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【社労士監修】「ものづくり補助金」徹底ガイド|要件や申請方法をわかりやすく解説

【社労士監修】「ものづくり補助金」徹底ガイド|要件や申請方法をわかりやすく解説

2025.09.17

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

「ものづくり補助金」は、中小企業の革新的な製品・サービス開発や海外展開を支援する重要な制度です。最大で4,000万円の補助を受けられますが、交付には基本要件の達成や適切な申請手続きが求められます。本記事では、ものづくり補助金の目的や要件・申請方法・加点項目・特例措置などを徹底解説。申請を検討するにあたり、役立つ最新情報を網羅しています。

「ものづくり補助金」とは?

ものづくり補助金は、中小企業の「ものづくり」「商業」「サービス」を支援する国の代表的な補助制度で、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。まずは、21回公募要領をもとに、制度の基本を整理していきましょう。

参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第 21 次公募)

制度の目的と概要

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者を対象に、革新的な新製品や新サービスの開発、海外需要の開拓に必要な設備投資等に求められる経費の一部を補助する事業です。

成長志向の中小企業者等が、物価高や賃上げ・最低賃金引上げ等の事業環境変化に対応し、「稼ぐ力」を高め、生産性向上や経済活性化を実現することを目的としています。

申請枠は「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つが設けられ、事業者は自社の事業内容や目標に応じていずれかの枠を選択して申請します。

革新的な製品・サービス開発を通じて国内市場での競争力強化を図る場合は「製品・サービス高付加価値化枠」、海外展開や輸出拡大を目指す場合は「グローバル枠」が適用されます。

なお、ものづくり補助金は製造業に限らず、サービス業や小売業など幅広い業種が対象です。新製品開発やサービス改善、海外市場の開拓といった取り組みであれば、業種を問わず申請が可能です。

基本要件

申請する全ての事業者には、「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」ともに以下の基本要件1〜3をすべて満たす、補助事業終了後 3~5 年(任意で選択可)までの事業計画を策定することが求められます。なお、従業員数21名以上の事業者は、1〜3に加えて基本要件4も満たさなければなりません。

  1. 付加価値額の年平均成長率が3.0%以上増加

  2. 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が2.0以上増加または事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上

  3. 事業所内最低賃金を都道府県最低賃金+30円以上とすること

  4. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員数21名以上の場合のみ)の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと

基本要件にまつわる注意事項

基本要件は、採択後も継続的に確認され、未達の場合は補助金返還の対象となります。以下、特に注意が必要な項目をまとめました。

【目標値の設定】

・事業計画策定にあたっては、基準値以上の数値を目標として設定しなければなりません。
・従業員が0人の事業者は申請できません。
・基本要件1〜3について、申請者自身で設定した目標値を達成する必要があります。

【目標値の表明】

・設定した目標値は、全従業員または従業員代表者・役員へ表明しなければなりません。
・表明は交付申請時までに完了していないと無効です。
・表明を怠った場合は交付決定が取り消され、補助金返還の対象となります。

関連記事:【社労士監修】2025年8月最新!中小企業向け補助金・助成金|わかりやすい完全ガイド

2つの補助対象事業枠の詳細と特例措置

ものづくり補助金には「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2種類があり、事業内容や企業規模に応じて申請できます。ここでは、それぞれの詳細について解説します。

「製品・サービス高付加価値化枠」

この枠は、革新的な新製品や新サービスの開発に取り組む中小企業を対象としています。単なる設備導入や他社で一般的に普及している取り組みは対象外であり、明確な革新性が求められます。

要件

高付加価値化枠では、取り組みが「革新的」であることが必須条件です。新製品や新サービスの開発であること、単なる既存機械の更新ではないこと、また同業他社で普及している設備やサービスを導入するだけでは認められません。事業計画においては、技術的優位性や差別化のポイントを具体的に示し、従来との違いを客観的に説明する必要があります。これにより、補助事業としての実効性と波及効果が審査されます。

補助上限額

「製品・サービス高付加価値化枠」の補助上限額は、従業員数によって以下のように定められています。

5人以下 750 万円
6~20 人 1,000 万円
21~50 人 1,500 万円
51 人以上 2,500 万円

※補助下限額:100万円

補助率

・中小企業:1/2
・小規模企業・小規模事業者・再生事業者:2/3

補助の対象となる経費

機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費など

「グローバル枠」

グローバル枠は海外需要開拓を目的とした枠で、海外展開や輸出拡大を図る中小企業・小規模事業者を支援します。国内市場だけでなく、海外市場も視野に入れた事業展開を目指す企業が対象となります。

要件

グローバル枠では、海外展開の実現可能性を示すことが不可欠です。具体的には、以下の4つです。

  • 海外への直接投資に関する事業
  • 海外市場開拓(輸出)に関する事業
  • インバウンド対応に関する事業
  • 海外企業と共同で行う事業

加えて、以下の2点も満たす必要があります。

  • 海外事業に関する実現可能性調査の実施
  • 社内に海外事業の専門人材を有すること、または海外事業に関する外部専門家との連携

補助上限額

従業員規模にかかわらず補助上限額が一律3,000万円。

※補助下限額:100万円

補助率

・中小企業:1/2
・小規模企業・小規模事業者:2/3

補助の対象となる経費

グローバル枠では、国内枠と共通する設備投資費用に加え、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費も補助対象となります。

特例措置

ものづくり補助金では、賃上げや最低賃金引上げに積極的に取り組む事業者に対して、補助上限額や補助率が拡大される特例措置が設けられています。

ただし、要件を満たさなかった場合は補助金の返還を求められるため、計画的かつ慎重な対応が必要です。

大幅賃上げに係る補助上限額引上げの特例

従業員の給与水準を大きく引き上げる企業には、補助上限額を加算する特例があります。要件は以下の通りです。

  • 給与支給総額:基本要件の+2.0%に加えて、さらに+4.0%以上(合計+6.0%以上)の年平均成長率を設定し、最終年度に達成すること。

  • 事業所内最低賃金:基本要件(最低賃金+30円)に加え、さらに+20円以上(合計+50円以上)を毎年達成すること。

  • 表明義務:交付申請時までに従業員へ表明し、未達や未表明の場合は補助金返還の対象。

この特例を利用すると、企業規模に応じて補助上限額が100〜1,000万円増額されます。

最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例

最低賃金+50円以内で雇用している従業員が30%以上いるなど、最低賃金引上げに積極的な企業は補助率が引き上げられます。

  • 補助率:通常1/2または2/3 → 一律2/3へ引上げ。

  • 要件:2023年10月〜2024年9月の間で3か月以上、主たる事業所で従業員の30%以上を最低賃金+50円以内で雇用していたこと。

  • 確認資料:賃金台帳や労働者名簿の写しを提出し、事務局が要件を確認。

この特例を使う場合は、基本要件の3.「事業所内最低賃金要件(+30円)」が免除されます。

採択率・過去の実績データ

ものづくり補助金を検討する事業者にとって、採択率はもっとも気になるポイントのひとつです。ここでは、2025年年2月14日から同年4月25日まで募集がおこなわれた19次公募の結果をもとに、採択率や採択されやすい事業の傾向を解説します。

参考:ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト|採択結果

直近公募回の採択率

2025年4月25日に締切が行われた第19回公募回では、5,336件の申請者数に対し、採択者数は1,698件でした。割合でいうと、約32%にすぎません。

枠ごとに見ると、「製品・サービス高付加価値化枠」は5,025件の申請に対し1,623の採択(約32%)、「グローバル枠」は311件の申請に対し75件の採択(約24%)でした。

この結果から、ものづくり補助金は決して「誰でも通る制度」ではないことが分かります。

注意点として、「採択」はあくまでも「補助金交付候補」を意味します。採択されたからといって、申請どおり満額の補助金交付が決定したわけではありません。実際に補助金を受け取るには、その後に交付申請・審査を経て「交付決定」を受ける必要があります。

採択されやすい事業の傾向

第19次公募の採択結果を見ると、いくつかの共通点が浮かび上がります。まず特徴的なのが、AIやIoTを活用した省人化・自動化といったDX関連の取り組みが特に多く採択されていることです。

次に、脱炭素や循環型ビジネスに代表されるGX領域も評価が高く、省エネや環境負荷低減につながる設備投資が目立ちます。さらに、規格外農産物を活かした冷凍食品や伝統食品の新加工など、地域資源を活かした食品分野の高付加価値化も採択が進んでいます。

医療・ヘルスケア領域や、伝統工芸品や発酵食品の海外展開といった、独自の事業が多く採択されているのも特徴的です。

加点項目と審査観点

ものづくり補助金の審査では、基本要件を満たすだけでなく、加点項目をどれだけ押さえているかが採択率を左右します。 ここでは、第21次公募要領に記載されている加点項目を紹介します。

下記15項目から、最大6項目について加点の申請を行うことが可能です。

  加点項目 内容
1 経営革新計画 申請締切日時点で有効な「経営革新計画」の承認を取得している事業者
2 パートナーシップ構築宣言 「パートナーシップ構築宣言ポータルサイト」において宣言を公表している事業者
3 再生事業者 中小企業再生支援協議会等から支援を受け、応募申請時において以下のいずれかに該当していること。
(1) 再生計画等を「策定中」の者
(2) 再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内(令和元年5月12日以降)に再生計画等が成立等した者
4 DX認定 申請締切日時点で有効な「DX認定」を取得している事業者
5 健康経営優良法人認定 「健康経営優良法人2025」に認定された事業者
6 技術情報管理認証 申請締切日時点で有効な「技術情報管理認証」を取得している事業者
7 J-Startup/
J-Startup地域版
「J-Startup」または「J-Startup地域版」に選定された事業者
8 新規輸出1万者支援プログラム 「新規輸出1万者支援プログラムポータルサイト」で登録を完了している事業者(グローバル枠のみ対象)
9 事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画 申請締切日時点で有効な「(連携)事業継続力強化計画」を取得している事業者
10 賃上げ 補助事業終了後3~5年の計画期間において、給与総額の年平均成長率4.0%以上増加+事業所内最低賃金を地域別最低賃金+40円以上とする目標を設定・表明している事業者
11 被用者保険 従業員規模 50 名以下の中小企業が被用者保険の任意適用(短時間労働者を被用者保険に加入させること)に取り組む場合
12 えるぼし認定 「えるぼし認定」を取得している事業者
13 くるみん認定 「くるみん認定」を取得している事業者
14 事業承継/M&A 申請締切日を起点にして、過去 3 年以内に事業承継(株式譲渡等)により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ事業者
15 成長加速マッチングサービス 申請締切日時点において、中小企業庁「成長加速マッチングサービス」で会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者。

関連記事:えるぼしとくるみんの違いを徹底解説!認定基準やメリットを比較

申請スケジュール

ものづくり補助金は通年で公募されていますが、各回ごとに申請締切と採択発表のスケジュールが定められています。ここでは、参考までに「第21次公募要領概要版」に記載されている21次公募スケジュールを紹介します。

スケジュール-1

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第21次公募要領概要版

初めて申請する事業者は、必要書類の準備や事業計画の策定に2〜3カ月程度を要するのが一般的です。過去に申請経験のある事業者でも、1〜2カ月の準備期間は見込んでおく必要があります。

特に、締切直前は電子申請システムのアクセスが集中し、送信エラーや遅延が発生することがあるため、余裕をもったスケジュール管理が重要です。

関連記事:【社労士監修】福利厚生に使える助成金と補助金!種類や特徴とおすすめ施策を紹介

申請方法

ものづくり補助金の申請は、専用の電子申請システムを通じて行います。利用には、経済産業省が提供する共通認証ID「GビズIDプライム」が必要です。ここでは、GビズIDプライムの取得から送信まで、4つのステップについて解説します。

GビズIDプライムの取得

申請の第一歩は、電子申請に必要な「GビズIDプライム」を取得することです。GビズID公式サイトから申請可能で、事業区分・マイナンバーカードの保有状況等によって書面申請とオンライン申請の2種類から申請方法を選択できます。

申請に不備がなければ、原則2週間以内に、「gBizID プライム登録申請の承認のお知らせ」メールが到着します。ただし、書面申請の場合はオンラインよりも日数を要するため、日程に十分な余裕をもつことが大切です。

電子申請システムにログイン

GビズIDプライムを取得したら、ものづくり補助金専用の電子申請システムにアクセスします。ログインにはIDとパスワードのほか、ワンタイムパスワードの入力が必要です

申請内容の入力

電子申請システムでは、申請枠の選択、事前誓約や同意事項の確認から始まり、応募者概要や従業員数、経営状況、これまでの実績、事業計画の具体的取組内容を入力します。

審査対象となるのは、大きく分けて以下の5項目です。

  • 補助事業の適格性
  • 経営力
  • 事業性
  • 実現可能性
  • 政策面

さらに、補助対象経費の明細表、加点項目に関する情報、必要書類の添付も求められます。入力内容は審査の根拠となるため、客観的データや根拠資料を添付し、計画の信頼性を高めることが重要です。

申請内容の送信

入力を終えたら、送信前に内容を再確認します。特に「賃金引上げ計画」「補助対象経費の適格性」などの誓約項目は誤りのないよう確認しましょう。

最終的に申請を送信すると受付番号が発行されます。この番号は採択発表や交付申請の際に必要となるため、忘れないように控えます。

なお、送信後は参照モード(閲覧専用画面)で申請内容の確認ができますが、原則修正はできません。提出前の入念なチェックが大切です。

申請書作成のコツ

採択率を高めるためには、単に形式どおりの申請書を作成するのではなく、審査員に「実現性と意義がある」と伝わる内容に仕上げる必要があります。ここでは、申請にあたって特に重視したいポイントを整理します。

数値根拠の提示

事業計画には、売上や付加価値額の目標を数値で示さなければなりません。単なる期待値ではなく、市場調査や過去の実績に基づいた根拠を示すことで説得力が高まります。

具体的には「新設備導入により生産効率が20%向上し、売上が3年間で10%増加する」といった形です。曖昧な表現では審査を通過しにくいため、客観的なデータや裏付け資料を添付して具体的に説明することが求められます。

実現可能性のアピール

革新性があっても、実行できる見込みが低ければ採択されません。計画には、実施体制、人材配置、スケジュールなどを明確に記載し、実現可能性を示すことが不可欠です。また、リスク要因やその回避策も盛り込むことで、より信頼性の高い計画書となります。

審査員は「成功する確率が高いか」を厳しく見ているため、実現までのシナリオを丁寧に描き、裏付けとなる情報を提供することが採択につながります。

重複回避と過去実績の整理

申請する事業内容が他の補助金と重複している場合も採択されません。そのため、同一経費での併用がないことを明記し、補助金の目的に合致した経費であることを説明する必要があります。

併せて、過去に補助金を受けたことがある場合は、その成果や活用状況を整理して提示することが重要です。これにより、補助金を有効に活用できる事業者であると評価されやすくなります。

透明性と一貫性を持たせた記載が信頼につながります。

ものづくり補助金を活用しよう

ものづくり補助金は、中小企業が革新的な挑戦を進めるための代表的な支援制度です。採択率を高めるには加点項目の活用や計画の実現性の明確化が不可欠です。十分な準備ができるよう、早めに取り組みを進めましょう。

なお、内部からの生産性向上には、従業員の定着やモチベーションアップに寄与する福利厚生の充実も重要です。食事補助の福利厚生として日本一の実績を持つエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」など、人気の福利厚生を導入し、働きやすい職場環境づくりを検討することは、補助金を活用した改革の強力な後押しになるでしょう。

自社の競争力を高め、これからの時代に成長・発展する企業への一歩として、ものづくり補助金を活用されてはいかがでしょうか。

チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。

関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も

参考:ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト|トップページ
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領(第 21 次公募)
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 第21次公募要領概要版

参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
    :「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!

 

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エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

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