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【社労士監修】2025年6月最新|年金改革をわかりやすく解説!

【社労士監修】2025年6月最新|年金改革をわかりやすく解説!

2025.06.23

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2025年6月13日、年金制度改革関連法が参議院本会議で可決・成立しました。この改正には「106万円の壁」撤廃や在職老齢年金の見直しなど、企業実務に直結する重要な制度変更が多数含まれています。本記事では、確定済みの改正項目を中心に、今後の検討課題・企業が講じるべき対応策までをわかりやすく網羅的に解説します。

2025年|年金改革の概要

2025年6月13日、自民・公明両党と立憲民主党などの賛成多数により、年金制度改革をめぐる関連法が参議院本会議で可決・成立しました。主な改正点は、すでに法律として確定しているものと、今後検討課題として挙がっているものに分けられます。

区分 主な改正項目
確定 ・社会保険の106万円の壁撤廃
・社会保険の適用拡大・企業規模要件の段階的な撤廃
・在職老齢年金の減額基準の見直し
・厚生年金保険料上限の引き上げ
・私的年金制度の拡充(iDeCo・企業型DC
・遺族厚生年金制度の男女格差の是正
検討・課題アリ ・基礎年金の底上げ
・第3号被保険者制度の見直し

以降の見出しでは、それぞれの改正項目についてわかりやすく解説していきます。

社会保険の「106万円の壁」撤廃

政府は、社会保険の適用要件に含まれていた「年収106万円以上」という賃金基準を撤廃します。ここでは、改正の具体的内容と企業側への影響を確認します。

主な改正内容

「106万円の壁」とは、社会保険の加入要件に含まれる賃金基準(月額8.8万円以上)のことを指します。

この年収の壁により、パートやアルバイトの中には、保険料負担を避けるために就業時間を調整し、意図的に収入を抑えるケースが多く見られました。

今回の制度改正により、この賃金要件は法律の公布から3年以内に撤廃され、週20時間以上などの就業条件を満たせば、賃金にかかわらず社会保険の加入対象となります。

この改正に伴い、低所得の非正規労働者の老後保障が拡充される見込みです。

関連記事:【税理士監修】106万円の壁撤廃はいつから?撤廃でどうなるか影響を解説

企業への影響と対応策

「106万円の壁」の撤廃に伴い、就業調整によって扶養範囲に収めていたパート従業員も社会保険の適用対象となります。これは、企業に新たな社会保険料の事業主負担を発生させるものです。

事業主負担の軽減策として、政府はキャリアアップ助成金の拡充となる「短時間労働者労働時間延長支援コース(仮)」の新設が検討されています。

この制度では、従来の社会保険適用時処遇改善コースに加え、有期契約労働者等が新たに社会保険の適用となった際、「労働時間の延長」もしくは「労働時間の延長及び賃金の増加の組合せ」によって労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対し、労働者1人あたり最大75万円の助成が行われる予定です。社会保険適用時処遇改善コースからの切り替えも可能になるとされています。

実施にあたっては、社会保険労務士などの専門家の支援を受けながら、制度への理解と周知を進める必要があります。

参考:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

参考:厚生労働省|雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案について(概要)

関連記事:【社労士監修】年収の壁を乗り越える!「社会保険適用時処遇改善コース」とは

社会保険の適用拡大・企業規模要件の撤廃

2025年年金改革では、社会保険の適用対象となる企業規模の要件が段階的に撤廃されることとなりました。詳しく見ていきましょう。

主な改正内容

企業規模要件の撤廃

出典:厚生労働省|年金制度改正の全体像

現行の社会保険制度では、従業員が常時51人以上いる企業が適用拡大の対象とされており、小規模な事業所では、週20時間以上勤務する短時間労働者であっても社会保険の加入義務がありませんでした。

今回の制度改正では、2035年までに企業規模要件が完全撤廃されるほか、2029年10月からは従業員5人以上の個人事業所も全業種で社会保険の適用対象に拡大されます。

これにより、週20時間以上などの条件を満たすパート・アルバイト従業員も、企業規模にかかわらず社会保険の適用対象となる見込みです。※一部の非適用事業所を除く。

企業への影響と対応策

段階的な企業規模要件の撤廃により、これまで適用外だった中小企業や個人事業所も、社会保険の加入義務が生じるようになります。サービス業を中心に、短時間労働者を多く雇用しながらも適用対象外だった業種では、今後の段階的適用によって就業規則や人件費管理への影響が避けられません。

各企業は、自社がどの時期に該当するかを確認し、従業員への制度周知や、保険料負担を見越した人件費設計を行う必要があります。

在職老齢年金の減額基準の見直し

2025年の年金改革では、在職老齢年金の支給停止基準額の見直しも行われました。以下、具体的な改正内容と、企業が知っておきたい実務上の影響を解説します。

主な改正内容

在職老齢年金制度

出典:厚生労働省|年金制度改正の全体像

在職老齢年金制度は、一定の収入を得ながら働く高齢者の年金支給額を調整する仕組みです。現行では、年金と給与の合計額が月51万円を「支給停止調整額」とし、この基準を超えると支給額が一部減額される仕組みとなっています。

今回の改正では、この基準額が月62万円に引き上げられることとなりました。施行予定は2026年4月で、年金の減額対象となる高齢就労者の大幅な減少が見込まれています。なお、この62万円は2024年度の価格を基準としているため、2026年度までの賃金動向によって調整される可能性もゼロではありません。

この改正によって、働きながら年金を受給する人のいわゆる「働き損」が軽減され、就労意欲の向上が期待されます。厚生労働省の試算によると、約20万人が新たに年金の全額受給対象となる見通しです。

企業への影響と対応策

在職老齢年金の減額基準引き上げによって、高齢従業員が働きながら年金を受け取るうえでの不利益が軽減されます。

高齢人材の就労意欲が向上することにより、企業の人材プールが拡大し、技能継承や人手不足対策の面でプラスに働く可能性があります。一方で、制度変更によって年金制度の仕組み自体に関心が高まることから、従業員への情報提供が必須です。

参考:日本年金機構|在職中の年金(在職老齢年金制度)

関連記事:【2025最新】在職老齢年金とは?シニア雇用と制度をわかりやすく解説

厚生年金保険料上限の引き上げ

今回の年金改正では、標準報酬月額の上限を段階的に引き上げ、厚生年金保険料の負担対象となる報酬範囲を拡大する方針も示されています。ここでは、改正内容の詳細と企業への影響を確認します。

主な改正内容

厚生年金保険料上限引き上げ

出典:厚生労働省|年金制度改正の全体像

厚生年金の保険料は、報酬に応じた「標準報酬月額」に基づいて算定されます。

現行制度では、標準報酬月額の上限は65万円で固定されていますが、今回の改正により、段階的に75万円まで引き上げることが決定されました。具体的には、2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円という3段階で引き上げが実施されます。

これに伴い、上限付近に該当する高額報酬者について、保険料の算定対象が広がることになります。結果として、厚生年金保険料は月額で最大約9,000円(労使折半額)増加する見込みです。

参考:日本年金機構|厚生年金保険の保険料

関連記事:【社労士監修】高所得者の厚生年金保険料上げ、27年9月から厚労省案を解説

企業への影響と対応策

標準報酬月額の上限引き上げによって影響を受けるのは、月給/報酬の月額が「65万5千円以上の方です。保険料は労使折半のため、企業にも負担増が生じます。

また、将来的には厚生年金の給付水準にも影響を及ぼすため、高所得層の年金受給見込みにも変化が生じることになります。企業としては、今回の改正が影響を及ぼす対象者を把握し、年金や退職金制度との連動性を意識した報酬設計・情報提供体制の強化が必要です。

関連記事:【社労士監修】社会保険料の値上げをチェック!2025年の年金制度改革も注目

私的年金制度の拡充(iDeCo・企業型DC)

政府は、自助による老後資産形成を促進するため、iDeCoや企業型DCなどの私的年金制度に関する規制緩和と制度改正を進めています。以下、改正の具体的な内容と企業の対応ポイントを整理します。

主な改正内容

私的年金の見直し

出典:厚生労働省|年金制度改正の全体像

私的年金制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)について、これまで加入年齢の上限は65歳未満とされていました。しかし今回の改正により、70歳未満に引き上げられることが決定されました。

また、企業型DC(確定拠出年金)については、従業員のマッチング拠出額を事業主掛金以下とする規制が撤廃されます。これにより、拠出限度額の枠を十分に活用できるようになるため、老後資産形成の自由度がさらに高まります。

これらの制度は、公布から3年以内に政令で定める日から施行される予定で、今後の詳細な運用ルールは省令等で定められる見通しです。改正は、少子高齢化に伴う公的年金制度の補完的役割として、個人と企業の双方における自助努力の重要性を高めるものとなっています。

企業への影響と対応策

私的年金制度の拡充は、従業員の老後資産形成を支援する企業の役割にも変化をもたらします。iDeCoの加入上限引き上げにより、60代後半まで働く従業員の加入意欲が高まる可能性があるため、企業はその制度理解を促すための説明体制を整えなければなりません。

また、企業型DCのマッチング拠出制限の撤廃によって、企業の制度設計の幅も広がり、福利厚生の一環として老後資産形成支援を組み込む企業が増えることが予想されます。企業にとっては、法定外福利厚生の充実により、エンゲージメント向上や人材定着につながる効果も期待できます。

一方で、制度導入や改定にあたっては、税制優遇措置や制度運用コスト、対象者の公平性などにも十分配慮することが大切です。

参考:厚生労働省|確定拠出年金制度の概要

参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

遺族厚生年金制度の男女格差の是正

2025年の年金改革では、共働き世帯の増加や多様な家族形態の広がりを踏まえ、遺族厚生年金制度に残る性別による受給要件の差を段階的に解消するとの決定がなされました。ここでは、見直しの内容と企業側の対応ポイントを解説します。

主な改正内容

遺族厚生年金

出典:厚生労働省|年金制度改正の全体像

現行の遺族厚生年金制度では、配偶者を亡くした場合の受給要件に男女差があります。女性(遺された妻)は30歳以上であれば生涯受給可能ですが、男性(遺された夫)は原則55歳以上でないと受給できません。

この制度上の格差を解消するため、2028年4月から段階的な見直しが実施されます。具体的には、男性側にも女性と同様の要件を適用し、制度上の性差を縮小していく方針です。移行期間として最大20年が設定されており、すでに受給中の方には不利益が生じないよう配慮されます。

制度改正の背景には、共働き家庭や同性婚など、従来の前提を超える多様な家族形態の広がりがあり、制度の公平性が強く求められている現状があります。

企業への影響と対応策

今回の制度改正は、企業の福利厚生制度やライフプラン支援にも影響を及ぼすものです。これまで死亡退職金制度や遺族年金補填などを設けていた企業では、支給条件や対象範囲に性差が残っていないかを確認し、見直す必要があります。

また、ライフプラン研修や従業員向けガイドラインにおいても、遺族年金に関する説明を最新制度に基づいて更新することが求められます。

特に注意が必要なのは、SNS等で拡散されている「事情は考慮されず、すべての人の遺族年金が5年で打ち切られる」といった誤情報であり、企業側からも正確な情報を提供する体制が重要です。多様な家族形態に配慮した情報提供が、企業の信頼性や従業員満足にもつながります。

参考:厚生労働省|遺族厚生年金の見直しについて

基礎年金の底上げ

2025年の年金改革では、将来的な給付水準の低下リスクに対応するため、基礎年金の水準を財政的に補完する新たな仕組みづくりも検討されています。以下、見直しの趣旨と企業にとっての留意点を整理します。

主な改正内容

公的年金制度の中で、基礎年金は、主に自営業者や非正規労働者など広範な層の老後保障を担っています。しかし将来的には、少子高齢化や経済成長率の鈍化に伴い、給付水準が最大で3割程度低下する可能性があると指摘されています。

今回の法改正では、これを補う手段として、厚生年金の積立金を活用して基礎年金を底上げする方向性が明記されました。具体的な制度設計や財源確保の仕組みについては、2029年に実施予定の財政検証をもとに検討が進められる予定です。

現時点では制度の詳細や開始時期は未定ですが、この見直しによって基礎年金の水準が底上げされた場合、厚生年金受給者を含む多くの人の年金額も増えることになります。

政府は「1階部分である基礎年金が引き上げられることで、最終的にはほぼすべての厚生年金受給者にとっても給付水準の向上につながる」と説明しています。

企業への影響と対応策

基礎年金の底上げに厚生年金の積立金を活用するという方針に対しては、「現役世代からの拠出金を流用するのではないか」という懸念の声もあります。

SNSなどでは「厚生年金を削って基礎年金に充てる」という誤解が拡散される可能性が高く、企業としても従業員からの問い合わせに備えて正確な情報を把握しておくことが大切です。

厚生労働省は「厚生年金加入者の将来の給付に支障が出ない範囲での調整」としており、制度間の調整は今後の財政検証に基づいて行うとしています。

第3号被保険者制度の見直し

政府は、第3号被保険者制度の公平性や時代適合性をめぐる議論を受け、その在り方について今後の検討対象としました。以下、見直しの背景と企業側の備えについて解説します。

主な改正内容

第3号被保険者制度とは、主に会社員や公務員の配偶者で、年収130万円未満の扶養対象者が保険料の負担なく国民年金に加入できる仕組みです。

この制度については、以前より、少子高齢化・女性の就労促進・共働き家庭の増加といった社会の変化に制度が対応できていないとの指摘がありました。

2025年の年金改革では、現時点で制度内容に変更はないものの、「制度のあり方について調査・検討を進める」との方針が示されています。

企業への影響と対応策

第3号被保険者制度については、「保険料負担の不公平」「就労抑制の温床」「専業主婦優遇」といった批判が長年にわたり存在してきました。今回の見直し方針は、こうした批判に対応するものです。

仮に制度が改正され扶養の条件が変われば、従業員の就労時間や社会保険加入に関する希望も変化する可能性があります。企業は人件費や労働環境の調整が求められることになるため、今のうちから「壁を超えて働ける制度環境」の整備を進めておく必要があります。

社会保険の適用拡大に対応するには?

社会保険の適用拡大により、従業員側の「手取り減」への不安が強まっています。この不安への対応として、企業が実施できる具体策にはどのようなものがあるのでしょうか。

求められる「手取り減」への対策

社会保険の適用拡大により、新たに社会保険へ加入する従業員の中には、保険料の負担によって手取り額が減少してしまう人が出る可能性があります。

また、保険料の負担を敬遠した結果、労働時間を短縮したり、離職を検討したりする人が出る可能性も否定できません。

こうした事態を防ぐためには、社会保険料の負担が将来的な収入の礎となることを周知することが大切です。加えて、賃上げや職場環境の改善・福利厚生の充実など、他社との差別化による自社の魅力向上も必要になるでしょう。

福利厚生を活用した実質的な賃上げが効果的

従業員の手取り額を実質的に増やし、かつ自社の魅力向上を図る施策として、近年広く注目を集めているのが福利厚生の充実です。

一定の条件を満たした福利厚生は、福利厚生費として経費計上が可能で、非課税枠を活用できます。同額を給与として支給するよりも従業員の実質的な手取りを増やせるほか、企業側の法人税削減も可能です。今まさに注目されてい「第3の賃上げ(株式会社エデンレッドジャパンが定義)」です。

このような福利厚生施策は、今後の人材確保・維持に不可欠な戦略のひとつです。従業員が企業に対して前向きな印象を持ち続けるための手段として、福利厚生の再設計が求められています。

日本一の実績|食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」

福利厚生の中でも、近年特に注目を集めているサービスに、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」があります。

チケットレストラン」は、従業員のランチ代を企業がサポートする食事補助の福利厚生サービスです。導入した企業の従業員は、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できます。

加盟店のジャンルは幅広く、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど、利用する人の年代や嗜好を問いません。また、勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用する場所や時間に制限がないため、シフト制や夜間勤務など、どのような勤務形態でも公平に活用できる点もうれしいポイントです。

日常生活に欠かせない食事という形で従業員をサポートしつつ、実質的な手取りアップも実現できる魅力的な福利厚生として、すでに3,000社を超える企業に導入されています。

関連記事:「チケットレストラン」は勤務時間外・休日も利用できる?導入メリットも解説

2025年|年金改革のまとめ

2025年の年金制度改革は、これまで部分的に残されていた不公平・不透明なルールの見直しと、今後の高齢化社会に備えた制度の持続可能性強化を両立する大規模な改正となりました。

「106万円の壁」や企業規模要件の撤廃といった確定施策に加え、「標準報酬月額上限の段階的引き上げ」や「基礎年金水準の底上げ」など、長らく課題とされてきた制度間格差への是正も含まれています。

これからの時代にさらなる成長を続ける企業であり続けるためにも、「チケットレストラン」のような福利厚生の導入など、従業員の負担を軽減し、また、自社の魅力アップを図る施策を検討してはいかがでしょうか。

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参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
    :「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!

参考:厚生労働省|年金制度改正法が成立しました

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