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【社労士監修】介護基盤人材確保助成金(終了)とは?介護未経験者確保等助成金(終了)との関係も解説

【社労士監修】介護基盤人材確保助成金(終了)とは?介護未経験者確保等助成金(終了)との関係も解説

2024.05.31

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

時代とともに、政府はさまざまな助成金を創設し、適宜見直しをしています。本記事で解説する「介護基盤人材確保助成金」も、過去にあった助成金の一つです。この助成金は、高齢化が進むにつれて介護事業者や介護人材が不足していることを理由に新設された助成金でした。本記事では「介護基盤人材確保助成金」などの介護に関する助成金が作られた背景や目的を解説します。


※本記事で解説する「介護基盤人材確保助成金」、「介護未経験者確保等助成金」、「若年者等正規雇用化特別奨励金」、「成長分野等人材育成支援奨励金」はすでに終了していますので、現在は申請できません。本記事は過去の助成金の変遷から人材確保の重要性を理解するものとしてご活用ください。

介護サービスの必要性

助成金とは、特定の活動や事業の支援を目的として、審査を経て提供されるまとまったお金のことです。「介護基盤人材確保助成金」の場合、政府が介護サービスが必要と考えていることが助成にあたっての背景でした。社会保険審議会の資料によると、平成12年から平成31年までの要介護(要支援)の認定者数は増加の一途をたどっていることがわかります。19年間で、要介護(要支援)の認定者は3.0倍、在宅サービスの利用者数は3.9倍、施設サービスの利用者数は1.8倍に増えました。

高齢者にとって介護はなくてはならないサービスです。このようなニーズの高まりを受け、政府が介護を担う人材を育成するための助成金を設け、その一つが「介護基盤人材確保助成金」でした。

介護 基盤 人材 確保 助成 金_01

出典:令和2年3月16日 社会保険審議会 |介護分野をめぐる状況について

介護基盤人材確保助成金とは

「介護基盤人材確保助成金」が具体的にどのような内容であったか、確認しましょう。

介護基盤人材確保助成金の概要

「介護基盤人材確保助成金」は、介護関係業務を行う事業主が、新サービスの提供をする場合に、雇用管理の改善に関連する業務を担う人材として、特定労働者を雇い入れるケースで活用できる助成金です。企業の中核となる人材を雇い入れる場合に活用できます。

ここで言う特定労働者とは、以下のような労働者のことです。

  • 保健医療サービスまたは福祉サービスの提供に関する実務経験が1年以上あり、社会福祉士、介護福祉士、介護職員基礎研修修了者、訪問介護員(1級)のいずれかの資格を有する者
  • サービス提供責任者としての実務経験が1年以上ある者(ただし、1週間の所定労働時間が30時間未満の雇用保険一般被保険者は対象外)

受給の要件

受給のためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 都道府県から雇用管理改善計画の認定を受ける
  • 介護事業に新規参入する、または新しいサービスを開始する
  • 介護労働安定センターから計画書の認定を受ける
  • 認定計画期間内に新規の従業員を雇用する
  • 解雇などの会社都合退職者がいないこと

助成金額

新規雇用した特定労働者1人につき、最大70万円が6か月間支給されます。ただし、上限は1事業所あたり3名分です。

申請手続き

申請に必要な手続きは以下の2つです。

  • 改善計画および助成金申請計画を作成し、計画期間の開始日(新サービスの提供等の開始または最初の特定労働者の雇入れ日のいずれか早い日)から遡って6か月前から1か月前の日までに、財団法人介護労働安定センター都道府県支部・支所に提出する。
  • 計画期間内に特定労働者を雇い入れ、助成対象期間満了後、満了日の属する月の翌月末日までに、支給申請書を都道府県労働局またはハローワークに提出する。

介護 基盤 人材 確保 助成 金_02

出典:厚生労働省|介護未経験者確保等助成金 介護基盤人材確保等助成金 は、平成23年3月31日をもって、廃止を予定しています。

介護基盤人材確保助成金と介護未経験者確保等助成金との関係

介護事業者を増やすために政府が推進した助成金として、「介護基盤人材確保助成金」のほかにも「介護未経験者確保助成金」があります。ここからは、同時期に政府が推進していた介護関係の助成金についても確認しましょう。

介護未経験者確保等助成金とは

介護未経験者確保等助成金は、介護関係業務の未経験者を雇用保険一般被保険者として雇い入れた場合に利用できる助成金です。1年以上継続して雇用することが確実であると認められる場合に、事業主への支援として助成を受けることができました。

受給の要件

以下の4つの項目すべてに該当する労働者が対象です。

  • 介護の仕事経験がない人
  • 雇用保険の一般被保険者で、週30時間以上働く人
  • 資本的・経済的に関連のない事業主から雇用される人
  • 2人目以降の未経験者の雇用は、最初の未経験者の支給対象期間が終了するまでに行う

なお、この助成金を利用するには、以下の要件も満たしている必要があります。

  • 労働者からの相談に応じる介護労働者雇用管理責任者の選任とその選任した者の氏名を事業所内で掲示すること等により周知をしていること。
  • 対象労働者の雇い入れ日の前日から6か月前の日から起算して、助成金の支給申請を行うまでの間に、事業所において事業主都合(解雇等)による離職者を出していないこと。

介護経験について、介護の資格の有無は関係ありません。過去に介護の仕事をした経験がない人が対象です。65歳以上の人と新卒者(最終学校卒業後1年未満)は除外されます。登録ヘルパーや派遣で介護に従事した経験がある人も対象外です。

まとめると、介護の実務経験がなく、雇用保険にも加入し、フルタイム勤務できる一般労働者を、親会社からの出向者ではなく、新規に雇用することが条件となります。2人目以降は最初の人の支給対象期間中に雇うことが求められます。

助成金額

未経験者1人につき、6か月ごとに25万円支給されます。特定労働者(25歳以上40歳未満で1年以上無職の人)の場合は50万円です。最長1年間で50万円(特定労働者は100万円)が上限です。

また、対象となる労働者数についても、以下の上限が設けられています。

・従業員200人未満:3人まで
・200人以上300人未満:6人まで
・以降100人増えるごとに3人ずつ加算
・700人以上は20人が上限

申請手続き

未経験者の雇入れ日から6か月を満了した日の翌日から1か月以内に、都道府県労働局またはハローワークに「介護未経験者確保等助成金支給申請書」を提出します。

参考:厚生労働省|介護未経験者確保等助成金 介護基盤人材確保等助成金 は、平成23年3月31日をもって、廃止を予定しています。
参考:SR経営サポート 社会保険労務士事務所|介護未経験者確保等助成金(※終了)

 

2つの助成金は併用可能だった

介護事業を新規に開始する場合、「介護基盤人材確保助成金」の支給対象となります。その際、介護未経験者を雇用すれば、さらに「介護未経験者確保等助成金」も併せて受給できます。

つまり、新規介護事業所を立ち上げる場合、「介護基盤人材確保助成金」と「介護未経験者確保等助成金」の2つの助成金制度を組み合わせて活用可能です。未経験の従業員を雇えば、事業開始時の人件費負担を双方の助成金で賄える可能性があります。新規参入時の初期コストを軽減する有力な支援策であったと考えられます。

2つの助成金は平成23年3月31日に廃止された

2011年(平成23年)の京都保険医新聞によると、「介護基盤人材確保助成金」、「介護未経験者確保等助成金」は2010年度末で廃止される方向となったことと、その理由について述べられています。理由は、2010年度予算編成のために民主党政権下で行われた事業仕分けです。予算執行率の低さなどが論点となり、助成金が廃止されました。

参考:京都保険医新聞 2011年(平成23年)2月25日

奨励金の活用で廃止する助成金の代替を目指した

介護基盤人材確保助成金は廃止されましたが、介護事業を支援する動きが不必要というわけではありません。引き続き介護事業者が利用できる奨励金により、政府は介護事業を応援する動きを継続しました。

「若年者等正規雇用化特別奨励金 (終了)」(雇入れ)

「若年者等正規雇用化特別奨励金」(雇入れ)は、25歳から40歳未満のフリーターや、内定が取り消されて就職先が決まっていない学生を正規雇用した企業を支援するものです。対象者をハローワークの紹介を受けて正規雇用すると、中小企業であれば最大100万円、大企業であれば最大50万円の奨励金が段階的に支給されます。フリーターや無職の若者、内定取り消し学生の正規雇用を介護職で採用する場合に活用できました。

参考:厚生労働省|フリーター等の常用雇用を支援します (若年者雇用促進特別奨励金のご案内)(※終了)

参考記事:【社労士監修】「若年者等正規雇用化特別奨励金(終了)」(雇入れ)とは?背景や目的を解説

「成長分野等人材育成支援奨励金(終了)」(人材育成)

「成長分野等人材育成支援奨励金」(人材育成)は、健康や環境など政府の成長戦略分野において、人材の確保と育成を図ることを目的としています。対象となるのは、これらの成長分野の事業を行う事業主であり、介護でも活用が可能です。

事業主が、雇用した労働者または他分野から配置転換した労働者に対して、1年間(6か月以上でも可)のOff-JTを含む職業訓練を実施した場合、訓練経費の一部として、1人当たり最大20万円(中小企業は50万円)が支給されます。

参考:厚生労働省|成長分野等人材育成支援事業奨励金のご案内(※終了)

参考記事:【社労士監修】「成長分野等人材育成支援奨励金(終了)」(人材育成)とは?背景や目的を解説

助成金を活用して介護事業の発展を推進

高齢化が着実に進んでいる日本では、介護を必要とする高齢者が増えています。介護事業者は、介護人材の確保に取り組み、持続的な経営を行える環境を整えなくてはなりません。助成金も積極的に活用することが重要です。ほかにも、魅力ある企業を目指すことでも長く働く人材確保に貢献できるしょう。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」などで福利厚生を充実させることも、魅力ある企業になるための方法の一つです。助成金や福利厚生により、長く続く企業を目指しませんか。

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