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エデンレッドブログ

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データドリブンな人的資本経営のために|中小企業向け取り組みを解説

データドリブンな人的資本経営のために|中小企業向け取り組みを解説

2025.09.26

企業の競争力を決定づける要因に「人材」が挙げられます。人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。従業員エンゲージメント、離職率、スキル習得状況など、人材に関する客観的なデータに基づいた「データドリブン」な視点で分析することにより、効果的な施策を特定することができます。
HR総研の「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版)をもとに、データドリブンな人的資本経営の実践方法や取り組み事例を紹介します。

人的資本経営の認識や実践状況

HR総研の調査結果より、人的資本経営の認識や実践状況を見ていきます。

人的資本経営を7割の企業が重視している

人的資本経営を「重要だと認識している」企業は40%、「やや重要だと認識している」企業は28%で、合計68%の企業が人的資本経営を重視していることが明らかになりました。この割合は2023年、2024年と一貫して約7割を維持しており、企業の認識が定着していることがうかがえます。

人的資本経営 データドリブン01出典:ProFuture株式会社/HR総研|「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版) 結果報告(第1報)

企業規模によらず重要性が認識されている

企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「重視派」(重要だと認識している、やや重要だと認識しているの合計)が75%と最も高く、特に「重要だと認識している」企業は50%に達しています。

一方、301〜1,000名の中堅企業では65%、300名以下の中小企業でも65%でした。企業規模に関わらず人的資本経営の重要性が広く認識されていると考えられます。

人的資本経営 データドリブン02出典:ProFuture株式会社/HR総研|「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版) 結果報告(第1報)

人的資本経営の実践は伴わない傾向がある

しかし、重視している企業の割合と実際の取り組み状況にはギャップが存在します。

大企業でも「取り組み中」(安定的に取り組みを継続中、取り組みを開始した段階の合計)の企業は54%にとどまり、中堅企業では42%、中小企業では24%という結果でした。

人的資本経営の重要性への理解は広まっているものの、実際に具体的な実践に着手できている企業はまだ一部に限られているようです。

人的資本経営 データドリブン03

出典:ProFuture株式会社/HR総研|「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版) 結果報告(第1報)

人的資本経営における課題

続いて、HR総研の調査データで明らかになった人的資本経営の課題について説明します。

主目的は「従業員エンゲージメントの向上」

人的資本経営に取り組む目的として、最も多く挙げられたのが「従業員エンゲージメントの向上」で68%と、7割近くに上りました。これは2位の「生産性の向上」(52%)に16ポイントもの差をつけており、多くの企業がエンゲージメント向上を人的資本経営の中核に据えていることが分かります。

主要な目的としては以下が挙げられています:

  • 従業員エンゲージメントの向上(68%)
  • 生産性の向上(52%)
  • 採用力の強化(46%)
  • 組織力の強化(45%)
  • 従業員のウェルビーイング向上(43%)
  • 企業イメージの向上(39%)
  • 企業価値の持続的向上(36%)

出典:ProFuture株式会社/HR総研|「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版) 結果報告(第1報)

実際の「エンゲージメント」は高いと実感しがたい傾向

しかし、実際の従業員エンゲージメントレベルを見ると、「高い」と回答した企業はわずか5%、「やや高い」を含めても34%にとどまっています。

どちらとも言えないと回答した企業が37%と最多となり、明確にエンゲージメントが高いと認識できている企業の少なさが読み取れます。

高エンゲージメント企業に見る成功要因

では、エンゲージメントを実感できている企業は何が違うのでしょうか。HR総研の調査データによると、高エンゲージメントに成功した企業には共通点がありました。

高エンゲージメント企業は人的資本経営に積極的

最も顕著な違いは、人的資本経営への取り組み姿勢です。エンゲージメントレベルが「高い/やや高い」企業群では、実に64%が人的資本経営に積極的に取り組んでいます。これは3社に2社程度という高い割合です。

一方、エンゲージメントが「低い/やや低い」企業群では、取り組んでいる企業はわずか11%。53ポイントもの差は、エンゲージメント向上と人的資本経営の実践が密接に関連していることを示しています。

人的資本経営 データドリブン04出典:ProFuture株式会社/HR総研|「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版) 結果報告(第1報)

知・経験のダイバーシティ&インクルージョンへの注力

調査によると、高エンゲージメント企業の特徴的な施策として、「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」への取り組みが挙げられます。エンゲージメントレベルが「高い/やや高い」企業群では19%がこの施策に重点的に取り組んでいるのに対し、「低い/やや低い」企業群では5%にとどまっており、14ポイントの差が生じました。

施策に取り組む目的として最も多いのは「多様な視点による問題解決能力の向上」(35%)で、次いで「市場環境の変化への対応力向上」(32%)が続いています。変化の激しい時代において、柔軟かつスピーディーにビジネス課題を解決できる組織づくりを重視する企業の狙いがうかがえます。

人的資本経営 データドリブン05出典:ProFuture株式会社/HR総研|「データドリブンな人事と人的資本経営・開示の現状」に関するアンケート(2025年版) 結果報告(第1報)

中小企業では「人的資本経営」への取り組みが課題

大企業では人的資本経営の実践が進んでいる一方、中小企業では取り組みが遅れています。人的資本経営について「今後も実施しない」と回答した中小企業は39%に上り、優先度の低さが浮き彫りになりました。

一方、中小企業は深刻な人材確保の課題に直面しています。新卒求人倍率は8.98倍と大企業の0.34倍を大きく上回っており(リクルートワークス研究所の調査(2026年卒)より)、従来の手法だけでは人材確保が困難な状況です。

このような環境下では、働きやすさや成長機会など「人」を大切にする人的資本の考え方に基づいて企業の魅力を高める取り組みが重要になってきます。

出典:リクルートワークス研究所|第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)

中小企業の人的資本経営 取り組み例

中小企業で効果的に実践できる、効果的な人的資本経営の取り組みを紹介します。

知識や経験の社内共有

社内での知識・経験共有は、高エンゲージメント企業で重点的に取り組まれている施策の一つです。具体的には、成功事例の共有、専門知識の横展開、部門を超えた情報交換などがあります。これらの取り組みは、組織全体のスキル向上と変化への対応力強化に寄与します。

社内コミュニケーションの促進

従業員の働きやすさ向上には、職場での良好な人間関係が影響します。

中小企業でも取り入れやすい取り組み:

  • 無料チャットツール(SlackやTeams)の活用
  • 定期的(月1回等)の社内懇親会やランチ会
  • 従業員同士が感謝を伝え合う「サンクスカード」制度(※)

    ※日々の感謝の気持ちを紙またはデジタルカードに記して互いに送り合う制度

社内コミュニケーションが活発になることで、業務上の相談がしやすい環境づくりが促されます。課題の早期解決や知識共有もしやすくなるでしょう。

健康経営推進

従業員の健康状態は、企業の生産性に影響を与える要素の一つです。健康経営への投資により、医療費削減や欠勤率の減少などの効果が期待されます。

健康施策の具体例

  • 定期的な健康セミナー
  • ノー残業デーの実施
  • 健康に関する測定機器(血圧計等)の設置
  • 朝礼での軽運動

健康経営優良法人認定の取得は、対外的な企業イメージ向上にも寄与し、採用での差別化要素としても有効です。

多様な働き方の推進

時間や場所にとらわれない働き方への対応も、多くの企業で検討されている取り組みの一つです。

  • リモートワークとオフィス勤務の組み合わせ:必要に応じて働く場所を選択できる環境整備は、従業員満足度向上に寄与します
  • 業務のデジタル化推進:リモートワークを円滑化するための業務のデジタル化は、働き方の選択肢を広げる基盤の一つとなります
  • フレックスタイム制度の導入:始業・終業時間の柔軟性を高めることで、従業員のライフワークバランス向上につながります

従業員のニーズを把握した上で制度を検討することで、より効果的な取り組みとなる場合があります。

福利厚生の充実

人的資本経営の実践において、福利厚生制度の見直しは中小企業でも比較的取り組みやすい施策の一つです。制度変更などを伴わず、従業員満足度の向上が期待できる取り組みもあります。

福利厚生制度の見直しによる従業員満足度向上

人的資本経営の実践において、従業員のニーズに応える福利厚生制度の見直しも重要な要素の一つです。株式会社ネクストレベルが2024年に実施した調査では、従業員が求める福利厚生について以下のような結果が出ています。

2024年版本当に欲しい福利厚生ランキング:

  • 1位:住宅に関するサポート(44.0%)
  • 2位:社員食堂・カフェ(23.5%)
  • 3位:ランチ費用の補助(23.3%)
  • 4位:退職金制度(22.5%)
  • 5位:旅行や宿泊施設の割引・優待(19.3%)

この調査結果から、日常的な負担軽減につながる制度への関心が高いことが分かります。特に食事関連の福利厚生(2位・3位)は、合計約半数近くの従業員がニーズを感じており、かつ、比較的導入しやすい制度として注目されています。

出典:派遣ソムリエ|男女400人が選ぶ、2024年版「本当に欲しい福利厚生」ランキング発表!

食事補助制度の特徴

食事補助制度には以下のような特徴があります。

日常的な恩恵の実感

毎日利用できる制度のため、従業員が福利厚生の効果を実感しやすい傾向があります。

多様な働き方への対応

社員食堂、仕出弁当、チケット型サービスなど、さまざまな形態があり、リモートワークやハイブリッドワークにも対応可能な選択肢が増えています。

導入コストの検討しやすさ

他の福利厚生と比較して、選択するタイプやサービスの形態により、段階的な導入や規模の調整がしやすい制度設計が可能です。

「チケットレストラン」で人的資本経営を実践

人的資本経営の実践において、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を活用する企業が増えています。導入実績は3,000社を超え、従業員満足度向上と人材定着の両立を図る施策として注目されています。

人的資本経営における「チケットレストラン」

チケットレストランは、全国25万店舗以上の加盟店(コンビニやカフェチェーン等)で利用できるICカード型の食の福利厚生サービスです。オフィス勤務・テレワーク・外回りなど、多様な働き方に対応できます。原則として企業と利用を希望する従業員が月額3,500円(税別)を負担し、従業員はサービスを公平に利用できます。

一定の利用条件を満たすと、所得税の非課税枠を活用できるため、従業員の実質的な待遇改善と企業のコスト効率化を同時に実現できるのが大きな魅力です。人材確保が課題となっている中小企業にとって、「従業員を大切にする企業」として企業の魅力を高められます。

実際に「チケットレストラン」を導入した企業では、従業員エンゲージメントの向上や採用力強化といった人的資本経営の観点で成果を得ています。

「チケットレストラン」導入企業の取り組み事例

それぞれの企業が抱える課題や業界特性に応じて、「チケットレストラン」を人的資本経営の一環として活用している事例を見ていきましょう。

株式会社ほねごり

鍼灸接骨院・整体院を展開する株式会社ほねごりでは、「従業員を一番に考える」経営方針のもと、「チケットレストラン」を導入しました。

主な成果

  • 採用力強化に貢献:2025年新卒採用者数が前年比より改善
  • エンゲージメント向上:従業員満足度とモチベーションの大幅改善
  • 健康経営推進:従業員の健康意識向上
  • コミュニケーション活発化:従業員同士の外食機会増加

チケットレストラン」を含む福利厚生の充実度を求職者にアピールし、独自の人事施策を講じることで2025年の新卒者採用者数を2024年と比べて約2倍にすることに成功しています。

導入事例:株式会社ほねごり

株式会社sumarch

「組織で大切なものは人」という経営理念を持つ株式会社sumarch(不動産・建設業)。従業員から「賃上げしても税金で引かれて手元に残らない」という切実な声を受け、手取りアップと健康サポートの両立を図れることで導入しました。

主な成果

  • 採用力強化:魅力的な福利厚生として求職者へのアピールポイントに
  • 従業員満足度向上:毎日利用できる食事補助により満足度とモチベーションが向上
  • 健康経営推進:食生活サポートと、費用面で「我慢しなくてよい」心の余裕を創出
  • 定着率向上:他社比較で好待遇として認識され、転職検討者の引き留めに寄与

また、同社では、管理や利用方法がシンプルで、企業のメッセージが従業員に伝わりやすいサービスという点も魅力と評価しています。

導入事例:株式会社sumarch

共進運輸株式会社

物流・運送業界で人手不足が深刻化する中、共進運輸株式会社(運送業)では、シフト制ドライバーの食環境に対応した福利厚生として「チケットレストラン」を導入。従来の弁当補助では早朝・深夜勤務のドライバーが利用しにくい課題があり、いつでもどこでも利用できる食事補助への転換を図りました。

主な成果

  • 健康経営推進:ドライバーの健康意識向上と食生活改善を実現
  • 採用力強化:深刻な人手不足対策の差別化要因に
  • 従業員満足度向上:「企業が健康を想ってくれている」実感で満足度向上
  • コミュニケーション活性化:家計が助かる制度だと企業内で話題に

社会インフラを支える企業として、ドライバーの健康維持と人材確保を両立させる人的資本経営を実践中です。

導入事例:共進運輸株式会社

株式会社鈴木商店

株式会社鈴木商店(ITコンサルティング業)では、フルリモート環境でも利用できる食の福利厚生として「チケットレストラン」に注目。健康経営優良法人認定を目指し、リモートワークでも働きやすい職場環境づくりを両立させるため導入しました。

主な成果

  • 健康経営優良法人認定:2023年・2024年・2025年に連続認定を取得
  • 健康改善:朝食摂取率40%→48%へ
  • 働きやすさ向上:リモートワークでも利用でき、働きやすさアップ
  • 採用力強化:Z世代のDX人材採用でのアピールポイントに

手軽に始められる健康投資の一環、かつ、事業を支える従業員の健康増進に貢献する制度としてチケットレストランが役立っています。

導入事例:株式会社鈴木商店

効果を実感できる人的資本経営を実践

HR総研の調査では、従業員エンゲージメントの向上が人的資本経営の主要な目的として挙げられています。中小企業では求人倍率8.98倍という厳しい採用環境で、効果的な差別化戦略が必要です。

食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」は、多様な働き方に対応し、従業員の健康と満足度向上を同時に実現できます。採用力強化、エンゲージメント向上、健康経営の推進といった成果が得られます。

人材確保が課題となっている企業にとって、人的資本経営の実践として取り入れやすい選択肢の一つです。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

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