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【社労士監修】65才までの雇用義務化|2025年の改正と企業に求められる対策とは

【社労士監修】65才までの雇用義務化|2025年の改正と企業に求められる対策とは

2024.09.30

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2025年4月より、すべての希望者に対する65歳までの雇用確保が義務化されます。この法改正に伴い、各企業は、従業員の雇用継続に向けた対策を進めなければなりません。本記事では、65歳までの雇用確保義務化の概要について、エン・ジャパン株式会社がおこなった『「65歳までの雇用確保の義務化」意識調査』の調査結果を交えて解説します。迫る改正へ向けて、必要な取り組みを整理するヒントにしてください。

65歳までの雇用確保義務化とは

高齢者雇用安定法の改正により、2025年4月以降、すべての企業に65歳までの雇用確保が義務付けられます。この改正は、少子高齢化が進む日本社会において、働く意欲がある高齢者がその経験を生かせる環境を整備し、活躍の場を広げることを目的としたものです。まずは、「65歳までの雇用確保義務化」の概要について、エン・ジャパン株式会社(以下|エン・ジャパン)の調査結果とともに解説します。

参考: エン・ジャパン(en Japan)|ミドル世代3000人に聞いた「65歳までの雇用確保の義務化」意識2025年4月に施行される「65歳までの雇用確保の義務化」、認知度は約6割。 88%が「61歳以降も働きたい」と回答。

希望者全員を対象に65歳までの雇用が義務化

2025年4月から施行される高年齢者雇用安定法の改正により、各企業には、希望するすべての従業員に対し、65歳までの雇用を確保することが義務付けられます。各企業は、2025年4月1日時点で、以下の3つの選択肢のうちひとつ以上を実施していなければなりません。

  • 65歳までの定年引上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年制の廃止

これまでは、経過措置として、一部基準を設けて対象者を限定していました。しかし、2025年4月以降はすべての従業員が対象となり、原則として希望者全員を65歳まで雇用しなければなりません。各企業は、この制度変更に向けて、自社の状況に合わせた対応策を検討し、早急に準備を進める必要があります。

参考:厚生労働省|都道府県労働局・ハローワーク|高年齢者雇用確保措置を講じる必要があります
参考:e-Gov 法令検索|高年齢者等の雇用の安定等に関する法律|附則(平成二四年九月五日法律第七八号)第3項

65歳までの雇用確保義務化の認知度

「65歳までの雇用確保」が、全企業に「義務化」されることをご存知ですか?

エン・ジャパンが、同社の運営する転職サイト『ミドルの転職』を利用している35歳以上のユーザーを対象におこなった『「65歳までの雇用確保の義務化」意識調査』によると、65歳までの雇用確保義務化について、約6割のミドル世代が認知していることが明らかになりました。年代別の傾向を見ると、年齢が上がるにつれて認知度が高くなる傾向があることが分かります。

この結果は、若い世代ほど制度変更への関心が低いことを示唆するものです。各企業には、全年代の従業員に制度変更の内容や影響について丁寧に説明し、理解を深めていくことが求められます。

70歳までの雇用確保努力義務の認知度

、「70歳までの雇用確保」が企業の「努力義務化」

同じくエン・ジャパンの調査によると、70歳までの雇用確保努力義務についての認知度は47%と、65歳までの雇用確保義務化の認知度と比べてやや低い結果となりました。

70歳までの雇用確保は現在努力義務にとどまっていますが、将来的には義務化される可能性も考えられるものです。

各企業は、65歳までの雇用確保義務化への対応を進めながら、70歳までの雇用確保についても視野に入れた長期的な人事戦略を検討する必要があります。

参考:厚生労働省|ハローワーク|高年齢者雇用安定法改正の概要

ミドル世代の就業意欲と不安

65歳以降の就業に関するミドル世代の意識は、企業の人事戦略を立てる上で重要な指標となります。エン・ジャパンの調査結果からは、ミドル世代の就業意欲が高い一方で、様々な不安も抱えていることが明らかとなっています。詳しく見ていきましょう。

61歳以降も働きたい人の割合

あなた自身は、何歳まで働きたいと思いますか?

エン・ジャパンの調査によると、実に88%のミドル世代が61歳以降も働きたいと回答しています。年代別の内訳を見ると、上記のような結果となりました。

また、年齢が上がるにつれて、就業意欲が高まる傾向も明らかとなっています。企業には、この高い就業意欲を生かし、高齢者の経験や知識を企業の成長・発展に結びつける施策に取り組むことが求められています。

長く働きたい理由

61歳以降も働きたいと回答した人の理由として、同率で1位となったのが、以下の2点です。

  • 健康・体力維持のため(15%)
  • 年金だけでは生活できないから(15%)

これらの結果から、高齢者の就業は、個人の健康維持や経済的安定だけでなく、社会保障制度そのものを長期的に維持するために重要な要素であることが分かります。

各企業は、高年齢者の就業ニーズに応え、柔軟な勤務形態や適切な報酬体系を整備する必要があります。

高年齢者として働くことへの不安

高い就業意欲が見られる一方で、ミドル世代には、高齢者として働くことへの不安も存在します。

「将来、高年齢者として働くことへの不安はなんですか?」との設問に対し、もっとも多かった回答は「自身の健康、体力がもつか(20%)」でした。

次いで「希望する条件で働くことができるか(17%)」・「自身のモチベーションが維持できるか(13%)」と続きます。

高年齢者がさらに長く、より一層活躍できる職場環境を整備するため、企業にはこれらの不安要素を軽減するための取り組みが求められます。

企業に求められる対応

すべての希望者に対する65歳までの雇用確保完全義務化を控え、企業は早急に対策を講じる必要があります。ここでは、企業が取り組むべき主な対応策について解説します。

就業規則の変更

65歳までの雇用確保義務化に対応するためには、就業規則の変更が不可欠です。企業が選択した雇用確保措置に応じて、以下のいずれかの変更が必要となります。

  • 定年年齢の引上げ:60歳定年の場合、65歳に引き上げる
  • 継続雇用制度の導入:65歳までの継続雇用制度を明記する
  • 定年制の廃止:定年に関する規定を削除する

就業規則の変更にあたっては、労働者の過半数代表の意見を聴取し、労働基準監督署への届出が必要です。また、変更内容を全従業員に周知することも重要です。

賃金制度の見直し

65歳以降の雇用継続に伴い、賃金制度の見直しも必要となります。主なポイントは以下の通りです。

  • 職務や成果に基づく賃金体系の導入
  • 短時間勤務や隔日勤務などに対応した賃金設定
  • 福利厚生や手当の見直し

賃金制度の見直しにあたっては、高年齢者のモチベーション維持と企業の人件費管理のバランスを取ることが重要です。

雇用契約の見直し

65歳以降の雇用継続に伴い、雇用契約の見直しも必要です。主な検討事項は以下の通りです。

  • 契約期間:有期契約か無期契約か
  • 労働時間:フルタイムか短時間勤務か
  • 職務内容:現職継続か職務変更か
  • 勤務地:現勤務地限定か全国転勤ありか

雇用契約の見直しにあたっては、従業員一人ひとりの希望や能力・企業側のニーズを考慮しながら、柔軟な対応を検討することが大切です。また、改正された契約内容を書面で明確に示した上で、従業員の同意を得なければなりません。特に、労働条件の不利益変更を伴う場合は、慎重な対応が求められます。

高年齢者が活躍できる職場づくりのポイント

65歳までの雇用確保義務化へスムーズに対応するためには、法的な要件を満たすだけでなく、高齢従業員がそれぞれの能力を最大限に発揮できる職場環境を整備することが必要です。ここでは、高年齢者が活躍できる職場づくりのポイントについて解説します。

柔軟な勤務形態の導入

高年齢者の多様なニーズに対応するためには、まず柔軟な勤務形態を導入することが効果的です。主な選択肢としては、以下が挙げられます。

  • 短時間勤務:1日の労働時間を短縮する
  • 隔日勤務:週の出勤日数を減らす
  • フレックスタイム制:出退勤時間を柔軟に設定する
  • テレワーク:在宅やサテライトオフィスでの勤務を可能にする

これらの勤務形態を組み合わせることで、高齢従業員の体力や生活スタイルに合わせた働き方を実現できます。若手従業員にとっても魅力的な制度となり、企業全体の働き方改革にもつながります。

モチベーション維持のための施策

高齢者のモチベーションを維持・向上させるためには、以下のような施策が効果的です。

  • 適切な評価・報酬制度:年齢に関わらず、成果や貢献度に応じた評価・報酬を提供
  • キャリア開発支援:新しいスキルの習得や役割の変更をサポート
  • 世代間交流の促進:若手従業員とのメンタリング制度や共同プロジェクトの実施
  • 社会貢献活動の機会提供:企業のCSR活動への参加や地域貢献活動の支援

これらの施策により、高齢従業員がそれぞれに自身の価値を実感し、やりがいを持って働き続けることができます。

健康管理サポート

高年齢者が長く活躍するためには、健康管理が重要です。従業員が健康で生き生きと働ける職場環境づくりには、企業として以下のようなサポートを提供することが効果的です。

  • 定期健康診断の充実:一般的な健康診断に加え、高齢者向けの項目を追加
  • メンタルヘルスケア:ストレスチェックの実施や相談窓口の設置
  • 作業環境の改善:高年齢者の身体特性に配慮した職場設計
  • 栄養バランスに配慮した食事支援:健康的な社員食堂メニューの提供や食事補助制度の導入

これらの取り組みにより、高齢従業員の健康維持・増進を図ることができ、生産性の向上にもつながります。

高齢者雇用で注目される福利厚生「食事補助」

高齢者雇用を推進する上で、従業員の健康管理は非常に重要です。その中でも、近年特に注目されているのが、「社員食堂」「設置型社食」「宅配弁当」「食事チケット(カード型も含む)」といった形で提供される食事補助の福利厚生です。ここでは、食事補助の重要性と具体的な導入方法について解説します。

食事補助が高齢者雇用に与える効果

食事補助制度の導入は、高齢従業員の健康管理において特に効果的です。

適切な栄養摂取は、体力の維持や生活習慣病の予防につながります。長期的な健康管理において重要な役割を果たすほか、従業員一人ひとりが常に高いパフォーマンスを発揮できる状態を維持できることで、生産性の向上、ひいては業績の向上も期待できます。

また、社内コミュニケーションの観点からも、食事補助が果たす役割は小さくありません。食事を通じ、高齢従業員と若い世代との交流機会を設けることにより、風通しがよく、イノベーションが生まれやすい職場づくりが実現します。

さらに、高齢従業員をはじめ、従業員の健康が保たれていることで、医療費の負担が抑えられるのも、企業が得られる大きなメリットです。

3,000社以上の導入実績「チケットレストラン」

食事補助の福利厚生の中でも、日本一の実績を持つサービスが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」を利用する企業の従業員は、一定の利用条件を満たしていれば、全国25万店舗以上の加盟店での食事が半額になります。

勤務時間内であれば、利用するタイミングや場所は自由なため、夜勤・出張中・リモートワーク中の従業員も平等に利用できます。コンビニやファミレス・カフェなどの幅広いジャンルの加盟店から各従業員が自由にチョイスできる自由度の高さや、専用のICカードでサッと支払ができることも大きな魅力です。

なお「チケットレストラン」の提供にかかるコストは、一定の条件を満たすことで経費として計上可能です。企業側の法人税の負担が軽減されるほか、従業員の所属税にも影響を与えません。これにより、給与として同額を支給するよりも従業員の実質的な手取りを増やす「第3の賃上げ」を実現できます。

チケットレストラン」を導入されている「ダイナミックマッププラットフォーム株式会社様」は「シニア雇用というと、一般的に定年前よりも給与ダウンとなる例が多いですが、そのギャップを少しでも緩和するため、手取り面でメリットのある『第3の賃上げ』を正社員と同様に適用することで、気持ちよく働いていただきたいという想いがあります。」と述べられています。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
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65歳雇用義務化への対応と今後の展望

2025年4月に予定されている65歳までの雇用確保義務化は、企業にとって大きな変革を求めるものですが、同時に新たな可能性を秘めた取り組みでもあります。高齢者の豊富な経験と知識を活用することは、若手従業員の成長促進はもちろんのこと、企業の競争力強化に寄与すると考えられるからです。

これからの時代の企業には、70歳までの就業機会確保も視野に入れつつ、長期的な人材戦略を立てることが求められています。「チケットレストラン」の導入もひとつの選択肢とし、年齢にとらわれず、個々の能力と意欲を最大限に生かせる職場づくりを目指してはいかがでしょうか。

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