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エデンレッドブログ

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【社労士監修】従業員のメンタルヘルス対策「何から取り組んだらいい?」「中小企業の取り組み事例と具体例」

2024.07.18

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

メンタルヘルス対策は、従業員の心身の健康を保つために必要不可欠な取り組みです。加えてメンタルヘルス対策は企業運営にも影響を与えることが分かっています。十分な対策ができないまま運営していると、従業員の業務効率が落ちて業績に影響したり、事故の発生につながったりする恐れもあるでしょう。

これから企業がメンタルヘルス対策に取り組む場合、具体的にはどのようなことを意識すればよいのでしょうか。メンタルヘルス対策に取り組むための手順や、役立つ福利厚生サービスを見ていきましょう。

従業員のメンタルヘルス対策に取り組む理由とは?

メンタルヘルスとは

「メンタルヘルス(Mental health)」は、精神面の健康のことで、従業員の精神的な疲労やストレス軽減に対して企業が積極的に取り組み、心を健全に保つためにはメンタルヘルス対策が必要です。

厚生労働省が2018年に発表した「職場における心の健康づくり(労働者の心の健康の保持増進のための指針)」によると、中小企業など従業員規模が小さいほどメンタルヘルス対策に取り組む企業の割合が低く、全体の6割以上の労働者が仕事で強いストレスや不安を感じています。

放っておくと、従業員の仕事の能率が低下し、ミスや事故、情報漏えいやうつ病など、さまざまなリスクにつながりかねません。従業員個人のみならず、家族や職場の仲間に大きな影響を与える可能性も指摘されています。

仕事に起因するうつ病などの労災請求や認定件数も増加しています。厚生労働省の令和5年度「過労死等の労災補償状況」によると、2023年度に精神障害で労災請求したのは3,575件、うち決定件数は2,582件で、883件が支給決定しています。

2019年度からの、精神障害による労災の請求・決定・支給決定件数の推移は以下の通りで、いずれも増加傾向です。

年度 請求件数 決定件数 支給決定件数
2019年度 2,060件 1,586件 509件
2020年度 2,051件 1,906件 608件
2021年度 2,346件 1,953件 629件
2022年度 2,683件 1,986件 710件
2023年度 3,575件 2,582件 883件

労働安全衛生法の観点からも、企業には労働者の心の健康を保持、促進する義務があると考えられています。企業が従業員のメンタルヘルス対策に取り組むことで、業務中のミスや事故を防止し、離職率の低下や組織の活性化につながるのです。

参考:厚生労働省|職場における心の健康づくり(労働者の心の健康の保持増進のための指針)
参考:厚生労働省|令和5年度「過労死等の労災補償状況」|精神障害に関する事案の労災補償状況

五月病と従業員のメンタルヘルス不調の関係性とは?

メンタルヘルスの不調が表に出やすい時期は、主に大型連休明けといわれています。このことから、春先から初夏にかけてのメンタルヘルス不調を「月病」と称し、新年度から月病対策に取り組む企業もあります。

新年度のはじまりである4~5月は、新たな業務や人間関係が始まるなどストレスがたまりやすい時期です。こうした時期に大型連休を挟むことで生活リズムの乱れが起こったり、自分の悩みや疲れに向き合いすぎてしまったりすることなどがきっかけで、月病を発症する人が多いといわれています。

月病の主な症状は、睡眠障害や食欲低下、「なんとなく体がだるい」などの身体的な症状と、気分の落ち込みやイライラなどの心理的な症状です。症状が進むと、原因不明の頭痛・腹痛や深刻な自己嫌悪・自責の念・パニックなどの、より深刻な症状が現れることも少なくありません。

もし「なんとなく気分が乗らない」「しっかり休めていない気がする」など、月病が疑われる症状がある人は、同僚、上司や家族など身近な人への相談はもちろん、専門家に相談するのもひとつの方法です。企業側もこうした従業員の心身の不調に関する声を聞き逃さない体制づくりに努めましょう。月病の時期だけでなく、日ごろの従業員の体調、メンタルヘルス管理にも役立ちます。

産業医は必須?中小企業のメンタルヘルス対策

中小企業がこれから会社全体としてメンタルヘルス対策に取り組んでいく場合、「職場における心の健康づくり(労働者の心の健康の保持増進のための指針)をもとに計画を立てる必要があります。

この指針は「労働安全衛生法第70条の2第1項の規定に基づき、同法第69条第1項の措置の適切かつ有効な実施を図るための指針として、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置(メンタルヘルスケア)が適切かつ有効に実施されるよう、その原則的な実施方法について定めるもの」と明記されています。

つまり、事業を運営する代表者は、自ら事業で雇用関係のある従業員へのメンタルヘルスケアを積極的に推進・表明する必要があるということです。それには、専門の委員会などを設け十分に調査・審議を行い「心の健康づくり計画」 を策定する必要もあるとしています。

そして心の健康づくり計画を進めるにあたり、重要視されているのが「4つのケア」です。特にメンタルヘルス不調が起こりやすい五月病の発生時期には、この4つのケアに注力する必要があります。「4つのケア」とはどういう内容なのか、詳しく見ていきましょう。

参考:厚生労働省|職場における心の健康づくり(労働者の心の健康の保持増進のための指針)

関連記事:《産業カウンセラーが教える》中小企業のメンタルヘルスケア対策の進め方

セルフケア

事業者は労働者に対して、次に示すセルフケアが行えるように支援することが重要です。また、管理監督者にとってもセルフケアは重要であり、事業者はセルフケアの対象として管理監督者も含めることが明記されています。従業員のセルフケアとして、企業が推進すべき内容は次の通りです。

  • ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
  • ストレスへの気づき
  • ストレスへの対処

ラインによるケア

「ラインによるケア」とは、部署やプロジェクトチームなど企業の中でさらに小規模のラインで括った場合に考えられる、上司と部下・同僚同士などの職場の人間関係におけるケアと考えるとよいでしょう。ラインによるケアには次のような視点をもって取り組むことが大切です。

  • 職場環境等の把握と改善
  • 労働者からの相談対応
  • 職場復帰における支援

事業場内産業保健スタッフ等によるケア

事業場内産業保健スタッフ等とは産業医・保健師・看護師などの医療スタッフや、メンタルヘルス委員会の会員にあたる従業員によるケアです。こうしたスタッフはセルフケアとラインによるケアが効果的に実施されるよう、労働者及び管理監督者に対する支援を行うことが重要だと考えられています。

事業場内産業保健スタッフは次に示す心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を担います。

  • 具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案
  • 個人の健康情報の取扱い
  • 事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
  • 職場復帰における支援

事業場外資源によるケア

企業のメンタルヘルスケアにおける事業場外資源によるケアとは、病院や地域保健機関、EAPなどのメンタルヘルスケア専門機関のサポートによる支援のことです。従業員へのメンタルヘルスケアに取り組むうえで、事業場外資源の介入を不可欠と考える企業もありますが、自社の個性に合わせ導入の範囲を見極める企業もあります。

メンタルヘルスの事業場外資源から受けられるサポートには、特設委員会や従業員への研修以外に次のようなケアがあります。

  • 情報提供や助言を受けるサービスの活用
  • ネットワークの形成
  • メンタルヘルス不調者の職場復帰における支援

メンタルヘルス対策への取組の具体的な流れ

メンタルヘルス対策へと舵を切る際、具体的にどのような流れが一般的なのでしょうか?順に見ていきましょう。

  1. 担当者や窓口を設置し、メンタルヘルス対策に取り組むことを社内に周知します
  2. 法的実施の義務があるものから実施します
    ・ストレスチェック
    ・衛生委員会(50人以上の会社)
    ・産業医の選任(50人以上の会社)
  3. 病院や自治体による無料相談、専門の民間企業などの外部機関を利用し連携をとりましょう
  4. 従業員や管理監督者の教育、定期的な周知を行います
  5. メンタルヘルス不調の従業員をサポートするプログラム「EAP」を活用しましょう

メンタルヘルス対策を実施するときの注意点は、担当者ひとりに任せないことです。社内で対策チームをつくり、一緒に考え広くアイデアを出し、全体に取り組みが広がっていくようにしましょう。

また、最初からすべてをやろうとせず、法的な義務があるものから取り組むなど、優先順位を決めて計画的に行うことが大切です。

関連記事:福利厚生に活用できる助成金とは?種類や特徴とおすすめ施策を紹介!補助金との違いも解説

チケットレストランをメンタルヘルスケア向けの福利厚生サービスとして活用

企業がメンタルヘルスに関する施策を実行するには、産業医や地域医師会など医療分野での外部との連携を検討しましょう。加えて福利厚生サービスを導入するのも、ひとつの手段です。

メンタルヘルスと食事には因果関係があると考えられています。まだ研究段階ですが、後天的にメンタルヘルスを患う原因は、主にストレスや運動不足だといわれ、日々の食事管理によってその影響を最小限にできるという論文も散見します。うつ病の症状改善にも関係しているそうです。

心身の状態を整え、改善させるには栄養バランスが取れた食事が欠かせません。メンタルヘルス対策のために、従業員がバランスのよい食事をとれるようにするには、エデンレッドジャパンが提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。

食事代の一部を企業がサポートする「チケットレストラン」を支給すれば、従業員はバランスのよい食事を意識したメニューを選びやすくなるでしょう。おにぎりやパンのみで済ますのではなく、野菜のおかずを一品追加するといったこともしやすくなります。

また「チケットレストラン」の加盟店にはヘルシー志向のレストランやカフェなどもあるため、健康に気遣った食事をとりやすくなるのも特徴です。

チケットレストラン」を導入した企業では、利用率98%・継続率99%・満足度93%です。多くの従業員がサービスに満足して、使い続けていることが分かります。

支給対象の従業員へ公平に提供できるのも「チケットレストラン」の特徴です。全国に25万店舗以上の加盟店があるため、勤務する場所によらず利用できます。「 Uber Eats 」とも連携しているため、食事の配達を依頼することも可能です。

従業員の働き方や食事のとり方に合わせて最適な方法で利用できるため、オフィスへ出社する従業員も、テレワークの従業員も、客先常駐の従業員も、平等に健康的な食事を購入できます。

働き方によらず支給対象の従業員が利用できるため、従業員は「企業が自分の健康に配慮してくれている」と感じやすくなるのも特徴です。企業が従業員を気にかけていることを従業員が理解することで、ワークエンゲージメントの向上につながりやすくなります。

仕事に対するエネルギーと熱意が十分あり、集中して取り組めるワークエンゲージメントの高い状態の実現は、従業員のメンタルヘルス対策にも有効です。

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関連記事:メンタルヘルスには食事管理が重要!福利厚生で心の健康を支援しよう
関連記事:メンタルヘルスを守る福利厚生は?具体的な取り組みや導入事例を解説

従業員のメンタルヘルス対策をしている企業事例

従業員のメンタルヘルス対策に取り組んでいる企業事例を、厚生労働省の心の耳から 2社紹介します。

西日本印刷工業会社

西日本印刷工業会社では「心の健康づくり計画」を策定する際に、以前から社内で取り組んでいた活動もメンタルヘルス対策と関連づけて、実施事項に盛り込んでいます。

「心の健康づくり計画」を社内にも社外にも示して広く周知し、従業員に対して長く元気に働き続けてほしいという願いをアピールしています。また、ストレスのセルフチェックを定期的に実施することによって、従業員本人にメンタル面での気付きを認識してもらい、出勤時などに経営者が自ら従業員の顔を直接見ながら声をかけることによって、日頃の従業員の様子や変化を知ったり、社内コミュニケーションを活性化させたりしています。

参考:こころの耳「西日本印刷工業会社」の事例
参考:西日本印刷工業会社

希望の里ホンダ株式会社

希望の里ホンダ株式会社は、多様性のある人材が共に働ける環境が整った企業で、健康診断だけでなく、産業医と保健師、管理栄養士が1つのチームになって、メンタルヘルス対策や健康管理のサポートをしています。

そのひとつとして、ストレスチェックを実施して高ストレスだった従業員に対して、医師による面接指導のほかに、高ストレス者全員との面談をする機会を設け、改善に取り組んでいます。また、障がいを持つ従業員に対する取組にも力を入れており、面談を通じて障がい者が感じやすいストレスを確認し、施設の整備を行ったり、全従業員が手話を学ぶ機会を作ったりするなどの施策を実行しています。

さらに、参加型職場改善活動を実施する際に、障がいを持つ従業員からも活発な意見が出るように外部の支援を受けたり説明を多く行ったりと、働く人の立場に沿った工夫を行うなど、全従業員が働きやすい環境づくりもメンタルヘルス対策の一環として取り組んでいます。

参考:こころの耳「希望の里ホンダ株式会社の事例」
参考:希望の里ホンダ株式会社

メンタルヘルスケアは法的義務のあるものから外部連携へ

メンタルヘルス対策を始める際、一度にすべての対策を実行に移すのは難しいでしょう。急激な変化により、問題が大きくなることも考えられます。

まずはメンタルヘルス対策の実施について周知した上で、法的義務のある取り組みから実施するとよいでしょう。その上で、従業員のメンタルヘルス対策に役立つその他の取り組みを行うのがおすすめです。

必要に応じて、産業医の選任や病院との連携にも取り組みましょう。併せて社内では従業員や管理監督者向けの研修も行う必要があります。既にメンタル不調の従業員がいるなら、EPAの活用も有効です。

加えてメンタルヘルス対策につながる福利厚生サービスを導入するのもよいでしょう。食事補助の福利厚生サービスである「チケットレストラン」を導入すれば、従業員はバランスのよい食事により、メンタルヘルス対策に取り組めます。

従業員の心身の健康のためにチケットレストラン」の導入を検討してみませんか。

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