新しい資本主義実現会議は、市場原理に任せすぎたことにより拡大した格差や貧困、中長期的な投資の不足など、さまざまな課題の解決に向けて発足しました。
新しい資本主義の概要を確認した上で、その実現に向けた計画を定めている「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」の内容も確認しましょう。
新しい資本主義実現会議とは
新しい資本主義実現会議とは、新しい資本主義の実現に向けたビジョンの提示や、具体的な行動計画の策定などのために行われている会議のことです。岸田元総理の下で2021年10月に発足した新しい資本主義実現本部が開催しています。
2025年の会議は6月13日に開催され、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」を閣議決定しました。
参考:内閣官房|新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議|新しい資本主義実現本部の設置について(令和3年10月15日閣議決定)
新しい資本主義とは
新しい資本主義は岸田内閣の主要政策として示されました。そのコンセプトは「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」です。
資本主義では、生産者が利益を、消費者が商品やサービスにより得られる満足度を、それぞれ最大にしようと行動することで、最適な資源配分が行われると考えられています。
ただしこのような市場原理に強く依存した結果、公平な分配が行われず格差が拡大しています。また効率重視の考え方から、長い目で見た投資が行われにくくなっている状態です。その他にも、都市と地方の格差、気候変動問題などの課題も生じています。
成長と分配の好循環を生み出すため、新しい資本主義では、成長戦略と分配戦略の両方にさまざまな課題を解決するための仕組みを組み込みます。
ここでは、新しい資本主義が掲げられたときに示された3つの内容を見ていきましょう。
参考:
政府広報オンライン|新しい資本主義の実現に向けて
首相官邸|岸田内閣の主要政策01/新しい資本主義
構造的賃上げにより分厚い中間層を形成する
新しい資本主義では、高水準の賃上げを構造的なものとするため、積極的に人への投資を行います。そのためにリスキリングによる能力向上支援を実施中です。
企業が従業員のリスキリングを実施するときに活用できる「人材開発支援助成金」や、就業中の労働者が教育訓練休暇を取得した場合に受け取れる「教育訓練休暇給付金」の創設などはこの一環といえます。
併せて、個々の企業の実態に応じた職務給の導入や、成長分野への労働移動がスムーズに進みやすくなるための取り組みも進めています。例えば2025年4月からは、自己都合退職者が教育訓練等を自ら受けると、失業給付の給付制限が短縮されるようになりました。
加えて金融資産所得の拡大などを通して家計所得の増大に取り組むため、年間投資枠がより大きくなり、非課税保有期間が無期限になった「新しいNISA」を2024年から導入しています。
また多様な人材が自らの能力を最大限に発揮して働けるよう、副業・就業の促進、選択的週休3日制度の普及などにも取り組んでいます。
参考:
厚生労働省|人材開発支援助成金
厚生労働省|教育訓練休暇給付金について
金融庁|NISA特設ウェブサイト|NISAを知る
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国内投資を活性化する
30年間続いてきたデフレ経済の中、国内投資も冷え込んでいました。2025年2月に行われた新しい資本主義実現会議の「基礎資料」によると、2023年度の国内投資は32年振りに100兆円を超えています。
国内投資の増加は賃金上昇にもつながるといわれており、投資増加率が高いほど実質賃金増加率も高い傾向があります。
このような中、市場原理に任せていると過少投資になりやすい分野において、積極的な投資が行われやすいよう、公的支出により支出を活性化していく計画です。
参考:内閣官房|新しい資本主義実現会議(第31回)|基礎資料
デジタル社会へ移行する
新しい資本主義では、多様な幸せを実現できる社会づくりに向けて、デジタルの活用も推進中です。デジタル庁を中心に、行政のデジタル化、マイナンバー制度の利活用、デジタル田園都市国家構想、AIの利用促進やリスクへの対応などに取り組んでいます。
関連記事:2025年の壁とは?DX時代に求められる企業のIT・人材戦略
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版をチェック
2025年6月13日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」には、成長型経済の実現に向けた行動計画が定められています。ここでは計画のポイントをチェックしましょう。
参考:内閣官房|新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議|新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版
実質賃金1%上昇のノルム定着
「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」には、実質賃金の目標が以下のように示されています。
2029 年度までの5年間で、日本経済全体で、実質賃金で年1%程度の上昇、すなわち、持続的・安定的な物価上昇の下で、物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルム(社会通念)として我が国に定着させる。
引用:内閣官房|新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議|新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版
日本銀行の掲げる安定的な物価上昇である年2%を実現しつつ、実質賃金の年1%上昇を定着させるという内容です。
関連記事:日本の賃金が上がらない理由は?賃上げのために企業ができることも簡単に解説
中小企業や小規模事業者の経営変革
成長戦略の要として位置付けられている賃上げを実現するには、中小企業や小規模事業者の経営変革も推し進めていかなければいけません。同計画内では2020年代に最低賃金の全国平均1,500円の達成を目標としていることが示されています。
この目標達成に向けて、最低賃金の引き上げによる影響を大きく受ける中小企業や小規模事業者が、適切な価格転嫁と生産性向上ができるよう計画されているサポートは以下の通りです。
- 価格転嫁状況の可視化と改善
- 5年間で60兆円の生産性向上に向けた投資
- 商工会・商工会議所・中小企業団体中央会などによるデジタル支援ツールを活用したサポート
- 事業承継やM&Aなどを相談できる体制の構築
- エッセンシャルワーカーがそれぞれの地域で活躍できる環境整備を通じた持続的な賃上げの実現
- 地方での賃上げ環境整備の後押し
関連記事:中小企業が賃上げできない理由は?賃上げに活用できる制度や福利厚生を解説
デフレマインドの払拭
実質賃金の年1%上昇をノルムとして定着させるには、デフレマインドの払拭が欠かせません。そこで国が先導して賃上げと価格転嫁を進めるために、デフレを前提に設けられていたさまざまな制度の見直しを実施していくことも記載されています。
具体的には、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」で定めている以下のポイントに取り組み、デフレマインドを払拭していく計画です。
- 賃上げ原資を確保するために、官公需における価格転嫁を徹底する
- 医療・介護・福祉・保育などの公定価格の引き上げに取り組む
- 全府省庁の予算税制で公的制度の基準額・閾値がデフレ時代から固定されたままになっていないか総点検し見直す
食事補助の非課税限度額についても言及
公的制度の基準額・閾値の見直しの一環として、食事補助の非課税限度額見直しについても言及されています。
食事補助の非課税限度額は40年以上も見直しが行われていませんでしたが、食事補助上限枠緩和を促進する会(幹事社:株式会社エデンレッドジャパン)から小泉進次郎議員ら5名の国会議員へ要望書を提出していました。
同計画と「骨太方針2025」に明記されたことで、見直しの実現に向けて一歩前進した形です。
非課税枠を活用するなら「チケットレストラン」がおすすめ
一定の利用条件下であれば従業員の所得税が非課税になる食事補助の仕組みを活用するなら、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できるサービスは、休憩時間のタイミングや勤務場所によらず、対象となる従業員に公平に支給できます。
契約後に届く専用ICカードを従業員に配るだけで使い始められるため、導入の手間を最小限に抑えられるのもメリットです。
制度や非課税枠についての詳細は、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。
新しい資本主義実現会議について押さえておこう
新しい資本主義実現会議は「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする、新しい資本主義の実現に向けて発足されました。成長と分配の好循環を生み出して、さまざまな格差を是正していくことを目的としています。
また「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」では、初めて実質賃金の目標が年1%上昇と明記されました。これに向けて、中小企業や小規模事業者向けのサポートや、デフレマインドの払拭につながる取り組みが定められています。
そのうちの1つが食事補助の非課税限度額見直しです。この見直しにより変化が予想される食事補助を導入するなら、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討してみてはいかがでしょうか。一定の利用条件を満たせば非課税枠運用が可能になり実質手取りアップにつながることから従業員の生活支援につながります。
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