27年卒の就活は、かつてないスピードで動き始めています。夏インターンが採用選考の入口となり、学生も企業も「早期接点」を重視するように。また、採用直結インターンの拡大は、人材確保競争の新たなステージを示しています。一方で、入社後のギャップや定着率低下を防ぐ仕組みづくりも急務です。本記事では、27年卒の就活トレンドに注目し、学生の本音と企業の取るべき対策に迫ります。
27年卒就活トレンドの結論|採用直結インターンの時代へ
27年卒の就活トレンドを象徴するのが、「採用直結型インターン」の拡大です。
学生が大学3年の夏から参加するインターンを「本選考への第一歩」と位置づけている一方、企業側も早期から評価・育成・選抜を一体化させています。
政府や経団連の指針上では、インターンは教育的な「キャリア形成支援」であり、正式な就職活動には含まれません。しかし実態としては、インターンでの評価が選考に反映されるケースが増加し、採用の早期化が進んでいます。
採用直結型の広がりは、教育と採用の境界を曖昧にしながら「早期・実践型」を重視する新たな就活トレンドを生み出しているのです。
参考:日本経済新聞:27年卒の就活、インターンも早期化広がる 採用直結型に熱視線(2025年8月6日 会員限定記事)
27年卒就活トレンドにまつわるよくある質問
ここでは、27年新卒トレンドについて特に多く寄せられる質問をピックアップし、回答とともにまとめました。
Q1:27年卒の就活はいつ始まるのですか?
A:大学3年の夏(2025年)にはすでに本格的に動き出しています。サマーインターンが実質的な選考の入口となっており、多くの学生が「出遅れたくない」という意識から早期応募を進めています。
一方で、政府・経団連の指針上は、広報活動は大学4年の3月、選考活動は6月以降が正式な解禁時期です。形式上は就職活動の前段階とされるインターンですが、実際には「事実上の就活開始」として位置づけられているのが実情です。
Q2:採用直結型インターンとはどのような仕組みですか?
A:企業が実施するインターンの中で、参加者を本選考の優遇対象とする仕組みです。
「採用直結型インターン」は、従来の「職業体験型」と異なり、実務課題への参加や従業員評価を通じて、採用候補者としての適性を早期に見極めることを目的としています。
学生にとっては早期に志望企業と接点を持ち、内定につながるチャンスを得られる一方、企業にとっても自社理解を深めた学生を効率的に採用できるメリットがあります。
Q3:企業選びで学生が重視しているポイントは何ですか?
A:社風や人間関係に加え、成長機会や働きやすさを重視する傾向があります。
マイナビの調査では、「仕事を選ぶ際に『社員の成長をうたっている会社』と
『社会貢献をうたっている会社』のどちらを優先するか」という質問に対し、54.6%の学生が『社員の成長をうたっている会社』を、28.8%が「社会貢献をうたっている会社」を選択しました。
終身雇用の慣行が薄れ、キャリアアップを目的とした転職が一般的になりつつある今、「自己成長」や「キャリアアップ」は、企業選びの欠かせない要素となっているのです。
参考:マイナビキャリアリサーチLab|2027年卒大学生キャリア意向調査9月<インターンシップ・キャリア形成活動>
Q4:27卒の採用に向け、企業が今すぐ取り組むべきことは何ですか?
A:学生との早期接点づくりと、体験の質を高めるインターン設計です。
採用直結型インターンが主流になる中で、学生は「リアルな職場体験」と「従業員との交流」を重視する傾向にあります。
こうした学生の期待に応え、かつ自社の強みやカルチャーを伝える場として有効なのが、対面プログラムやメンター制度などの「実践型インターン」です。
インターン段階での印象が、その後の応募・定着にも大きく影響します。
関連記事:中小企業のインターンシップ事例!メリットと効果的な運営方法も解説
27年卒の就活は「夏から選考」があたりまえに
インターンシップが採用選考と直結する動きが加速し、学生はより早期に企業と接点を持つようになっています。採用の前倒しが進む今、企業側のスケジュールにはどのような変化が生まれているのでしょうか。
選考直結型インターンが主流に
27年卒の学生にとって、インターンは「本選考への通過点」になりつつあります。
エン株式会社(roots)の調査によると、インターンへの参加目的として、もっとも多い回答が「本選考での優遇を期待するため(70.1%)」、ついで「早期に内定を得るため(39.0%)」でした。
この結果から分かるように、多くの学生は、業界理解よりも選考優遇や内定への近道を求めて行動しています。企業側の「より優秀な学生を早期に確保したい」との思惑も相まって、夏以前から事実上の採用活動がスタートし、インターンシップは「体験の場」から「選抜の場」へとシフト、つまり選考直結型へと移行しつつあるのです。
参考:エン株式会社(roots)「27卒アンケートレポート サマーインターンに関する最新意識調査」
採用スケジュールを前倒しする企業が増加
少子高齢化による人手不足は、企業間の人材獲得競争を激化させています。より早く、より優秀な人材を確保するためには、競合他社に先んじて採用活動を進めることが求められます。

リクルート就職みらい研究所の「就職白書2025」によると、卒業年次前年の2月までに面接や内々定を実施する企業の割合は、面接(対面)が51.2%(前年比+11.6ポイント)・面接(Web)が61.8%(前年比+11.0ポイント)でした。また、内々定・内定出しが43.3%(前年比+13.1ポイント)と、ともに前年より10ポイント以上増加しています。
採用広報解禁の3月以前から選考を進める動きも年々拡大しており、採用スケジュール全体が前倒しになっているのが実情です。こうした早期化の流れは、学生の負担増だけでなく、企業の採用コストや内定辞退リスク増加にもつながっています。
インターンシップで得られる3つのメリット
インターンシップは、採用の早期化が進む中で企業にとって重要な施策になっています。ここでは、企業がインターンを実施する3つの主なメリットを紹介します。
ミスマッチを防いで定着率が向上する
厚生労働省が2025年10月に発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、新規大学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、33.8%(前年比− 1.1 ポイント)でした。
前年から減少傾向にあるものの、約3人に1人が就職後3年以内に離職している現状に変わりはありません。では、若手の離職理由とはどのようなものなのでしょうか。
HR総研が2024年に行った調査によると、若手従業員の離職の原因トップ3は、企業規模を問わず「業務内容のミスマッチ」「待遇」「上司との人間関係」でした。

出典:ProFuture株式会社/HR総研|「若手社員の離職防止とオンボーディング」に関するアンケート
「聞いていた話と違う」「思っていたのと違う」という業務上のギャップは、離職の大きな原因です。
インターンシップを通じた業務体験により、このギャップを軽減することは、結果として入社後の離職防止、ひいては定着率の向上に寄与します。
関連記事:離職理由の調査で見えてきた「職場の課題」|企業が取るべき定着戦略とは
自社の魅力や特徴をアピールできる
Z世代を中心とする現代の学生は、企業のホームページだけでなく、SNSや口コミなど、リアルな情報を重視して企業選びをする傾向があります。
その点、実際に組織内へ学生を招くインターンシップは、従業員との交流や実務体験を通じて自社の魅力を直接伝えられるまたとない機会です。
採用広報だけでは伝わりにくい「現場のリアル」を知ってもらうとともに、他社にはない魅力や特徴をアピールすることは、インターンシップならではの効果的なブランディング手段となります。
早期接点で採用競争力が高まる
27年卒採用では、学生との関係づくりがこれまで以上に早まっています。採用広報の解禁を待たず、夏のインターンや少人数イベントで学生と接触する企業も決して少なくありません。
早期から自社を知ってもらうことは、自社に対する学生の関心を高め、後の選考や内定承諾につなげる上で有効です。また、インターン中に従業員との交流を通じて信頼関係を築くことが、他社との差別化にも寄与します。
限られた採用リソースを効率的に活用するためにも、早期接点を戦略的に設計し、学生の記憶に残る体験を提供することが大切です。
27年卒採用を成功させる4つのポイント
採用競争が激化する中で成果を上げるには、「早期行動」「リアルな体験」「定着支援」「福利厚生」の4つを軸に戦略を立てることが欠かせません。以下、それぞれの要点を詳しく解説します。
早期かつ継続的に学生と接点を持つ
採用が早期化する今、学生との接点づくりは「いかに早く」に加え「いかに継続的に」の視点が欠かせません。
短期的、断続的な関係性では、学生の自社に対する愛着を引き出したり、不安の芽を摘んだりするには不十分です。継続的に関係を深めることで、早期に自社に対する愛着を育むことができ、他社との差別化にもつながります。
採用活動を「選考プロセス」ではなく「関係構築のプロセス」と捉えることができるかどうかが、採用活動の結果を左右します。
リアルを伝える「場」を提供する
学生が企業を選ぶ上で重視するのは、実際に働く人や職場の「リアル」です。
インターンシップの実施にあたっては、採用サイトや説明会では伝わりきらない現場の雰囲気を直接体験できる場を設けましょう。具体的な「場」としては、オフィスツアーや従業員との座談会などが挙げられます。
従業員が自らの言葉で語る仕事のやりがいやキャリアは、学生にとってもっとも信頼できる情報になります。リアルな情報発信が、学生の志望度と納得感を高める鍵です。
関連記事:インターンシップの企業側のメリットは?新卒採用につながるポイントも
採用後のフォローを強化する
入社後の定着率を向上させるには、採用で築いた関係性を入社後まで維持することが大切です。
配属後も人事や上司が定期的に面談を行い、キャリアの方向性や悩みを共有する仕組みを整えましょう。小さな不安や不満を早期に拾い上げることで、離職リスクを最小限に抑えられます。
また、新しい従業員が安心して挑戦できる環境を整え、評価や成長の見通しを明確にすることも欠かせません。さらに、メンター制度やオンボーディング研修を活用すれば、心理的安全性がより高まり、組織の定着が進みます。
採用・育成・定着を一つの流れとして設計することが、長期的な戦力化とエンゲージメントの向上につながります。
福利厚生を強化する
企業選びの段階から入社後まで、従業員の満足度に大きな影響を及ぼすのが、給与や福利厚生などの待遇です。
とはいえ、特に予算に制限のある中小企業にとって、賃上げは現実的な選択肢ではありません。そこで注目されるのが、非課税枠を活用できる福利厚生です。
一定の条件を満たす福利厚生は、所得税の非課税枠を活用できるので従業員の実質的な手取りを増やす効果があります。企業側の法人税も軽減されるため、最低限のコストで大きな効果が期待できます。
中でも食事補助をはじめとする日常で利用できる福利厚生は、従業員の感じられるメリットが大きいぶん「従業員を大切にする企業」としてもアピール度が高く、自社への帰属意識の強化やエンゲージメント向上に効果的です。
「チケットレストラン」が採用力強化に寄与した事例
不動産流通事業や注文住宅事業等を手掛ける「株式会社sumarch」では、賃上げ以外で従業員の実質手取りを増やす施策として、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入しました。
導入後、採用活動においても「福利厚生が充実している企業」としてのイメージが浸透し、採用力強化や定着率の向上に寄与しています。
過去には「自社より好待遇の企業はなかった」と、転職を考え直した従業員も出たとのことでした。
→「株式会社sumarch」の詳細な導入事例は「こちら」
関連記事:名古屋テレビ「ドデスカ+」で実質手取りを増やす福利厚生としてチケットレストランが紹介されました
27年卒採用は「リアル・早期・定着」がキーワード
27年卒の就活トレンドは、採用直結型インターンの拡大と採用スケジュールの前倒しです。
近年の学生は、「成長でき、安心して働ける環境」をより重視するようになっています。これを受け、企業には夏のインターンから入社後までを一貫して設計し、リアルな情報発信と定着支援を両立させることが求められます。
食事補助の福利厚生「チケットレストラン」に代表される生活支援型福利厚生も、採用力を高めるトレンドのひとつです。
採用を「内定」で終わらせず、「活躍・定着」まで見据える長期的な視点を持ち、自社の基盤となる優秀な人材の獲得を目指しましょう。
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