離職対策は、人手不足が深刻化する現代の企業が共通して抱える喫緊の課題です。従業員の離職が続くことで業績悪化や倒産につながる事例もあり、深刻な経営リスクといっても大げさではありません。本記事では、最新調査から見えた従業員の不満と企業の施策とのあいだにあるギャップをもとに、離職を防ぐ効果的な取り組みを解説します。
離職対策を怠ることで企業に生じるリスク
人手不足や採用難が深刻化する現在、従業員の離職は経営に大きな影響を及ぼす深刻なリスクです。まずは、離職対策を怠ることで企業に生じる主なリスクについて解説します。
業績悪化・倒産
離職による人材不足が続くと、現場の業務が滞り、生産性の低下や納期の遅延が発生します。こうした遅れは顧客満足度を下げ、契約打ち切りや受注減少につながり、売上悪化の連鎖を招きます。
実際に、株式会社帝国データバンクの調査では、2025年上半期(1~6月)の「人手不足倒産」が202件に達し、上半期としては2年連続で過去最多を更新しました。この事実は、人材不足が直接的に企業の存続を脅かしていることを示しています。
採用難が常態化する今、離職防止は企業にとって最優先課題です。離職リスクを軽視することは、すなわち業績悪化や倒産の現実的な引き金となるのです。
参考:帝国データバンク|人手不足倒産の動向調査(2025年上半期)|2025年7月4日
暗黙知の喪失による競争力低下
従業員が持つ暗黙知※は、貴重な経験を通じて培われた判断力や顧客対応のコツなど、企業独自の強みを支える重要な資産です。
これら企業独自のノウハウは、マニュアル化が難しく、属人的に蓄積される性質が強いため、離職によって途絶すると大きな損失となります。
特に専門性の高い業務や長年の関係性に基づく取引では、暗黙知を失うことで品質が低下し、顧客からの信頼が揺らぐ危険性が否定できません。さらに、後任者への継承が不十分な場合、組織内にノウハウが残らず業界内での競争力が低下するリスクもあります。
暗黙知は「目に見えない資産」であるがゆえに軽視されがちですが、いったん失われると取り返しがつかず、企業の弱体化に直結する重大な要素です。
※暗黙知:経験や勘に基づく言語化が難しい知識やスキル
採用・教育コストの増大
従業員が離職すると、後任を確保するための採用活動や教育に大きな負担が生じます。就職みらい研究所の「就職白書2020」によれば、2019年度の1人あたりの平均採用コストは、新卒採用(2020年卒)で93.6万円・中途採用で平均103.3万円にのぼります。
求人広告や人材紹介手数料などの外部コストに加え、面接・選考を担当する従業員の工数も考慮すると、実際の負担はさらに大きくなるのが実情です。さらに新しい従業員が戦力化するまでには時間がかかるため、その間は既存メンバーへの業務負荷が増加します。
結果として、採用・教育コストは金銭的負担だけでなく、生産性低下や職場ストレスの増加といった副次的リスクにも直結するのです。
参考:就職みらい研究所|就職白書2020 ~冊子版 PDF~
「静かな退職実態調査レポート」で見えた従業員の本音
従業員の不満や働き方への意識は、表面的には見えにくいものです。ここでは、株式会社コーナー・株式会社マクロミルが実施した「静かな退職実態調査」の結果をもとに、静かにエンゲージメントを失う従業員層の実態を明らかにします。
参考:UPGRADE 〜一歩先ゆく組織づくり〜|【静かな退職実態調査レポート】静かな退職層が4割、不満の理由TOPは「給与」「評価基準」、組織の信頼・パーパス共感不足も
静かな退職層は約4割|離職予備軍の実態

出典:UPGRADE 〜一歩先ゆく組織づくり〜|【静かな退職実態調査レポート】静かな退職層が4割、不満の理由TOPは「給与」「評価基準」、組織の信頼・パーパス共感不足も
「静かな退職実態調査レポート」によると、約4割の従業員が「静かな退職」にあたる層に該当するとされています。
「静かな退職」とは、退職を表明していなくても、職務に必要最低限の力しか発揮せず、エンゲージメントが著しく低下している状態を指す言葉です。企業にとっては「今すぐ辞める人材」ではないため放置されがちですが、実際には組織の活力を失わせる深刻なリスクです。
静かな退職層が増えると、周囲の士気も低下し、離職の連鎖を引き起こす可能性があります。表面化しない不満にどう気づき、対応するか、それが企業の持続性を大きく左右します。
離職の最大要因は「給与・報酬への不満」

出典:UPGRADE 〜一歩先ゆく組織づくり〜|【静かな退職実態調査レポート】静かな退職層が4割、不満の理由TOPは「給与」「評価基準」、組織の信頼・パーパス共感不足も
同調査にて、従業員が離職を考える理由としてもっとも多かったのは「給与・報酬が期待に見合っていない」(45.4%)でした。次いで「評価・昇進の基準が不透明」(33.5%)と続き、人事制度に関する不満が強く表れています。
さらに「経営陣の意思決定や発信に不信感」や「業務量や仕事の進め方に問題がある」、「チーム・職場の心理的安全性の欠如」なども上位に挙げられ、組織に対する信頼感や働く環境そのものが不満の要因になっていることが明らかになりました。
一見小さな要因だったとしても、複合的に作用することで大きな不満へと発展し、エンゲージメントの低下や離職につながります。
企業には、本当に取り組むべき課題がどこにあるのかをしっかりと見極める姿勢が求められます。
企業の施策と従業員ニーズのギャップ
従業員が離職を防ぐために求める施策と、企業が優先的に進める取り組みは必ずしも一致していません。ここにズレがある場合、企業がどんな対策をしても思うような効果が得られないことになります。ここでは、株式会社コーナー・株式会社マクロミルの「静かな退職実態調査」をもとに、両者のギャップを紐解きます。

参考:UPGRADE 〜一歩先ゆく組織づくり〜|【静かな退職実態調査レポート】静かな退職層が4割、不満の理由TOPは「給与」「評価基準」、組織の信頼・パーパス共感不足も
【企業・従業員】ともに最重要は「給与・評価」
従業員が考える「長く働くために企業に期待する取り組み」と、企業が考える「従業員の離職防止のために強化すべき取り組み」を比較すると、両者ともに「給与・報酬制度の改善」と「評価・昇進の透明性向上」を最重要課題として挙げています。
従業員側は、給与が期待に見合わないことや、評価基準が不透明であることを強い不満として抱えていますが、これは離職を考える直接的な動機です。
一方、企業にとっても評価制度や処遇の改善は施策上位に位置づけられ、企業と従業員が重なる関心を持つ数少ないテーマとなっています。
関連記事:離職率を下げるには?メリットやおすすめの施策・成功事例を紹介
【企業】が強化したい「キャリアパス・コミュニケーション」
企業が給与・評価の次に優先度を置いているのは「キャリアパスやスキルアップ支援」と「上司・同僚とのコミュニケーション強化」です。
これらは人材育成や中長期的な定着を見据える視点から重要な施策です。しかし従業員調査の回答を見ると、これらの分野は給与やワークライフバランスや福利厚生に比べて優先度が低く、従業員が「いますぐ改善してほしい」と考える課題ではありません。そのため、人事が重視するポイントと現場の期待にズレが生じ、「自分たちの要望は後回しにされている」という不満の原因ともなっています。
施策の方向性は間違っていなくても、離職対策としての優先順位を取り違えると効果は半減します。施策の効果を最大限に引き出すには、現場の声を定期的に収集し、施策の優先度を調整することが欠かせません。
【従業員】が期待する「ワークライフバランス・福利厚生」
従業員側が給与・評価に続いて強く求めているのは「ワークライフバランスの改善」と「福利厚生の充実」です。
ここからは、柔軟な勤務制度や休暇の取りやすさ、生活を支える制度は、働きやすさや安心感を高めるための重要な要素であることが分かります。
しかし、企業の優先順位としては後方に位置づけられており、この差が従業員に「会社は自分たちのニーズを理解していない」と感じさせる原因となっています。
特に若手や子育て世代は、給与と同等にワークライフバランスを重視する傾向があるため、そこを軽視することは優秀な人材の流出につながりかねません。福利厚生や働き方を重視する声を施策に反映させることが、静かな退職の抑止に直結します。
ニーズと供給のズレが「静かな退職」と離職を加速させる
人事施策と従業員ニーズの乖離は、静かな退職や離職を加速させる決定的な要因となります。企業が善意で取り組む施策でも、従業員の期待と噛み合わなければ「理解されていない」「期待に応えてくれない」という不信感を呼び、エンゲージメントの低下を招くからです。
従業員が求めるワークライフバランスや福利厚生を後回しにすると、組織への信頼が揺らぎ、心理的安全性が失われかねません。その結果、声を上げず静かに仕事への関与を減らす「静かな退職」へと移行し、最終的には離職に至るリスクが高まってしまいます。
こうした悪循環を断ち切るには、定期的な意識調査や対話を通じて従業員の期待を把握し、施策の優先順位を柔軟に見直すことが不可欠です。認識のズレを解消することが離職対策成功のカギになります。
離職を防ぐ効果的な施策とは
従業員の離職を防ぐには、従業員が望む施策とのギャップをなくし、求められている施策に優先的に取り組むことが大切です。ここでは、従業員の離職を防ぐ効果的な施策を紹介します。
給与・報酬制度の改善
従業員が期待する取り組みの中で、もっとも多いのが「給与・報酬制度の改善」です。
給与水準が業界平均より低ければ人材流出は避けられないため、まずは市場相場を調査して自社の処遇を定期的に見直す必要があります。
その際は、給与だけでなく賞与や各種手当も含め、総報酬ベースで競合と比較することが重要です。さらに、昇給や昇格のルールを明文化し、透明に運用することで従業員の納得感を高められます。
努力が正当に報われると感じられれば、エンゲージメントは維持され、離職意向も下がります。また、住宅補助や交通費支給、物価高に対応した手当の導入など、生活面を支える施策も有効です。
給与・報酬の改善はすべての離職対策の基盤であり、ほかの施策の効果を高める前提条件といえます。
評価制度の透明化
評価制度が不透明な組織では「どう頑張っても正しく評価されない」という不信感が募り、離職につながります。
離職対策としては、役割定義や評価基準、査定手順を明らかにし、期初の目標設定と期中のフィードバックを必ず行う仕組みを整えることが重要です。評価結果の通知時には、達成できた点と不足している点を具体例とともに説明し、次の行動につなげられるようにしましょう。さらに、評価者間でのすり合わせを行い、ばらつきを是正する「評価者会議」を設ければ公平性は高まります。
従業員が納得できる評価はモチベーション維持に直結し、企業への信頼感を高めます。給与改善と並び、透明な評価制度は離職抑制の柱であり、優秀な人材の定着にも欠かせません。
スキルアップ支援
従業員は、自分が成長できると感じられる環境に長く留まるものです。そのため、企業は人材戦略に基づき、体系的な学習の機会を整備する必要があります。
例えば、業務に直結する研修や資格取得の支援、メンター制度、部署を超えたローテーションなどを導入すれば、従業員一人ひとりのキャリアの幅を広げることが可能です。また、学習の成果は受講数や研修時間ではなく実務への適用度や成果物で評価し、昇進・昇格と連動させることで従業員の成長意欲を高められます。
さらに、期初に個人別の開発計画を立て、四半期ごとに進捗を確認すれば、学びとキャリアを結び付ける仕組みとして定着します。成長実感を与えることは、離職を防ぐもっとも強力な手段のひとつです。
柔軟な働き方の導入
働き方の柔軟性は、離職防止の効果的な対策です。
フレックスタイムやリモートワーク、短時間勤務、週休制度など、多様な勤務形態を整備することで、従業員はライフステージに応じた自由な働き方を選択できます。
重要なのは、制度を導入するだけでなく、成果主義の評価を徹底することです。勤務時間や出社日数ではなく成果や達成度を基準に評価すれば、公平感が高まり不満は減ります。
特に、育児や介護を担う層にとっては、柔軟な制度は強力な「働き続けられる理由」です。企業にとって優秀な人材の流出を防ぐ効果が大きい施策であると同時に、企業の採用競争力の向上への効果も期待できます。
関連記事:【離職防止アイデア12選】従業員の離職率を下げるために必要なことを解説
心理的安全性の高いマネジメントとコミュニケーション
心理的安全性が低い職場では、従業員は意見を言えず不安を抱え込み、やがて静かな退職や離職につながります。
こうした事態を防ぐには、上司と部下の1on1を定期的に実施し、業務上の悩みやキャリア展望を気軽に話せる場を用意することが重要です。また、失敗を共有して学びに変える文化や、自由に意見を出しやすい会議の雰囲気づくりをすることも、従業員の挑戦意欲の向上に効果的です。
さらに、匿名で意見を寄せられる仕組みや相談窓口の設置も検討しましょう。安心して声を上げられる環境がある企業ほど、従業員の信頼は厚く、長期的な定着率も高まります。心理的安全性は今後の人材戦略に欠かせない要素です。
メンタルヘルスケアの推進
メンタルの不調は目に見えにくいため、「気付いたら離職していた」といった事例が少なくありません。
具体的な対策としては、年1回のストレスチェックを入口に、外部カウンセリングや社内相談窓口を整備し、従業員が早期に支援を受けられる体制をつくることが重要です。さらに、産業医や保健師との面談を定期化し、必要に応じて業務負荷の調整や休職を検討できる柔軟さも必要です。
管理職にはラインケア研修を実施し、部下の変化にいち早く気づき対応できるようにします。加えて、勤怠データや残業時間をモニタリングし、過重労働の兆候を早期に把握することも欠かせません。
復職支援のプログラムを整え、段階的に業務へ復帰できる体制を整えることも、長期的な定着に直結します。メンタルケアを企業文化として浸透させることで、安心して働き続けられる職場が実現します。
福利厚生の充実
給与や評価は重要な要素ですが、それだけでは離職を防ぎきれません。充実した福利厚生は、従業員の暮らしを直接的にサポートし、実質的な手取りアップにつながるなど、安心感を与える役割を果たします。
特に食事補助や、家事代行サービスの利用補助といった制度は、日々の満足度を高める効果が大きく、他社との差別化にもつながります。
実際に制度を導入するにあたっては「誰でも利用しやすいこと」「申請が簡単であること」「利用メリットを実感できること」が重要です。導入後は利用率を定期的に確認し、低ければ制度内容や周知方法を見直しましょう。
福利厚生の充実は採用力強化にも直結し、企業の持続的な成長に不可欠な投資なのです。
3,000社以上が導入する食事補助の福利厚生「チケットレストラン」
数ある福利厚生の中でも、近年特に注目を集めているサービスに、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生「チケットレストラン」があります。すでに3,000社以上に導入されている「チケットレストラン」とはどのようなサービスなのか、実際の導入事例とともに紹介します。
「チケットレストラン」はどんなサービス?
エデンレッドジャパンが提供する「チケットレストラン」は、企業と従業員との折半により、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できる食事補助の福利厚生サービスです。
加盟店のジャンルは、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど幅広く、利用する人の年代や嗜好を問いません。 Uber Eats を通じ、マクドナルドやスターバックスなどの人気ファストフードも利用可能です。
さらに、一定の条件を満たすことによって所得税の非課税枠を活用できるため、従業員の実質的な手取りアップに貢献するほか、企業の法人税の削減にも寄与します。
内勤の従業員はもちろんのこと、出張中やリモートワークの従業員も平等に利用できる柔軟性が高く評価され、利用率98%・継続率99%を誇る人気のサービスとなっています。
「チケットレストラン」の詳細は「こちら」からお問い合わせください。
関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も
「株式会社sumarch」の事例
「株式会社sumarch」では、優秀な人材の確保や、従業員の実質的な手取りアップを目的に、新たな福利厚生の導入を検討していました。そんな中、選ばれたのが「チケットレストラン」です。
同社では、「チケットレストラン」について、「全従業員が公平に勤務体系に関係なくいつでもどこでも利用できる」「従業員の健康だけでなく、心の健康もサポートしてくれるサービス」と評価しています。
導入後には「自社より好待遇の企業がなかった」と、転職を思いとどまるきっかけになったとのエピソードも聞かれました。
詳細な導入事例はこちら
「株式会社ほねごり」の事例
「株式会社ほねごり」では、「事業で得た利益を日々頑張ってくれている従業員のために何か新しい福利厚生で還元したい」との思いから新たな福利厚生の導入を検討していました。
「食事補助があると非常に助かる」との声が社内アンケートで多数上がったことから、食事補助サービスの比較検討を行った結果「チケットレストラン」の導入が決定されたそうです。
導入後は従業員の満足度やモチベーションが向上したほか、「チケットレストラン」を含む福利厚生の充実や独自の人事施策が寄与した結果、2025年の新卒採用者数が前年の2倍になったとのことでした。
詳細な導入事例はこちら
「M’s ファーマ株式会社」の事例
くれよん薬局を運営する「M’sファーマ株式会社」では、薬剤師の離職率の高さが課題でした。薬剤師は国家資格であるため全国どこでも働けることから、採用しても長期的な定着に結びつかないケースが多いからです。
また、同社は公共交通機関や飲食店が少ない地域で店舗展開していることから、こうした地域や業務形態でも利用しやすく、従業員間で不公平感が生まれづらいサービスとして「チケットレストラン」を検討されたそうです。
導入後の同社は、薬剤師離職率の業界平均は 20%程度といわれる中で大幅な離職率の引き下げに成功しました。2019年度は約50%だった離職率が、「チケットレストラン」導入後の2021年度は約10%まで低下し、「チケットレストランの効果が大きい」と実感されているそうです。
詳細な導入事例はこちら
関連記事:食事補助が離職率低下につながる理由や実際の導入事例をチェック
福利厚生導入を成功させる3つのステップ
福利厚生を有効に機能させるには、制度を導入するだけでなく、従業員の声を反映し、効果を測定しながら改善するプロセスが欠かせません。ここでは、導入を軌道に乗せる3つのステップを紹介します。
STEP1. 従業員ニーズを調査し施策を選定する
福利厚生制度は「企業が良いと思うもの」ではなく、「従業員が本当に必要としているもの」を基準に選ばなければ効果を発揮しません。
そのため最初のステップは、アンケートやヒアリングを通じて従業員ニーズを正確に把握することです。年齢層やライフステージによって求める制度は異なり、若手はキャリア支援や学び直し、中堅は柔軟な働き方や育児・介護支援、シニア層は医療や健康管理などが優先されやすい傾向にあります。
ニーズ調査を経て優先順位をつけることで、利用率の高い制度を設計でき、結果として定着率やエンゲージメントの向上につながります。
STEP2. コストと効果を見極めて優先順位をつける
次に重要なのは、限られた予算の中でどの制度を導入すべきかを見極めることです。福利厚生には導入・運用コストが発生するため、人気だけで判断せず、費用対効果を客観的に評価する必要があります。
例えば食事補助は非課税枠を活用できるため、企業側のコスト負担を抑えながら従業員の実質的な手取りを増やせます。一方で、高額な制度を導入しても、利用率が低ければ費用が無駄になりかねません。
コストの無駄を防ぐには、「費用」「利用率」「満足度」など複数の指標を組み合わせ、ROI(投資対効果)を試算したうえで優先順位を決めることが不可欠です。
STEP3. 効果を調査し改善する
福利厚生制度は導入して終わりではなく、定着化のために継続的な改善が求められます。
制度利用率や従業員満足度を定期的に調査し、効果を数値化することで課題が明確になります。利用者が少ない制度は内容の見直しや広報方法の改善を行い、逆に高い評価を得ている制度は利用枠を拡大するなどの工夫が有効です。
また、経営陣や人事部が「導入してよかった」と思える成果を示すためには、離職率低下や採用成果への影響をデータで検証することが大切です。
このように、効果検証と改善を繰り返すことで、福利厚生は単なるコストではなく企業価値を高める戦略的投資として機能します。
ニーズを踏まえた離職対策で効果的な人材戦略を
離職防止には給与や待遇改善だけでなく、キャリア支援や心理的安全性、福利厚生を組み合わせた総合的な取り組みが欠かせません。調査からも制度と従業員ニーズのギャップが示されており、それを埋める工夫が求められます。
人材の定着は、企業の成長を支える重要な要素です。評価や給与の改善を基盤に、学び直しの機会やコミュニケーション環境の整備、「チケットレストラン」のような健康や生活を支える福利厚生を重ねることで、従業員は働き続けたいと思えるようになります。
従業員の目線に立った制度づくりで、自社に合った離職対策を選び取ることが、将来の競争力向上につながります。
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エデンレッドジャパンブログ編集部
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