夜食代の経費処理、まず押さえる大原則
従業員への夜食代を経費として処理する際、まず判断の軸になるのは「支給方法」です。同じ夜食代でも、現物で支給するか、現金で渡すかによって、福利厚生費として処理できるケースと、給与として課税されるケースに分かれます。
根拠となるのは国税庁 No.2594(所基通36-38の2)です。
出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
夜食代の経費判断早見表
以下に整理します。
| ケース |
支給方法 |
経費処理 |
備考 |
| 残業従業員への夜食 |
現物支給 |
◯非課税 |
全額企業負担でも非課税 |
| 残業従業員への夜食 |
現金支給 |
×原則課税 |
全額給与課税 |
| 深夜勤務者(残業) |
現金支給 |
◯1食税別650円以下なら非課税 |
現物支給困難な場合のみ適用 |
| 夜勤者(通常夜間に勤務) |
現物支給 |
◯2条件を満たせば非課税 |
残業特例は不可 |
関連記事:【税理士監修】食事手当は現物支給で所得税が非課税に。導入のメリットをチェック
残業時の夜食代は「現物支給」と「現金支給」で扱いが違う
両者の違いを説明します。
現物支給(弁当・仕出し等)の場合:非課税
残業中に弁当や仕出し料理を手配して従業員に提供する場合、全額を企業が負担しても給与課税は発生しません。「残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよい」と国税庁 No.2594 に明示されています。
また、実務では以下の点に注意が必要です。
- 対象者は全従業員:特定の役員や従業員に限定すると給与課税リスクあり
- 金額は社会通念上妥当に:高額な食事は福利厚生費として認められない
- 飲酒は不可:アルコールを含む飲食は対象外
- 証拠の保管:タイムカードなどの残業記録と領収書をセットで保管
現金支給の場合:給与課税
残業時の夜食代を現金で従業員に渡す場合、原則として全額が給与として課税されます。「食事手当」として給与に上乗せするケースや、従業員が立替払いして後日精算するケースも同様です。
深夜勤務者への現金支給の場合:特例の範囲で非課税
現金支給が例外的に認められるケースがあります。「深夜勤務者に夜食の現物支給が困難な場合」に限り、1食あたり税別650円以下の金額を現金支給しても給与課税されないという特例です(昭和59年直法6-5通達ほか)。
適用条件:
- 対象は「深夜に残業が発生した従業員」であること
- 現物支給が困難な状況であること
- 1食あたり税別650円以下であること(令和8年4月1日以降に適用、改正前税別300円以下)
通常の夜間勤務(夜勤)には適用されないことがポイントです。
出典:国税庁|「深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭に対する所得税の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)
夜勤者(通常夜間に勤務)への夜食:食事補助非課税の2条件を適用
通常の夜間勤務者への食事支給は、残業時の特例(1食 税別650円以下)の対象外です。非課税とするには、通常の食事補助と同じく、以下の2条件を満たす必要があります。
食事補助非課税の2条件(国税庁 No.2594)
- 従業員が食事代の半額以上を負担していること
- 企業の補助額が月額7,500円(消費税・地方消費税を除く)以下であること
この月額7,500円という上限は、2026年4月1日に施行された改正後の金額です。それ以前は月額3,500円が上限でした。
なお、非課税の適用は現物支給が前提です。現金で食事代を渡す場合は、2条件を満たしていても全額給与課税となります。
出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
役員への夜食支給、何が問題になるか
役員への夜食支給は、従業員以上に注意が必要です。
特定役員のみへの支給はリスクが高い
全従業員を対象にした夜食支給制度の枠外で、特定の役員にのみ夜食を提供する場合、役員賞与または給与として課税される可能性があります。役員への経済的利益の供与とみなされるためです。
全従業員対象の制度に役員が含まれる形であればOK
一方、役員であっても全従業員共通の制度として支給されるのであれば、従業員と同様に福利厚生費として処理できます。特定の役員だけを優遇せず、役員・従業員の全員を対象とした「一律のルール」を設けることが、実務上重要です。
残業時の夜食支給を「制度として整備する」には
従業員が食事を自由に選べる形にしたい場合は、食事補助サービスの活用が現実的な選択肢です。「チケットレストラン」のような食の福利厚生サービスを使えば、現物支給が難しい環境でも、食事補助の非課税枠をフル活用できます。
非課税の条件は2つ。企業の補助額が月額7,500円(税別)以下、かつ従業員が食事代の半額以上を自己負担していることです。
月額7,500円は2026年4月改正後の上限額で(改正前3,500円)、年間に換算すると最大90,000円が非課税対象となります。同額を現金で賃上げした場合と比べると、所得税等の負担が生じない分、従業員の手取りへの実質的な効果は大きくなります。
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:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
夜食の経費計上にまつわるFAQ
Q. 従業員が自分でコンビニで買った夜食は経費にできる?
A. 従業員が立替払いして後日精算するケースは、現物支給にあたらないため給与課税の対象です。非課税にするには、企業が直接手配・支給する必要があります。
Q. 在宅勤務中の残業時の夜食代は?
A. 企業が直接手配できないケースが多く、現金支給になりやすいため原則給与課税です。コンビニ等で使える食事補助サービス(例:「チケットレストラン」)を導入すれば、在宅勤務者にも非課税で対応できます。
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残業時の夜食は、現物支給なら全額経費計上が可能です。従業員が食事を自由に選べる仕組みをつくりたい場合は、食事補助の非課税枠を活用したサービスの導入が現実的な選択肢です。
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