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賃上げ率の推移を確認。歴史的な賃上げとなった2024年の賃上げ率も

賃上げ率の推移を確認。歴史的な賃上げとなった2024年の賃上げ率も

2025.07.28

賃上げ率の推移を見ると、2024年に急激に上がっています。これは物価高に合わせて賃上げの要求が高まったためです。ただし全ての企業が同じように賃上げを実施できたわけではありません。

大企業は賃上げ前から給与が高く、賃上げ率も高い一方、中小企業は給与も賃上げ率も低い傾向があります。このような状況は、今後どのように是正されていくのでしょうか。従業員の実質賃金アップに向けて、企業が導入できる制度も紹介します。

賃上げ率の推移

賃上げ率はどのように推移しているのでしょうか。ここでは日本労働組合総連合会や厚生労働省が発表している賃上げ率のデータをチェックしましょう。

関連記事:【最新】中小企業の賃上げ推移2025|成長持続のための施策とは

連合の発表で見る賃上げ率の推移

日本労働組合総連合会の発表をもとに、これまでの賃上げ率を見ていきましょう。2022年まではほぼ横ばいで推移しているのが分かります。

2023年に2022年を超える賃上げ率となり、その後2024年には33年ぶりに賃上げ率の全体平均が5%を超える歴史的な賃上げ率を記録しました。

賃上げ率

従業員300人未満の企業の賃上げ率

従業員300人以上の企業の賃上げ率

2015年

2.20%

1.88%

2.24%

2016年

2.00%

1.81%

2.03%

2017年

1.98%

1.87%

1.99%

2018年

2.07%

1.99%

2.08%

2019年

2.07%

1.94%

2.09%

2020年

1.90%

1.81%

1.91%

2021年

1.78%

1.73%

1.79%

2022年

2.07%

1.96%

2.09%

2023年

3.58%

3.23%

3.64%

2024年

5.10%

4.45%

5.19%

2025年

5.25%

4.65%

5.33%

参考:日本労働組合総連合会|労働・賃金・雇用 春季生活闘争

厚生労働省の「民間主要企業春季賃上げ集計」で見る賃上げ率の推移

厚生労働省の「民間主要企業春季賃上げ集計」でも賃上げ率の推移を見ていきましょう。こちらは資本金10億円以上で従業員1,000人以上の労働組合がある企業348社の集計結果です。

2022年までほぼ横ばいで推移し、2023年から上がり始め、2024年で5%を超えているのは、日本労働組合総連合会の発表している賃上げ率をもとに作成した表と同様です。

ただし厚生労働省の集計は規模の大きな企業が対象のため、全体的に高めの賃上げ率となっています。

賃上げ率

2015年

2.38%

2016年

2.14%

2017年

2.11%

2018年

2.26%

2019年

2.18%

2020年

2.00%

2021年

1.86%

2022年

2.20%

2023年

3.60%

2024年

5.33%

参考:厚生労働省|民間主要企業春季賃上げ集計

厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」で見る賃金の改定率の推移

厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」では、企業規模ごとの1人平均賃金の改定率が分かります。

1人平均賃金の改定率とは、時間外手当や休日手当などの割増手当や、慶弔手当などの特別手当を含まない所定内賃金である、1人平均賃金が改定された割合のことです。

賃金がどれだけ上がったかを示すため、賃上げ率と同様で2022年まではほぼ横ばいに推移し、2023年から上がっています。また従業員数が多くなるほど改定率が高い傾向です。

全企業の賃金の改定率

従業員数5,000人以上の企業の賃金の改定率

従業員数1,000~4,999人の企業の賃金の改定率

従業員数300~999人の企業の賃金の改定率

従業員数100~299人の企業の賃金の改定率

2015年

1.9%

2.2%

2.0%

1.8%

1.6%

2016年

1.9%

1.9%

1.8%

2.0%

1.8%

2017年

2.0%

2.1%

1.8%

2.1%

1.9%

2018年

2.0%

2.2%

1.9%

1.9%

1.9%

2019年

2.0%

2.1%

2.0%

1.9%

1.9%

2020年

1.7%

1.9%

1.7%

1.7%

1.6%

2021年

1.6%

1.6%

1.7%

1.6%

1.6%

2022年

1.9%

2.0%

1.8%

2.0%

1.9%

2023年

3.2%

4.0%

3.1%

3.2%

2.9%

2024年

4.1%

4.8%

4.1%

3.8%

3.7%

参考:厚生労働省|賃金引上げ等の実態に関する調査

「賃金構造基本統計調査」で見る企業規模別平均月額賃金の推移

賃金構造基本統計調査」の「きまって支給する現金給与額」の推移からも、賃上げ率の推移をチェックできます。

企業規模計で見ていきましょう。2021年から2022年は5,300円増、2022年から2023年は6,600円増となっているのに対して、2023年から2024年は1万2,900円増と急激に増加しており、歴史的な賃上げが行われたことが分かります。

企業規模計

従業員1,000人以上

従業員100~999人

従業員10~99人

2019年

33万8,000円

38万4,000円

32万3,300円

29万3,800円

2020年

33万600円

36万9,000円

32万3,800円

29万3,800円

2021年

33万4,800円

37万5,700円

32万6,100円

29万8,900円

2022年

34万100円

38万5,300円

33万600円

30万4,500円

2023年

34万6,700円

38万2,700円

33万8,800円

31万4,000円

2024年

35万9,600円

40万2,400円

35万600円

32万400円

参考:厚生労働省|賃金構造基本統計調査

2024年の賃上げ率

2024年の賃上げ率は、日本労働組合総連合会の発表では以下の通り、企業全体の賃上げ率は5.10%と33年ぶりに5%を超えました。ただし企業規模別に賃上げ率を見ると、5%を超えているのは従業員数1,000人以上の企業のみです。

歴史的な賃上げとなりましたが、中小企業や小規模な企業では、十分に賃上げが進んでいない状況があると考えられます。

従業員数

賃上げ率

全体平均

5.10%

300人未満平均

4.45%

99人以下

3.98%

100人以上299人以下

4.62%

300人以上平均

5.19%

300人以上999人以下

4.98%

1,000人以上

5.24%

関連記事:【2024春闘】賃上げ率5.10%を達成!持続可能な賃上げ戦略とは

参考:日本労働組合総連合会|労働・賃金・雇用 春季生活闘争

東京商工リサーチの調査で見る2024年の賃上げ

東京商工リサーチでは、2024年春闘の最終結果が明確になったあとの8月1~13日にかけて「賃上げに関するアンケート」調査を行いました。この調査結果で、2024年の賃上げを振り返りましょう。

参考:東京商工リサーチ|2024年度の「賃上げ」率 最多は「5%以上6%未満」 実施率は84.2%、中小企業は「賃上げ疲れ」も

賃上げ実施率は企業規模の差が過去最大

賃上げに関するアンケート」によると、賃上げ実施率は企業規模によらず80%を超えています。ただし資本金1億円以上の大企業で94.08%の企業が実施しているのに対して、資本金1億円未満の中小企業では82.93%と、11.15ポイントの差です。

加えて中小企業は、2023年の調査から賃上げ実施率が1.3ポイント下がっています。賃上げは企業規模によって、実施率に明確な差があると分かりました。

企業規模

賃上げを実施した

賃上げを実施していない

全企業

84.22%

15.78%

資本金1億円以上

94.08%

5.92%

資本金1億円未満

82.93%

17.07%

関連記事:賃上げの実態に関する調査をチェック!賃上げは本当に広がっている?

企業規模別賃上げ率の割合

企業規模別の賃上げ率の違いも見ていきましょう。賃上げ率5%以上と回答した企業の割合は、大企業が44.4%であったのに対して、中小企業は42.4%と低くなっています。

賃上げに関するアンケート」では、中小企業は大企業と比べて、賃上げ実施率も賃上げ率も低い傾向があると分かる結果でした。

賃上げ率

大企業

中小企業

1%未満

0.55%

1.03%

1%以上2%未満

3.03%

5.12%

2%以上3%未満

10.22%

13.46%

3%以上4%未満

26.24%

25.60%

4%以上5%未満

15.46%

12.32%

5%以上6%未満

32.04%

26.21%

6%以上7%未満

4.41%

4.57%

7%以上8%未満

2.48%

3.21%

8%以上9%未満

1.93%

2.30%

9%以上10%未満

0.82%

0.45%

10%以上20%未満

2.48%

4.93%

20%以上30%未満

0.27%

0.42%

30%以上

0.00%

0.32%

関連記事:2024年春闘|大企業と中小企業の賃上げ率格差、その解消への道

2024年春闘の課題は格差

日本労働組合総連合会は「2025 春季生活闘争基本構想」で、企業規模・雇用形態・性別などによる賃金の格差について触れています。

33年ぶりに賃上げ率が5%を超えた2024年の賃上げは歴史的なものでしたが、5%を超えているのは従業員数が1,000人以上の企業のみです。

加えて大企業と中小企業では、もともとの給与にも格差があります。「賃金構造基本統計調査」によると、2024年の「きまって支給する現金給与額」は、従業員数1,000人以上の企業の方が、100~999人の企業より5万1,800円、従業員数10~99人の企業より8万2,000円高い金額です。

さらに全体平均の金額を超えているのは、従業員数1,000人以上の企業のみです。賃上げ前の給与が低く、賃上げ率も低ければ、大企業と中小企業の格差は開き続けてしまいます。

従業員数

きまって支給する現金給与額

1,000人以上

40万2,400円

100~999人

35万600円

10~99人

32万400円

全体平均(10人以上)

35万9,600円

参考:
日本労働組合総連合会|2025 春季生活闘争基本構想
厚生労働省|賃金構造基本統計調査

連合が提示した格差是正の数値目標

大企業と中小企業の格差を是正するため、日本労働組合総連合会は「2025 春季生活闘争基本構想」の中で、大企業に5%以上、中小企業に6%以上の賃上げ率を求めることを示しました。

2025年春闘の最終回答では、賃上げ率は以下の通りです。大企業の賃上げ率は5%を上回ったものの、中小企業は6%に届きませんでした。それでも2024年春闘より賃上げ率は上がっています。

従業員数

賃上げ率

全体平均

5.25%

99人以下

4.36%

100人以上299人以下

4.76%

300人以上999人以下

5.08%

1,000人以上

5.39%

関連記事:春闘で中小企業の賃上げはどうなる?2025年春闘の動向を予測

参考:日本労働組合総連合会|労働・賃金・雇用 春季生活闘争

賃上げ疲れが出ている企業は多い

エデンレッドジャパンが実施した「賃上げ疲れ実態調査2025」によると、継続的な賃上げで経営に負担を感じている企業は77.0%です。具体的な影響は「企業収益の圧迫」が68.7%と最も多く、次に「事業への投資抑制」が33.1%となっています。

人件費が増えるだけではなく、今後の経営戦略にも影響が出ている企業も出てきている状況です。

関連記事:賃上げ疲れ実態調査2025~7割以上の企業が春闘による“賃上げ圧力”を実感~

2026年の賃上げは企業規模による差が見込まれる

2026年の賃上げ実施見込みについての質問への回答は、大企業と中小企業に差が生じる結果となりました。

企業規模

賃上げを継続すると回答した割合

大企業(従業員300人以上)

68.3%

中小企業(従業員300人未満)

52.9%

2026年の賃上げは失速するとの予想も

ニッセイ基礎研究所の「高水準の賃上げをもたらしたのは人手不足か、物価高か」の見通しでは、2026年の賃上げ率は大幅に低下するそうです。

これは今後予想されている物価上昇率の鈍化と関係しています。ニッセイ基礎研究所の「2025・2026年度経済見通し」によると、円安や原油高は落ち着いていく見通しです。物価上昇率が落ち着けば、賃上げの要求や実際の賃上げ率も低下すると考えられます。

またトランプ関税による、経済の先行きの不透明感から、賃上げを控える動きが出ることも予想されます。

関連記事:2026年の賃上げは失速?これまでの推移と失速の理由を解説

参考:
ニッセイ基礎研究所|高水準の賃上げをもたらしたのは人手不足か、物価高か
ニッセイ基礎研究所|2025・2026年度経済見通し-25年1-3月期GDP2次速報後改定

従業員の待遇改善には実質賃金に注目を

従業員の待遇改善を目的に賃上げを実施しているなら、賃上げ率と同時に実質賃金にも注目しましょう。実質賃金とは、労働者が受け取った賃金(名目賃金)から物価上昇分を除いた賃金のことです。

毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果確報」によると、2022年以降、名目賃金は上がっていても実質賃金は上がっていません。これでは賃金が上がっていても、従業員の生活水準は下がっている可能性があります。

年月

名目賃金の前年比

実質賃金の前年比

2019年

-0.4%

-1.0%

2020年

-1.2%

-1.2%

2021年

0.3%

0.6%

2022年

2.0%

-1.0%

2023年

1.2%

-2.5%

2024年

2.8%

-0.3%

反対に賃上げ率が下がるとしても、実質賃金が上がっていれば、従業員の生活の余裕が生まれ始めます。

関連記事:実質賃金と名目賃金の違い|物価上昇を上回る賃上げ目標についてもチェック

参考:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果確報

従業員の実質的な手取りアップには「チケットレストラン」がおすすめ

従業員の待遇改善に取り組むなら、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」が向いています。

全国にある25万店舗以上の加盟店で昼食を購入できるサービスは、休憩時間のタイミングや勤務場所によらず利用できるため、対象となる従業員が公平に利用可能です。

加えて「チケットレストラン」は一定の利用条件下であれば所得税が非課税になるため、従業員の実質的な手取り額アップを実現できるのもメリットといえます。

実質賃金が低下している中で「従業員の可処分所得を増やしたい」「日常的にお得に使える制度を導入して従業員をサポートしたい」と考えている企業にぴったりです。

例えば株式会社sumarchでは、非課税枠の運用で従業員の手元に多く残しつつ、健康サポートにも取り組めることが「チケットレストラン」導入の決め手のひとつでした。

制度の内容や非課税枠などについて、詳しくはこちらの「資料請求」からお問い合わせください。

詳細な導入事例はこちら:株式会社sumarch

賃上げ率は2024年に大幅アップ

賃上げ率の推移を見ると、2022年まではほぼ横ばいで、2023年に上がり始め、2024年に大きく上昇しています。この大幅な賃上げの動きは2025年にも引き継がれましたが、今後は賃上げ疲れや物価上昇率の鈍化の影響から、失速していく予想です。

このような状況の中、賃上げ率に加えて実質賃金に注目しておくとよいでしょう。賃上げ率が大きく上がらない場合でも、実質賃金が上がれば生活に余裕が生まれやすくなるためです。

また従業員の実質的な手取りアップには、一定の条件下で非課税枠を利用できる、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」も有効です。従業員の待遇改善に向けて、導入を検討してみませんか。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

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