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【社労士監修】法定福利費率は15パーセントが目安。計算方法や建設業での取り扱いを解説

【社労士監修】法定福利費率は15パーセントが目安。計算方法や建設業での取り扱いを解説

2025.11.11

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

法定福利費率は15%が目安といわれています。ただし正確な割合は企業によって異なるため、最新の料率で計算しなければ分かりません。まずはQ&A形式で法定福利費の概要を確認した上で、法定福利の種類ごとに計算方法をチェックしましょう。あわせて建設業の見積書における法定福利費の内訳明治についても解説します。

法定福利費についてよくある質問

法定福利費について、よくある質問をQ&A方式で見ていきましょう。

法定福利費とは?

法定福利費とは、企業が従業員を雇用すると、法律に従って負担しなければいけない費用のことです。具体的には「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「労災保険料」「子ども・子育て拠出金」があります。

関連記事:【2025年版】法定福利費とは|計算方法・保険料率・福利厚生費との違いを徹底解説

法定福利費率は15パーセント?

法定福利費率は15%前後が目安です。法定福利費の料率は、年度・業種・地域などによって変わるため、一律ではありません。同じ企業でも負担する金額が昨年と変わることがあるため、正しく把握しましょう。

建設業の法定福利費率は何パーセント?

建設業の法定福利費率は労務費の16%が目安です。建設業では労働環境を改善し人材確保につなげるために、社会保険への未加入対策に取り組んでおり、国土交通省では見積書への法定福利費の明示を推進しています。この見積書に記載する正確な法定福利費率は、労務費をもとに法定福利の種類ごとに料率をかけて算出します。

参考:全国建設労働組合総連合|【改訂版】標準見積書作成パンフレット「標準見積書の作成で正しく計算しっかり請求適正な賃金と法定福利費・工期を確保しよう」を作成しました。|改訂版 標準見積書パンフレット

法定福利費の計算方法

法定福利とは福利厚生の一種で、法律で義務付けられているもののことです。食事補助や通勤手当など、支給が義務付けられていない法定外福利とは異なり、ルールの通りに適用しない場合には法律違反となります。

このような法定福利には、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?人件費に対する法定福利費の割合である法定福利費率は、15%前後が目安とされています。ただし全ての企業で15%というわけではありません。

自社の正確な法定福利費を計算するには、まず「健康保険」「介護保険」「厚生年金」「雇用保険」「労災保険」「子ども・子育て拠出金」の費用を個別に計算しましょう。この費用の合計が法定福利費です。

ここでは、6種類の法定福利費の概要と、料率について解説します。

健康保険料の概要と計算方法

健康保険とは、働く人の生活と健康を支える公的な社会保険制度です。主に、業務外で病気やけがをしたときに、必要な給付を受けられます。

加えて、病気や出産などで仕事を休まざるを得なくなった際には、被保険者やその家族の生活を保障するために、傷病手当金や出産手当金など手当の支給も受けられる制度です。

健康保険料=標準報酬月額×保険料率(全国平均10.0% ※全国健康保険協会の場合)×1/2

標準報酬月額とは、基本給に対象となる各種手当を加えた報酬の月額を、区切りよく区分した金額のことです。

賞与にかかる健康保険料=標準賞与額×保険料率(全国平均10.0%)×1/2

標準賞与額とは、賞与の千円未満を切り捨てた金額のことです。健康保険料は労使折半のため、保険料を2分の1にすると企業の負担額となります。

参考
全国健康保険協会|こんな時に健保
全国健康保険協会|令和7年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます
全国健康保険協会|令和7年度保険料額表(令和7年3月分から)

介護保険料の概要と計算方法

介護保険制度は、高齢や病気により介護が必要になったとき、利用者や家族の負担を軽減し、社会全体で支えるための公的保険です。市区町村等が運営しており、40歳になると被保険者として加入しなければいけません。

介護保険料=標準報酬月額×保険料率(1.59% ※全国健康保険協会の場合)×1/2

賞与にかかる介護保険料=標準賞与額×保険料率(1.59% ※全国健康保険協会の場合)×1/2

健康保険と同様で、企業が負担するのは計算した保険料の半分です。

参考
厚生労働省|介護保険事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム|介護保険とは
全国健康保険協|協会けんぽの介護保険料率について

厚生年金保険料の概要と計算方法

厚生年金保険は、企業などに勤務する従業員が加入する公的年金制度です。公的年金制度における「国民年金(基礎年金)」に上乗せされる2階部分にあたります。

加入期間と過去の賃金に応じた年金額が、将来的に老齢年金として支給される他、障害年金や遺族年金も給付される制度です。

厚生年金保険料=標準報酬月額×保険料率(18.3%)×1/2

賞与にかかる厚生年金保険料=標準賞与額×保険料率(18.3%)×1/2

計算した保険料のうち、企業が負担するのは2分の1です。

関連記事:【社労士監修】厚生年金保険料の上限引き上げへ|改定の詳細と企業への影響を解説

参考
厚生労働省 | いっしょに検証! 公的年金 | 日本の公的年金は「2階建て」
日本年金機構|厚生年金保険の保険料

雇用保険料の概要と計算方法

雇用保険は、雇用の安定や就職の促進を目的とする公的保険です。一定の要件を満たして失業したときの失業等給付や、スキルアップのための教育訓練給付、育児休業・介護休業の給付金などを受け取れます。

雇用保険料=賃金総額×雇用保険料率

料率は以下の通りです。業種ごとに事業主負担分・労働者負担分が定められているため、自社の属する業種の料率を用います。

業種

労働者負担分

事業主負担分

一般の事業

0.55%

0.9%

農林水産・清酒製造の事業

0.65%

1.0%

建設の事業

0.65%

1.1%

1円未満の端数が出た場合には、50銭以下は切り捨て、50銭超は切り上げますが、1円未満は全て切り捨てとしても構いません。

関連記事:【社労士監修】雇用保険法の改正でどう変わる?2025年10月施行の内容を中心に確認

参考
厚生労働省|雇用保険制度
厚生労働省|雇用保険料率について|令和7年度の雇用保険料率

労災保険料の概要と計算方法

労災保険は業務上または通勤途中の事故により、従業員が負傷・疾病・障害または死亡した場合に、必要な給付や社会復帰に向けた支援等を行う制度です。

労災保険料=賃金総額×労災保険料率

計算には業種ごとに定められている労災保険料率を使用します。例えば建設事業の舗装工事業であれば0.9%、製造業の食料品製造業であれば0.55%です。保険料を負担するのは企業のみで、労働者の負担分はありません。

関連記事:【社労士解説】傷病休暇と有給付与:休職時に適切な制度運用方法ガイド

参考
厚生労働省|労災補償
厚生労働省|令和7年度の労災保険率について(令和6年度から変更ありません)|労災保険料率表(令和6年度~)

子ども・子育て拠出金の概要と計算方法

子ども・子育て拠出金は、子どもの健やかな成長を支援するための制度です 。徴収された資金は、主に児童手当の支給財源に充てられています 。

その他にも、企業主導型保育事業・放課後児童クラブ・延長保育事業など、仕事と家庭の両立支援や子どものための教育・保育給付といった、子育て支援事業に活用されている拠出金です 。

子ども・子育て拠出金=標準報酬月額×0.36%

賞与にかかる子ども・子育て拠出金=標準賞与額×0.36%

標準報酬月額は厚生年金保険料額表の金額、標準賞与額は1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。拠出金は企業が全額負担します。

参考
こども家庭庁|子ども・子育て拠出金事業について
日本年金機構|保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)|一般・坑内員・船員の被保険者の方(令和7年度版)

建設業での法定福利費の取り扱い

厚生労働省の「労働経済動向調査(令和7年8月)」によると、建設業の人手不足感は他の業種と比べて常に高い傾向があります。理由の1つが、健康保険や厚生年金などの法定福利に加入していない保険未加入企業が存在することによる、若手人材の入職者数減少です。

加えて法定福利を法律の通りに適用するほど、他社との競争で不利になるという状況もありました。このような状況で、建設業の社会保険への未加入対策に取り組むため、国土交通省が推進しているのが見積書への法定福利費の明記です。

労務費をもとに「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「子ども・子育て拠出金」を計算して、見積書へ記載します。

毎回計算する手間を省くため、以下の計算式の使用も可能です。

法定福利費率=見積金額×労務費割合×法定福利費率(2025年度は約16%)

法定福利費のうち企業負担分の割合を示す法定福利費率は、地域や年度などによって異なります。正しい割合で計算できるよう、自社の法定福利費率を押さえておくことがポイントです。

関連記事:建設業向きの福利厚生は?福利厚生の導入で人材確保に取り組む事例も紹介

参考
国土交通省|社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン
厚生労働省|労働経済動向調査(令和7年8月)の概況
国土交通省|法定福利費を内訳明示した見積書の作成手順

法定福利費は15パーセントが目安

人件費に占める法定福利費の割合である法定福利費率は15%前後が目安です。ただし業種等によって正確な割合は異なるため、健康保険や雇用保険・労災保険などの法定福利の料率をもとに計算する必要があります。

特に建設業では、人材不足解消に向けた取り組みとして確実な法定福利への加入を進めるために、見積書へ法定福利費を記載することとなっています。

人材不足解消には、法定福利で基本的な待遇を整えるとともに、法定外福利でより働きやすい環境づくりに取り組むことも重要です。

例えばエデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、採用力や定着率の向上につながった導入事例が複数あります。人材確保に向けて、導入を検討してみませんか。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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