資料請求 (無料)
English

エデンレッドブログ

-働く人と働きたい人のための福利厚生ブログ-

【社労士監修】「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」とは?わかりやすく解説

【社労士監修】「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」とは?わかりやすく解説

2025.07.09

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2025年6月に策定された「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」は、価格転嫁や生産性向上・事業承継支援・人材育成といった4本柱を通じて、中小企業の持続的な賃上げを後押しする制度です。本記事では、その概要や企業実務への影響、押さえるべき要点をわかりやすく解説します。

「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の概要

「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」とは、どのような計画なのでしょうか。まずはその内容と成立の背景から解説します。

参考:内閣官房|「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の施策パッケージ案

「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」とは

2025年6月13日に閣議決定された「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」は、我が国の雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備を図る包括的な政策計画です。

2029年度までの5年間で、持続的・安定的な物価上昇の下、物価上昇を1%程度上回る賃金上昇、すなわち実質賃金1%程度の上昇を賃上げのノルムとして定着させることを目標としています。

この計画の実現に向けて、政府は官民合わせて概ね60兆円規模の生産性向上投資を実施し、日本全土で物価上昇に負けない賃上げを早急に実現・定着させるため、政策資源を総動員して取り組むとしています。

「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の背景と必要性

現在、企業の人手不足感はバブル期以来の高水準まで増加しており、特に国内雇用の7割を支える中小企業・小規模事業者とサービス業で深刻な状況となっています。

今後も生産年齢人口の減少により労働供給制約がますます厳しくなることが見込まれる一方で、十分な省力化投資※やデジタル化は進んでいないのが現状です。

また、サービス業を中心に、最低賃金引上げの影響を大きく受ける業種では、人手不足がとりわけ深刻で、生産性向上の必要性が一層高まっています。

さらに、国内336万者の中小企業・小規模事業者のうち、約100万者では経営者の年齢が70歳以上です。経営者の高齢化を背景とした黒字廃業の増加も大きな課題となっています。

これらの課題を放置すれば、中小企業の事業継続が困難となり、地域経済の衰退と雇用の7割を支える基盤の崩壊につながりかねません。一方で、中小企業・小規模事業者が生産性向上と賃上げを両立できれば、優秀な人材の確保と定着、さらなる成長投資の好循環を生み出すことが可能です。

こうした認識のもと、政府は中小企業・小規模事業者の構造的課題に対して集中的かつ包括的に取り組むため、本5か年計画を策定しました。

※作業の効率化・人手を減らす取り組みへの投資

「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」4つの主要施策

「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」では、中小企業・小規模事業者の経営変革の後押しと賃上げ環境の整備を通じ、以下の4つの柱からなる施策を展開しています。

1. 官公需も含めた価格転嫁・取引適正化

中小企業・小規模事業者の賃上げと経営変革の原資確保のため、適切な価格転嫁の実現を強力に推進します。

地方の中小企業にとって需要の多くを占める自治体の官公需(17.4兆円)、および国・独立行政法人等の官公需(11.0兆円)において、低入札価格調査制度・最低制限価格制度の導入・活用も進められます。

労務費転嫁指針の徹底により、原材料費やエネルギーコストの転嫁はもとより、労務費を含む価格転嫁の商習慣化を社会全体に定着させる取り組みを推進中です。また、下請法の改正による業所管省庁の執行体制強化や、中小受託取引適正化法の執行強化により、取引適正化を徹底して進めます。

2. サービス業を中心とした中小企業・小規模事業者の生産性向上

政府は『新しい資本主義』政策の方向性として、2020年代に最低賃金を全国平均1500円まで引き上げることを目指しています。

この引き上げの影響を強く受ける労働集約的な12業種について、業種別の「省力化投資促進プラン」を策定しました。 これは2029年度までの5年間で集中的な生産性向上を実現するための具体的なロードマップです。

対象となるのは飲食業、宿泊業、小売業など、いずれも深刻な人手不足に直面している業種です。 各業種では、フロントヤードでの業務効率化やバックオフィスでのデジタルツール導入を後押しし、中小企業省力化投資補助金、IT導入補助金、業務改善助成金等の強化を図ります。

参考:内閣官房|新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版

関連記事:【社労士監修】2024年版|中小企業賃上げ支援の6つの補助金・助成金を徹底比較

3. 事業承継・M&A等の中小企業・小規模事業者の経営基盤強化

経営者の高齢化と後継者不足に対応し、希望するすべての経営者が事業承継・M&A等の選択肢も含めて先々の経営判断を計画的に行える事業環境を整備します。

M&Aの売り手側経営者に対しては、雇用維持や経営者保証に関する不安解消、廃業・再チャレンジ支援の強化、取引相場の醸成等を進められることになりました。

官民のM&A支援機能については、新たな資格制度の検討や事業承継・引継ぎ支援センターの体制強化を図ります。また、経営能力に優れた買い手へのマッチング支援や計画的な事業統合(PMI)も推進されます。

4. 地域で活躍する人材の育成と処遇改善

国民生活を支える就業人口の約6割を占める現場人材の持続的な賃上げを実現するため、高度なスキルを身につけ生産性を高めつつ、より魅力ある職業としていく取り組みが進められることになりました。

アドバンスト・エッセンシャルワーカー(デジタル技術等も活用して現在よりも高い賃金を得るエッセンシャルワーカー)の育成や、AI等の技術トレンドを踏まえた幅広い労働者のリ・スキリング支援を実施します。

また、医療・介護・保育・福祉等の現場での公定価格の引上げに取り組み、全国それぞれの地域で労働者個人が活躍できる環境を整備します。

【業種別】省力化投資の取り組み

上記4つの施策の中でも、特に「2. サービス業を中心とした中小企業・小規模事業者の生産性向上」は、多くの中小企業に直接的な影響を与える重要な施策です。ここでは、対象となる12業種の概要と、企業が取り組むべき実践的なポイントについて詳しく見ていきましょう。

対象12業種の生産性向上目標と課題

業種 生産性向上目標(2029年度まで) 主な課題
1. 飲食業 35%向上 調理・接客・店舗管理の全工程での人手不足
2. 宿泊業 35%向上 観光需要回復に伴う人手不足感の高まり
3. 小売業 28%向上 接客対応、レジ精算、店内清掃等の労働集約性
4. 生活関連サービス業 29%向上(理容業、美容業、クリーニング業)
24%向上(冠婚葬祭)

中小零細・個人経営が多く経営者高齢化

冠婚葬祭業にける事務作業の省力化

5. その他サービス業 25%向上(自動車整備業、ビルメンテナンス業) 自動車整備業:専門学校入学者半減、人手不足
ビルメンテナンス業:清掃作業従事者が8割を占める労働集約性
6. 製造業 24%向上 中小企業割合が高く労働集約的な業態
7. 運輸業 18〜26%向上(分野別) DX化の遅れ、紙での管理や手書き作業
8. 建設業 9%向上(実質値) 他産業比較での低い労働生産性、高齢化
9. 医療 時間外労働削減・処遇改善 2040年の高齢者ピークに向けた従事者確保
10. 介護・福祉 業務効率化・処遇改善 サービス需要拡大と生産年齢人口減少
11. 保育 処遇改善 非効率な事務作業、紙での業務
12. 農林水産業 生産量増加・生産性向上 就業者の急速な減少と高齢化

これらの業種に共通するのは、労働集約的な性質と深刻な人手不足です。省力化投資による業務効率化も重要ですが、同時に従業員の満足度向上や離職防止の観点も欠かせません。

従業員満足度と定着率の向上に「チケットレストラン」

従業員の満足度や定着率の向上に効果的な施策として、近年注目度を高めるのが、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、従業員のランチ代を企業が補助する食の福利厚生サービスです。導入企業の従業員は、全国25万店以上の加盟店での食事を実質半額で利用できます。

加盟店のジャンルは、ファミレス・コンビニ・三大牛丼チェーンなど幅広く、勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用時間や場所の制限もありません。

また、一定の条件を満たす福利厚生は所得税の非課税枠を活用できるため、給与として同額を支給するよりも従業員の実質的な手取りを増やす効果が期待できます。

従業員がメリットを実感しやすく、かつ中小企業も取り入れやすい福利厚生として、すでに3,000社を超える企業に導入され、数々の有名メディアでも取り上げられているサービスです。

チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。

関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も

「チケットレストラン」で生産性向上も

楽天ヴィッセル神戸株式会社」では、拠点によって異なる食事補助の不公平感解消を図り「チケットレストラン」を導入しました。導入後、精算処理をする従業員、人事・総務担当者の精算作業の負担が軽減し、DX化による生産性向上を実感されているそうです。

「楽天ヴィッセル神戸株式会社」の詳細な導入事例はこちら

まとめ|中小企業の賃上げに向けた国の支援と企業の実践的対応

「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」は、「人への投資」と「生産性向上」を両立させる具体的な施策を盛り込み、業種別に数値目標を明示している点が特徴です。

企業としては、補助金や支援制度の活用に加え、自社の課題と照らし合わせて、省力化や人材育成への取り組みを実行していくことが求められます。賃上げの実現は単なるコスト増ではなく、事業の持続可能性と競争力を高める一手でもあります。

チケットレストラン」のような福利厚生の導入も含め、自社に最適な制度の整備を進めましょう。

資料請求はこちら

参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
    :「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!

当サイトにおけるニュース、データ及びその他の情報などのコンテンツは一般的な情報提供を目的にしており、特定のお客様のニーズへの対応もしくは特定のサービスの優遇的な措置を保証するものではありません。当コンテンツは信頼できると思われる情報に基づいて作成されておりますが、当社はその正確性、適時性、適切性または完全性を表明または保証するものではなく、お客様による当サイトのコンテンツの利用等に関して生じうるいかなる損害についても責任を負いません。

エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

最新記事はSNSから確認していただけます
トップへ戻る