賃上げをしたからといって、必ずしも離職率が下がるとは限りません。調査によると、ベースアップによるモチベーションアップは限定的です。賃上げの現状や従業員の離職理由をチェックした上で、賃上げの効果が限定的である理由や、効果的な施策について見ていきましょう。
賃上げと離職率に関するよくある質問
賃上げ率は高い水準で推移していますが、離職率にどのような影響を与えるのでしょうか。よくある質問への回答を紹介します。
賃上げで離職率は下がる?
賃上げは従業員の定着に重要ですが、必ずしも離職率低下につながるとは限りません。パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」によると、今の賃上げだけでなく、5年後を目安とした将来の給与見込みを根拠とともに示すことが重要です。
従業員の定着につながる賃上げ以外の方法は?
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」を見ると、従業員が「働き続けたい」と考える職場づくりには、賃上げの他に、休みの取りやすさ向上、時間外勤務の削減、給与の調整方針が共有されていること、などが有効です。
また一定の要件を満たして導入すると、従業員の負担する所得税を増やすことなく支給できる福利厚生の活用も有効です。
例えば、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入すると、手間を最小限に抑えつつ、非課税枠の活用による実質的な賃上げに取り組めます。サービスの詳細や、実質的な賃上げについては、こちらの「資料請求」にお問い合わせください。
賃上げの現状と従業員の離職理由
日本労働組合総連合会の発表をもとに、これまでの賃上げ率を見ると、2023年に2022年を1.5%以上超える賃上げ率となり、その後2024年には33年ぶりに賃上げ率の全体平均が5%を超える歴史的な賃上げ率を記録しています。
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年 |
賃上げ率 |
従業員300人未満の企業の賃上げ率 |
従業員300人以上の企業の賃上げ率 |
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2015年 |
2.20% |
1.88% |
2.24% |
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2016年 |
2.00% |
1.81% |
2.03% |
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2017年 |
1.98% |
1.87% |
1.99% |
|
2018年 |
2.07% |
1.99% |
2.08% |
|
2019年 |
2.07% |
1.94% |
2.09% |
|
2020年 |
1.90% |
1.81% |
1.91% |
|
2021年 |
1.78% |
1.73% |
1.79% |
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2022年 |
2.07% |
1.96% |
2.09% |
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2023年 |
3.58% |
3.23% |
3.64% |
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2024年 |
5.10% |
4.45% |
5.19% |
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2025年 |
5.25% |
4.65% |
5.33% |
一方で、「毎月勤労統計調査」によると、従業員が受け取る名目賃金から、物価上昇分を除いた実質賃金は下がり続けています。
賃上げにより従業員が受け取る給与の金額は上がっているにもかかわらず、物価上昇により買い物ができる分量が減っている状況です。従業員の生活水準が低下しているケースも考えられます。
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年月 |
名目賃金の前年比 |
実質賃金の前年比 |
|
2019年 |
-0.4% |
-1.0% |
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2020年 |
-1.2% |
-1.2% |
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2021年 |
0.3% |
0.6% |
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2022年 |
2.0% |
-1.0% |
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2023年 |
1.2% |
-2.5% |
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2024年 |
2.8% |
-0.3% |
関連記事:実質賃金と名目賃金の違い|物価上昇を上回る賃上げ目標についてもチェック
参考
:日本労働組合総連合会|労働・賃金・雇用 春季生活闘争
:厚生労働省|毎月勤労統計調査 令和7年4月分結果確報
従業員が離職を選ぶ理由
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査結果」では、転職した人が前職を辞めた理由について調査しています。
「定年」や「会社都合」などは含めない個人的理由に限定した場合、前職の離職理由は、「その他の個人的理由」を除くと、「給料等収入が少なかった」が男性で1番多く、女性でも3番目に多い結果です。
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離職理由 |
男性 |
女性 |
|
仕事の内容に興味を持てなかった |
4.4% |
3.6% |
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能力・個性・資格を生かせなかった |
3.8% |
3.7% |
|
職場の人間関係が好ましくなかった |
9.0% |
11.7% |
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企業の将来が不安だった |
7.4% |
5.1% |
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給料等収入が少なかった |
10.1% |
8.3% |
|
労働時間・休日などの労働条件が悪かった |
8.6% |
12.8% |
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結婚 |
0.6% |
1.9% |
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出産・育児 |
0.5% |
1.8% |
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介護・看護 |
1.2% |
1.0% |
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その他の個人的理由 |
20.2% |
24.3% |
関連記事:離職理由の調査で見えてきた「職場の課題」|企業が取るべき定着戦略とは
賃上げすれば従業員の定着は進む?
賃上げは進んでいるけれど、物価高に追いついていない状況の中、賃上げは離職率の低下に必ずしもつながらないことが調査から分かっています。
ここでは、パーソル総合研究所が企業で働く正社員を対象に実施した「賃上げと就業意識に関する定量調査」をもとに賃上げと離職の関係を見ていきましょう。
関連記事:人材定着は何に取り組むべき?定着しないときの課題と施策を確認
賃上げがモチベーションやエンゲージメントの向上につながるとは限らない
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」によると、2023年以降に勤務先で基本給を引き上げるベースアップの実施があったと回答した人の割合は69.1%でした。
このうちモチベーションが向上したと回答した人は48.6%と、約半数にとどまっています。離職率と関連する従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上に影響を与えるには、単に賃上げをするだけでは不十分といえるでしょう。
関連記事:エンゲージメントと離職率の相関関係は?早期離職の回避に向けた施策も
「働き続けたい」という意欲につながるのは将来の給与見込み
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」では、将来の給与見込みの違いが、従業員の「働き続けたい」という継続就業意向にどのくらいの影響を与えるのかも調査しています。
その結果、賃上げの割合が高いほど、以下の通り「働き続けたい」と回答する人の割合が高くなりました。
また「変わらないと思う」の継続就業意向は「下がると思う」と同程度です。単に賃上げをしただけではモチベーションやエンゲージメントの向上につながりにくいですが、賃上げをしない選択は離職率が上がる原因になりかねません。
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3年後の給与見込み |
「働き続けたい」と回答した人の割合 |
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10%以上上がると思う |
67.4% |
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6~9%程度上がると思う |
61.8% |
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1~5%程度上がると思う |
49.3% |
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変わらないと思う |
27.0% |
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下がると思う |
31.5% |
賃上げしなければ「転職を検討する」人は26.0%
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」で、将来的に給与が上がらない見込みの場合、どのような行動を取るか調べると、上位5項目の中に「転職を検討する」がランクインしています。
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給与が上がらない場合の行動 |
回答した人の割合 ※複数回答 |
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支出を見直す |
36.5% |
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投資に力を入れる、投資を始める |
28.2% |
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転職を検討する |
26.0% |
|
資格取得やスキルアップに取り組む |
18.5% |
|
副業に力を入れる、副業を始める |
17.2% |
さらに「転職を検討する」と回答した人の割合を年代別に見ると、若手人材ほど高い割合となっていました。若手の定着率アップを目指す企業ほど、将来の賃上げが重要となることが分かります。
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年代 |
給与が上がらない場合に転職を検討する人の割合 |
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20代 |
38.3% |
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30代 |
31.4% |
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40代 |
25.0% |
|
50代 |
15.9% |
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60代 |
11.3% |
関連記事:若手社員の離職はなぜ起きる?よくある理由と効果的な対策まとめ
離職率を下げるには賃上げの見通しがポイント
「働き続けたい」と考える従業員を増やすには、今の給与がいくらかという点よりは、近い将来の賃上げがどのくらい期待できるかを示すことが重要です。
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」によると、約半数の人が5年以内の給与見込みを重視しています。
5年後に給与がどのくらい増えるのか、その根拠となる取り組みと合わせて示すことがポイントです。
関連記事:【2026年最新】賃上げ企業リスト|大手から中小まで春闘動向も解説
離職率低下には賃上げ以外の要素も考慮
従業員の「働き続けたい」という意欲には、賃上げ以外の要素も影響を及ぼします。パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」によると、「休みの取りやすさ」「時間外労働の削減」「調整方針の透明性」が重視されるという結果でした。ここではそれぞれの項目について見ていきましょう。
休みの取りやすさ
賃上げが進みにくい環境下では、休みが取りやすく働きやすい環境が整備されていることは「働き続けたい」という意欲につながるポイントです。
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」によると、有給休暇の取得促進や、希望通りの休日日数を取得できること、急な休みを取得しやすいことなどは半数以上の人が「導入されている」と回答しているのに対して、時間単位の有給休暇取得は43.0%でした。
従業員の働きやすさを改善するには、自社で取り組みが不十分な休暇制度を整備するとよいでしょう。あわせて、休暇制度を利用しやすい社内の雰囲気を整えることも重要です。
関連記事:【社労士監修】有給休暇は福利厚生?基本ルールから活用術まで徹底解説
時間外労働の削減
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」によると、勤務先が時間外労働の削減に取り組んでいると回答した人の割合は51.8%です。
時間外労働の多さも、従業員の「働き続けたい」という意欲の低下につながります。業務の見直しや効率化、DX化の推進などによって、時間外労働の削減に取り組みましょう。
調整方針の透明性
調整方針の透明性とは、給与制度が明確に示されていることを表します。働き方によらず公平に給与が支給されることや、給与の見直しの可能性を説明していること、性別などによる給与の差をなくす方針を示していること、などです。
パーソル総合研究所の「賃上げと就業意識に関する定量調査」では、どの項目も勤務先で取り組んでいると回答した人の割合は半数以下で、特に性別などによる給与の差をなくす方針を示していることは36.4%と低くなっています。
賃上げ以外の要素として福利厚生も考慮を
毎月の給与を上げる賃上げとあわせて、従業員の待遇改善に役立つ福利厚生も活用するとよいでしょう。
福利厚生の中には、食事補助や社宅など、一定の要件を満たして導入すると、従業員の納める所得税を増やすことなく支給できる制度があります。この仕組みを利用することで、実質的な賃上げが可能です。
導入の手間なく運用にかかる業務負担を最低限に抑えつつ、実質的な賃上げを行うには、エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を検討するとよいでしょう。
サービスの詳細や、実質的な賃上げについては、こちらの「資料請求」にお問い合わせください。
賃上げは5年後のビジョンの共有を
単に賃上げをするだけでは、離職率の低下につながらない可能性があります。従業員の定着を促すには、5年後までにどのくらいの賃上げができるかを示しましょう。このとき賃上げの根拠を示すことも重要です。
加えて賃上げ以外の要素もポイントとなります。休みの取りやすさや、時間外労働の削減、給与の調整方針が共有されていることなどです。
あわせて実質的な賃上げにつながる福利厚生も検討しましょう。例えばエデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を一定の要件を満たして導入すれば、実質的な賃上げが可能です。
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