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ベースアップと賃上げの違いとは?人件費戦略の基本をわかりやすく解説

ベースアップと賃上げの違いとは?人件費戦略の基本をわかりやすく解説

2025.05.16

「賃上げ」とは、企業が従業員に対して行う給与アップの施策全般を指しますが、その中にはベースアップや定期昇給など異なる仕組みが含まれています。本記事では、ベースアップと賃上げの違いをわかりやすく整理するとともに、定期昇給との明確な違いや、賃上げに関連する中小企業ならではの課題、そして賃上げの代替策となり得る福利厚生制度までを網羅的に解説します。

「賃上げ」とは|企業が行う賃金アップの施策全般

企業における「賃上げ」とは、従業員の給与を引き上げるために行うさまざまな施策の総称です。まずは、「賃上げ」に含まれる施策の種類と背景を整理します。

賃上げに含まれる主な施策

賃上げとは、企業が行う賃金アップに関連する施策の総称です。

参考までに厚生労働省の「令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」から「主な用語の定義」を見ると、「賃金の改定」は下記のように解説されています。

●賃金表の改定(ベースアップ・ベースダウン)
●定期昇給
●諸手当の改定
●賃金カット
→これらによって賃金の改定を実施した結果=「賃金の改定」

このうち、「賃上げ」に該当するのは「ベースアップ」「定期昇給」「諸手当の改定」の3つです。

なお、春闘などの労使交渉では、賃上げ率は通常「定昇+ベースアップ」の合計額をもとに集計されており、諸手当の改定は含まれないのが一般的です。

参考:厚生労働省|令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況

政府による賃上げ要請とその背景

近年、政府は物価の上昇や消費支出の回復を背景に、企業に対して積極的な賃上げを求めています。これにともない、賃上げを実現した企業への税制優遇や中小企業の賃上げを支える投資支援など、賃上げを支える具体的な施策も進められています。

民間の動きに目を向けてみると、2024年の春闘において、連合は「ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせて5%以上の賃上げ」を要求しました。これに多くの企業が応えた結果、最終回答集計での賃上げ率は5.1%となり、1991年以来33年ぶりに5%を上回る結果となりました。また、2025年の春闘では、連合はさらに高水準となる6.09%の賃上げを要求しています(加重平均による算出)。

政府・労働界がともに賃上げを推し進めている現状から、今後も高水準の賃上げが続いていくことが予想されます。

参考:首相官邸|物価高を上回る所得増へ
参考:連合|労働・賃金・雇用 春季生活闘争

「ベースアップ」とは|すべての従業員の基本給を一律で底上げする賃上げ施策

企業における「ベースアップ(ベア)」とは、従業員の基本給水準そのものを一律に引き上げる賃上げ施策を指します。ベースアップの意味やメリット・デメリットを通じ「賃上げ」との違いを明確にしていきます。

ベースアップの仕組みと実施方法

ベースアップは、従業員の基本給水準を一律に引き上げる制度です。

原則として、個人ごとの評価結果や勤続年数に関係なく、すべての従業員の給与水準が一律で底上げされます。春闘においては、労働組合が「ベースアップ要求額」を明示し、企業側がその交渉に応じる形で実施されるのが一般的です。

実際の実施方法としては、年度初めに賃金表を改定し、基本給の支給額を固定的に引き上げることで対応します。基本給の金額は賞与・退職金・各種手当の算出基準にも波及するため、ベースアップを実施すれば企業の人件費負担は大きく増加します。

こうした背景から、ベースアップは企業にとって極めて慎重な判断が求められる施策です。

ベースアップのメリット・デメリット

ベースアップには、企業・従業員の双方にとって明確なメリットとデメリットがあります。

まずメリットとして挙げられるのが、すべての従業員の待遇を一律に改善することにより、従業員のモチベーションや定着率の向上・採用活動における競争力の強化などが期待できる点です。基本給が上がれば賞与や退職金の算定基準にも反映されるため、長期的に企業にとどまるインセンティブにもなります。

一方、大きなデメリットとして挙げられるのが、恒常的に人件費が増加することです。ベースアップは一度実施すれば元に戻すのが困難なため、財務的な負担が継続的に発生します。また、業績に応じて調整できる賞与や一時金とは異なり、景気変動に柔軟に対応しにくい点も大きなリスクです。

こうしたリスクを避けるため、あえてベアを見送り、定期昇給や手当改定にとどめる企業も少なくありません。

定期昇給との違いもチェック

「賃上げ」に言及するにあたり、しばしば混同されるのが「定期昇給(定昇)」と「ベースアップ(ベア)」の違いです。いずれも給与が上がるという点では共通していますが、その仕組みや目的、企業に与える影響には明確な違いがあります。ここでは、その違いについてわかりやすく解説します。

定期昇給は評価や勤続年数に応じた個別対応

定期昇給(定昇)は、就業規則や労働協約で取り決められた内容に基づき、従業員の年齢や勤続年数、または人事評価の結果に応じて、原則として毎年行われる昇給です。企業によっては「年次昇給」や「自動昇給」として運用されており、組織内での処遇バランスを維持する役割も果たします。

一方、ベースアップはすべての従業員を対象に、基本給の水準そのものを一律に引き上げるものであり、個人ごとの評価や年次には連動しません。このため、定期昇給は「従業員個別の処遇改善」・ベアは「企業全体の給与水準の底上げ」と位置づけられます。

両者を正確に理解し区別することで、制度上の誤解を防ぐことが可能となります。

関連記事:【社労士監修】定期昇給とベースアップの違いとは?負担少の賃上げ法

企業側の負担と狙いも異なる

定期昇給とベースアップは、いずれも賃上げの手段ですが、企業側が負担するコストや、その導入に込められた狙いは大きく異なります。

定期昇給は、多くの企業で毎年の給与改定として定着していることに加え、年度ごとの人事評価や等級制度に基づいて支給額が決まるため、比較的予算管理がしやすく、成果主義にも対応しやすい制度です。

一方、ベースアップは基本給水準自体を恒久的に引き上げるため、賞与や退職金の算出基準にまで影響を与えます。財務上のインパクトが大きくなることから、ベアの実施は労使交渉の結果として行われることが多く、企業側の意思決定に大きな責任がともないます。

「一般財団法人 労務行政研究所」の調査によると、2025年に定期昇給を実施予定の企業は92.2%・ベアを実施予定の企業は55.2%でした。この調査結果からも、ベアよりも定期昇給による賃上げが主流であることがわかります。

参考:一般財団法人 労務行政研究所|2025年賃上げの見通し―労使および専門家485人アンケート

賃上げをしない場合はどうなる?|企業のリスク

賃上げを行う企業が増える中で、賃上げをしないでいることにはどのようなリスクがともなうのでしょうか?ここでは、賃上げを見送った企業が直面しうる4つの具体的なリスクを紹介します。

採用市場での競争力が低下する

少子高齢化による人手不足が深刻化し、採用市場は売り手優位な状況が続いています。こうした現状で、企業が優秀な人材を獲得するためには、同業他社と比較して見劣りのしない待遇を用意することが大切です。

それにもかかわらず、多くの企業が賃上げに踏み切る中で賃上げをしないでいる場合、求職者の関心が他社へ向くことは避けられません。

人材は企業経営の欠かせない基盤です。採用市場での競争力の低下は、長期的に企業の競争力低下につながる深刻なリスクといえます。

離職率が上昇する

給与水準に納得感がない職場では、従業員の企業に対する満足度が低下しがちです。貢献意欲や愛着も薄れやすく、離職率の上昇が懸念されます。

特に、昨今のような物価上昇による実質賃金の目減りが続く状況では「より好条件の企業へ転職しよう」と考える人が増えるため、優秀な人材ほど流出のリスクが高まります。

また、残された従業員の業務負担が増すことにより、さらなる退職を招く「離職ドミノ」を招く可能性も否定できません。

長期的な視点で見ると、賃上げを実施しない選択は、企業に大きな損失をもたらす選択といえそうです。

従業員のモチベーション・生産性が低下する

賃上げが社会的な潮流となる中、賃上げを行わない企業では「自分は会社に評価されていない」「この会社は従業員を大切にしていない」と感じる従業員が増えやすくなります。

頑張りが認められない環境では、モチベーションの維持が難しく、パフォーマンスも低下しがちです。従業員一人ひとりのパフォーマンスは生産性に直結することから、賃上げをしない選択により企業の業績が停滞・低下する可能性が否定できません。

企業のブランド力が低下する

賃上げをしないことによる影響は、社内だけにとどまりません。

賃上げが一般的な状況で賃上げをせずにいる場合、当該企業は「従業員を大切にしない企業」「時流を読めない企業」というイメージで捉えられやすくなります。

このイメージは、企業のブランド力を低下させ、採用ブランディングや顧客に与える印象にも悪影響を及ぼしかねません。

目に見えないものだからこそ、毀損したブランド力の回復は難しく、その影響も多岐にわたります。

中小企業が直面する賃上げのハードル

東京商工リサーチ|賃上げ調査

出典:東京商工リサーチ|中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定|TSRデータインサイト

東京商工リサーチが2025年2月に行った調査によると、2025年度に賃上げを「実施する」と回答した企業は85.2%(5,278社中4,498社)でした。

しかし企業規模別に見てみると、資本金1億円以上の大企業では92.8%が「実施する」と答えたのに対し、資本金1億円未満の中小企業は84.6%にとどまっています。この結果から、中小企業の賃上げ実施には、依然として高い壁が存在していることがわかります。

その背景にあるのが、中小企業特有の構造的課題です。たとえば、原材料費やエネルギーコストが高騰しても、価格に転嫁できないケースが少なくありません。大企業と比べ、取引先との力関係が不利になりやすい中小企業では、価格交渉力が弱く、売上が伸びないままコストのみが増える傾向にあります。

このような実情から、多くの中小企業では、恒常的な人件費増につながるベースアップには踏み切ることができません。妥協策として、定期昇給や一時金などで対応・もしくは賃上げそのものを実施しないという結論になりがちなのが現状です。

賃上げの代替策に|実質的な手取りアップをかなえる「福利厚生」

中小企業をはじめとする賃上げが難しい企業にとって、限られた原資で従業員満足度を高める方法のひとつに「福利厚生」の活用があります。近年、特に注目を集めているこの代替策について、その詳細を解説します。

福利厚生が賃上げの代替策として有効なのはなぜ?

一定の条件を満たす福利厚生は、従業員にとって所得税が課税されない「非課税扱い」となります。同額をベースアップや定期昇給として賃上げするよりも、実質的な手取り額の増加につながります。

また、福利厚生は福利厚生費として経費計上できるため、企業側は法人税の削減が可能です。特に、食事補助や住宅補助のような暮らしに密着した福利厚生は、企業にとってコストを抑えながら従業員の生活を直接的にサポートできる魅力的な施策です。

原資に制限のある中小企業でも実践しやすい福利厚生を活用した実質的な賃上げは、ベースアップや定期昇給に続く「第3の賃上げ」(株式会社エデンレッドジャパンが定義)としても広く注目を集めています。

関連記事:「第3の賃上げ2025」とは?福利厚生で実現する新時代の賃上げ戦略

3,000社以上が導入「チケットレストラン」

数ある福利厚生の中でも、特に人気を集めているサービスのひとつに、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」があります。

チケットレストラン」は、一定の条件を満たすことにより、所得税の非課税枠を活用しながら全国25万店舗以上の加盟店での食事を実質半額で利用できる、食事補助の福利厚生サービスです。

加盟店の種類は、有名ファミレスやカフェ・コンビニ・三大牛丼チェーン店など多種多様で、勤務時間内にとる飲食物の購入であれば、時間や場所の制限もありません。

また、運用は月に1度の一括チャージのみと、バックオフィスの負担が最小限であることも企業にとって大きなメリットです。

こうした利便性の高さが評価され、業種や企業規模を問わず、すでに3,000社を超える企業に導入されている人気サービスとなっています。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

柔軟な人件費戦略で企業体力の増強を

賃上げは重要な人事戦略のひとつですが、それだけが人材確保や従業員満足を実現する手段ではありません。企業の状況に応じ「ベースアップ」「定期昇給」「諸手当の改定」などの多様な施策を組み合わせた、柔軟な報酬戦略が求められます。

急激な人件費の増加が企業体力を圧迫しかねない中小企業にとっては「チケットレストラン」のような「低コストで体感できる報酬」も有効な選択肢のひとつです。

不透明な社会情勢だからこそ、企業には自社の状況を客観的に分析し、限られた原資を最大限に活用しながら価値や魅力を戦略的に高める視点が求められています。

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参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
    :「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!

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