業員に利益を還元できる
従業員に何らかの方法で利益を還元したいと考えている場合にも、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」が向いています。食事代は必ずかかる費用です。「チケットレストラン」でその費用の一部をサポートすれば、従業員の負担を減らせます。
物価高が続く中、インフレ手当や賃上げの代わりに導入している企業も複数あるサービスです。
導入や運用が手間いらず
食事手当の導入や運用にかかる手間が最小限に抑えられることも、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のメリットです。
導入するときには、専用ソフトウェアのインストールといった作業は一切ありません。また、その後必要なのは月1回のチャージ作業のみです。運用が簡単で、新たに手当を設けるときの負担を抑えられます。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
かかった費用を福利厚生費に計上できる
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」にかかった費用は福利厚生費として扱えます。福利厚生費は法人税額の算出に用いる課税所得を計算するときの「益金-損金」の損金に算入可能です。
益金が同額であれば、損金が多いほど課税所得は少なくなり、税額も少なくなります。「チケットレストラン」を導入して費用が損金になれば、その分税額が少なくなるかもしれません。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
手当の課税・非課税は正しい把握が必要
企業が従業員へ支給する手当は給与の一部のため、原則として課税されます。ただし要件を満たすと非課税になる手当がある点に注意が必要です。
手当の課税・非課税を誤ると、従業員に代わって企業が給与から税金を徴収して納める源泉徴収を正しく行えません。たとえば非課税の手当を課税扱いで計算すれば、所得税額が多くなり過ぎてしまいます。
手当の課税・非課税を正しく把握することにより、正確な源泉徴収が可能です。ただし自社で独自に手当を支給すると、正しく要件を満たしているか確認が難しい場合もあります。
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」を導入すると、要件を満たすための金額チェックや領収書の管理が不要です。不適切な利用は、必要に応じてAIがレシートを分析する「信憑スキャン」でチェックできます。賃上げに相当する取り組みとして、運用負担を抑えて非課税の手当を充実させようと考えているなら、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和
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