何も食べなければ空腹で集中できない。でもランチを食べると眠気に襲われる。このように悩む人は多いものです。そこで今回は、なぜランチの後に眠気に襲われるかについて管理栄養士の視点からご紹介します。
ランチの後、どうして眠くなってしまうのか
ランチの後に眠くなってしまうのには、”血糖値”が関係しています。血糖値とは、血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度のことです。食後に血糖値が上昇すると血糖値を下げるためにインスリンが分泌され、食後の眠気を起こします。
朝は忙しいという理由で朝食を抜いていませんか?朝食欠食後のランチは昨日の夜から半日以上何も食べていない状況です。そんな状況でランチを食べるとさらに血糖値の上昇が激しくなり、眠気に襲われることになります。つまり、食後に眠くならないためには血糖値を急激に上げなければ良いのです。
食後の血糖値の上昇度を示すGI値(Glycemic Index)という数値があります。GI値が低い食品は血糖値の上昇を防ぎます。眠くなる人が避けるべきランチは、高GI値の高い食べ物です。
・うどんやラーメンなどの麺類
・おにぎりや菓子パンなどの炭水化物
・ファストフード
これらはすべて単品メニューです。GI値の高い炭水化物がメインで、GI値の低い野菜がほとんどありません。どうしても麺類が食べたい場合は、うどんやラーメンよりもGI値の低いそばを選びましょう。おにぎりやファストフードの際には、サラダやスープを追加し、先に食べることで血糖値の上昇を抑えると、眠くなりにくいランチに変わります。
管理栄養士が教える!眠くなりにくいランチの選び方・食べ方
眠くならないランチをするコツは、「GI値の高い食品を避ける」ことです。つまり、主食のみの食事にならないように野菜などのおかずも選択し、品数を増やすことが重要になります。外食する方は、主食・主菜・副菜・汁物などが揃った定食ランチ選ぶことで、GI値が高い食品のみの食事を防ぐことができます。主食には、食欲をそそる丼ものや揚げ物を避け、炒め物や煮物などを選択しましょう。
コンビニランチの場合も単品ではなく、おにぎりと一緒に肉や魚などのお惣菜とミニサラダ、みそ汁やスープを選びましょう。定食を自分で作るイメージです。
また、血糖値の急上昇を抑えるため、好きな順番で食べるのではなく、GI値の低いものから食べていきましょう。食べる順番は、
(1) サラダや副菜の野菜類
(2) 汁物
(3) 肉や魚などの主菜
(4) 主食
の順番に食べると血糖値の急激な上昇を抑えることができ、眠気抑制に繋がります。さらに血糖値の上昇を抑えると、脂肪の蓄積を予防することができるので、体脂肪率が気になる方にもおすすめです。
また、飲み物にコーヒー(カフェイン飲料)を選択する場合は注意が必要です。コーヒーの成分カフェインは神経を鎮静させるアデノシンという物質の働きを阻害し、神経を興奮させることで(疲れを感じさせないようにして)眠気を抑えます。しかし、カフェインの長期的な過剰摂取は高血圧や骨粗鬆症の原因となる場合もあります。カフェインの一日の摂取許容量は設定されてはいませんが、飲みすぎは厳禁です。一日にマグカップ3杯分までとしましょう。
お弁当派に役立つ、眠くなりにくいおすすめメニュー
ランチにお弁当を食べる人も多いと思いますが、ご飯を入れるのであれば、100gを目安としましょう。(コンビニおにぎり約1個分)日本人の食事摂取基準(2020年版)では一日の摂取エネルギーのうち炭水化物は50~65%とされています。一日の摂取エネルギーが2,000kcalの場合は1,000kcal~1,300kcalを炭水化物から摂取します。炭水化物は1g=4kcalなので、計算すると250g~325g、1食あたり100gのご飯が目安となります。
おかずの食材は野菜をメインにしましょう。野菜の中でも水溶性食物繊維を多く含む食品は糖質の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急激な上昇を抑え、眠気を抑えるのに役立ちます。水溶性食物繊維を多く含む食品には、豆類やわかめ、ひじき、こんにゃくなどが挙げられます。これらを使用して、きゅうりとわかめの酢の物やひじきの炒め煮を作ってみてください。低カロリーかつ満足感も得ることができます。
まとめ
眠くなりにくいランチのポイントは、GI値の高い単品メニューを選ばないことです。単品で済ませるのではなく、主食・主菜・副菜・汁物をバランスよく選択しましょう。また、野菜類から食べることで血糖値の急激な上昇を抑え、眠気を抑えることができます。
参考資料
「インスリン」e-ヘルスネット 生活習慣病予防のための健康情報サイト / 厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2020年版)/ 厚生労働省
食品中のカフェイン ファクトシート / 食品安全委員会