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【社労士監修】休職手当完全ガイド|制度の基本と対応フロー|よくある誤解も

【社労士監修】休職手当完全ガイド|制度の基本と対応フロー|よくある誤解も

2025.07.09

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

休職にまつわる手当にはさまざまな制度があり、運用も複雑化しがちです。本記事では、制度の基礎知識から給付の条件・企業の実務フロー・よくある誤解やトラブルまで「休職手当」の気になる情報をわかりやすく網羅しています。制度の整備が企業にもたらすメリットに関連し、人気の福利厚生サービスについても言及していますので、ぜひ参考にしてください。

「休職手当」とは?その種類と仕組み

「休職手当」という名前の制度は、厳密には存在しません。休職時に手当を支給する制度は、主に「傷病手当金」「企業独自の補償」「労災時の休業補償」の3つです。まずは、これら制度の詳細から解説します。

健康保険から支給される公的制度「傷病手当金」

「傷病手当金」は、業務外の病気やケガで仕事を休まざるを得なくなった従業員に対して支給される、公的な保障制度です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合が窓口となり、特定の条件を満たすことで、標準報酬日額の3分の2相当が最大1年6カ月支給されます。

休業によって収入を絶たれた従業員が安心して療養に専念できるよう、休職中の所得を一定程度保障するために整備された仕組みです。

なお、一般的に「休職手当」と呼ばれるものは、この「傷病手当金」を指すケースが多く見られるため、本記事でも主に「傷病手当金」について解説します。

参考:全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき|こんな時に健保

企業が独自に支給する「休職手当」

一部の企業では、就業規則や労使協定に基づき、独自に「休職手当」や「休職保障金」を支給しているケースがあります。

これらは法定の義務ではなく、福利厚生の一環として企業が任意で設けている制度です。例えば、勤続年数や役職に応じて一定期間の給与相当額を支給するなど、従業員の生活を下支えする役割を果たしています。

制度設計には、支給条件や対象範囲を明確に定めることが重要です。曖昧な規定では運用時にトラブルにつながりかねません。傷病手当金との重複給付を避けるための整合性にも配慮が必要です。

労災による「休業(補償)給付」

従業員の休職理由が業務災害や通勤災害である場合、健康保険の傷病手当金ではなく、労災保険から「休業(補償)給付」が支給されます。

これは、労働者災害補償保険法に基づく制度です。療養のため労務に服することができず、かつ賃金を受けない日に対して、休養4日目より平均賃金の60%が支給されます。(業務災害の場合は1~3日目は事業主による補償が必要)

さらに、特別支給金として20%が上乗せされることもあるため、最大で賃金の約80%が補償される仕組みです。

なお、通勤災害の場合は「休業給付」という名称になりますが、支給内容(給付基礎日額の60%+特別支給金20%)は業務災害の場合と同じです。

参考:厚生労働省|労災補償
参考:厚生労働省|労働災害が発生したとき
参考:e-Gov 法令検索|労働者災害補償保険法|第14条
参考:厚生労働省|休業(補償)等給付について

傷病手当金を受けるための4つの条件

健康保険から支給される「傷病手当金」は、すべての休職者が自動的に受け取れるものではありません。支給には厳密な条件があり、企業担当者としても確認すべき項目が多岐にわたります。ここでは、制度の基本要件と実務上のチェックポイントを解説します。

参考:全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき|こんな時に健保

業務外の病気やケガであること

傷病手当金は、公的医療保険(健康保険)の制度であり、対象はあくまで「業務外」の病気やケガに限定されます。

例えば、私傷病によるうつ病・腰痛・婦人科疾患・がん治療などがこれに該当します。一方で、労災認定される業務上の事故や通勤災害は、労災保険からの給付対象となるため、傷病手当金は支給されません。

また、美容整形や予防目的の処置など、医療行為であっても療養のためと認められないケースは対象外です。このあたりの認識に誤りがある従業員も多いため、企業としてあらかじめ注意喚起しておくとよいでしょう。

就労不能の状態にあること

傷病手当金の支給には、「仕事に就けない状態」であることが前提となります。具体的には、医師が労務不能と認めた場合に限り、申請が可能です。

たとえ本人が体調不良を訴えていても、医師の診断書がない、あるいは「軽度で就労可能」と記載された場合は、給付の対象外です。

なお「就労不能」とは、単に出社できないという意味ではありません。長期的に療養を必要とする可能性を踏まえ、産業医との連携も重要です。

連続する3日間の待期期間後、4日目以降も働けないこと

傷病手当金には「待期期間」と呼ばれる条件があり、連続して3日間、労務不能状態であることが支給の前提となります。

この3日間には、有給休暇や所定休日を含めることが可能ですが、途中に出勤が挟まるとリセットされ、再カウントが必要になります。

例えば、月曜・火曜を休み、水曜に出勤し、再度木曜・金曜を休んだ場合は待期が成立しません。この点は企業側も実務で混乱しやすいため、休職開始時点からの勤務実態を正確に記録し、対象者に適切に説明する必要があります。

給与支給がない、または傷病手当金より少ないこと

傷病手当金は、給与が「支給されていない」、もしくは「一部支給で傷病手当金より少ない」場合に差額支給される制度です。したがって、企業独自の休職手当や有給休暇の取得中は注意が必要です。

例えば、休職初期に企業が一定期間手当を支給している場合、傷病手当の申請をしても、不支給あるいは差額のみの支給となる可能性があります。

企業が実務で押さえるべき対応フロー

従業員から休職の申し出があった際、企業には迅速かつ正確な対応が求められます。ここでは、傷病手当金の申請支援も含め、各段階で押さえるべきポイントを整理します。

休職申し出から制度確認・書類案内まで

休職の申し出を受けた際、担当者が最初に行うべきは、医師の診断書の記載内容に基づく「理由の確認」と「制度適用の可否判断」です。

まずは、精神疾患や身体的疾患など、私傷病であることを確認し、業務上または通勤上のケガでないかを区別します。次に、自社の就業規則で定める休職制度や、当該従業員が健康保険に加入しているかをチェックします。

その上で、休職制度の内容(休職期間・給与の有無・復職条件など)を丁寧に説明し、対象者に必要書類を案内しましょう。初期対応が曖昧だと後のトラブルに発展しやすいため、書面でのやり取りや記録の保管も徹底して行うことが大切です。

産業医がいる場合は、必要に応じてサポートを受けましょう。

傷病手当金の申請支援と提出管理

傷病手当金の申請は、被保険者本人が行うものですが、企業側も適切な支援が必要です。

具体的には、協会けんぽや健康保険組合から配布される申請書の様式や記入例を案内します。特に、医師の証明を得るまでに日数がかかることもあるため、余裕をもって対応を促すことが重要です。

また、企業が記入する「労務不能日」や「給与支給の有無」の記載は支給判断に直結するため、正確性が求められます。提出後は支給までに一定のタイムラグがあるため、従業員へのフォローと、提出書類の写しの保管も忘れずに行いましょう。

参考:全国健康保険協会|病気やケガで会社を休んだとき|こんな時に健保

復職支援と復帰可否の見極め

休職からの復職には、医師の診断書が必要です。ただし、診断書に「復職可」と記載があっても、企業がそのまま復帰を認める義務はありません。業務遂行能力や職場環境との適合性を踏まえ、企業としての最終判断が求められます。可能であれば、産業医や外部機関と連携し、職場復帰プランを作成します。

また、メンタル不調からの復職の場合、リワークプログラムや短時間勤務など、段階的な復帰支援も有効です。再発リスクを抑えるためにも、無理のない復職スケジュールと、継続的なフォロー体制の構築が欠かせません。

参考:厚生労働省|心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

よくある誤解とトラブル事例

休職制度や傷病手当の仕組みは複雑であるため、多くの誤解が生じやすい傾向にあります。誤った認識が広まると、従業員との信頼関係に影響し、トラブルの火種にもなりかねません。ここでは、人事実務において実際に起こりうる誤解や典型的なトラブル事例を取り上げ、未然防止のための注意点を解説します。

「有給を使ったから傷病手当金はもらえない」は誤解

「待期期間中に有給休暇を使ったから傷病手当金はもらえない」と誤解されがちですが、これは事実ではありません。

傷病手当金には「連続3日間の待期期間」が必要ですが、その間に有給を取得していても、労務不能状態にあることが認められれば支給対象となります。つまり、有給であっても「働けない状態」であることが要件であり、無給かどうかは関係ありません。

この点を従業員が誤解していると、不要な不満や申請ミスにつながる恐れがあります。人事担当者は、待期期間の考え方と有給使用の関係を正しく説明し、社内の制度案内にも明記しておくことが望まれます。

参考:全国健康保険協会|傷病手当金について

関連記事:【社労士監修】休職者の有給付与|出勤率8割ルールを事例付きでわかりやすく解説

「復職したのにまた体調を崩したら手当はどうなる?」

一度復職した従業員が再度体調を崩して休職した場合、傷病手当金の再支給が可能かどうかで判断に迷うケースは少なくありません。

結論としては、待期期間なしで再支給されることもあります。ただし、同一傷病による支給は「支給開始日から1年6カ月」が限度であるため、通算日数には注意が必要です。

また、復職と再休職を繰り返すケースでは、産業医や外部機関と連携し、復職可否の慎重な判断が求められます。制度上の扱いと実務的な対応の両面で、制度を整えておくことが大切です。

参考:全国健康保険協会|病気やケガで仕事を休んだときの生活保障

手当の有無や内容が就業規則に記載されていない

意外と多く見られるのが、就業規則に休職制度の詳細や手当の支給有無が明記されていないケースです。

制度の存在はあっても、運用の具体的内容が曖昧な場合、従業員に対して統一的な対応が取れず、属人的な判断や誤解を招きやすくなります。

特に、企業独自の手当制度がある場合「誰が対象か」「金額や支給期間はどうか」「申請方法は何か」といった情報が不明確な状態ではトラブルのもとになります。休職制度の周知や、定期的な就業規則の見直しは、トラブル回避と信頼性の確保に不可欠です。

企業におすすめの休職支援

人手不足が深刻化する現代日本において、休職に対応する制度を企業が整え、働きやすい職場づくりをすることは、離職防止の観点からも欠かせません。ここでは、休職支援制度を整備する上でのポイントと、福利厚生を活用した従業員サポートについてついて解説します。

充実したサポート体制が離職防止につながる

企業が休職制度を整備し、従業員に適切に周知することは、メンタル不調などの早期発見・早期対応に直結します。

制度が曖昧だったり、申請手続きが煩雑だったりすると、従業員は申告をためらい、結果として深刻な状態になるまで我慢してしまうことにもなりかねません。「傷病手当金を受けられるとは知らなかった」というケースも多々見られるのが実情です。

こうした事態を防ぐためには、就業規則や社内ポータル、面談時の説明などを通じ、制度の内容を明確に伝えることが不可欠です。従業員が「困ったときは相談できる」「制度があるから安心」と感じられる職場であれば、結果的に離職率の低下が期待できます。

福利厚生による日常的な支援がエンゲージメント向上に貢献

休職時や復職後のサポートだけでなく、日常的に従業員の健康や生活を支える福利厚生の存在も、職場への信頼感や満足度に大きな影響を与えます。

充実した福利厚生は「従業員を大切にする企業」としての強力なメッセージとなります。休職原因の中でも、とりわけメンタルの不調は企業に対する不信感が大きな役割を果たすため、福利厚生を通じたメッセージは従業員のエンゲージメントの向上、ひいては休職の予防にも寄与するでしょう。

特に、食事補助や住宅補助のような、日常生活の中で活用できる福利厚生は、メリットを実感しやすいぶんより高い効果が期待できます。

関連記事:従業員エンゲージメントとは?向上に役立つ施策や取り組むメリット

3,000社以上が導入「チケットレストラン」

従業員のエンゲージメント向上に効果的な福利厚生の中でも、近年特に注目を集めているサービスに、エデンレッドジャパンが提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」があります。

チケットレストラン」は、従業員のランチ代を企業がサポートする食事補助の福利厚生サービスです。導入した企業の従業員は、全国25万店舗を超える加盟店での食事を実質半額で利用できます。

加盟店のジャンルは幅広く、コンビニ・ファミレス・三大牛丼チェーン店・カフェなど、利用する人の年代や嗜好を問いません。勤務時間中にとる食事の購入であれば、利用する場所や時間も自由です。

さらに、一定の条件を満たした福利厚生は所得税の非課税枠を活用できるため、同額を給与として支給するよりも従業員の実質的な手取り額を増やす効果があるほか、企業の法人税も軽減されます。

日常生活に欠かせない食事を通じて従業員をサポートしつつ、実質的な手取りアップも実現できる魅力的な福利厚生として「チケットレストラン」はすでに3,000社を超える企業に導入されています。

関連記事:「チケットレストラン」はマクドナルドで使える?利用方法をチェック

休職手当|制度の整備と運用で人材リスクを最小化へ

従業員の休職対応や傷病手当金の支給は、人事実務の中でも特に誤解やトラブルが起きやすい分野です。スムーズな運用には、正確な制度理解と的確な初動対応、復職支援の体制整備が求められます。

さらに「チケットレストラン」のような福利厚生も併せて活用することで、従業員のエンゲージメントの向上や離職防止も期待できます。

従業員に選ばれ、健康で働きやすい企業づくりを実現するためにも、持続可能な組織運営の視点から、改めて制度設計と対応フローを見直してみてはいかがでしょうか。

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エデンレッドジャパンブログ編集部

福利厚生に関する情報を日々、ウォッチしながらお役に立ちそうなトピックで記事を制作しています。各メンバーの持ち寄ったトピックに対する思い入れが強く、編集会議が紛糾することも・・・今日も明日も書き続けます!

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