感情報酬とは、従業員がポジティブで前向きな感情を抱ける環境づくりを、仕事の対価として捉えて整備することです。なぜ今、感情報酬が注目されているのでしょうか?感情報酬のメリットや実践方法、注意点とともに紹介します。
感情報酬とは
従業員がポジティブな感情を抱ける環境づくりを、仕事の対価の1つとして扱うことを感情報酬といいます。
従業員がポジティブな感情を持って、高いモチベーションを維持しながら仕事に取り組むには、給与アップや昇進なども役立ちますが、感情報酬を加えるとさらに効果的です。
ここでは「第3の報酬」ともよばれている感情報酬の特徴や、感情報酬が注目されている理由をチェックしましょう。
第3の報酬とよばれている
感情報酬は「第3の報酬」ともよばれています。「第1の報酬」「第2の報酬」との違いは以下の通りです。
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報酬 |
特徴 |
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第1の報酬 |
・給与やボーナスなどの金銭報酬 |
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第2の報酬 |
・社内での昇進による地位報酬 |
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第3の報酬 |
・従業員がポジティブに仕事に取り組める環境を整える感情報酬 |
関連記事:「第三の報酬」とは?|給与・賞与に代わる従業員満足の新常識を徹底解説
感情報酬が注目されている理由
企業が従業員に提供する報酬は、第1の報酬と第2の報酬のみでよい、という考え方が主流でした。
ただし近年は、若手世代を中心に、プライベートを重視する価値観が広がっています。
例えばJob総研の「2025年 理想の就活実態調査」で、もう1度就活するときに仕事とプライベートのどちらを優先するか聞いた調査では、プライベートと回答した割合が最も高いのは20代の57.7%でした。
プライベートを重視する価値観で働く従業員は、金銭報酬や地位報酬のみではモチベーションを維持向上できないかもしれません。このようなケースで、感情報酬を従業員の内的動機付けに活用するために、感情報酬が注目されています。
また「ミドルシニアの新たなキャリアに関する調査」によると、45歳以上のミドルシニアの約40%が感情報酬を重視しています。一方、企業の約60%は感情報酬の導入を検討していません。
感情報酬はミドルシニアのモチベーション向上につながる施策としても注目されています。
参考:
Job総研|Job総研『2025年 理想の就活実態調査』を実施給与重視6割 若年で変わる価値観 物価高受け安定思考へ~”仕事で挑戦”より”プライベート優先”5割 見えたJOB型とのギャップ~
PR TIMES|ニューホライズンコレクティブ合同会社|ミドルシニアの新たなキャリアに関する調査
感情報酬の実践方法
企業が感情報酬を導入するときには、どのように実践するとよいのでしょうか?「称賛する」「共感する」「尊重する、敬意を持つ」について解説します。
称賛する
従業員を褒めるのが称賛です。称賛するときには、成果に加えて過程も褒めます。
例えば資料作成を頼むときには「いつも資料が見やすいよう工夫してくれて助かるよ」と言葉を添えて、日ごろの仕事への取り組みを褒めるとよいでしょう。
またミーティングや会議で自身のアイデアについて発言した従業員には「新しいアイデアの発信ありがとう」と伝えます。
称賛された従業員は「もっと資料が見やすくなる方法はないだろうか?」「業務に役立つアイデアはないだろうか?」と自ら考え行動し始めることが期待できるでしょう。
共感する
従業員の悩みや愚痴を聞いて、その内容に「大変だったね」「頑張ったね」と共感するのも、感情報酬の一種です。
悩みや愚痴に対して、上司や先輩がアドバイスをするのはポジティブな関わりに見えます。ただし感情報酬を実践するシーンでは逆効果になりかねません。
まずは従業員の抱えている今のつらさに共感するところから始めましょう。
尊重する、敬意を示す
上司や先輩など上の立場の人が、部下や後輩などに対して、尊重したり敬意を示したりすることも、感情報酬になります。
例えば相手が話しているときには目を見て聞く、話している相手の方へ体を向ける、相手の話を途中で遮らない、といった姿勢を意識するだけでも、尊重や敬意を示すことが可能です。
従業員は「職場で尊重されている」と感じられれば、高いモチベーションを保ちながら仕事に取り組めるでしょう。
感情報酬のメリット
企業が感情報酬を導入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?代表的なメリットとして「エンゲージメント向上」「離職防止」「モチベーション向上」を紹介します。
エンゲージメント向上
エンゲージメントは、従業員が企業に対して愛着や貢献意欲などを持っている状態をさします。感情報酬の提供が、従業員のエンゲージメント向上につながるのは、良好なコミュニケーションが生まれやすくなるためです。
賞賛・共感・尊重により職場にお互いを認め合う文化が生まれれば、従業員は自分の働く環境を好ましく感じるようになるでしょう。さらにこの環境をより良いものにしていこうと、積極的に貢献し始めることも期待できます。
一人ひとりの得意なことを生かしながら、全員で1つの目標に向かって行動していくチームワークも生まれやすくなるでしょう。
関連記事:従業員エンゲージメントとは?向上に役立つ施策や取り組むメリット
離職防止
厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果」で転職入職者が前職を辞めた理由を見ると、会社都合や定年退職などのその他の理由を除く個人的理由のうち、「その他の個人的理由」以外の個人的理由では、「職場の人間関係が好ましくなかった」が男女ともに最も高くなっています。
この調査結果からも、感情報酬によって良好な職場環境を構築できれば、離職防止につながることが分かります。
関連記事:【2025年版】若手社員の離職防止に効く5つの即効施策|自社のリスクもチェック!
モチベーション向上
感情報酬により良好なコミュニケーションが生まれると、モチベーション向上にもつながります。従業員同士の連帯感が強まることで、協力して成果を出そう、というモチベーションの向上が期待できるためです。
関連記事:社員のモチベーションが低いのはなぜ?|効果的な7つの対策をチェック
感情報酬導入のポイント
感情報酬をエンゲージメント向上や離職防止につなげるには、導入の仕方にポイントがあります。
上司による積極的な実践
まずは上司から、称賛・共感・尊重を実践しましょう。上司からのポジティブな働きかけが増えていけば、職場全体の雰囲気が変わっていきます。
日常的に実践する文化の醸成
感情報酬はノルマになると意義が失われてしまいます。形だけの称賛や共感は報酬にはならないためです。
制度だから褒めるのではなく良い部分を見つけて褒める、相手の悩みに共感するふりをするのではなく過去の自分が抱いていた悩みを思い出して寄り添う、といったことを日常的に意識するとよいでしょう。
サンクスカードや社内SNSなどの導入
気軽に感情報酬を与え合える環境を整えることもポイントです。例えばサンクスカードで感謝の気持ちを送り合うとよいでしょう。面と向かって感謝の気持ちを伝えるのが気恥ずかしくても、サンクスカードの形であれば伝えやすくなります。
また社内SNSで気軽に称賛や共感のやり取りを行うのも有効です。やり取りを共有することで、職場全体に称賛や共感し合う雰囲気が生まれやすくなることも期待できます。
感情報酬の注意点
感情報酬はエンゲージメント向上や離職防止に役立ちますが、導入には注意点もあります。効果を発揮するには、紹介する注意点を意識して導入するとよいでしょう。
称賛や共感の偏りに注意
いつも特定の従業員に対してだけ称賛したり共感したりしていれば、他の従業員の不満につながります。感情報酬を導入するときには、不公平感が発生しないよう配慮が必要です。
感情報酬の充実のみでは不十分
感情報酬は金銭報酬や地位報酬を補足する報酬です。感情報酬を増やせば金銭報酬や地位報酬を減らしてよい、というわけではありません。
感情報酬はマズローの欲求5段階説に当てはめると、4段階目の承認欲求にあたります。承認欲求を満たすには、1段階目の生理的欲求、2段階目の安全の欲求、3段階目の所属と愛の欲求が満たされていなければいけません。
極端に低い金銭報酬では、健康的な食事や安全に暮らせる家を確保できない可能性があります。どれだけ努力しても昇進できない企業では、帰属意識を感じにくいでしょう。
十分な金銭報酬と地位報酬がある上で、感情報酬を取り入れることが、エンゲージメント向上や離職防止につながります。
手取りアップとともにメッセージも伝わる「チケットレストラン」
エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、一定の利用条件下であれば所得税の非課税枠が活用できるため、従業員の実質的な手取りアップにつながります。
加えて現金で支給する給与やボーナスでは表現が難しい、メッセージ性を伝えられるのも特徴です。日ごろの感謝や健康への気遣いを示すことで、感情報酬の一環としても活用できます。
「チケットレストラン」のサービスの詳細や、実質的な手取りアップの仕組みについては、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。
感情報酬をプラスしてエンゲージメント向上につなげよう
感情報酬とは、従業員がポジティブに働ける環境を、仕事の対価として整えることです。具体的には、称賛する・共感する・尊重することで提供します。
ただし義務感から実践しても、感情報酬はうまく機能しません。日ごろから称賛や共感をし合う職場環境づくりがポイントです。
また食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」でも、従業員に感謝や健康への気遣いを伝えられます。感情報酬に取り組むときには、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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