採用目標を達成するため、多くの企業が基本給の引き上げに取り組んでいます。しかし、賃上げを実施しても期待したほど採用数が向上しないという課題を抱える企業が増えているようです。
本記事では、株式会社マイナビの「企業人材ニーズ調査2024年版」等を参考に、採用力強化の手段として第二新卒採用の方法や福利厚生によるアプローチを紹介します。
人手不足から賃上げを見込む企業が増加
慢性化する人手不足から、賃上げを実施する企業が増えています。帝国データバンクによると、2025年1月時点で正規雇用従業員(53.4%)、非正規雇用従業員(30.6%)の人手不足割合を示し、過去4番目と高い水準となりました。
同じく帝国データバンクが2月20日に発表した「2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査」によると、2025年に賃上げを見込む企業の割合は61.9%です。
また、人手不足を感じている企業では2025年度に68.1%(前年比2.2ポイント増)が賃上げを見込んでいます。
出典:帝国データバンク|人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)
出典:帝国データバンク|2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査
人手不足倒産は過去最多
賃上げが厳しい企業もある中で、それでも賃上げが行われています。その理由の一つが企業の人手不足による倒産件数の増加です。帝国データバンクによると、2024年度の人手不足倒産件数は過去最多で342件を更新しました。
人手を補うことは、企業の重要課題です。「初任給30万円」など大手企業を中心に初任給上げが行われて、それを受ける形で中小でも賃上げの動きが広がっています。
出典:株式会社 帝国データバンク|人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)
企業人材ニーズ調査より:賃上げとその効果
株式会社マイナビが発表した「企業人材ニーズ調査2024年版」(※)からは、2024年における企業の採用状況や人材ニーズを読み取れます。特に賃上げの効果については、現実を直視する必要があるようです。
※2024年2024年12月6日~12月10日実施、有効回答2,117名
新卒と中途採用で賃上げブーム到来
採用目標達成のために2024年に基本給を引き上げた企業は、中途採用で68.9%(前年比5.1ポイント増)、新卒採用で73.0%(前年比3.8ポイント増)となりました。
この数値は下図のとおり、2年連続で過去最高を更新し、企業の人材獲得競争が激化している様子を示します。コロナ禍の影響を受けた2020年は5割を下回っていましたが、その後急激に上昇し続けています。
出典:マイナビキャリアリサーチLab|企業人材ニーズ調査2024年版
賃上げが効果的ではない現実
ところが、基本給を引き上げた企業の採用数への影響では、採用数が「向上した」と回答した割合は中途採用で36.0%、新卒採用で37.3%に留まりました。一方で、「変わらない」と回答した企業は中途採用で59.3%、新卒採用で56.7%と過半数を占めています。
注目したいのは、従業員数が少ない企業ほど、基本給引き上げによる採用数向上の割合が低いことです。中小企業にとって賃上げによる採用力強化は期待したような効果が得られていません。
採用強化や物価上昇により、多くの企業が賃上げを実施する中、賃金による差別化がある意味限界を迎えていると言えるでしょう。
出典:マイナビキャリアリサーチLab|企業人材ニーズ調査2024年版
第二新卒採用が注目
賃上げによる採用力強化に限界が見える中、人手不足を補う新たな手法として第二新卒採用に注目する企業が増えています。
第二新卒とは、大学・専門学校等を卒業後、一度就職したものの約1〜3年以内に離職し、転職活動を行う求職者を指します。基本的なビジネスマナーは身につけているものの、特定の専門スキルは備えていないことが多いです。
第二新卒採用企業の現状と予定
マイナビの同調査によると、第二新卒採用を実施している企業は52.6%に上ります。
今後の採用予定についての質問では、80.9%の企業が第二新卒を採用する予定と回答しました。内訳は「積極的に採用する予定」が33.7%、「積極的ではないが採用する予定」が47.2%となっています。
従業員数1,000人以上の企業では87.9%が今後の採用を予定しており、企業規模が大きいほど第二新卒採用に積極的な傾向が見られます。
出典:マイナビキャリアリサーチLab|企業人材ニーズ調査2024年版
第二新卒採用に取り組む理由
企業が第二新卒採用を行う理由として、最も多いのが「新卒人材が充足できない」で53.4%でした。続いて「中途即戦力人材が充足できない」が45.4%、「採用がしやすい」が37.0%となっています。
新卒採用と中途採用の両方で人材確保に苦戦している企業が、第二新卒という新たな採用ターゲットに活路を見出していると言えるでしょう。
出典:マイナビキャリアリサーチLab|企業人材ニーズ調査2024年版
第二新卒のイメージは良好
同調査では、第二新卒に対する企業のイメージは良好です。74.7%の企業が第二新卒に対して「よい/どちらかといえばよいイメージ」を持っています。
出典:マイナビキャリアリサーチLab|企業人材ニーズ調査2024年版
よいイメージの理由として、「やる気がある」「適応しやすい」「将来を見据えた人材確保ができる」といった声が挙げられています。一方、よくないイメージの理由には「長続きしないイメージ」、「経験不足」などが挙げられています。
若手の離職率上昇が第二新卒市場を後押し
第二新卒市場が拡大している背景には、若手従業員の離職率上昇があります。厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によると、2021年3月に大学を卒業した新卒就職者のうち、3年以内に離職した人は34.9%です。直近15年で最も高い数値となりました。
雇用流動性の高まりにより、第二新卒として転職市場に現れる人材が増加しています。企業にとっては、新たな採用機会を獲得するチャンスとなっています。
出典:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します
効果的な第二新卒採用の進め方
ここからは、第二新卒採用を成功に導く進め方をポイントに絞って解説します。
第二新卒採用方法:ターゲット設定の明確化
第二新卒には、社会人経験のない既卒者から数年程度の経験者まで幅広い層が含まれます。まずは自社がどの層を求めているかを明確にしましょう。ある程度社会人経験がある方がよいのか、自社でじっくり育てる方針なのかを決めておくと、人事面での調整もしやすいです。
また、給与体系についても新卒枠とするか中途枠とするかを検討し、既存従業員とのバランスを考慮した処遇設計が求められます。
第二新卒採用方法:求職者との接点の持ち方
第二新卒採用には、以下のような手法があります。
第二新卒特化の人材紹介会社への登録
企業が人材紹介会社に登録し、求職者にアプローチする手法です。独自の集客力により、求人広告では出会えない人材に出会いやすくなるため、効率的な採用活動が可能です。成果報酬型が多く、マッチングした際の費用がかかります。
第二新卒特化の求人広告
求人票に「第二新卒歓迎」と明記することで、該当者からの応募を促進できます。また、第二新卒を対象とした就職イベントに参加することで、効率的にターゲット層にアプローチできます。
大学キャリアセンターとの連携
厚生労働省は、卒業後3年ほどは大学のキャリアセンターの利用を奨励しており、既卒者や第二新卒者が相談に訪れることがあります。第二新卒採用についても相談する価値があります。
第二新卒採用方法:面接・選考のポイント
第二新卒の面接では、転職理由を適切に確認することが必要です。短期離職の理由を理解し、自社でも同様の事態が起こらないかを見極めましょう。
また、中途採用とは異なり、スキルよりもポテンシャルを重視した評価を行います。入社後のキャリアパスを明確に提示し、長期的な成長を支援する姿勢を示すことで、候補者の入社意欲を高められます。
中小企業の第二新卒採用強化策
株式会社マイナビの調査からは、中小企業では基本給の引き上げで採用数向上が見込みにくいことが示され、その背景には少子高齢化による採用母集団の減少も挙げられます。
では、どのような方法であれば、中小企業で目標とする採用数を達成できるのでしょうか。ここでは、採用の考え方を柔軟にするための「多様な雇用の実現」と、選ばれる職場になるための「福利厚生による差別化」を解説します。
多様な雇用の実現
新卒・中途・第二新卒の最適な組み合わせを検討し、それぞれの採用チャネルを多様化させることで、より多くの候補者にアプローチできます。
さらに、正規雇用にとらわれない柔軟な雇用形態を目指すことも重要です。労働市場の多様化により、副業人材やフリーランスで専門的に活躍している人材は、即戦力として期待できます。多様な雇用形態を活用することで、正規雇用者の生産性向上と労働環境改善を同時に実現できます。
福利厚生による差別化
選ばれる企業として差別化を実現するには、生活支援に直結する福利厚生が欠かせません。また、賃上げが難しい中小企業でも福利厚生なら実現可能性が高く、採用力や定着率向上が期待できます。
jinjer株式会社が2024年4月に経営層・人事担当者計539名を対象に実施した「福利厚生を通した人的資本への投資に関する実態調査」では、従業員の基本的な生活を支える「ライフサポート費用」関係の福利厚生が高い導入率を示しています。
順位 | 福利厚生の種類 | 導入率 | 主な内容 |
1位 | ライフサポート費用 | 43.6% | 引越補助、住宅購入補助、食事宅配補助、資格勉強補助 |
2位 | 雇用関係費用 | 42.1% | 慶弔金、法定超過付加給付 |
3位 | 医療・健康費用 | 40.6% | 医療・保健衛生設備費、ヘルスケアサポート |
4位 | 住宅関連費用 | 34.3% | 住宅手当、家賃補助 |
5位 | 文化・体育・レクリエーション費用 | 31.4% | 施設・運営、活動への補助 |
出典:jinjer株式会社|【福利厚生を通した人的資本への投資に関する実態調査】
中小企業におすすめの食の福利厚生を紹介
数ある福利厚生の中でも、実用的で生活に直結する食事補助が注目されています。中小企業での導入もしやすい福利厚生として、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
チケットレストランとは
エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」は、従業員と企業が月額3,500円(税別)ずつ負担し、合計7,000円を全国25万店舗以上の加盟店で利用できる食事補助の福利厚生サービスです。
一定の利用条件を満たせば、所得税法上の非課税枠を活用でき、従業員の手取りアップと企業の節税を同時に実現できます。賃上げのハードルが高い中小企業でも導入しやすく、採用力強化のアピールポイントとしても活用できます。
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
チケットレストランの導入事例
「チケットレストラン」導入によりどのような効果や変化があったのか、企業の事例で見ていきましょう。
共進運輸株式会
共進運輸株式会社では、新卒・中途採用強化やドライバーの人材不足対策として「チケットレストラン」を導入。「感謝の声やポジティブな話しか聞きません」など従業員からの喜びの声が届いています。
導入事例:共進運輸株式会社
関西エアポートオペレーションサービス株式会社
関西エアポートオペレーションサービスでは、正規・非正規雇用を問わず平等に使える点が重宝されています。空港内での利便性が高く、健康経営対策や採用強化、従業員満足度向上に寄与しています。
株式会社sumarch
株式会社sumarchでは、人材確保対策として「チケットレストラン」を導入。新卒・中途採用時にサービス内容を説明すると反応が良く、既存の従業員も含めて手取り増加で満足度向上といった好循環が生まれました。
導入事例:株式会社sumarch
ご参考:名古屋テレビ「ドデスカ+」で実質手取りを増やす福利厚生としてチケットレストランが紹介されました
NHK東海エリアニュースにて#第3の賃上げ 愛知アクション発表会とエデンレッドジャパンが紹介されました
中部経済新聞で「#第3の賃上げ 愛知アクション」とエデンレッドジャパンが紹介されました
持続可能な人材獲得の仕組みを構築
株式会社マイナビの調査結果では、賃上げだけでは採用力強化に限界があることが示されており、特に中小企業での傾向は顕著です。新卒・中途・第二新卒を対象とするとともに、非正規雇用の従業員採用など多角的で柔軟な人材獲得戦略が求められています。
求職者が注目している魅力ある福利厚生を拡充することで、人材獲得の可能性を高められます。若手人材の母集団が減っている今、他社との差別化が持続可能な人材確保体制の構築に効果的です。
「チケットレストラン」は、「満足度が上がった」「採用でのアピールになる」「従業員に喜ばれた」「福利厚生の存在が人材採用の差別化につながった」などのポジティブな声が寄せられる食事補助の福利厚生サービスです。人材採用強化策における強力な一手として、ぜひ導入してみませんか。
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