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【社労士監修】女性管理職を増やす取り組みとは?効果的な施策と成功事例

【社労士監修】女性管理職を増やす取り組みとは?効果的な施策と成功事例

2024.08.01

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

女性管理職を増やす取り組みが今、注目されています。企業の成長と競争力向上に不可欠な女性管理職の登用推進は、どのように進めるのが正解なのでしょうか。本記事では、日本の現状分析、成功企業の事例、そして効果的な取り組みまで、女性管理職を増やすための具体的な施策を詳しく解説します。女性管理職のスムーズな登用を進める参考に、ぜひご覧ください。

日本における女性管理職の現状

日本の女性管理職比率は、近年徐々に上昇しているものの、国際的に見ると依然として低い水準にあります。まずは、その現状から確認していきましょう。

業界別・企業規模別の女性管理職比率

厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、2022年度(令和4年度)の女性管理職比率(課長相当職以上)は12.7%でした。政府が目標として掲げる「2020年代の可能な限り早期に30%程度」には、遠く及ばないのが現状です。

女性管理職割合の推移-1

業種別では、「医療・福祉分野(53.0%)」がもっとも高く、次いで「生活関連サービス・娯楽業(24.6%)」「宿泊業・飲食サービス業(17.5%)」となっています。一方「建設業(8.7%)」「製造業(8.0%)」「電気・ガス・熱供給・水道業(4.1%)」では低い傾向にあります。

企業規模別では、従業員10〜29人の企業で21.3%ともっとも高く、1,000人以上の大企業では7〜8%台です。大企業ほど女性管理職比率が低い傾向が見られます。

参考:厚生労働省|令和4年度雇用均等基本調査
参考:内閣府男女共同参画局|第5次男女共同参画基本計画~すべての女性が輝く令和の社会へ~(令和2年12月25日閣議決定)

女性活躍推進法と企業の義務

2016年4月に全面施行された女性活躍推進法は、企業に対して女性の活躍推進に関する行動計画の策定を義務付けています。2022年4月からは、常時雇用する労働者が101人以上の企業にまで対象が拡大されました。
具体的な義務内容は以下の通りです。

  • 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  • 行動計画の策定・社内周知・公表・届出
  • 女性の活躍に関する情報公表

これらの取り組みにより、企業における女性活躍推進の動きが加速することが期待されています。

参考:厚生労働省|女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!

女性管理職が少ない主な要因

日本において女性管理職が少ない背景には、さまざまな社会的・組織的要因があります。これらの要因を理解し、適切に対処することが、女性管理職の増加につながります。

根強い性別役割分担意識

「男性は仕事、女性は家庭」という伝統的な性別役割分担意識は、依然として日本社会に根強く残っています。

内閣府の「男女共同参画社会に関する世論調査」(2022年)によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に賛成する人の割合は、男性で39.5%、女性で28.4%でした。

この意識は、企業の人事評価や昇進の仕組みにも大きな影響を与え、女性のキャリア形成を阻害する要因となっています。また、女性自身も無意識のうちにこの考え方を内面化し、管理職を目指すことをためらう傾向があります。

参考:内閣府|男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査) | 世論調査

キャリアパスの不透明さ

多くの企業では、女性従業員のキャリアパスが明確に示されていません。特に、結婚や出産後のキャリア継続に不安を感じる女性は多く、長期的なキャリア形成を見通せないことが管理職志向の低下につながっています。

また、男性中心の昇進・昇格システムが依然として残り、女性の管理職登用を潜在的に抑制している企業も少なくありません。キャリアパスの可視化と、ライフイベントに応じた柔軟な支援体制の構築が求められています。

ワークライフバランスの課題

日本の管理職は、長時間労働が常態化している傾向があり、これが女性の管理職登用を妨げる大きな要因となっています。

育児や介護などの家庭責任を担うことが多い女性にとって、長時間労働は大きな障壁となります。また、両立支援制度が整備されていても、実際の利用が難しい職場環境も問題です。制度の充実だけでなく、利用しやすい職場風土の醸成が重要です。

関連記事:【社労士監修】ワークライフバランスの取り組み事例を紹介。メリットや注目の理由も解説

女性管理職を増やすメリット

女性管理職の増加は、企業にさまざまなメリットをもたらします。これらのメリットを理解し、積極的に女性の登用を進めることが、企業の持続的成長につながります。

多様な視点によるイノベーション創出

女性管理職の増加は、組織の多様性を高め、新たな発想や解決策を生み出す可能性を高めます。異なる経験や価値観を持つ人材が意思決定に参加することで、より多角的な視点が得られ、イノベーションの創出につながるからです。

また、多様な視点が加わることで、潜在的なリスクをより早く、幅広く特定できるようになるため、リスク管理の強化も期待できます。

優秀な人材の獲得と定着率向上

キャリアアップの機会が明確に提示され、ライフイベントと仕事の両立がしやすい環境が整っている企業は、女性はもちろんのこと、男性の求職者にとっても魅力的です。

実際に、女性管理職比率の高い企業では、従業員満足度が高く、離職率が低い傾向が見られます。優秀な人材の獲得と定着は、長期的な企業の成長と競争力強化につながる重要な要素です。

企業イメージと投資家からの評価向上

ESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮した投資)の重要性が高まる近年、女性活躍推進は重要な評価項目のひとつとなっています。

内閣府の「ジェンダー投資に関する調査研究」(2021年)によると、約7割の機関投資家が投資判断において女性活躍情報を活用していることが分かりました。

投資判断における女性活躍情報の活用状況

出典:内閣府男女共同参画局|ジェンダー投資に関する調査研究(令和4年度)

また、「えるぼし認定」や「くるみん認定」など、女性活躍推進に関する認定の取得は、企業イメージの向上や公共調達における加点評価などの具体的なメリットをもたらします。

参考:職場情報総合サイト しょくばらぼ|職場情報開示に積極的な企業紹介女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」

関連記事:えるぼしとくるみんの違いを徹底解説!認定基準やメリットを比較

成功企業に学ぶ女性管理職登用の施策

女性管理職の登用に成功している企業の取り組みを学ぶことは、効果的な施策を考える上で非常に重要です。ここでは、女性誌「日経WOMAN」と日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」が主宰する「女性が活躍する会社BEST100」をもとに、ランキング上位企業の具体的な取り組みを紹介します。

参考:日経BP|2024年版「女性が活躍する会社BEST100」 総合ランキング1位、資生堂が3年連続

1位|「資生堂」の先進的プログラム

2024年度の「女性が活躍する会社BEST100」の総合ランキングにおいて、資生堂は3年連続となる首位を獲得しました。

同社では、女性リーダー育成塾・上位管理職輩出に向けた選抜型研修・女性役員が女性従業員のキャリア形成をサポートするメンタリングプログラムなど、女性活躍推進において先進的な取り組みを多数展開しています。

さらに、2023年からは「Shiseido Future University」を通じて次世代を担う経営リーダーの育成にも注力しています。

これらの施策により、資生堂は2024年1月時点で国内グループの女性管理職比率40.0%という高水準を達成しました。部門別ランキングでも管理職登用度で1位・人材多様性度でも2位となっています。

参照:資生堂 企業情報|ニュースリリース詳細

2位|「りそなホールディングス」のキャリア支援

2位のりそなホールディングスも、女性管理職の登用において着実な成果を上げています。

新任女性管理職向けのメンタリング制度や、中・大規模店舗の支店長の下で学んだ女性を支店長に登用する女性支店長トレーニー制度などの施策により、2023年度の女性ライン管理職比率は、12年連続での上昇となる34.5%に達しました。

継続的に女性管理職比率を向上させることに成功している同社は、部門別ランキングでも管理職登用度で3位を獲得しています。

3位|「東京海上日動火災保険」のメンター制度

3位の東京海上日動火災保険は、2023年時点で女性管理職比率24.8%を達成しています。

同社の特徴的な取り組みとして挙げられるのが、充実したメンター制度です。部長クラス・役員クラスの女性リーダー輩出に向けて2020年から導入したこの制度は、2023年度には対象者を大幅に拡大し、より多くの女性従業員にキャリア形成の機会を提供しています。

また、2023年度からは出光興産と協同でクロスメンタリングを実施し、異業種交流を通じた育成を行っています。

これらの施策により、着実に女性管理職比率を向上させている同社は、人材多様性度部門でも2位を獲得しました。

女性管理職を増やすための具体的な取り組み

女性管理職を増やすためには、組織全体で計画的かつ継続的な取り組みが必要です。ここでは、多くの企業で効果を上げている具体的な施策を紹介します。

キャリア支援・育成プログラムの充実

女性従業員のキャリア支援と育成は、女性管理職比率向上の要となります。効果的なプログラムや取り組みには、以下のようなものがあります。

  • メンター制度
  • 選抜型研修
  • ロールモデルの可視化
  • キャリアデザインワークショップ

これらを通じ、女性従業員のキャリアアップへの意欲を高め、管理職候補の育成を計画的に進めることができます。

柔軟な働き方の推進

ワークライフバランスの実現に向けて、柔軟な働き方を推進することは、女性管理職の増加に不可欠です。具体的には、以下のような制度の導入が効果的です。

  • フレックスタイム制度
  • テレワーク・在宅勤務
  • 短時間勤務制度
  • 時間単位の有給休暇

これらの制度により、女性従業員が家庭生活と仕事を両立しやすい環境を整備し、長期的なキャリア形成を支援できます。

アンコンシャスバイアス研修の実施

無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)は、女性の昇進や評価に大きな影響を与えます。これを排除するためには、役職に応じた研修や事例の研究が非常に重要です。

  • 全従業員向け研修
  • 管理職向け特別研修
  • 事例研究
  • 定期的なフォローアップ

これらの研修を通じて、組織全体でアンコンシャスバイアスへの認識を高め、公平な評価や登用の実現につなげることができます。

数値目標の設定と進捗管理

具体的な数値目標を設定し、PDCAサイクルを回すことは、女性管理職比率向上の取り組みを確実に進めるのに役立ちます。

  • 明確な数値目標の設定
  • 部門別目標の設定
  • 定期的な進捗確認
  • 改善策の立案と実行

これらを通じ、女性管理職比率向上への組織的・継続的な取り組みが可能となります。

女性活躍推進を支える福利厚生の重要性

女性活躍推進、特に管理職の増加を実現するためには、適切な福利厚生制度の整備が欠かせません。以下、女性活躍推進における福利厚生の重要性を解説するとともに、おすすめの福利厚生サービスを紹介します。

福利厚生充実がもたらす女性活躍と企業成長

福利厚生の充実は、女性従業員のモチベーション向上と、企業の持続的成長の双方に大きな影響を与えます。特に女性活躍推進においては、以下のような多面的な効果が期待できます。

  • ワークライフバランスの実現(育児・介護支援や柔軟な勤務制度):仕事と私生活の両立が可能になります。これにより、女性従業員の長期的なキャリア形成を支援できます
  • 健康管理のサポート(健康診断や医療費補助など):従業員の長期的な健康維持をサポートできます。健康な従業員は生産性が高く、企業の成長に寄与します
  • 自己啓発の促進(研修プログラムやキャリアカウンセリングなど):スキルアップとキャリア形成を支援できます。これは女性従業員の管理職志向を高める効果があります
  • 経済面のサポート(住宅手当や食事補助など):従業員の生活の質を向上させることができます。経済的な安定は、キャリアへの集中を可能にします

これらの福利厚生を提供することで、女性従業員は安心して長期的なキャリアを築くことができ、管理職を目指す意欲の向上にもつながります。これは、企業にとっても競争力強化と持続的成長を実現する重要な経営戦略です。

また、充実した福利厚生は、優秀な人材の獲得・定着に寄与するほか、生産性の向上や企業イメージの向上といったうれしいメリットもあります。福利厚生の充実を通じた女性活躍推進は、個人と組織の双方にとって大きな価値をもたらすのです。

注目の食の福利厚生「チケットレストラン」

近年、多くの企業から注目を集めている福利厚生のひとつが、食事補助の福利厚生として日本一の実績を持つエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。「チケットレストラン」の特徴と導入メリットは以下の通りです。

  • 加盟店が多い:専用のICカードを使って、全国25万店舗以上の加盟店で利用できる
  • 食事代が実質半額になる:従業員と企業が半額ずつチャージすることで、従業員は実質半額で食事ができる
  • Uber Eatsが利用可能:Uber Eatsを通じ、マクドナルドやスターバックスも利用できる
  • 利用対象が広い:雇用形態を問わず平等に利用できる
  • 健康促進効果が期待できる:質の良い食事をとることで、従業員の健康維持・増進につながる
  • モチベーション向上に寄与する:日々の食事をサポートすることで、従業員の満足度とモチベーションが向上する

チケットレストラン」のような食事補助の福利厚生サービスは、特に仕事と家庭の両立に奮闘する女性従業員にとって大きな支えとなり、女性活躍推進の一助となります。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

女性管理職増加が拓く企業の未来

女性管理職の増加は、イノベーションの創出・優秀な人材の獲得や定着・企業価値の向上につながります。

今後の日本企業が国際競争力を維持・向上させていくためには、女性管理職の増加を通じた多様性の推進が不可欠といっても大げさではありません。

自社の現状や風土に合った施策への取り組みや「チケットレストラン」のような福利厚生の導入は、企業の持続的成長に寄与するでしょう。

女性管理職の登用推進を通じ、貴社の可能性を今以上に広げてみてはいかがでしょうか。

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