心理的安全性とは、自分の率直な意見を伝えたり、能力を発揮したりすることを、不安なくできる状態のことです。心理的安全性に関する基本的な知識をわかりやすく説明した上で、心理的安全性を高めるメリットや、高める方法を紹介します。
心理的安全性とは?わかりやすく解説
心理的安全性とは、従業員一人ひとりが、社内で不安なく発言したり能力を発揮したりできる状態のことです。
自分らしく率直に発言・行動しても、周りの従業員から否定される、ばかにされる、といったことがなく、安心して働ける環境といえます。
心理的安全性がある職場では、従業員が以下にあげる4つの意識を抱くことなく仕事に取り組むことが可能です。4つの意識が仕事に及ぼす悪影響がないため、安心して仕事に取り組めます。
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不安の種類 |
特徴 |
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無知だと思われたくない |
無知だと思われることに不安を抱いていると、質問や相談ができません。必要な質問や相談をしないことで、業務の効率や質が落ちる可能性があります。 |
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無能だと思われたくない |
無能だと思われることに不安を抱いていると、失敗や欠点を認められません。ミスを隠したり、人のせいにしたりすることがトラブルにつながることがあります。 |
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邪魔していると思われたくない |
邪魔していると思われることに不安を抱いていると、自発的な発言ができません。的確で役立つ意見であっても発言を控えるため、役立つ意見が出てこなくなります。 |
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ネガティブだと思われたくない |
ネガティブだと思われることに不安を抱いていると、相手の誤りを指摘できません。否定的な意見を含むアドバイスができず、チームの機能不全を招く可能性があります。 |
関連記事:集団的効力感とは?自己効力感と共に高め企業成長を実現!活用方法を紹介
心理的安全性は「ぬるま湯」とは違う!
心理的安全性のある職場は、単に居心地が良いだけではありません。必要性があれば意見をぶつけ合うこともあります。
人間関係で面倒なことを起こさないよう、誤りを指摘しないままにしたり、自分の意見を言わなかったりするのは、心理的安全性のある職場ではなく「ぬるま湯」のような職場です。
心理的安全性のある職場で働く従業員は、全体の目標達成を目指して一人ひとりが成長を目指しています。目標達成のために意見を交わしたり協力したりするため、深い人間関係を築きやすいのも特徴です。
一方「ぬるま湯」のような職場では、目標達成よりも問題が起こらないことが優先されます。成長のために挑戦するのではなく、いつも通りにこなすことが重要視されやすいため、成長への意欲も低いでしょう。
心理的安全性が注目されている理由は?
心理的安全性に関心が集まるきっかけとなったのは、Googleが実施した「効果的なチームとは何か」を知るためのプロジェクトでした。この調査の結果、優れたチームを構築する上で最も重要な要素は心理的安全性であることが明らかになっています。
まずは疑問点について質問したり、新しいアイデアを提案したり、過ちを素直に認めたりすることを、不安なく行える職場環境の整備が重要です。
このような心理的安全性を土台として、チームメンバー同士の信頼関係が構築されていきます。
さらに努力次第で達成可能かつ明確な目標が設定され、全ての従業員が業務に価値を感じ、自らの貢献がチーム全体の成果に結びついていることを認識できる状況が、優れたチームにつながります。
心理的安全性を高めるメリット
心理的安全性の向上は、従業員にはもちろん企業にとってもメリットがあります。どのようなメリットがあるのかをチェックしましょう。
前向きな意見が出やすくなる
心理的安全性が十分に確保された職場環境では、従業員は否定されたり叱責されたりする心配をすることがありません。自らの率直な意見を伝えやすくなります。
従業員同士が積極的に意見を交わしやすくなるため、建設的な議論が活性化することも期待できるでしょう。
日ごろからコミュニケーションが円滑に進みやすくなることで、作業が効率的に進みやすい環境も整います。
関連記事:職場コミュニケーションの成功法則!活性化させる具体的な方法と事例
イノベーションや生産性向上につながる
活発なコミュニケーションから、新たなアイデアが生まれることも期待できます。従業員が持つ知識や体験・スキルなどが、意見交換を通して組み合わさることで、これまでにない企画につながる可能性があるためです。
新製品や新サービスの誕生、既存の製品やサービスの新しい活用方法、作業効率を高める改善案などが生まれるかもしれません。
また顧客に対してより質の高い商品やサービスを効率良く届けられるようになるため、売上向上や業績改善といった成果も期待できます。
エンゲージメントや従業員満足度が高まる
心理的安全性が整い、スムーズなコミュニケーションが取れる職場においては、従業員の職場への愛着を示すエンゲージメントや満足度が高まる傾向が見られます。
エンゲージメントや満足度の高い職場環境が実現すれば「長く働き続けたい」と考える従業員の増加が期待できます。
関連記事:従業員エンゲージメントとは?向上に役立つ施策や取り組むメリット
心理的安全性を高める6つの方法
心理的安全性の向上は企業にとってプラスに働きます。自社の心理的安全性を高めるには、どのような方法があるのでしょうか?「あなたの組織は対応できている?「心理的安全性」を低下させる3つの問題」を参考に、6つの方法を紹介します。
関連記事:心理的安全性を高める方法|人間関係のストレスがない職場づくりのメリット
参考:「ProFuture株式会社/HR総研」 |あなたの組織は対応できている?「心理的安全性」を低下させる3つの問題
意見にはポジティブに反応する
従業員の意見に対して否定的に反応したり、強く叱責したりするネガティブな対応が定着してしまうと、従業員は発言を控えるようになっていくでしょう。意見を募っても、積極的な発言が得られないことが考えられます。
従業員が遠慮することなく自らの意見を伝えられる環境をつくるためには、意見に対してポジティブな姿勢で応じることが大切です。「参考になったよ、ありがとう」というように、意見を述べてくれたことに対する謝意を示すとよいでしょう。
議論への参加を促す
会議やミーティングを開催する際は、出席者全員が自分の考えを発表し、議論に加わるよう促すことが重要です。全ての従業員が1回は発言できるよう、会議やミーティングの進行方法を検討するとよいでしょう。
議論に加わることで、従業員は「自分はこのチームに欠かせない人材だ」という価値を感じやすくなります。継続していくうちに、積極的な発言が増えていくことも期待できる方法です。
共通のゴールを設定する
企業やグループ単位で共通の目標を掲げることも、心理的安全性の向上につながります。従業員が思い描いているゴールが一人ひとり違えば、意見交換も協力体制の構築も難しくなるためです。
同じ目標を目指して進んでいるという意識を従業員が持てるよう、目標を明確に設定することで、チーム全体の結束力を高められます。
仕事の進捗を共有する
それぞれの従業員が何を担当し、どの程度仕事が進んでいるかを可視化して、組織内で共有することも重要です。従業員がお互いの仕事の状況を理解し合える職場では「協力しよう」という意欲が生まれやすくなります。
例えば、作業をよりスピーディーに終わらせるためのコツについて情報交換をしたり、遅れが発生しているときには余裕のある従業員が手を貸す関係が形成されたりすることが期待できるでしょう。
適切な評価方法を導入する
評価基準が不明確で評価者の主観に左右される環境では「この意見は評価に悪影響が出そうだ」という不安から、従業員の積極的な発言や行動が期待できなくなります。
従業員が安心して発言したり能力を発揮したりできるよう、適正な評価システムの構築が必要です。
透明性のある評価基準を策定し、その内容を従業員にも開示します。何をどのように頑張れば評価につながるかが明確になれば、従業員は適切な努力を行えるようになるためです。
評価は売上などの定量的な結果だけでなく、業務に向き合う姿勢が企業理念に沿っていることや、自ら設定した目標の達成度合いなども含めるとよいでしょう。
コミュニケーションの活性化に取り組む
良好なコミュニケーションが生まれやすくなるような仕組みの導入も、心理的安全性の向上に役立ちます。例えば社内イベントや食事会を実施すれば、仕事以外の場面で従業員同士が会話をする機会づくりが可能です。
また職場にドリンクコーナーのある休憩場所を設ければ、従業員が自然に集まるため、日常的なコミュニケーションが生まれやすくなります。
新たに入社したメンバーを年齢の近い先輩従業員がフォローするメンター制度や、上司と部下が1対1で面談を行う「1on1」の実施も有効です。
関連記事:1on1ミーティングの目的は?期待できる効果や実施のポイントをチェック
心理的安全性の向上に取り組もう
従業員が安心して発言したり、能力を発揮したりできる、心理的安全性の向上は企業にもプラスに働きます。意見に対してポジティブに反応する、議論へ参加するよう促す、などの取り組みで自社の心理的安全性向上に取り組むとよいでしょう。
また心理的安全性はエンゲージメントや従業員満足度の向上につながることから、人材定着にも有効と考えられています。
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