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【税理士監修】扶養控除の変更はいつから?令和8年税制改正の方針を分かりやすく解説

公開日: 2026.02.19

更新日: 2026.02.19

【社労士監修】扶養控除の変更はいつから?令和8年税制改正の方針を分かりやすく解説

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

令和8年の扶養控除の変更は、税制改正大綱で方針が示されている段階で、制度として確定しているわけではありません(同年2月時点)。一方で、企業は現行制度のもと実務を行いながら今後の改正動向にも備えることが求められます。本記事では、令和8年に予定されている扶養控除の変更について、網羅的に分かりやすく解説します。

令和8年の扶養控除はどう変わる?結論を先に整理

税制改正大綱は、政府が翌年度以降の税制について「どのような見直しを行うか」を示した方針文書です。

令和8年度税制改正大綱(令和7年12月26日閣議決定)では、扶養親族の所得要件の引き上げや、所得税の課税最低限を引き上げる方針が示されました。まずは、令和6年分〜令和8年分以降(大綱)の全体像を表で確認していきましょう。

なお、「令和8年分以降の見込み」はあくまで大綱に示された方針であり、法律として成立するまでは現行制度(令和7年分)が基準です。

項目 令和6年分まで 令和7年分 令和8年分以降の見込み
(税制改正大綱)
所得税がかからない年収の上限 年収103万円 年収160万円 年収178万円(※1)
扶養に入れられる年収の目安 年収103万円 年収123万円 年収136万円(※2)
基礎控除 48万円 58万円+特例
(最大95万円)
62万円+特例
(最大104万円)(※1)
給与所得控除
(最低保障額)
55万円 65万円 69万円+特例5万円
制度の位置づけ 従来制度 所得要件を緩和 所得要件・課税最低限の引き上げ方針

※1:「年収178万円」は、基礎控除の特例加算(42万円)と給与所得控除の特例を適用した場合の最大値です。この42万円の満額加算は、合計所得金額489万円以下の居住者に限られます。所得が489万円超655万円以下の場合は加算額が5万円に減るため、すべての人が一律178万円になるわけではありません。

※2:税法上の判定基準は「合計所得金額62万円以下」です。給与収入のみの場合、給与所得控除(基本69万円+令和8・9年特例5万円=計74万円)を差し引く前の金額、つまり「年収136万円以下」が扶養に入れる目安となります。特例の5万円加算がない場合は「年収131万円以下」が目安です。

参考:財務省|令和8年度税制改正の大綱
参考:国税庁|令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

扶養控除の基本を整理する

令和8年度税制改正大綱の変更点を正しく理解するには、現行制度の基本を押さえておく必要があります。ここでは、扶養控除の趣旨・対象親族の範囲・適用条件・国外居住親族への対応について順に解説します。

扶養控除とは何か

扶養控除とは、生計を一にする親族(配偶者を除く)を養っている人の所得から一定額を差し引き、所得税を軽減する制度です。

控除額は親族の年齢区分によって異なり、一般扶養親族(16歳以上)は38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円、老人扶養親族(70歳以上)は48万円、同居老親等は58万円です。

15歳以下の親族と配偶者は扶養控除の対象外となりますが、配偶者には配偶者控除または配偶者特別控除が適用されます。

参考:国税庁|No.1180 扶養控除

扶養控除の対象となる親族の範囲

扶養親族として認められるには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 控除を受ける年の12月31日時点で16歳以上であること
  2. 配偶者以外の6親等内の血族または3親等内の姻族であること(里子や市町村長から養護を委託された老人も含む)
  3. 納税者と生計を一にしていること(別居でも仕送り等で認められれば可)
  4. 年間の合計所得金額が58万円以下であること(給与収入のみの場合は年収123万円以下が目安)
  5. 青色・白色申告者の事業専従者として給与を受けていないこと

家族経営の事業(家族が個人事業主)でその事業主から給与を受け取っている親族は、所得金額にかかわらず対象外となります。

参考:国税庁|No.1180 扶養控除

扶養に入れるための条件と注意点

現行(令和7年分)の扶養親族の合計所得金額要件は58万円以下です。給与収入のみの場合、給与所得控除(65万円)を差し引いた後の金額で判定するため、年収123万円以下が現行の目安となります(令和8年度は年収136万円以下に緩和される見込みです)。

給与以外に副業・アルバイト・雑所得がある場合はそれらも合算されます。判定は年末時点のため、年度途中の収入変動にかかわらず12月31日時点の合計所得金額が基準です。

年末調整では「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受け、毎年扶養状況を確認することが実務の基本となります。

参考:国税庁|令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

国外居住親族を扶養にする場合の注意点

令和5年以降、国外居住親族については年齢によって適用条件が異なっています。

  • 16歳以上30歳未満および70歳以上:通常の要件(合計所得金額58万円以下など)を満たせば対象
  • 30歳以上70歳未満:以下のいずれかを満たす場合のみ対象
    • 留学中であること
    • 障害者であること
    • 納税者から年間38万円以上の仕送りを受けていること

申告には「親族関係書類」と「送金関係書類」の提出または提示が必要です。該当する従業員がいる場合は年末調整前に早めに確認してください。

参考:国税庁|国外居住親族に係る扶養控除等の適用について

配偶者控除・配偶者特別控除との違い

扶養控除と混同されやすい制度として、配偶者控除・配偶者特別控除があります。ここでは、両制度との違いを整理します。

扶養控除と配偶者控除は何が違う?

令和7年配偶者控除

出典:国税庁|No.1191 配偶者控除|令和7年

扶養控除と配偶者控除の最大の違いは適用される対象です。扶養控除が配偶者以外の親族が対象であるのに対し、配偶者控除は婚姻関係にある配偶者専用の控除です。配偶者には、必ず配偶者控除または配偶者特別控除が適用されます。

現行(令和7年分)の配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が58万円以下の場合に適用されます(給与収入123万円以下が現行の目安。令和8年は136万円以下に緩和される見込み)。

控除額は控除を受ける側の合計所得金額に応じて38万円・26万円・13万円の3段階です。なお、配偶者控除・配偶者特別控除を受ける側の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用外となります。令和8年度税制改正大綱ではこの所得要件が62万円以下に引き上げられる方針が示されています。

関連記事:【税理士監修】配偶者控除は共働き正社員も受けられる!家計を守る制度活用法

配偶者特別控除が使われるケース

令和7年配偶者特別控除

出典:国税庁|No.1195 配偶者特別控除|令和7年

配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額が配偶者控除の適用範囲を超えた場合でも、一定範囲内であれば段階的に控除を受けられる制度です。配偶者控除が受けられない場合の救済措置として機能します。

令和8年度税制改正大綱では、配偶者控除の所得要件が62万円以下に引き上げられる方針が示されました。これに伴い配偶者特別控除の適用範囲も変動する見込みです。ただし、現状(令和8年2月)は大綱段階のため、具体的な控除額の変更については法律成立後に国税庁の公式情報で確認しましょう。

なお年末調整では、扶養控除等申告書とは別に配偶者控除等申告書の提出が必要です。

「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」は別制度

扶養には税法上と社会保険上の2種類があり、制度も管轄窓口も異なります。令和8年度税制改正大綱の変更は税法上の扶養に関するものであり、社会保険の扶養には直接影響しません。この区別を正確に理解しておくことが、従業員対応のトラブル防止につながります。

「税法上の扶養」とは何か

税法上の扶養とは、扶養控除・配偶者控除などを通じて課税所得を減らし、所得税・住民税の負担を軽減する制度です。

通常、年末調整または確定申告をすることで適用され、手続き窓口は企業(年末調整)または税務署(確定申告)です。令和8年度大綱で示された所得要件の引き上げや課税最低限178万円への引き上げは、この税法上の扶養に関する変更です。

「社会保険上の扶養」とは何か

社会保険上の扶養とは、健康保険や年金において被保険者の扶養として認定されることにより、保険料の負担が軽減される制度です。

原則として健康保険の被扶養者認定基準は年収130万円未満が基準ですが、19歳〜23歳未満については2025年10月より「年収150万円未満」へ基準が緩和されました。これは税制改正に先行して実施された重要な変更です。

なお、社会保険は、手続き先が企業(年末調整)ではなく、年金事務所や健康保険組合です。税金と社会保険では「年収の壁」の金額も窓口も異なるため、従業員への正確な周知がトラブル防止の鍵となります。

参考:日本年金機構|国民年金の第3号被保険者制度のご説明

関連記事:【社労士監修】第3号被保険者制度の廃止はされる?いつから?背景、影響、今後の展望

年収の壁がズレることで起きやすい注意点

税法上と社会保険上の扶養では、扶養に入れるかどうかの年収基準が一致しません。

令和8年度税制改正大綱の方針では、税法上の扶養基準が年収136万円程度(特例適用時)まで引き上げられる見込みですが、社会保険の扶養認定基準は引き続き年間収入130万円未満のままです。つまり、年収が130万円を超えると社会保険の扶養から外れ、本人が保険料を負担しなければならないケースが生じます。

税負担が下がっても、社会保険料の負担増で手取りが逆に減る可能性がある点に注意が必要です。

関連記事:【税理士監修】年収の壁は今後どうなる?企業にできる対策も確認

扶養控除にまつわる今後の変更点まとめ

令和7年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱には、扶養控除に関わる具体的な変更方針が明記されています。以下、主な変更点について改めて解説します。

参考:財務省|令和8年度税制改正の大綱

扶養控除・配偶者控除の所得要件引き上げ

令和8年度税制改正大綱により、扶養控除と配偶者控除を受けるための所得要件が、現行の58万円から62万円以下に引き上げられる方針です。 給与収入に換算すると年収131万円以下が基本ですが、令和8・9年分は5万円の特例加算があるため、実質的な壁は「年収136万円以下」まで緩和されます。

控除額(一般扶養38万円、特定扶養63万円、配偶者控除38万円など)自体に変更はありませんが、要件緩和により「控除を受けられる対象者」が広がるのが改正のポイントです。

課税最低限引き上げの考え方

令和8年度税制改正大綱では、「所得税の課税最低限(所得税がかからない年収の上限)を178万円まで特例的に先取りして引き上げる」と明記されています。これは基礎控除と給与所得控除の両方を引き上げることで実現するものです。

令和8・9年分については、特例として基礎控除に特例加算(42万円)が上乗せされる見込みです。

【令和8・9年分における「178万円」の内訳】
• 基礎控除:104万円 (基本の62万円 + 期間限定の特例加算42万円)
• 給与所得控除:74万円 (基本の69万円 + 期間限定の特例加算5万円)

この特例が適用されるのは、日本国内に住む給与所得者のうち、合計所得金額が489万円以下の人です。特例加算により基礎控除は最大104万円となり、給与所得控除の特例(74万円)と合わせた合計178万円が課税最低限の目安となります。

ただし、合計所得金額が489万円を超える場合や、給与以外の収入がある場合はこの計算がそのまま当てはまりません。一律に「誰でも178万円まで非課税」と説明しないよう注意が必要です。

いつ確定し、いつから適用されるのか

税制改正は大綱の閣議決定後、例年3月末の法案成立を経て正式に適用されます。令和8年度税制改正大綱の内容は、令和8年分の所得税から適用される見通しです。

実務上の注意点は、毎月の給与からの源泉徴収への反映は令和9年1月1日以降の支払い分からとなる予定であり、令和8年中の給与については年末調整で対応が求められることです。したがって、令和8年中の事務は現行法に基づいて行う必要があります。 最新の確定情報は、法案成立後に更新される国税庁の「年末調整のしかた」等で必ず確認しましょう。

住民税への影響と適用時期

住民税も所得税に準じた改正が行われますが、反映は1年遅れの「令和9年度分」からとなる点に注意が必要です。

• 所得要件の緩和: 扶養に入れる基準(合計所得金額)が、現在の58万円以下から 62万円以下 に引き上げられます。
• 実務上の目安: 給与所得控除の引き上げ(基本69万円+特例5万円)により、所得税と同様 「年収136万円以下」 が扶養の目安となります。

住民税は「前年の所得」を基に計算されるため、令和8年中の収入に対する新基準が実際の税額に反映されるのは、令和9年6月以降の支払い分からです。

扶養控除の変更にまつわるよくある質問

ここでは、扶養控除の変更について多く寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。

Q. 令和8年の扶養控除はもう確定していますか?

A. 令和8年度税制改正大綱に示された内容は、まだ法律として確定していません。

令和8年度税制改正大綱は令和7年12月26日に閣議決定されましたが、大綱はあくまで政府の方針です。正式な改正となるのは法案が国会で成立した後であり、現時点では確定した制度ではありません。令和8年現在の実務は、現行制度を根拠に進めることが原則です。

Q. 令和8年分の年末調整では、大綱の内容を基準にしていいですか?

A. いいえ。年末調整の根拠は成立した法律であり、大綱段階の内容を先行適用することはできません。

令和8年分の年末調整(令和8年12月実施予定)に大綱の内容を適用できるかは、法案の成立時期によります。例年3月末に成立するケースが多いため、通常令和8年分の年末調整に間に合いますが、確定情報は国税庁の公式サイトで確認してから対応してください。

Q. 税法と社会保険、どちらを優先して考えるべきですか?

A. どちらか一方ではなく、両制度を並べて整理することが必要です。

税法上の扶養と社会保険上の扶養は制度も管轄も別であり、年収の基準も一致しません。令和8年度税制改正大綱の方針では税法上の扶養基準が緩和される見込みですが、社会保険の扶養認定基準(年間収入130万円未満)は変わりません。従業員が就業調整を検討する際は、税負担の軽減効果だけでなく社会保険料の負担増も含めた手取り総額で判断するよう案内することが重要です。

令和8年の扶養控除変更に備えよう

令和8年の扶養控除は、扶養親族の所得要件の62万円以下への引き上げ、課税最低限が178万円への引き上げが見込まれています。ただしこれは税制改正大綱に則ったもので、正式に法律として成立していないため、実務面への反映は今後の動向を注視して行うことが大切です。

また、令和8年度大綱の変更は税法上の扶養に関するものであり、社会保険の扶養認定基準(年間収入130万円未満)は変わりません(19歳以上23歳未満の親族は、先行して150万円に緩和済み)。 税法の壁が136万円程度まで広がることで、社会保険料の負担による「手取り額の逆転」が起きやすくなる点にも注意が必要です。

社会保険料の負担を補填する施策として、福利厚生を充実させる企業が増えています。

福利厚生は、一定の条件を満たすことで非課税枠を活用できるため、同額を給与として支給するよりも従業員の実質的な手取り増に効果的です。企業として従業員を大切にする姿勢を明確にできるため、エンゲージメントの向上や採用市場での競争力強化にも有効です。

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関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和

コンサルティング会社・通販会社など様々な業種で働いている中で、税理士を目指すことを決意。1級FP 、日商簿記1級や宅建資格などを取得しており、幅広い視野と知見でサポートしております。
舘野義和税理士事務所
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