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【税理士監修】大企業向け賃上げ促進税制が強化!新しい賃上げ促進税制を経済産業省の資料で確認

【税理士監修】大企業向け賃上げ促進税制が強化!新しい賃上げ促進税制を経済産業省の資料で確認

2025.01.29

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

大企業向け賃上げ促進税制とは、賃上げに取り組む企業の税額控除を行い、賃上げを促進する制度のことです。これまでの大企業向け賃上げ促進税制を確認した上で、2024年度の税制改正により、最大税額控除率が上がり強化された制度について確認していきましょう。

大企業向け賃上げ促進税制の概要をチェック

大企業向け賃上げ促進税制は、2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用される制度です。適用要件を満たすことで最大30%の税額控除を受けられます。

また中小企業向け賃上げ促進税制も設けられており、適用要件を満たせば最大40%の税額控除の対象となります。

参考:経済産業省|大企業向け「賃上げ促進税制」御利用ガイドブック

関連記事:大企業向け賃上げ促進税制を分かりやすく解説!中小企業向けとの違いも

2024年度税制改正で強化された賃上げ促進税制

2024年春闘では2023年を上回る賃上げが行われ、2025年春闘でも引き続き高い賃上げ率で交渉が行われることが、連合の発表から分かっています。ただし賃上げが実施されても、物価高の影響で実質賃金は下がっているという調査もあるようです。

国内がデフレから脱却するには、さらなる賃上げが必要であるとの判断から、2024年度の税制改正に盛り込まれたのが賃上げ促進税制の強化です。税額控除率が上がった他、適用期間が2024年4月1日から2027年3月31日までの間に開始する各事業年度と、3年間延長されました。

具体的にどのような強化が行われたのかを、経済産業省の資料を元に見ていきましょう。

参考:経済産業省|賃上げに取り組む経営者の皆様へ

全企業向け

全企業向け賃上げ促進税制は、青色申告を提出する全ての企業や個人事業主が対象となる制度です。以下に示す従業員の前年度の給与と比較した賃上げ率によって決まる税額控除率と、教育訓練費アップや子育てとの両立・女性活躍支援の取り組みを実施するといった上乗せ要件を満たすことでプラスされる税額控除率を合わせて、最大35%の控除を受けられます。

継続雇用者の給与等支給額の前年度比

税額控除率

+3%

10%

+4%

15%

+5%

20%

+7%

25%

2024年度の税制改正によって、+5%と+7%が新設されました。

中堅企業向け

これまでの賃上げ促進税制では、大企業向け・中小企業向けの2種類のみでしたが、2024年度の税制改正では中堅企業向けの賃上げ促進税制が新設されました。適用対象となる企業や個人事業主の要件は以下の通りです。

  • 青色申告を提出している
  • 従業員数が2,000人以下である

適用対象の企業が、定められた賃上げを行うと、以下の税額控除を受けられます。加えて教育訓練費アップや子育てとの両立・女性活躍支援の取り組みを実施すると、最大で35%の税額控除が可能です。

継続雇用者の給与等支給額の前年度比

税額控除率

+3%

10%

+4%

25%

中小企業向け

中小企業向けの賃上げ促進税制の対象となるのは、青色申告を提出している資本金1億円以下の法人や農業協同組合などの中小企業者か、従業員1,000人以下の個人事業主です。税額控除率もチェックしましょう。

全雇用者の給与等支給額の前年度比

税額控除率

+1.5%

15%

+2.5%

30%

併せて上乗せ要件である、教育訓練費アップや子育てとの両立・女性活躍支援に取り組めば、最大45%の税額控除を受けられます。

教育訓練費による税額控除率の上乗せ

賃上げ促進税制では、税額控除率の上乗せ要件も定めています。1つ目に紹介する上乗せ要件は教育訓練費です。

適用事業年度の教育訓練費が、当該年度の全雇用者の給与等支給額の0.05%以上であれば、前年度より教育訓練費を上げることによって、税額控除率を上乗せできます。

全企業向け・中堅企業向け・中小企業向けの、達成すべき教育訓練費の前年度比と、教育訓練費の増額により受けられる税額控除率の上乗せについてチェックしましょう。

 

教育訓練費の前年度比

税額控除率の上乗せ

全企業向け

+10%

5%

中堅企業向け

+10%

5%

中小企業向け

+5%

10%

参考:経済産業省|賃上げに取り組む経営者の皆様へ

くるみん認定・えるぼし認定による税額控除率の上乗せ

2024年の税制改正により、子育てとの両立・女性活躍支援を行うことによっても、税額控除率の上乗せを受けられるようになりました。

子育てとの両立・女性活躍支援による税額控除率の上乗せを受けるには、くるみん認定もしくはえるぼし認定を受ける必要があります。

全企業向け・中堅企業向け・中小企業向けの、上乗せ要件と税額控除率の上乗せは以下の通りです。

 

子育てとの両立・女性活躍支援の要件

税額控除率の上乗せ

全企業向け

プラチナくるみん
もしくは
プラチナえるぼし

5%

中堅企業向け

プラチナくるみん
もしくは
えるぼし3段階目以上

5%

中小企業向け

くるみん以上
もしくは
えるぼし2段階目以上

5%

参考:経済産業省|賃上げに取り組む経営者の皆様へ

関連記事:【税理士監修】くるみん認定・えるぼし認定で税制優遇!賃上げ促進税制の上乗せ要件とは

くるみん認定とは

くるみん認定は、2003年に制定された次世代育成支援対策推進法に基づき、2007年にスタートした国の認定制度です。企業の子育て支援への取り組みを評価する「くるみん」マークは、仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組む企業に付与され、社会的な信頼の証となっています。

認定を受けると「くるみん認定企業」として、従業員が安心して子育てできる職場環境の整備に取り組んでいる企業であることが公に認められます。

従業員の仕事と子育ての両立への取り組みを促し、社会全体の子育て環境の向上に貢献する制度です。

くるみん認定を受けるには、10の認定基準を満たしている必要があります。また特例認定基準を満たし、より高い水準の取り組みを行っていると認められた企業は、プラチナくるみん認定を受けることが可能です。

またくるみん認定の認定基準が、2025年4月1日から改正されます。申請するときには、必要な基準を満たしているか、よく確認しましょう。

参考:
厚生労働省 都道府県労働局|一般事業主行動計画を策定し、くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!!!
厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)|令和7年4月1日から新たな10年がスタート!次世代育成支援対策推進法の改正に伴い、くるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準が改正されます

関連記事:えるぼしとくるみんの違いを徹底解説!認定基準やメリットを比較

えるぼし認定とは

えるぼし認定は、2015年に制定された女性活躍推進法に基づき、職場における女性の活躍推進に向けた取り組みを評価・認定する国の制度です。採用や管理職登用など、複数の評価基準を満たすことで「えるぼし」マークが付与されます。

職場における女性の活躍状況が優良な企業を「えるぼし認定企業」として認定し、取り組みを広く周知することで、女性がより活躍できる環境整備を推進する制度です。

認定を受けるために必要な5つの評価項目を、どの程度満たしているかといった基準により「プラチナえるぼし」「えるぼし(3段階目)」「えるぼし(2段階目)」「えるぼし(1段階目)」の4種類に分類されます。

参考:厚生労働省|えるぼし認定、プラチナえるぼし認定

関連記事:えるぼし認定とは?認定企業となるメリットや申請手順を確認

中小企業が活用できる5年間の繰越税額控除制度

5年間の繰越税額控除制度は、2024年の税制改正で新設された制度の1つです。賃上げ促進税制の適用企業が要件を満たすと、大企業・中堅企業は最大35%、中小企業は最大45%の税額控除を受けられます。

ただし企業によっては、該当年度の税額より税額控除額の方が高いこともあるでしょう。このときに5年間を上限に、控除しきれなかった税額控除の金額を繰り越せるようになりました。

例えば賃上げ促進税制の適用年度に赤字となり法人税額が0円の場合、その年は税額控除ができません。

翌年に法人税が課された場合には、繰り越した税額控除の金額を相殺できます。それでも税額控除額が残った場合にはさらに翌年に繰り越す、というように最大5年間繰り越せる制度です。

参考:
経済産業省|賃上げに取り組む経営者の皆様へ
国税庁|1 賃上げ促進税制の見直し

マルチステークホルダー方針の公表と届出

マルチステークホルダー方針とは、企業をはじめとする法人のステークホルダーとの関係構築の方針を示したもののことです。例えば従業員の賃金引き上げや教育訓練などの他、取引先との関係を適切に築くための方針などを示します。

マルチステークホルダー方針の公表と届出が必要な事業者と、手続きの手順を見ていきましょう。

参考:経済産業省|賃上げに取り組む経営者の皆様へ

公表と届出が必要な事業者

マルチステークホルダー方針の公表と届出が必要なのは、全企業向けか中堅企業向けで賃上げ促進税制を活用する、以下に当てはまる企業や個人事業主です。

利用する賃上げ促進税制

マルチステークホルダー方針の公表と届出が必要な企業

全企業向け

・適用事業年度終了時点で「資本金か出資金の額が10億円以上で常時使用する従業員数が1,000人以上」もしくは「常時使用する従業員数が2,000人以上」の法人
・適用年の12月31日に常時使用する従業員数が2,000人超の個人事業主

中堅企業向け

・適用事業年度終了時点で資本金か出資金の額が10億円以上で常時使用する従業員数が1,000人以上の法人

手続きの手順

マルチステークホルダー方針の公表と届出の手順は、以下の5ステップです。

順序

手続きの内容

1

「パートナーシップ構築宣言」を「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトへ掲載する

2

マルチステークホルダー方針を作成し、適用法人または個人のWebサイトに、法人は適用事業年度終了の日までに、個人事業主は適用年の12月31日までにまでに公表する

3

「gBizIDプライム」のアカウントを取得する

4

マルチステークホルダー方針を公表した旨をGビズフォームで届け出る

5

確定申告時に確定申告書類に受理通知書の写しを添付する

参考:経済産業省|全企業向け・中堅企業向け賃上げ促進税制

賃上げ促進税制を活用するメリット

賃上げ促進税制を活用することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?代表的なメリットとして、賃上げのコストを抑えられることと、人材採用や人材定着につながることを解説します。

税負担を抑えられる

物価上昇を背景に賃上げの動きが広がっている中、従業員の賃上げに取り組みたいと考えていても、思うように進められていない企業もあるでしょう。

賃上げ促進税制を活用すれば税額控除により税負担を抑えられます。賃上げによるコスト上昇を税負担の軽減でカバーできるため、賃上げに取り組みやすくなるでしょう。

人材採用や人材定着につながる

賃上げは人材採用や人材定着につながる取り組みです。賃上げ促進税制の税額控除により賃上げを実施しやすくなれば、従業員を他社より高い待遇で雇用できます。

採用時には応募が集まりやすくなることが期待できますし、今いる従業員がより良い待遇を求めて転職することを避けられるでしょう。

関連記事:【社労士監修】人材定着率とは何か?計算方法や人材定着率を上げる施策を解説

賃上げ促進税制のFAQ

賃上げ促進税制について、よくある質問とその回答を紹介します。

継続雇用者とは?

全企業向け・中堅企業向けの賃上げ促進税制では、税額控除を受けるための要件として「継続雇用者の給与等支給額の前年度比が一定以上であること」を定めています。

ここで出てくる継続雇用者とは、適用事業年度とその前年度の全ての期間に、給与等の支給を受けている国内雇用者のことです。加えてこの期間内に雇用保険の一般被保険者であり、高年齢者雇用安定法に定めている継続雇用制度の対象者でないことも満たしている人をさします。

社会保険適用促進手当は賃上げ促進税制の対象になる?

社会保険適用促進手当とは、年収の壁を意識して勤務調整をしていたパートやアルバイトが、社会保険適用となっても手取りが大幅に減少しないよう、企業が支給する手当のことです。

社会保険適用促進手当は給与等支給額に含まれるため、賃上げ促進税制の対象になります。

関連記事:【社労士監修】社会保険適用促進手当とは?「年収の壁」対策を解説

奨学金の代理返還の費用は賃上げ促進税制の対象になる?

企業によっては福利厚生の一環として、従業員の奨学金を代理返還しているケースもあるでしょう。

この代理返還にかかる費用は、賃上げ促進税制の給与等支給額に含まれます。基本給の賃上げに取り組んでいない場合でも、対象になる可能性があるためチェックしましょう。

福利厚生を支給する第3の賃上げも検討しよう

エデンレッドジャパンでは、定期昇給を「第1の賃上げ」、ベースアップを「第2の賃上げ」としたとき、福利厚生サービスを活用した賃上げを「第3の賃上げ」と定義しました。

賃上げに取り組むときには、定期昇給やベースアップに取り組むと同時に、エデンレッドジャパンが提案する福利厚生サービスを活用する「第3の賃上げ」にも取り組むとよいでしょう。

定期昇給やベースアップを行うと税金の負担が増えるため、従業員が賃上げを実感しにくいことがあります。

一方、福利厚生サービスを活用する「第3の賃上げ」であれば、非課税枠運用ができ同額の支給であれば、定期昇給やベースアップより実質的な手取り額を増やせます。

第3の賃上げ」に取り組むなら、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できるため、対象となる全ての従業員が公平に利用できるメリットがあります。

実際に導入した企業からは「従業員満足度アップにつながった」「人材定着の効果が期待できる」といった声もあがっています。

関連記事:“福利厚生”で実質手取りアップと高いエンゲージメントの実現を「#第3の賃上げアクション」プロジェクト

賃上げ促進税制を活用し賃上げに取り組もう

2025年も引き続き多くの企業が賃上げに取り組む見込みです。ただし中には、賃上げによるコスト増を十分に価格転嫁できていない企業もあるでしょう。経営状況によっては、最低賃金を支給するのが精いっぱいというケースもあるかもしれません。

厳しい状況の中で賃上げに取り組むには、賃上げ促進税制を活用するとよいでしょう。必要な要件を満たせば、大企業や中堅企業は最大35%、中小企業は最大45%の税額控除を受けられます。

また併せて福利厚生サービスを活用する「第3の賃上げ」に取り組むのもよいでしょう。例えば食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を支給すれば、同額の賃上げよりも実質的な手取り額を増やせます。

第3の賃上げ」に取り組むなら「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。

参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~

「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!

新キャンペーンのお知らせ:従業員の生活支援に!「第3の賃上げ」導入応援キャンペーン開始 ~食事補助サービス「チケットレストラン」で“手取りアップ”を実現~

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