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【社労士監修】「成長分野等人材育成支援奨励金(終了)」(人材育成)とは?背景や目的を解説

【社労士監修】「成長分野等人材育成支援奨励金(終了)」(人材育成)とは?背景や目的を解説

2024.05.31

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監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

リーマン・ショック後の円高とデフレが深刻化していた2011年、政府は成長分野での人材育成を後押しするため「成長分野等人材育成支援奨励金」を創設しました。この奨励金の概要や支給要件、対象となる成長分野などについて、わかりやすく解説します。


※本記事で解説する「成長分野等人材育成支援奨励金」「若年者等正規雇用化特別奨励金」や参考として記載する「介護基盤人材確保助成金」はすでに終了していますので、現在は申請できません。本記事は過去の助成金への理解を深め、人材確保や企業成長のための教訓にするものとしてご活用ください。

「成長分野等人材育成支援奨励金」とは?

「成長分野等人材育成支援奨励金」とは、平成22年11月に創設された、健康・環境分野およびものづくり分野の人材育成に取り組む事業主の方への奨励金です。期間の定めのない従業員を雇い入れ、または他の分野から配置転換し、Off-JT(通常の業務を離れて行う職業訓練)を実施した事業主へ、訓練費用の助成を行います。
補足となりますが、介護基盤人材確保助成金など廃止された助成金の代替として、活用されることもありました。

参考記事:【社労士監修】介護基盤人材確保助成金(終了)とは?介護未経験者確保等助成金(終了)との関係も解説

成長分野等人材育成支援奨励金が創設された背景

「成長分野等人材育成支援奨励金」01出典:三井住友信託銀行|できごと年表<株価・為替レート付き>

成長分野等人材育成支援奨励金が創設された平成22年度の補正予算案では、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策関連」議題となっており、2008年9月のリーマン・ショック後の急速な円高とデフレ対策が課題でした。その対策として、新成長戦略の前倒し、需要・雇用創出を着実に後押しできる成長分野を本格的に推進したのです。

対策のうち、5本の柱の一つが「雇用・人材育成」です。若年者を中心に依然厳しい雇用情勢に対して、新卒者や若年者の就職支援、企業の雇用維持努力への支援を進めるとともに、成長分野を中心とした雇用創造・人材育成を図ります。このような意図により、「成長分野等人材育成支援事業」は平成24年3月31日までの暫定措置として導入されました。なお、新卒者や若者の就職支援については、「若年者等正規雇用化特別奨励金」などが代表例です。

参考記事:【社労士監修】「若年者等正規雇用化特別奨励金(終了)」(雇入れ)とは?背景や目的を解説

成長分野等人材育成支援奨励金の内容

ここからは成長分野等人材育成支援奨励金の具体的な内容を解説します。資料は厚生労働省「成長分野等人材育成支援事業のご案内(※終了)を元にしています。

支給要件

主な支給要件は、以下の2つです。

  • 健康、環境分野および関連するものづくり分野の事業を行っていること。
  • 雇用期間の定めなく雇用した労働者、または他分野から配置転換した労働者を対象に、1年間(訓練に必要な時間数が確保される場合は6か月以上)の職業訓練計画を作成し、Off-JT(通常の業務を離れて行う職業訓練)を実施すること。

どのような事業が対象となるかは、後ほど詳しく解説します。

支給額

事業主が負担した訓練費用について、1訓練コースにつき対象者1人あたり20万円を上限として支給します。中小企業が大学院を利用した場合は、50万円が上限です。

支給対象分野

成長分野に該当する一覧は、以下のとおりです。

  • 林業
  • 建設業(※)
  • 製造業(※)
  • 電気業
  • 情報通信業
  • 運輸業・郵便業
  • 学術・研究開発機関(※)
  • スポーツ施設提供業
  • スポーツ・健康教授業
  • 医療・福祉
  • 廃棄物処理業
  • その他(※)

(※)については、環境分野や健康分野に関する建築物を建設するなど、要件を満たす事業を行っていることが支給対象となる条件です。もし、上記に該当しない事業も行っている場合は、該当する事業のみが支給対象となります。

たとえばWebコンテンツ事業を行っている場合は、情報通信業に該当しますので、支給対象分野となります。建設業でのエコ住宅の建築は、環境分野に関する建築物なので、支給対象です。製造業で車の部品を作っている企業の場合、エコカーの部品の受注の場合は支給対象ですが、一般的な車の部品で環境分野や健康分野と関係がない場合は対象となりません。

支給対象となる事業者の要件

支給対象となる事業者の要件については、以下のとおりです。

  1. 雇用保険の適用事業主であること。
  2. 成長分野等に掲げられている事業を行っていること。
  3. 要件を満たした職業訓練計画を作成していること。
  4. 職業能力開発推進者を選任し、都道府県職業能力開発協会に選任調べを提出していること。
  5. 受給資格認定を受けた職業訓練計画に基づき、訓練を実施した事業主であること。
  6. 受給資格認定申請書の提出日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、事業所で雇用する雇用保険被保険者を事業主都合により解雇等していない事業主であること。
  7. 支給申請の前々年度より前のいずれかの保険年度に、労働保険料を滞納していないこと。
  8. 受給資格認定申請書の提出日から起算して3年前から支給申請書の提出日までの間に他の奨励金などを不正受給していないこと
  9. 支給申請書の提出日から起算して3年前から支給申請書の提出までの間に労働保険関係法令の違反を行っていない事業主であること。
  10. 対象労働者の雇入れ、または成長分野等以外の分野からの配置転換に係る事業所において、支給決定等に必要な書類を整備・保管していること。

    出典:厚生労働省|成長分野等人材育成支援事業のご案内(※終了)

対象労働者の要件

訓練の対象となる労働者の要件は、以下のどちらかに該当することです。なお、職業訓練計画の実施期間中に、訓練を受けている労働者を雇い入れた場合も対象労働者となります。

  • 受給資格認定申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等へ雇い入れられた、期間の定めなく雇用される労働者であること。
  • 受給資格認定申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等以外の分野から成長分野等へ配置転換した、期間の定めなく雇用される労働者であること。

支給対象となる訓練計画と訓練経費

職業訓練計画を作成するにあたり、成長分野などの業務に関するものに限る内容とし、趣味や教養との区別がつかないものは含めません。実施期間は原則1年(訓練に必要な時間数が確保されている場合は6か月以上)です。遅くとも平成24年度末までに受給資格認定申請書を提出し、提出日から6か月以内に訓練を開始しなければなりません。

複数のコースからなる職業訓練計画の作成も可能ですが、助成対象となる経費は Off-JT部分に限ります。支給対象となるには、訓練コースの訓練時間数が10時間以上で、Off-JTを含む必要があります。

「成長分野等人材育成支援奨励金」02出典:厚生労働省|成長分野等人材育成支援事業のご案内(※終了)

支給対象となる訓練経費

支給対象となる経費は、「事業所内訓練」「事業所外訓練」の2種類です。

訓練内容 内容
事業所内訓練 ・外部講師(社外のものに限る)の謝金・手当

(所得税控除前の金額。旅費・車代・食費・宿泊費などは対象外)
・施設や設備の借上料(教室、実習室、マイク、ビデオなど、訓練で使用する備品の借料で、支給対象コースのみに使用したことが確認できるもの)
・学科または実技の訓練を行う場合に必要な教科書などの購入または作成費(支給対象コースのみで使用するもの)

事業所外訓練 受講に際して必要となる入学料、受講料、教科書代など

(独立行政法人雇用・能力開発機構の職業能力開発施設が実施している訓練の受講料および都道府県から「認定訓練助成事業費補助金」を受けている認定訓練の受講料は支給対象外)

出典:厚生労働省|成長分野等人材育成支援事業のご案内(※終了)

積極的な奨励金の活用で人材を確保

成長分野等人材育成支援奨励金(終了)は、医療や福祉など介護に関する事業や情報通信業などの成長を促し、未来の雇用を促進するために設けられたものでした。すでに奨励金は終了し、過去のものとなっていますが、昨今の日本では、少子高齢化で医療や介護のニーズが高まり、DX化も進むなど、成長分野等人材育成支援奨励金が設けられた際に見据えた将来が現実のものになっています。

政府の推進する奨励金や助成金は、事業を拡大したり、人材を確保したりする上で企業にとって見逃せない制度です。さらに、人材確保という点では、魅力のある企業を目指し、求職者や従業員から選ばれ続ける取り組みも欠かせません。福利厚生の拡充なども導入を検討する価値がある取り組みと言えるでしょう。

たとえば、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」などの福利厚生の導入で、企業の魅力や働きやすさを高めることは、企業が将来的に生き残るための武器になります。奨励金や福利厚生など、企業ができる取り組みは積極的に導入・活用し、成長し続ける企業を目指しませんか。

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