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診療報酬改定2026|賃上げ・スケジュール・医療機関への影響を解説

診療報酬改定2026|賃上げ・スケジュール・医療機関への影響を解説

2025.12.16

2026年6月、診療報酬が改定されます。最大の焦点は「医療従事者の賃上げ」です。診療報酬改定でどれだけ賃上げ原資を確保できるのか、医療機関は何を求められるのか、本記事で解説します。

2026年度診療報酬改定の基本を理解

診療報酬は、医療機関が提供した医療サービスに対して支払われる報酬です。この報酬は2年ごとに見直され、2026年度も改定が予定されています。

施行時期は2026年6月の見込み

以前は4月に改定されていましたが、2024年度から医療機関の準備期間を確保するため、6月施行に変更されました。2026年度も同様に6月1日の施行となる見通しです。ただし、薬価改定は従来通り4月1日に実施されます。

2026年度診療報酬改定までのスケジュール

社会保障審議会が改定の「方針」を決め、政府が「改定率」を決め、中医協(中央社会保険医療協議会)が「基本方針と改定率に基づいて具体的な点数」を決め、厚生労働大臣が正式に告示します。

2026年度診療報酬改定のスケジュール概要

時期 内容
2025年12月中旬 基本方針の決定
2025年12月下旬 改定率の決定
2026年2月中旬 具体的な点数の答申
2026年3月 正式告示・疑義解釈
2026年4月1日 薬価改定の施行
2026年6月1日 診療報酬改定の施行

関連記事:診療報酬改定2024 「トリプル改定」を6つのポイントでわかりやすく解説!

2026年度改定の4つの基本認識

厚生労働省が2025年12月9日に正式決定した基本方針では、改定にあたっての4つの基本認識が示されています。

1. 物価・賃金上昇と人材確保・現役世代負担のバランス

「日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金の上昇、人口構造の変化や人口減少の中での人材確保、現役世代の負担の抑制努力の必要性」

日本経済は物価と賃金が上昇する局面に入っています。医療機関も人件費や物件費が高騰していますが、診療報酬は公定価格のため、一般企業のように自由に価格を上げられません。経営を維持するには診療報酬の引き上げが必要です。

一方で、診療報酬を上げれば医療費が増え、現役世代の保険料負担が重くなります。この相反する要請にどうバランスを取るかが課題です。

2. 2040年を見据えた持続可能な医療提供体制の構築

「2040年頃を見据えた、全ての地域・世代の患者が適切に医療を受けることが可能かつ、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制の構築」

2025年には、団塊の世代全員が75歳以上となります。加えて、2040年には団塊ジュニア世代が高齢期を迎え、医療需要がピークに達すると見込まれています。

これと同時に生産年齢人口は減少の一途をたどるため、医療従事者の確保はますます難しくなるでしょう。限りある医療資源を効率的に活用するには、「治す医療」と「治し、支える医療」を明確にわけ、質の高い医療を持続的に提供できる体制構築が課題です。

3. 医療DX・イノベーション推進

「医療の高度化や医療DX、イノベーションの推進等による、安心・安全で質の高い医療の実現」

医療DXやICT・AI活用を推進する医療機関を推進します。電子カルテの標準化、オンライン診療の拡大、電子処方箋の普及など、医療のデジタル化を進めることで、医療の質を安心・安全性の側面から高めながら業務効率化を図ります。

4. 社会保障制度の持続可能性確保

「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和」

高齢化や技術進歩で、医療費は増え続けています。国民皆保険制度を維持するために、限られた医療資源をどう配分するか、制度を持続可能にするための効率化と適正化が求められています。

重点課題「物価・賃金上昇・人手不足への対応」の理由

2026年度改定で最も注目されているのが、医療機関を取りまく環境変化への対応です。これが「重点課題」として位置づけられています。

医療業界の賃上げ率は他業種より低い水準

2024年の春闘において、多くの産業で賃上げが実現する中、医療業界の賃上げ率は病院で2.41%と、他業種の5.10%と比較して低い水準にとどまりました(2025年度 医療機関における賃金引き上げの状況に関する緊急調査(速報)より)。

この賃上げ率の格差が続けば、医療人材がより高い賃金を求めて他業種へ流出するリスクが高まります。

出典:四病協|2025年度医療機関における賃金引き上げの状況に関する緊急調査 (速報)

医療従事者の処遇改善が急務

処遇改善の具体的な点数を検討する中医協では、診療側委員から「診療報酬の引き上げによる賃上げ実現」を求める声が相次いでいます。詳しい議論の内容は後述します。

人材確保難への対応が必要

生産年齢人口の減少により、医療機関の人材確保はますます困難になっています。厚生労働省の調査によれば、医療人材の確保難は少子化の進行速度を上回るペースで深刻化しているとされています。

2026年度改定の4つの基本視点と具体策

基本方針では、4つの視点に沿って具体的な方向性が示されています。

視点1:医療機関を取りまく環境変化への対応(重点課題)

医療機関には、物価高騰や人手不足に対応しながら、医療従事者の処遇改善と業務効率化の両立が求められています。

物件費の高騰への対応

医療機関は、人件費だけでなく、医療材料費、食材料費、光熱水費、委託費などあらゆるコストへの対応が求められています。

賃上げ実現・業務効率化・負担軽減等の業務改善による人材確保

2024年度改定では、看護職員処遇改善評価料やベースアップ評価料が新設されました。一定の賃上げ効果はあったものの、届出書類の作成が煩雑で、病床規模の小さい医療機関では届出が進んでいないと指摘されています。こうした課題を踏まえ、2026年度改定では、より実効性のある賃上げ支援策が検討されています。

また、医療従事者の処遇改善に加え、ICT・AI・IoTの活用による業務効率化、タスク・シェアリング/タスク・シフティングの推進、医師の働き方改革、人員配置基準の柔軟化などが盛り込まれています。

視点2:医療の確保、地域包括ケアシステムの推進

医療機関には、「治す医療」と「治し、支える医療」の役割を明確にし、地域完結型の医療提供体制を構築することが求められています。

「治す医療」と「治し、支える医療」については以下の通りです。

  • 治す医療:急性期医療を中心とした疾病治療
  • 治し、支える医療:回復期・慢性期医療や在宅医療など、患者の生活を支える機能

具体的な方向性を見ていきましょう。

患者の状態に応じた入院医療の評価

地域医療構想に基づき、医療機関の機能分化・連携・集約化を進めます。患者のニーズ、病院の機能・特性、地域の実情を踏まえた医療提供体制を整備していきます。

在宅医療・訪問看護の充実

2040年にかけて、85歳以上の在宅医療需要は増える見通しです。住み慣れた地域で医療を受けられるよう、在宅医療体制を強化する方針が示されました。

具体的には、重症患者の訪問診療や在宅看取りを積極的に担う医療機関、在宅療養患者の緊急入院を受け入れる医療機関を評価します。また、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理を一体的に行う取り組みも推進します。

かかりつけ医機能の評価

かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能を評価し、患者が身近な医療機関で継続的に医療を受けられる体制を整えます。

その他の重点項目

人口・医療資源の少ない地域への支援、医師の地域偏在対策なども盛り込まれています。

視点3:安心・安全で質の高い医療の推進

医療機関には、医療DXやICTを活用し、医療の質を高めながら業務効率化を図ることが求められています。

医療安全対策の推進

患者が安心して医療を受けられる体制を評価します。身体的拘束を最小化、医療安全体制の推進などが挙げられます。

データを活用した評価の推進

診療実績データを活用し、アウトカム(治療成績)に着目した評価を進めます。医療の質を数値で測ることで、より効果的な医療の提供を後押しします。

重点的な対応が求められる分野の適切な評価

緊急医療、小児医療、周産期医療などを評価します。

リハビリテーションの質向上

土日・祝日のリハビリテーション実施体制の充実など、質の高いリハビリテーションを評価します。

感染症対策の推進

新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、感染症対策や薬剤耐性対策を推進します。

視点4:医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

医療機関には、限られた医療資源を効率的に活用し、制度を持続可能にすることが求められています。

後発医薬品・バイオ後続品の使用促進

医療費の効率化を図るため、後発医薬品(ジェネリック医薬品)やバイオ後続品の使用を促進します。

医薬品の適正使用推進

電子処方箋システムによる重複投薬チェックの活用、残薬対策、長期処方の適正化などを進めます。医師と薬剤師の連携により、医薬品の効率的かつ安全で有効な使用を促進します。

外来機能の分化

大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携を強化し、大病院から地域への逆紹介を推進します。

出典:厚生労働省|令和8年度診療報酬改定の基本方針(2025年12月9日)

議論から見える2026年度診療報酬改定の方向性

中央社会保険医療協議会では、賃上げをめぐって診療側と支払側で意見が分かれています。賃上げするための原資は必要ですが、それは患者負担を増やすことを意味するためです。

診療側(医療従事者側)の主張

診療側委員は、医療機関経営の逼迫を訴え、診療報酬の引き上げを強く求めています。

 

日本医療法人協会の副会長
「医療従事者の処遇を他業種と同様に改善することは日本の医療を守るために重要だ。その報酬体系はシンプルであるべきで、制度で賃上げを細かく設定することは避けるべきだ」

全国自治体病院協議会の副会長
「看護師養成課程の募集率が下がっており、生産年齢人口が急激に減って応募できる年齢の人も減る。賃上げできるだけの改定や補助をお願いしたい」

支払側(健康保険組合連合会等の医療費支払い側)の主張

一方、支払側委員は、現役世代の負担増を懸念し、慎重な姿勢を示しています。

健康保険組合連合会の理事
「精緻な仕組みにすれば事務負担が大きくなることは理解する。ただ、手間を要するのは労務管理としては当たり前で、通常行われている手間にあたる。これまでにも経営マネジメントの中で財源を賄うべきと申し上げており、事務負担が大変だから見直すことではない。患者負担や保険者負担にもつながることは念頭においてご検討いただきたい」

出典:m3.com|重点課題の医療従事者賃上げ、中医協で議論開始

診療報酬改定2026における賃上げ方法をめぐる論点

賃上げをどのように実現するかについて、大きくわけて2つの考え方があります。2026年度改定では、賃上げに貢献する項目のうち、何をどう増やしてバランスを取るかが焦点となっています。

基本診療料での対応

診療側は、初再診料や入院基本料といった基本診療料に上乗せする方法を主張しています。この方法なら、医療機関が必要な職種に配分を決められ、事務負担も少なくなります。

加算(ベースアップ評価料等)での対応

現在のベースアップ評価料や看護職員処遇改善評価料のような加算方式では、賃上げが確実に職員に届くかを検証できます。ただし、届出書類の作成が煩雑で、小規模医療機関では対応が難しいという課題があります。

チケットレストランで賃上げ効果を最大化

診療報酬改定2026についての議論からわかることは、医療機関での賃上げはそう簡単に進められないことです。しかし、賃上げしなければ持続可能な医療体制は維持できないことも指摘されています。

診療報酬改定による賃上げは6月まで待つ必要があります。しかし人材確保は待ったなしです。そこで、今すぐできる対策として福利厚生の充実があり、給与以外のサポートが賃上げ同様の効果を生み出します。

チケットレストラン」は、給与以外で賃上げを実現する食事補助の福利厚生サービスです。食事補助の非課税を活用するため、企業が負担した分につき所得税がかからず、従業員の手取りを増やすことができます。

非課税の食事補助で実質賃上げを実現

医療機関での導入も進んでおり、全国約25万店舗(コンビニ、近隣飲食店等)で利用でき、日勤・夜勤・当直など多様な勤務形態に対応できる点が評価されています。利用率98%、継続率99%という実績があり、運用も月1回のチャージのみで簡単です。

昨今の物価高を受け、テレビでも話題の新しい賃上げとして朝日新聞でも紹介されました。食事補助は2026年度税制改正で、非課税枠の引き上げでも注目されています。

出典:
朝日新聞|ランチ代高騰でも40年変わらぬ食事補助 インフレ限界、政府も動く
エデンレッドジャパン|12/9 朝日新聞でチケットレストランが紹介されました
エデンレッドジャパン|「食事補助」非課税上限の引き上げに向け、 政府へ要望書を提出

医療機関での導入事例

職員がやりがいのある職場を推進している医療法人健育会は、急激な物価上昇で従業員の生活が脅かされないために、可処分所得を上げる策として導入しました。

くれよん薬局を営むM'sファーマでは、全国で需要が高い薬剤師の採用強化、定着率アップに効果がありました。毎日使える食のサポートは、居心地の良い職場環境づくりの一助となっています。(詳しい導入事例はこちら

出典:エデンレッドジャパン|食の福利厚生「チケットレストラン」を健育会グループへ提供開始

2026年度診療報酬改定は、いつからどう変わる?

2026年度の診療報酬改定に関する質問とその答えをまとめます。

Q1. 2026年度診療報酬改定はいつから施行されますか?

2026年6月1日の施行が見込まれています。2024年度から、医療機関の準備期間を確保するため施行時期が2か月後ろ倒しになりました。ただし薬価改定は4月1日に実施されます。

Q2. 薬局への影響はどうなりますか?

薬局は「地域の医薬品供給拠点」としての役割が評価されます。電子処方箋を活用した重複投薬チェックや、医師・病院薬剤師との協働による適正使用の推進が求められます。

Q3. 歯科診療報酬はどう変わりますか?

口腔疾患の重症化予防や、口腔機能の発達不全・低下への対応が充実します。歯科治療のデジタル化も推進され、かかりつけ歯科医機能がより明確に評価される見通しです。

Q4. リハビリテーションの評価はどう変わりますか?

発症早期からのリハビリ介入が推進され、土日祝日の実施体制も評価されます。また、高齢者の生活を支えるケアとして、リハビリ・栄養管理・口腔管理を一体的に行う取り組みが重視されます。

Q5. クリニック(診療所)への影響は?

かかりつけ医機能(歯科・薬剤師も含む)に対する評価が進みます。また、大病院からの逆紹介受け入れが推進されます。

Q6. 栄養管理の評価は変わりますか?

高齢者ケアの一環として栄養管理が重視されます。リハビリ・栄養管理・口腔管理を一体的に推進し、入院患者の栄養状態改善への取り組みが評価されます。

Q7. 訪問看護の報酬は上がりますか?

在宅医療需要の増加を見据え、訪問看護の評価は手厚くなる見通しです。地域における重症患者への訪問看護や、在宅看取りへの対応が評価されます。

出典:厚生労働省|令和8年度診療報酬改定の基本方針(2025年12月9日)

2026年度診療報酬改定で医療機関に求められること

2026年度診療報酬改定では、医療機関に以下のことが求められています。

  • 医療従事者の処遇改善と人材確保
  • 業務効率化(ICT・AI・タスクシフト)
  • 「治す医療」「治し、支える医療」の役割明確化
  • 医療DXの推進
  • 地域包括ケアへの対応

これらの要請に応えるには、診療報酬改定を待つだけでなく、今できることから取り組むことが大切です。特に、人材確保は喫緊の課題です。診療報酬改定による賃上げは2026年6月まで待つ必要がありますが、福利厚生の充実なら今すぐ始められます。

チケットレストラン」のような一定の利用条件下において所得税の非課税枠を使える食事補助の福利厚生サービスは、従業員の手取りを増やしながら、法人は経費として計上できます。

2026年6月の改定施行まで、まだ時間があります。今から準備を進め、従業員満足度の向上と人材確保につなげていきましょう。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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