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【税理士監修】2026年度「税制改正大綱」スケジュールをポイント解説

【税理士監修】2026年度「税制改正大綱」スケジュールをポイント解説

2025.12.11

監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

2026年度(令和8年度)の税制改正大綱は、2025年12月中旬に公表される見込みです。控除額の変更や福利厚生に関する改正があれば、給与計算システムの改修や社内制度の見直しが必要になります。企業側は税制大綱公表後すぐに対応を始める必要があるため、スケジュールの把握が欠かせません。

本記事では、2026年度税制改正大綱がいつ公表され、どのような流れで決まっていくのかを解説します。

税制改正大綱とは?

税制改正大綱とは、どのようなもので、どういった意味を持つのかについて説明します。

翌年度の税制改正の方針をまとめた文書である

税制改正大綱は、「翌年度以降の税制をどのように変えていくか」を示した原案・方針をまとめた文書です。12月の公表時点では条文がない状態ですが、この大綱をもとに財務省(国税)や総務省(地方税)が法律案を作成します。

税制改正大綱の公表内容は、そのすべてが必ずしもそのまま法律として成立するわけではなく、国会審議の過程で変更や見送りされる可能性も残されています。しかし、12月に公表された内容は実務上の取り扱いにおいて、ほぼ確定事項として進められるのが通例です。そのため、この段階での情報収集と把握が非常に重要となります。

経済社会の変化に対応するため毎年見直される

税制は、その時々の経済状況や政策課題に応じて毎年見直されます。近年の改正を見ると、賃上げ支援、少子高齢化対策、デジタル化推進、環境対策など、時代の要請を反映した内容が盛り込まれていることがわかります。

例年、予算編成作業と並行して税制改正の作業が実施されています。

2026年度税制改正大綱にまつわるスケジュール

実際のスケジュールは下表の通りです。

時期 主な動き
〜8月中 各省庁・業界団体が要望を準備
8月末頃 各省庁・業界団体が税制改正要望を提出
9月〜10月頃 財務省・政府税制調査会で要望内容を議論
11月〜12月頃 与党税制調査会での最終調整
12月中旬 与党税制改正大綱を取りまとめ・閣議提出
12月下旬 内閣が閣議決定し、政府が「税制改正の大綱」を発表
1月〜2月頃 政府が税制改正法律案を国会へ提出
3月頃 国会で審議・法案成立・改正法の公布
4月1日 改正税法施行

2026年度税制改正で押さえたい3つの重要日程

税制改正対応として、企業にとって区切りとなる日程を確認します。

12月中旬:税制改正大綱の公表

例年12月15日前後に公表されます。2026年度についても、2025年12月15日頃に公表される見込みです。この時点で翌年度の改正内容がほぼ確定するため、企業の各担当者はすぐに影響分析を開始する必要があります。

1〜2月:法案の国会提出

閣議決定された内容をもとに、財務省と総務省が法案を作成し、通常国会に提出します。この段階で条文が完成し、具体的な適用要件が明らかになります。

4月1日:改正税法の施行

原則として4月1日から新しい税制が施行されます。給与計算システムの改修や社内規程の見直しは、3月末までに完了させておく必要があります。

出典:財務省|税制改正のプロセスについて教えてください。

2026年度各省庁による税制改正要望

2025年8月には、各省庁や業界団体が、財務省や総務省に税制改正要望を提出しています。2026年度の税制改正要望については、8月29日時点で各省庁から合計215項目の要望が提出されました。最も多いのは国土交通省の41項目、次いで経済産業省の38項目です。

令和8年度税制改正要望の状況について

府省庁 要望項目数 廃止・縮減項目数
内閣官房 2 0
内閣府 14 0
警察庁 2 0
金融庁 23 0
こども家庭庁 5 0
復興庁 5 11
総務省 6 0
法務省 5 0
外務省 1 0
財務省 7 0
文部科学省 12 0
厚生労働省 22 0
農林水産省 22 5
経済産業省 38 2
国土交通省 41 5
環境省 6 0
防衛省 4 0
合計 215 23

※各府省庁の項目数には重複しているものも含む。

出典:財務省|令和8年度税制改正要望の状況について
出典:財務省|税制改正の概要

2026年度税制改正の注目ポイント

2026年度の税制改正では、さまざまな論点が挙げられています。いずれも現時点では「要望・論点」の段階であり、2025年末の税制改正大綱でどこまで盛り込まれるかがポイントです。

税制改正は企業の実務に直接影響します。たとえば2025年度の改正では基礎控除が引き上げられ、給与計算システムの改修や従業員への説明対応が必要になりました。2026年度の改正でも同様の対応が見込まれるため、早めの情報収集が欠かせません。

以下では、企業の人事担当者や従業員の生活に影響しやすいトピックを紹介します。

「年収の壁」の引き上げ・所得控除の動向

「年収の壁」については、物価上昇を考慮し、基礎控除の増額を通じた引き上げが検討されています。国民民主党は178万円への引き上げを提言し、自民党と国民民主党は、日本維新の会、公明党を加えた4党で協議を進める方針で合意しています。

控除額が変わると、パート・アルバイト従業員の働き方にも影響が出る可能性があります。

出典: 読売新聞|「年収の壁」「住宅ローン減税」「NISA」など議論へ…自民税調、税制改正に向け論点整理

租税特別措置の見直し

租税特別措置(租特)とは、特定の政策目的を達成するために一定期間設けられる税制上の優遇措置です。企業が活用している賃上げ促進税制や中小企業投資促進税制などが該当します。

担当室は財務省や総務省と連携し、これまでの会計検査院や行政事業レビューの指摘を踏まえて点検作業を進めます。2026年度予算編成や税制改正から見直しの成果が反映され始める見込みです。

企業が活用している税制優遇措置が見直されれば、税負担の変化につながる可能性があります。

出典:毎日新聞|無駄な歳出見直し 新設の担当室、実効性に注目 本格反映は27年度か
出典:日本経済新聞|企業減税・補助金見直しへ政府初会合、意見公募を年内にも

食事補助に関する福利厚生費の非課税枠引き上げ

食事補助の非課税枠は、現在従業員1人あたり月額3,500円(税別)が上限です。企業が半額を負担し、従業員も同等以上を負担すれば、企業は福利厚生費として経費計上でき、従業員は所得税の課税対象外となります。

経済産業省が「令和8年度税制改正要望」にこの非課税枠の引き上げを明記しており、実現すれば企業は食事補助を増額しても従業員の手取りを減らさずにすみます。採用・定着施策として活用しやすくなる点で、人事担当者にとってインパクトの大きい論点です。

出典:Yahoo!ニュース|食事補助の非課税限度額引き上げを! 経済産業省が「税制改正要望」に食事補助制度の見直しを明記
出典:エデンレッドジャパン|「食事補助」非課税上限の引き上げに向け、 政府へ要望書を提出

NISA(少額投資非課税制度)の18歳未満へ対象拡大

NISA(少額投資非課税制度)の「つみたて投資枠」について、18歳未満の子どもも対象に含める方向での検討が進んでいます。金融庁は、子ども家庭庁と連携して要望を出しました。

実現すれば世帯単位での長期積立投資がしやすくなり、従業員が家族全体で資産形成に取り組む選択肢が広がります。

出典:Yahoo!ニュース|NISA「つみたて投資枠」18歳未満にも適用拡大へ 来年度税制改正に向けて政府・与党が検討
出典:日本経済新聞|金融庁がNISA対象商品を拡大、全世代が使いやすく 税制要望を公表

税制改正大綱やそのスケジュールにまつわるよくある質問

税制改正大綱の理解に役立つ質問と答えをまとめます。

Q1:税制改正の最新情報を入手する方法は?

A:財務省の「税制改正の概要」ページ、国税庁ホームページの税制改正通達、各省庁の解説資料が公式の情報源となります。

2025年末に発表される「税制改正の大綱」はボリュームが多い資料となるため、事前に「税制改正の大綱の概要」というダイジェスト版で要点を把握すると効率的です。

Q2:2026年度税制改正大綱は何月何日に公表されますか?

A:例年12月15日前後に公表されます。2026年度についても、2025年12月中旬の公表が見込まれます。

Q3:2026年度税制改正大綱はいつ施行されますか?

A:原則として、2026年4月1日に施行されます。ただし、法令の一部について、別日であったり段階的に施行されることがあります。

Q4:2026年度税制改正大綱発表後、企業はいつから対応すればよいですか?

A:12月中旬の公表直後に影響分析を開始し、年明けから3月上旬までにシステムや社内規程の改修を完了させるのが望ましいです。

Q5:税制改正大綱と法律案の関係は?

A:税制改正大綱は法案の原案です。12月に税制改正の大綱が発表、1〜2月に法律案の国会提出、3月末に法案可決、4月1日に施行される流れとなります。

Q6:税制改正大綱の内容はすべて法律になりますか?

A:税制改正大綱の内容すべてが法律になるわけではありません。国会審議の過程で先送りや見直しが行われる可能性もあります。ただし、12月に公表される段階で実務上はほぼ確定されたものとして扱われます。

2026年度税制改正大綱発表に向けて準備

2026年度税制改正大綱は、2025年12月中旬に公表される見込みです。企業の担当者は公表後すぐに内容を確認し、給与計算や福利厚生制度への影響を把握しておきましょう。

2026年度の注目論点の一つに、食事補助の非課税枠引き上げがあります。現行制度でも、月額3,500円(税別)までの食事補助は非課税で運用できます。

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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和

フリーター(塾/家庭教師、コンビニ店員、ビル掃除、 宅配便配送員、自販機ベンディング作業、駅構内配送など)、コンサルティング会社・通販会社にて勤務を経て、税理士を目指し、今に至る。1級FP や日商簿記1級、宅建資格も持ち、幅広い視野と知見でサポートしています。
舘野義和税理士事務所
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