監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
中小企業向け補助金・助成金制度にはどのようなものがあるのでしょうか?本記事では、中小企業が活用できる補助金・助成金について、2025年8月の最新情報をもとに、目的・企業規模・業種など、企業ごとの需要に合わせてわかりやすく整理しました。成長を目指す中小企業が知っておきたい情報を網羅していますので、ぜひ参考にしてください。
【2025年最新版】中小企業が活用できる補助金・助成金の全体像
2025年度は中小企業向け支援制度が大幅に見直され、省力化投資補助金一般型の新設や事業再構築補助金の廃止など重要な変化が起きています。まずは、2025年8月時点での補助金と助成金の詳細を確認していきましょう。
参考:経済産業省 中小企業庁|ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト
補助金と助成金の基本的な違い
| 項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 管轄 | 主に経済産業省・中小企業庁 | 主に厚生労働省 |
| 支給条件 | 審査による競争制 | 要件を満たせば原則受給 |
| 採択率 | 制度により異なる | 要件を満たせば高確率 |
| 申請手続き | 事業計画書等が必要 |
計画書作成等が必要(規定等の変更・届出、雇用条件の見直し等含む) |
| 支給時期 | 事業実施後の後払い | 事業実施後の後払い |
共通点:
・原則として返済不要
・事業実施後の精算払い
・一時的な資金調達が必要
補助金は競争的制度のため、優れた事業計画でも、予算枠に達すると不採択となる可能性がありますが、助成金は要件を満たせば受給可能性が高い特徴があります。ただし予算枠に達した場合は受付停止となるため、早期申請が重要です。
2025年度の変更ポイント
| 区分 | 制度名 | 内容 |
|---|---|---|
| 新設 | 省力化投資補助金(一般型) | オーダーメイド設備に対応、最大1億円支援 |
| 新設 | 新事業進出補助金 | 新市場進出を最大9,000万円支援 |
| 新設 | 成長加速化補助金 | 売上高100億円を目指す企業向け、最大5億円支援 |
| 廃止 | 事業再構築補助金 | 2024年度最終募集となり実質廃止 |
これらの変更により、企業は従来の申請戦略を見直す必要があります。特に事業再構築補助金の廃止により、大規模投資を検討していた企業は投資目的に応じて「新事業進出補助金」や「成長加速化補助金」などの新設制度を検討する必要があります。
参考:経済産業省 中小企業庁|中小企業庁担当者に聞く 「より活用しやすく! 令和7年中小企業省力化投資補助金のポイント」
参考:中小企業基盤整備機構|中小企業新事業進出補助金
参考:100億企業成長ポータル
参考:事業再構築補助金|NEWS 過去アーカイブ
企業の目的別・補助金活用ガイド
企業の経営課題や投資目的に応じて最適な補助金・助成金は異なります。販路開拓・設備投資・IT化・人材確保・事業承継・創業・省エネなど、2025年の各制度の詳細を具体的な目的別に解説します。
販路開拓・売上拡大を目指す企業向け
| 制度名 | 対象者 | 補助額 | 対象経費等 |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 従業員20人以下の小規模事業者 | 50万円~200万円(特例適用時) | 販路開拓等 |
| 新事業進出補助金 | 中小企業全般 | 2,500万円~9,000万円 | 既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等 |
小規模事業者持続化補助金
一般型:
| 枠・特例 | 補助 (上限)額 |
要件 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 50万円 | 経営計画を作成し販路開拓等に取り組む小規模事業者 | 2/3 |
| インボイス特例 | +50万円上乗せ | 免税事業者から課税事業者に転換 | 2/3 |
| 賃金引上げ特例 | +150万円上乗せ | 事業場内最低賃金を50円以上引き上げる | 2/3(赤字事業者は3/4) |
創業型:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | 200万円(インボイス特例適用) |
| 対象 | 産競法に基づく認定市区町村による特定創業支援等事業の支援を受けた小規模事業者 |
| 補助率 | 2/3 |
災害支援枠:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | 直接被害:200万円、間接被害:100万円 |
| 対象 | 令和6年能登半島地震等における被災小規模事業者 |
| 補助率 | 定額、2/3 |
小規模事業者持続化補助金には一般型・創業型の他に、複数事業者が連携する共同・協業型や商工会・商工会議所の内部組織等向けのビジネスコミュニティ型もあります。
この補助金は他の制度と異なり、商工会・商工会議所の指導を受けることが必須となっており、計画書の品質が採択率に直結します。販路開拓の具体的手法と売上向上の根拠を明確に示し、小規模事業者ならではの地域密着型の取り組みを盛り込むことが重要です。
新事業進出補助金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 従業員数別:2,500万円~7,000万円(大幅賃上げ特例適用で3,000万円~9,000万円) |
| 補助率 | 1/2 |
| 対象 | 企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等 |
| 要件 | 新事業進出指針に該当、付加価値額年平均成長率4.0%以上、事業場内最低賃金+30円以上、ワークライフバランス要件等 |
| その他のポイント | 2025年新設制度、補助下限750万円、
第1回公募募集終了(2025年7月15日) |
「新事業進出補助金」は2025年新設の制度で、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援します。
新事業の定義は「新事業進出指針」で厳格に定められており、単なる商品・サービスの追加では対象外となります。付加価値額の年平均成長率4.0%以上・事業場内最低賃金+30円以上の維持など、高い成果目標の達成が求められるため、綿密な事業計画策定が必要です。
設備投資・生産性向上を図る企業向け
| 制度名 | 対象者 | 補助額 | 対象経費等 |
|---|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 750万円~2,500万円(製品・サービス高付加価値化枠)、3,000万円(グローバル枠) | 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、外注費等 |
| 省力化投資補助金 | 中小企業・小規模事業者 | カタログ注文型:200万円~1,000万円 一般型:750万円~1億円 |
省力化製品・設備導入費、システム構築費等 |
| 成長加速化補助金 | 売上高100億円を目指す中小企業 | 5億円 | 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費等 |
設備投資・生産性向上には投資規模と目的に応じた制度選択が重要です。ものづくり補助金は試作開発から量産まで幅広く対応し、省力化投資補助金は人手不足解決に特化、成長加速化補助金は大規模な事業拡大を支援します。
ものづくり補助金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 製品・サービス高付加価値化枠:従業員数5人以下750万円、6~20人1,000万円、21~50人1,500万円、51人以上2,500万円 グローバル枠:3,000万円 |
| 補助率 | 中小企業1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者2/3 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 革新的な製品・サービス開発、3~5年で付加価値額年率平均3.0%以上増加、給与支給総額年率平均2.0%以上増加、最低賃金+30円以上 |
| その他のポイント | 大幅な賃上げを行う場合:補助上限額最大4,000万円可能。グローバル枠では海外事業に12カ月の実施期間、単価50万円以上の設備投資が必須 |
「ものづくり補助金」は中小企業の革新的な製品・サービス開発を支援する代表的な制度です。
「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つの枠組みがあり、従業員数に応じた補助上限額の設定と、大幅な賃上げに取り組む事業者への補助上限額引上げ特例が特徴です。申請には技術的優位性と市場性の明確な説明が求められます。
参考:ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト|トップページ
省力化投資補助金
カタログ注文型:| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 従業員数5人以下200万円、6~20人500万円、21人以上1,000万円 |
| 補助率 | 1/2 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 中小企業などが省力化製品を対象製品のリスト(カタログ)から 選んで導入し、販売事業者と共同で「労働生産性 年平均成長 率3%向上」を目指す事業計画に取り組むもの |
| その他のポイント | 大幅な賃上げを行う場合:補助上限額最大1,500万円可能 |
一般型:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 従業員数5人以下750万円、6~20人1,500万円、21~50人3,000万円、51~100人5,000万円、101人以上8,000万円(最大1億円) |
| 補助率 | 中小企業1/2、小規模企業・再生事業者2/3(1,500万円超過部分は1/3) |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 中小企業などが省力化効果のあるオーダーメイド・セミオーダーメ イド性のある設備やシステムなどを導入し、「労働生産性 年平均 成長率4%向上」を目指す事業計画に取り組むもの |
| その他のポイント | 大幅な賃上げを行う場合:補助上限額最大1億円可能 |
「省力化投資補助金」は、中小企業等の省力化投資を支援することで付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげることを目的とした制度で、2025年に一般型が新設されました。カタログ型は手続きが簡便で採択率が高く、一般型はオーダーメイド設備にも対応するのが特徴です。
参考:中小企業省力化投資補助金ページ
成長加速化補助金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限額 | 5億円 |
| 補助率 | 1/2 |
| 対象 | 売上高100億円を目指す中小企業 |
| 要件 | 「100億宣言」を行っていること、投資額1億円以上、一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画 |
| その他のポイント | 補助事業実施期間24カ月以内、飛躍的成長を目指す中小企業の設備投資を支援 |
「成長加速化補助金」は2025年に新設された、売上高100億円超を目指す成長志向型の中小企業向けの補助金です。工場・物流拠点の新設・増築、イノベーション創出に向けた設備導入、自動化による革新的な生産性向上などの大胆な設備投資を支援します。
参考:100億企業成長ポータル
IT化・DX推進を進める企業向け
| 制度名 | 対象者 | 補助額 | 対象経費等 |
|---|---|---|---|
| IT導入補助金 | 中小企業・小規模事業者 | 5万円~450万円 | ITツール導入費、クラウド利用料、ハードウェア購入費等 |
IT化・DX推進にはIT導入補助金が中核的な支援制度として活用できます。通常枠からセキュリティ対策推進枠まで5つの支援枠があり、事業者のニーズに応じた柔軟な支援が可能です。
IT導入補助金
通常枠:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | 業務プロセス1~3つ:5万円~150万円未満、4つ以上:150万円~450万円以下 |
| 補助率 | 中小企業1/2、最低賃金近傍事業者2/3 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 生産性向上に資するITツール導入 |
| その他のポイント | クラウド利用料最大2年分補助、導入関連費、単独申請可能なツールの拡大が対象 |
参考:IT導入補助金(通常枠)
インボイス枠(インボイス対応類型):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | ITツール:~350万円、PC・タブレット等:~10万円、レジ・券売機等:~20万円 |
| 補助率 | ~50万円以下:3/4(小規模事業者4/5)、50万円~350万円:2/3、ハードウェア:1/2 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | インボイス制度対応 |
| その他のポイント | クラウド利用料最大2年分補助、導入関連費、ハードウェア導入費用も対象 |
インボイス枠(電子取引類型):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | ~350万円 |
| 補助率 | 大企業1/2、中小企業2/3 |
| 対象 | 発注者(大企業含む)と受注者である中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 発注者主導による受注者のインボイス対応支援 |
| その他のポイント | クラウド利用料最大2年分補助 |
セキュリティ対策推進枠:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | 5万円~150万円 |
| 補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | サイバーセキュリティ対策を進める |
| その他のポイント | セキュリティサービス利用料最大2年分補助 |
複数社連携IT導入枠
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | (a)インボイス枠対象経費:インボイス対応類型と同じ (b)消費動向等分析経費:50万円×グループ構成員数 (a)+(b)合わせて3,000万円まで (c)事務費・専門家経費:200万円まで |
| 補助率 | (a)インボイス枠対象経費:インボイス対応類型と同じ (b)・(c):2/3 |
| 対象 | 中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 複数事業者連携によるIT導入 |
| その他のポイント | クラウド利用料最大2年分補助、導入関連費、ハードウェア導入費用も対象 |
「IT導入補助金」は中小企業・小規模事業者の業務効率化やDX推進、セキュリティ対策に向けたITツール等の導入費用を支援する制度です。インボイス制度対応に特化した支援枠があり、小規模事業者は最大4/5の補助率で安価なITツール導入も可能です。
また、最低賃金近傍事業者(3カ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上)には補助率優遇措置があります。
人材確保・働き方改革を推進する企業向け
| 制度名 | 対象者 | 支給額 | 対象経費等 |
|---|---|---|---|
| キャリアアップ助成金 | 雇用保険適用事業所の事業主 | 正社員化:15万円~80万円/人、賃金改定:2.6万円~7万円/人等 | 正社員化、処遇改善、賞与・退職金制度導入等 |
| 人材確保等支援助成金 | 中小企業事業主、建設事業主等 |
雇用管理制度:20万円~100万円、テレワーク:20万円~35万円等 |
雇用管理制度導入、業務負担軽減機器、外国人労働者支援等 |
| 両立支援等助成金 | 中小企業事業主 | 出生時両立支援:20万円~60万円※情報公表加算あり、 育休等業務代替:最大140万円等 |
育児・介護休業支援、男性育休取得促進、柔軟な働き方制度等 |
人材確保・働き方改革には厚生労働省系の助成金が効果的です。2025年度は男性育児休業促進と処遇改善要件の強化が重点テーマとなっており、制度活用により採用力強化と人材定着率向上を図れます。
キャリアアップ助成金は非正規雇用者の正社員化、人材確保等支援助成金は職場環境改善、両立支援等助成金は仕事と家庭の両立支援にそれぞれ特化しています。
キャリアアップ助成金
正社員化コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 正社員化前の雇用形態 ・有期雇用労働者:1人あたり30万円〜80万円 ・無期雇用労働者:1人あたり15万円〜40万円 |
| 対象 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
| 要件 | 有期雇用労働者等を正社員化 |
| その他のポイント | 正社員転換制度新設で15~20万円加算、多様な正社員制度新設で30~40万円加算可能 |
賃金規定等改定コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 中小企業:4万円〜7万円 大企業:2.6万円〜4.6万円 |
| 対象 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
| 要件 | 有期雇用労働者等の基本給を3%以上増額改定 |
| その他のポイント | 職務評価活用や昇給制度新設で15~20万円加算可能、1年度1事業所100名まで |
関連記事:【社労士監修】2025年4月最新|賃上げ関連の助成金・補助金まとめ
賃金規定等共通化コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 中小企業60万円、大企業45万円 |
| 対象 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
| 要件 | すべての有期雇用労働者等に正規雇用労働者と共通の賃金規定等を適用 |
| その他のポイント | 1事業所当たり1回のみ |
賞与・退職金制度導入コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 賞与・退職金制度いずれかを導入:中小企業40万円、大企業30万円 賞与・退職金制度を同時に導入:中小企業56万8千円、大企業42万6千円 |
| 対象 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
| 要件 | すべての有期雇用労働者等に賞与・退職金制度を新設し実施 |
| その他のポイント | 1事業所当たり1回のみ |
社会保険適用時処遇改善コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 手当等支給メニュー:中小企業最大50万円、大企業最大37.5万円 労働時間延長メニュー:中小企業30万円、大企業22.5万円 |
| 対象 | 雇用保険適用事業所の事業主 |
| 要件 | 短時間労働者の社会保険加入時の処遇改善または労働時間延長 |
| その他のポイント | 手当等支給は4期(2年分)+3年目に分けて支給、労働時間延長は延長時間により金額設定 |
「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
厚生労働省が管轄する雇用関係助成金で、支給要件を満たして都道府県労働局へ申請することで受給できます。コース実施日の前日までにキャリアアップ計画書の提出が必要です。
人材確保等支援助成金
雇用管理制度・雇用環境整備助成コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 雇用管理制度:1制度20万円又は40万円(上限100万円) 業務負担軽減機器等:機器導入経費の1/2(上限187.5万円) |
| 補助率 | 雇用管理制度:定額、業務負担軽減機器等:1/2 |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | 雇用管理制度又は業務負担軽減機器等の導入、離職率目標達成 |
| その他のポイント | 賃金要件達成で助成額増額、令和7年4月より整備計画の新規受付再開 |
参考:人材確保等支援助成金 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース
中小企業団体助成コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 要した費用の2/3(上限600万円~1,000万円) |
| 補助率 | 2/3 |
| 対象 | 改善計画の認定を受けた中小企業団体(事業協同組合等) |
| 要件 | 構成中小企業者のための人材確保・職場定着支援事業の実施 |
| その他のポイント | 上限額は団体規模に応じて設定、合同企業説明会や職業相談者配置等が対象 |
建設キャリアアップシステム等活用促進コース:(雇用管理改善促進事業)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 算定対象となる建設技能者1人あたり16万円(上限160万円) |
| 補助率 | 定額・1/2~2/3 |
| 対象 | 中小建設事業主 |
| 要件 | 技能者全員の技能者登録完了、昇格評定技能者の賃金5%以上増加 |
| その他のポイント | 令和7年度より新設 *詳細 |
建設キャリアアップシステム等活用促進コース:(普及促進事業)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 支給対象経費の1/2~2/3(上限1,000万円~3,000万円) |
| 補助率 | 1/2~2/3 |
| 対象 | 中小建設事業主団体(構成員のうち中小建設事業主の割合が2/3以上) |
| 要件 | CCUS等の登録料・手数料補助、申請手続支援、機器・ソフトウェア導入等の実施 |
| その他のポイント | 上限額は団体規模に応じて設定、建設事業主団体につき1回限り*詳細 |
外国人労働者就労環境整備助成コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 1制度導入につき20万円(上限80万円) |
| 対象 | 外国人労働者を雇用する事業主 |
| 要件 | 就労環境整備措置の導入・実施、離職率目標の達成 |
| その他のポイント | 雇用労務責任者選任、就業規則等の多言語化等が対象 |
参考:人材確保等支援助成金 外国人労働者就労環境整備助成コース
テレワークコース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 制度導入助成:20万円、目標達成助成:10万円(賃金要件満たす場合15万円) |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | テレワーク制度導入・実施、離職率改善 |
| その他のポイント | テレワーク実施対象労働者全員が1回以上テレワーク実施が必要等 |
人材確保等支援助成金は魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主や事業協同組合等に対して助成し、人材の確保・定着を目的とした制度です。
雇用管理制度の整備から建設分野の特別支援、外国人労働者やテレワーク対応まで幅広いコースが用意されており、各事業主のニーズに応じた職場環境改善を支援します。
両立支援等助成金
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 第1種:1人目20万円、2・3人目10万円 第2種:60万円(1事業主1回限り) |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | 雇用環境整備の措置を複数実施、男性労働者が子の出生後8週間以内に育児休業取得 |
| その他のポイント | 第1種は1人目5日以上、2人目10日以上、3人目14日以上の育休取得が必要 |
介護離職防止支援コース:
| 項目 |
|
|---|---|
| 支給額 |
介護休業:40万円※連続15日以上の休業の場合60万円、介護両立支援制度:20万円~25万円※合計60日以上の制度利用の場合40万円 業務代替支援:3万円~20万円※連続15日以上の休業の場合30万円
|
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | 介護休業の取得・職場復帰支援、介護両立支援制度の導入・利用 |
| その他のポイント | 介護休業の場合連続5日以上の介護休業取得、各区分1事業主5人まで |
育児休業等支援コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 育休取得時:30万円、職場復帰時:30万円
※いずれかに対し1回限り2万円情報公表加算あり |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | 育児休業の取得・職場復帰支援、連続3カ月以上の育児休業取得
(育休取得時)、原職等復帰後6カ月以上継続雇用(職場復帰時) |
| その他のポイント | 育休復帰支援プランの作成・実施 |
育休中等業務代替支援コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 手当支給等(育児休業):最大140万円 手当支給等(短時間勤務):最大128万円 新規雇用:最大67.5万円 |
| 補助率 | 手当支給総額の3/4等 |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | 業務代替者への手当支給、代替要員の新規雇用・派遣受入 |
| その他のポイント | すべて合わせて1年度10人まで、初回から5年間支給 |
柔軟な働き方選択制度等支援コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 2つ導入:20万円 3つ以上導入:25万円 ※1事業主1回限り情報公表加算2万円あり |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | 柔軟な働き方選択制度等を2つ以上導入、対象労働者が制度利用 |
| その他のポイント | フレックスタイム・テレワーク・短時間勤務・保育サービス費用補助・法を上回る子の看護休暇が対象、1事業主1年度5人まで |
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 不妊治療:30万円、月経対応:30万円、更年期対応:30万円 |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 要件 | 各種両立支援制度の就業規則等規定、両立支援担当者選任、制度を対象労働者1人あたり年5日(回) |
| その他のポイント | 各区分1事業主1回限り、休暇制度・時差出勤・短時間勤務・在宅勤務等が対象 |
「両立支援等助成金」は、仕事と育児・介護等を両立できる職場環境づくりのために取組を行った中小企業事業主を支援する制度です。男性の育児休業取得促進から介護離職防止、柔軟な働き方制度の導入、不妊治療や女性の健康課題への対応まで、ライフステージに応じた多様な両立支援を包括的にサポートします。
参考:厚生労働省・都道府県労働局|2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内
:両立支援等助成金の支給申請手引き(2025(令和7))年度版
事業承継・M&Aを検討する企業向け
| 制度名 | 対象者 | 補助額 | 対象経費等 |
|---|---|---|---|
| 事業承継・M&A補助金 | 事業承継による経営革新 | 150万円~2,000万円(枠によって異なる) |
事業承継・M&Aに伴う各種費用 |
事業承継・M&Aには専門的な支援が必要で、事業承継・M&A補助金が中核的役割を果たします。2025年度はPMI(買収後統合)支援が新設され、M&A成功率向上を図る制度設計となっています。
事業承継・M&A補助金
事業承継促進枠:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | 800万円(賃上げ実施の場合1,000万円) |
| 補助率 | 中小企業1/2、小規模事業者2/3 |
| 対象 | 5年以内に親族内承継又は従業員承継を予定している中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 5年以内の事業承継予定、事業承継を契機とした経営革新等への挑戦 |
| その他のポイント | 設備投資費用、店舗・事務所の改築工事費用等が対象 |
関連記事:【社労士監修】2025年版|スタートアップが活用したい助成金・補助金完全ガイド
専門家活用枠:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | 買い手支援類型:600万円(DD費用申請時800万円、100億企業要件時2,000万円) 売り手支援類型:600万円 |
| 補助率 |
買手支援類型:1/3・1/2、2/3(100億企業要件を満たす場合:1,000万円以下の部分は1/2、 1,000万円超の部分は1/3売手支援類型:1/2・2/3(①赤字、②営業利益率の低下「物価高影響等」のいずれかに該当する場合) |
| 対象 | M&Aにより経営資源を引継ぐ・引継がれる中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | M&A支援機関登録制度に登録されたFA・仲介業者の活用 |
| その他のポイント | M&A手数料、デューデリジェンス費用、セカンドオピニオン費用、表明保証保険料等が対象 |
PMI推進枠:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | PMI専門家活用類型:150万円 事業統合投資類型:800~1,000万円 |
| 補助率 | PMI専門家活用類型:1/2 事業統合投資類型:1/2・2/3(※中小企業者等のうち、小規模事業者に該当する場 合:2/3) |
| 対象 | M&A後の経営統合(PMI)を実施する中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | M&A後の経営統合に必要な取組の実施 |
| その他のポイント | M&A後の設備投資、システム統合、専門家費用等が対象 |
廃業・再チャレンジ枠:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助(上限)額 | 150万円 |
| 補助率 | 1/2・2/3 |
| 対象 | 事業承継・M&Aに伴い廃業し、新たな取組にチャレンジする中小企業・小規模事業者 |
| 要件 | 廃業登記、在庫処分、設備解体、原状回復等の実施 |
| その他のポイント | 他枠との併用可能、再チャレンジは地域の需要創造・雇用創出に資する活動 |
「事業承継・M&A補助金」は、中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資や、M&A・PMIの専門家活用費用等を支援する制度です。
2025年度は新たにPMI推進枠が設けられ、M&A後の経営統合支援が強化されました。申請は電子申請(Jグランツ)のみで受付け、GビズIDプライムアカウントが必要です。
参考:事業承継・M&A補助金
企業規模・業種別|制度比較一覧表
自社に必要な制度は、目的だけでなく企業規模や業種によっても異なります。よりスムーズな選択ができるよう、一覧でまとめました。
※以下の表は各制度の対象範囲や過去の活用事例をもとに作成した「制度選択の目安」です。制度上の厳密な分類や申請要件とは異なる場合がありますので、実際の利用可否は最新の公募要領等でご確認ください。
企業規模別
| 企業規模 | 従業員数 | 売上規模 | 推奨制度 |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者 | 5~20人以下 | 1億円未満 | 持続化補助金、IT導入補助金 |
| 中小企業 | 21~100人 | 1~30億円 | ものづくり補助金、省力化投資補助金 |
| 成長企業 | 100人以上 | 30億円以上 | 成長加速化補助金、新事業進出補助金 |
小規模事業者は、賃上げ特例の活用により補助上限額を大幅に引き上げることが2025年度の重要戦略です。中小企業はGX・DX要素を組み込むことで優遇措置を獲得し、成長企業は大幅賃上げ特例により高額補助を実現できます。
業種別
| 業種 | 最適制度 | 活用度 | GX・DX優遇 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | ものづくり補助金 省力化投資補助金 |
★★★★★ | 非常に高い |
| IT・ サービス業 |
IT導入補助金 新事業進出補助金 |
★★★★☆ | 高い |
| 小売・ 飲食業 |
持続化補助金 IT導入補助金 |
★★★☆☆ | 普通 |
| 建設業 | 省力化投資補助金 人材確保等支援助成金 |
★★★☆☆ | 普通 |
製造業は2025年度もっとも優遇される業種で、省力化・GX関連で最大75%の補助率を実現できます。IT・サービス業もDX関連専用枠により高い活用度があり、小売・飲食業はインボイス特例により利用しやすさが向上しました。
関連記事:【社労士監修】福利厚生に使える助成金と補助金!種類や特徴とおすすめ施策を紹介
中小企業の成長を支える補助金・助成金の戦略的活用
2025年度は、省力化投資補助金一般型・新事業進出補助金・成長加速化補助金の新設、事業再構築補助金の廃止など、中小企業支援制度に大きな変化があります。
自社や企業規模等を踏まえた選択をすることで、より効率的に自社の発展を目指せるでしょう。
なお、企業の基盤となる優秀な人材確保では、助成金を活用した働き方改革と併せて、福利厚生の充実も効果的です。すでに3,000社以上に導入されている食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」など、従業員のモチベーションを向上させる施策の導入もぜひご検討ください。
参考:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
:「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!
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