福利厚生を充実させるにあたって、「本当に自社に効果がある制度は何か」を見極めることが重要です。
本記事では、福利厚生のメリット・デメリットを整理し、自社に合った制度を選ぶ基準と充実させる具体的な方法を解説します。人材獲得競争を勝ち抜くために、お役立てください。
福利厚生は2種類
福利厚生とは、企業が従業員とその家族の働きやすさや生活向上のために提供する、給与以外の報酬やサービスの総称です。
福利厚生は大きく「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に分けられます。
法定福利厚生:企業の最低ライン
法定福利厚生は、法律で企業に提供が義務付けられている福利厚生です。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 子ども・子育て拠出金
これらは従業員を雇用する以上、必ず提供しなければならない最低ラインの福利厚生と言えます。
関連記事:福利厚生制度とは?種類別ランキングや最低ラインと良い基準を解説
法定外福利厚生:企業の個性を表現
法定外福利厚生は、企業が独自に設計・提供する福利厚生です。
- 住宅手当
- 食事補助
- 特別休暇
- 資格取得支援
- 健康支援
上記が代表例で、内容は企業の裁量で自由に決められます。
福利厚生を導入する5つのメリット
福利厚生の充実は、企業経営にさまざまなプラス効果をもたらします。
メリット1:人材採用力の強化
福利厚生は採用活動における訴求ポイントの一つです。大和ライフネクスト株式会社が2025年卒の就活生を対象に実施した調査(2024年7月実施)では、44.3%の学生が企業選びで「福利厚生が整っている」ことを重視していると回答しました。
同じ給与・業務内容であれば、福利厚生が充実している企業が選ばれる時代です。企業らしさが光る福利厚生制度は、採用活動における強力なアピールポイントになります。
出典:大和ライフネクスト株式会社|2025年卒・Z世代の就活トレンド 学生400人を調査「社員寮」に関する学生の意見とは?
メリット2:従業員満足度・エンゲージメントの向上
福利厚生の充実は、従業員が職場で働きやすさを実感できるかどうかに直結します。例えば、休暇が取得しやすい環境、住宅手当による経済的なゆとり、食事補助による負担軽減などは、日々の仕事と生活の質を高める要素です。
働きやすい環境で自身の能力を十分発揮できる従業員は、自らの貢献が組織の成長につながっていることをより強く認識することができます。この認識が組織への愛着、すなわちエンゲージメントを深め、結果として従業員の長期的な定着に寄与します。
メリット3:生産性の向上
福利厚生の充実によって、十分な休養をとり、規則正しい生活を送れるようサポートできれば、従業員の健康維持が可能です。メンタルヘルスのカウンセリング、ジムなど運動設備、健康への意識を促す食事補助などの福利厚生は、心身の健康増進を支援します。
従業員の健康を維持・増進することは、生産性向上につながります。逆に従業員の身体や心の不調は、本人だけでなく職場の仲間や上司にも悪影響を及ぼし、生産性低下の要因となるでしょう。
メリット4:企業の社会的信用度の向上
福利厚生の充実は、企業の対外的な信頼性向上にも寄与します。
福利厚生への社会的注目度は年々高まっており、充実した福利厚生は安定した経営基盤の証しです。また、健康経営や従業員重視の経営姿勢を示すことで、取引先や投資家からの評価向上も期待できるでしょう。
メリット5:節税効果
福利厚生費は、一定の要件を満たせば損金算入でき、法人税の節税効果があります。
法定福利厚生は原則として法定福利費として経費計上が可能です。一方、法定外福利厚生を福利厚生費として計上するには、以下の要件を満たす必要があります。
法定外福利厚生が福利厚生費として認められる要件は以下です。
- 福利厚生の目的で提供すること
- 全ての従業員が対象であること
- 社会通念上妥当な金額であること
- 現金や換金性の高いものではない形で提供すること
要件を満たした住宅補助や食事補助は所得税が非課税となるため、企業にも従業員にもメリットがあります。
関連記事:【税理士監修】福利厚生費は全て非課税?導入時には課税・非課税の要件をチェック
福利厚生4つのデメリット
福利厚生導入時には、慎重に検討すべきデメリットや課題もあります。
デメリット1:費用負担がかかる
福利厚生の充実には、当然ながら費用がかかります。新しく制度を導入するごとに、企業の負担は増えていくでしょう。
特に法定福利厚生費の増加が企業を圧迫しています。東京商工リサーチの調査(2025年4月公表)によると、企業が負担する法定福利費は5年間で11.6%上昇しました。法定福利厚生は法律で義務付けられているため、法定外福利厚生にかける予算が限られてしまうケースもあります。
出典: 東京商工リサーチ|企業が負担する法定福利費は5年間で1割上昇 宿泊業は55.6%増、コロナ禍から反転し急増
デメリット2:管理負担がかかる
福利厚生を充実させると、管理が煩雑になります。それぞれの福利厚生制度で事務が異なるため、申請書類の作成、受付、利用機関とのやりとり、利用後の処理など、作業は膨大です。
利用が増えて嬉しい一方で、担当者の負担は大きくなります。運用負担の大きさから、福利厚生の導入・充実を見送るケースもあります。
デメリット3:全ての従業員ニーズに応えるのは難しい
従業員の多様なニーズに応える福利厚生の提供は容易ではありません。従業員数が多い企業ほど、利用する人としない人の間で不公平感が生じやすくなります。「使いたい制度がない」「自分は利用できない」といった不満が、従業員満足度を高めるはずの福利厚生を、かえって企業への不満へと変えてしまう可能性があります。
デメリット4:税制上の要件を満たす必要がある
法定外福利厚生を手厚くする際に注意したいのは、従業員の福利厚生のために使った場合でも、福利厚生費として経費にできないケースがある点です。
福利厚生の原則として、従業員に対して「均等待遇」であること、提供される待遇が「社会通念上相当」でなければならず、原則から外れた福利厚生は税法上、福利厚生費として認められません。
福利厚生がいい企業とは?良い基準を解説
「福利厚生が充実している」とは、企業の意識が従業員に向いている状態のことです。つまり法定外福利厚生が充実しており、従業員にとって働きやすい環境が用意されていることを指します。
良い福利厚生を見極めるには、「量」と「質」の2つの視点が必要です。
量的な充実度:適切な金額か
日本経済団体連合会の調査(2019年度)によると、企業が従業員1人に支出する法定外福利費は月額24,125円です。
項目別の内訳は以下の通りです。この数字と比較することで、自社の福利厚生の充実度を客観的に評価できます。
従業員1人あたりの法定外福利厚生費(月額)
| 分類 | 金額(月額) |
| 住宅関連 | 11,639円 |
| 医療・健康 | 3,187円 |
| ライフサポート | 5,505円 |
| 慶弔関係 | 514円 |
| 文化・体育・レクリエーション | 2,069円 |
| 共済会 | 272円 |
| 福利厚生代行 | 309円 |
| その他 | 629円 |
| 合計 | 24,125円 |
質的な充実度:本当に役立っているか
従業員に支持される福利厚生は、以下のようなポイントを満たします。
利用しやすさ
制度があっても「使いづらい」「申請が面倒」では利用されません。気兼ねなく使える雰囲気づくりも大切です。
誰でも使える公平さ
特定の従業員だけが恩恵を受ける制度は不満を生みます。年齢・性別・雇用形態にかかわらず、誰もが等しく利用できる設計が必要です。
実生活で役立つ内容
従業員が「あると助かる」と実感できる制度が支持されます。住宅費・食費といった固定費の軽減や、休暇による時間確保など、具体的なメリットがあるものを選びましょう。
従業員ニーズとの合致
実際に従業員はどのような福利厚生を求めているのでしょうか。人気の福利厚生ランキングを見てみましょう。
人気の福利厚生ランキング
近年、どのような福利厚生が人気なのでしょうか。第一生命が運営する「いちラボ」が実施した従業員数500名以下の企業の従業員へのアンケート結果(2025年2月実施、有効回答1,114件)は以下の通りです。
| 順位 | 福利厚生の種類 | 満足度 |
| 1位 | 退職金制度 | 32.4% |
| 2位 | 家賃補助や住宅手当の支給 | 27.4% |
| 3位 | 特別休暇(リフレッシュ休暇、ボランティア休暇など) | 16.6% |
| 4位 | 保養所やレクリエーション施設などの優待利用 | 9.9% |
| 5位 | 外部飲食店で利用できる食券などの配布 | 7.7% |
従業員に人気の福利厚生は「退職金制度」「家賃補助」「特別休暇」です。生活費の負担を軽減する経済的支援と、休暇を取りやすくするワーク・ライフ・バランスの両方が求められています。また、外部飲食店で使える食事補助も支持を集めています。
出典:いちラボ|2025年の福利厚生制度ランキング!社員が選んだ人気の制度を発表!
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代行型サービス活用で効率的に福利厚生を充実
費用や管理の負担を抑えながら福利厚生を充実させたいなら、福利厚生代行サービスが効果的です。
代行型サービスの主なメリット
代行型サービスの導入で得られるメリットは以下です。
- コストが明確:従業員1人あたり月額の費用が事前に把握しやすい
- 管理負担の軽減:代行業者に管理や運営を委託できる
- 多様な選択肢:健康増進・食事補助・家事育児支援など幅広いサービスから選べる
- 利用状況の把握:実績レポートで従業員ニーズや改善点をチェックできる
自社で複数の制度を個別に運用する場合と比べると、福利厚生の内容、人件費、管理業務の面で費用対効果が高まる可能性があります。
93%の満足度!食の福利厚生サービス「チケットレストラン」
食事補助を導入するなら、従業員の利用率や満足度の高さに注目しましょう。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、導入企業で98%の利用率、93%の従業員満足度を実現している食事補助の福利厚生サービスです。
チケットレストランの特徴
利用にあたって、全国25万店舗以上の飲食店やコンビニで使える専用ICカードを従業員に配布します。企業と従業員がそれぞれ月額3,500円(税抜)ずつ負担することで、勤務中のランチやおやつが実質半額になります。
企業側のメリット
企業負担分は福利厚生費として経費計上できます。運用は月1回のチャージ作業だけでよく、一人で多くの業務をこなす担当者の負担を最小限に抑えられます。少額からトライでき、企業規模を問わず導入しやすい点も魅力です。
従業員側のメリット
「チケットレストラン」は、一定の利用条件下において所得税が非課税となる要件を満たす設計ができるため、従業員の給与として課税されません。
したがって、実質的な手取りアップにつながります。また、勤務地を問わず全国で利用でき、多様な働く環境の実現をサポートします。
戦略的な福利厚生で企業力を高める
福利厚生は、人材採用・定着・生産性向上という経営課題に同時にアプローチできる強力なツールです。一方で、費用負担・管理の手間・公平性の確保という課題もあります。
重要なのは、自社が抱える課題と従業員のニーズを正確に把握し、最適な制度を選択することです。福利厚生代行サービスの活用や、非課税枠を活用した食事補助など、デメリットを抑えながら効果を高める方法があります。
食事補助の導入を検討されているなら、全国25万店舗以上で利用でき、導入企業で98%の利用率を誇る「チケットレストラン」が選択肢の一つです。導入実績3,000社以上、企業規模を問わず導入しやすいサービスとなっています。
福利厚生の充実は、優秀な人材が長く活躍できる組織づくりへの投資です。企業と従業員がともに成長できる環境を整えていきましょう。
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エデンレッドジャパンブログ編集部
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