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【社労士監修】改正物流法はいつから?施行スケジュールと目的をチェック

【社労士監修】改正物流法はいつから?施行スケジュールと目的をチェック

2025.09.26

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

改正物流法とは「改正貨物自動車運送事業法」および「物流効率化法」のことです。これらの法律は2024年問題対策として改正されました。具体的にどのような改正が行われて、いつから施行されるのでしょうか?改正内容と施行スケジュールをチェックしましょう。

改正物流法とは

改正物流法とは「改正貨物自動車運送事業法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律)」と「物流効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)」のことです。

2つの法律はなぜ改正されたのでしょうか。改正物流法の目的である、2024年問題への対策について解説します。

関連記事:【社労士監修】改正貨物自動車運送事業法のポイント。2024年問題との関連は?

目的は2024年問題による人手不足への対策

2024年4月から、自動車運転の業務にも時間外労働の上限規制が適用されました。以前から人材不足が進んでいた物流・運送業界で、時間外労働の上限規制の適用により引き起こされるさまざまな不具合の総称が2024年問題です。

時間外労働の上限規制後も、それ以前の稼働時間を維持するには、より多くのドライバーを確保する必要があります。「物流の2024年問題対応状況調査結果」によると、62.3%の企業が「ドライバーが不足している」と回答したそうです。

ドライバーが不足すれば、これまでよりも運べる荷物の量が少なくなります。輸送量が減れば物流が滞りかねません。

帝国データバンクの調査によると、2024年4~7月の輸送量は前年の同時期より増加しています。ただしこの先も人材不足が続けば、輸送力の低下が起こりかねない状況です。

これらの状況を改善し物流の持続的成長を実現するのが、改正物流法の目的です。

関連記事:【2024年問題】人材不足にどう対応する?想定されるリスクと対策

参考:
厚生労働省|時間外労働の上限規制|時間外労働の上限規制わかりやすい解説
全日本トラック協会|物流の2024年問題特設ページ|物流の2024年問題対応状況調査結果
帝国データバンク|物流の2024年問題の現在地、貨物輸送量はこれまでと同水準を維持!?

物流効率化法で定められている内容と施行時期

物流の持続的成長に向けて「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」が「物資の流通の効率化に関する法律(物流効率化法)」に名称を変えて、改正されました。

物流効率化法は、荷主(発荷主・着荷主)と物流事業者(トラック・鉄道・港湾運送・航空運送・倉庫)へ「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」「積載効率の向上等」に向けた措置を実施するよう定めた法律です。

関連記事:物流2024年問題の現状は?時間外労働の上限規制適用から1年の状況

参考:全日本トラック協会|貨物自動車運送事業法|全日本トラック協会作成 改正貨物自動車運送事業法 解説書

経済産業省|物流効率化法について

【2025年4月施行】物流効率化への取り組みが努力義務化

全ての荷主・物流事業者には「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」「積載効率の向上等」に向けた措置に取り組む努力義務が、元請けトラック事業者や利用運送事業者には荷主に協力する努力義務が課されています。

国は策定した措置の判断基準に則って、指導や助言を行う他、調査や公表を実施する仕組みです。

【2026年4月施行】特定事業主は物流効率化への取り組みが義務化

以下の特定事業者に該当する荷主や物流事業者は、2026年4月から「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」「積載効率の向上等」の措置への取り組みが義務化されます。

特定事業者の種類

特定事業者の指定基準値

指定第一種荷主

取扱貨物の重量9万トン以上

指定第二種荷主

特定連鎖化事業者

特定貨物自動車運送事業者等

保有車両台数150台以上

特定倉庫業者

貨物の保管料70万トン以上

トラックドライバーの長時間勤務は、長い荷待ち時間の影響が大きい状況です。物流効率化への取り組みが義務化されることで、トラックドライバーの働く環境の改善につながることが期待できます。

義務化の対象となるのは、荷主のみで約3,000社の見込みです。特定事業者となる荷主は、計画の作成や実行の責任者である物流統括管理者を経営幹部から選任する必要があります。

また届出を行わない・計画に不備があるといった場合には、国から是正・勧告・命令を受けることとなります。命令に従わない場合には最大100万円の罰金が科される仕組みです。

参考
「物流効率化法」理解促進ポータルサイト|荷主や物流事業者等に導入される規制的措置
国土交通省|流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令を閣議決定

改正貨物自動車運送事業法で定められている内容と施行時期

改正貨物自動車運送事業法の目的は、物流・運送業界の構造を是正して適正な運賃による運営ができるようにすることです。目的の達成に向けて、トラック事業者に対する規制的措置が定められました。義務化された措置の内容と施行時期について解説します。

参考:全日本トラック協会|貨物自動車運送事業法|全日本トラック協会作成 改正貨物自動車運送事業法 解説書

【2025年4月施行】運送契約締結時の書面交付義務化

運送契約の締結において、運賃・料金の詳細を明示した書面の交付が必須となりました。交付書面には、運賃の総額に加え、荷役作業や付帯サービスの各種料金、燃料サーチャージなどの運送関連の追加コストについても詳細に明記する必要があります。

作業内容に対して適切な運賃設定となっているかを確認しやすくするための制度改正です。

真荷主と元請けトラック事業者が運送契約を結ぶ際は相互の書面交付、元請けトラック事業者と下請けトラック事業者間での契約時には元請けトラック事業者による書面交付を行います。

なお、書面交付はメール本文に記載する形でも認められています。ただし、交付済みの書面は1年間の保存義務があることに注意が必要です。

【2025年4月施行】健全化措置の努力義務化

下請け事業者へ適正に発注するため、以下の場合には健全化措置が努力義務化されました。

  • 一般貨物自動車運送事業者が他の一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合
  • 特定貨物自動車運送事業者が一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合
  • 第一種貨物利用運送事業者(下請け構造の中にいる場合に限る)が一般貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送を利用する場合

実施する健全化措置もチェックしましょう。

  • 利用する運送にかかる費用の概算額を把握し、その金額を考えあわせて利用を申し込むこと
  • 荷主が提示する運賃や料金が、運送にかかる費用の概算額を把握・勘案した金額より少ない場合には、運賃・料金の交渉を申し出ること
  • 委託先のトラック事業者も利用運送を行う場合について、再々委託の制限などの条件を付けること

【2025年4月施行】運送利用管理規程の作成・運送利用管理者の選任の義務化

前年度の利用運送量が100トン以上の事業者は、運送利用管理規程を作成して「健全化措置を実施するための事業の運営の方針」「健全化措置の内容」「健全化措置の管理体制」「運送利用管理者の選任」について明確にしなければいけません。

あわせて運送利用管理者の選任も義務化されています。健全化措置を実施するための事業の運営方針を決めたり、管理体制を整えたり、実運送体制管理簿の作成事務を監督したりする役割です。

【2025年4月施行】実運送体制管理簿の作成と下請け情報の通知の義務化

物流・運送業界における多重下請け構造の透明化を図るため、元請け事業者に対し実運送体制管理簿の策定が求められるようになりました。

実運送体制管理簿には「実運送を担当する事業者の商号・名称」「実運送を行う貨物の内容や輸送区間」「一次下請け・二次下請けといった請負階層」の記録が必要とされています。

さらに下請け事業者側には、元請け事業者が実運送事業者の情報を把握できるよう、情報の通知が義務化されています。

【2025年4月施行】業務記録の義務化の対象拡大

荷待ち時間や荷役作業等に関する記録義務については、従来は車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の車両のみが対象となっていました。法改正に伴い、車両規模を問わず全車両の業務記録の作成が必須となりました。

トラックドライバーの過度な長時間労働を改善するため、実際の業務状況を詳細に把握することを目的とした施策です。

【3年以内に施行】事業許可の更新制や委託の制限など

貨物自動車運送事業法は2025年6月にも改正案が成立しています。トラック運送業の事業許可を5年ごとの更新制にすることや、2段階以上の委託を制限することなどを盛り込んだ、以下の内容が3年以内に施行することとなりました。

  • 現行法において貨物利用運送事業者が真荷主として扱われる場合、貨物利用運送事業者が元請け事業者として扱われるよう真荷主の範囲を明確に定める
  • 真荷主から引き受けた貨物の運送を、他の貨物自動車運送事業者へ委託するときには、2段階以上の委託を制限する措置を講じる
  • 無許可の貨物自動車運送事業者に貨物の運送を委託してはならないこととし、違反者は100万円以下の罰金とする
  • 貨物自動車運送事業の許可は5年ごとに更新制とする
  • 国土交通大臣は貨物自動車運送事業の「適正原価」を定められる。これにあたって「標準的な運賃」を廃止する
  • 貨物自動車運送事業者や貨物利用運送事業者は、自らが引き受ける貨物を運送するときもしくは他の貨物自動車運送事業者等の行う運送を利用するときに、その運賃が「適正原価」を下回らないようにする
  • 貨物自動車運送事業者や貨物利用運送事業者は、その労働者の知識・技能などを公正に評価して賃金を支払うなど、適切な処遇を確保するために必要な措置を実施する

参考:参議院|貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案

運送業者ができるドライバーの人材確保に向けた取り組み

2024年問題をきっかけとする人手不足への対策を目的に、改正物流法が段階的に施行されています。このような中、運送業者ができる取り組みを見ていきましょう。

労働環境改善に取り組む

ドライバーの人材確保のためには、労働環境改善に取り組むのが有効です。例えば休日をドライバーが選んだ曜日に取得できるようにすれば、プライベートと両立しやすくなります。

また同僚・先輩・上司とスムーズにやり取りができるよう、チャットツールを導入するのもよいでしょう。仕事の進捗や相談をチャットツールで気軽にできるようになり、コミュニケーションの改善にもつながります。

関連記事:働きやすさの指標と企業の改善施策|厚生労働省のデータをもとに徹底解説

ドライバーの働きやすさと満足度アップにつながる「チケットレストラン」

労働環境改善に取り組むときには、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」の導入が有効です。「チケットレストラン」では、全国にある25万店舗以上の加盟店で食事を購入できます。

大手コンビニチェーンや牛丼チェーンなどで利用できるため、ドライバーが昼食を購入しやすいサービスです。

チケットレストラン」を導入した共進運輸株式会社では、これまでも従業員に弁当補助を行っていましたが、ドライバーは利用しにくく公平な制度とはいえない状況でした。

早朝や深夜でも使いやすい「チケットレストラン」を導入すると、ドライバーも食事補助を活用しながら食事をとれるようになり、満足度が向上したそうです。従業員の採用や定着率アップにおいても、他社との差別化につながる要因になっています。

詳細な導入事例はこちら:共進運輸株式会社

ドライバーの実質的な手取りアップも可能

エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、一定の利用条件下であれば所得税が非課税になるため、従業員の実質的な手取りアップにつながる制度でもあります。

人材確保には手取りアップも有効です。食事補助を活用した実質的な手取りアップは、ドライバーの人材確保につながります。

チケットレストラン」の使い方や実質的な手取りアップにつながる仕組みの詳細は、こちらの「資料請求」からお問い合わせください。

関連記事:「第3の賃上げ×社食」のススメ|物価高時代の新たな福利厚生戦略とは?

2024年問題への対策には法令遵守と「チケットレストラン」

2024年4月から物流・運送業界にも時間外労働の上限規制が適用されています。それに伴い発生するさまざまな課題が2024年問題です。この2024年問題への対策を目的として、改正物流法が段階的に施行されています。

また2024年問題による人材不足対策には、労働環境改善への取り組みも重要です。ドライバーが希望する曜日に休日を取れるようにしたり、社内コミュニケーションが取りやすくなるチャットツールを導入したりするとよいでしょう。

加えてドライバーが利用しやすい福利厚生として、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入するのも有効です。実際に導入して従業員の定着率アップにつながっていると感じている企業もあります。

労働環境改善に向けた取り組みとして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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