監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
日本の経営者のほぼ100%が専門性持つ外国人材増に「賛成」という調査結果が日経新聞(2025年10月1日)に掲載されました。国や自治体でも、さまざまな助成金・補助金制度を整備し、企業の外国人雇用を後押ししています。
本記事では、令和8年度(2026年度)予算概算要求を踏まえ、2026年度も継続が見込まれる主な外国人雇用に関する助成金・補助金・自治体の支援制度を紹介します。
広がる外国人労働者の活躍
厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ」(令和6年10月末時点)によると、日本における外国人労働者数が過去最高を更新し、約230万人を突破しました。
また、外国人を雇用する事業所数も着実に増加しており、342,087事業所に達しました。前年から約2万3,000事業所の増加となり、より多くの企業が外国人労働者の採用に積極的に取り組んでいることがわかります。

出典:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)
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外国人雇用に関する助成金とは
労働力不足を課題とする日本では、外国人労働者の受け入れを進めています。外国人雇用に関する助成金は、採用から定着までを支援するための制度です。キャリア支援に関するものから、トライアル雇用を補助するものまで、さまざまな種類があります。企業はこれらの助成金を活用することで、適切な雇用環境を整え、優秀な外国人労働者の採用・定着につなげられます。
外国人雇用に関する助成金が必要な理由
言語や文化が異なる外国人労働者を雇い入れた企業では、以下のような課題が生じます。
- 言語の壁によるコミュニケーションの難しさ
- 雇用契約の認識のズレによる離職
- 日本のマナーや慣習への理解の難しさ
- 外国人労働者へ配慮した職場環境が未整備
日本で外国人労働者が働き続けるためには、このような課題を解決するための環境整備が必要であり、各種助成金はその解決策として活用されています。
助成金と補助金の違い
外国人の雇用では、助成金だけでなく補助金も有用です。助成金や補助金は、どちらも返済不要の公的支援制度ですが、その性質が大きく異なります。違いをみていきましょう。
基本的な違い
助成金は厚生労働省ほか、地方自治体や企業団体等が主催します。補助金は経済産業省のほか企業団体や地方自治体等が管轄しています。最も大きな違いは、制度の用途や目的です。
- 助成金:雇用の安定や環境の整備、研究開発などが目的とするケースが多い
- 補助金:企業、事業拡大や社会的取り組み、地域産業の活性化に対する投資目的のものが多い
申請方法にも違いがあります。助成金は通年での募集が多く、要件を満たしているかどうかの確認が中心です。補助金は募集期間が数週間と短いものもあり、事業計画の内容を厳密に審査します。
外国人雇用での助成金・補助金の活用
外国人雇用では、助成金と補助金の両方の制度が活用できます。助成金では外国人従業員の雇用や研修に関する支援などが受けられます。補助金は外国人労働者を活用した事業展開への支援が対象です。
また、東京や大阪など外国人労働者が多い地方自治体を中心として、自治体独自の支援制度も設けられています。
2026年度 外国人雇用で活用できる助成金一覧
外国人労働者の採用や雇用継続をサポートする助成金を一覧で紹介します。
本記事は令和8年度(2026年度)予算概算要求(厚生労働省・経済産業省)および2025年度実績をベースに作成し、2026年度も継続が見込まれる制度を中心に紹介します。助成金は変更される可能性があるため、活用する際は随時確認が必要です。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
職業経験が少ない外国人労働者を採用する際に活用できる制度です。正規従業員での採用を前提とした試用期間(トライアル期間)を設ける場合、1人当たり月額4万円が支給されます。3か月を限度に受給でき、外国人労働者の採用をじっくり見極められる制度として活用されています。
※厚生労働省の令和8年度予算概算要求に当該助成金についての記載があり、2026年度も継続見込みです。
出典:厚生労働省|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人労働者が働きやすい職場づくりを支援する制度です。賃金要件を満たす場合は、就労環境の整備に関する費用の最大3分の2(上限72万円)、賃金要件を満たしていない場合でも最大2分の1(上限57万円)が支給されます。
外国人労働者は、日本の雇用慣行や労働法の知識が不足しがちです。さらに言葉の違いもあり、労働条件でトラブルになることがあります。助成金により、マニュアルの多言語化や相談窓口の設置など、外国人労働者の職場定着に必要な環境整備をサポートできます。
※厚生労働省の令和8年度予算概算要求に記載があり、2026年度も継続見込みです。
出典:厚生労働省|人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
キャリアアップ助成金(正社員化支援・処遇改善支援)
非正規雇用として働く外国人労働者を正社員に登用する際に活用できます。正社員化の支援だけでなく、賃金アップや福利厚生の充実などの、処遇改善にも使える幅広い支援制度です。支援内容によって支給額は異なりますが、中小企業向けに手厚い支援が用意されています。
※厚生労働省の令和8年度予算概算要求に含まれており、2026年度も継続見込みです。
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
この助成金は、業務に必要な知識・技能を身につける訓練を計画的に実施した場合に支給されるもので、外国人労働者、日本人労働者どちらも対象となります。助成されるのは、訓練にかかった費用と、訓練期間中の賃金の一部です。
※厚生労働省の令和8年度予算概算要求に当該助成金についての記載があり、2026年度も継続見込みです。
雇用調整助成金
事業活動の縮小を余儀なくされた際に、外国人労働者を含む従業員の雇用を守るための制度です。休業手当に助成率を乗じた金額が支給され、1人1日あたり最大8,870円が支給されます。一時的な業績悪化時に雇用を維持するための支援制度です。
2026年度 外国人雇用における補助金・支援制度一覧
企業における外国人労働者の採用・定着を支援するため、国や地方自治体でもさまざまな制度を用意しています。経済産業省関連令和8年度(2026年度)予算概算要求および2025年度実績を参考に、活用できる主な支援制度を紹介します。
地方自治体主催の外国人雇用支援補助金・支援制度
各自治体では、地域の産業振興や人材確保を目的とした外国人雇用の支援制度を実施しています。採用活動費用の補助、研修費用助成、住宅支援、日本語教育支援など、特に定着支援に関する補助金が人気です。
東京都や大阪府を筆頭に、多くの自治体で独自の補助金制度を設けています。これらの補助金は募集期間が限定されており、年度ごとに内容が変更される場合はあるものの、過去に実施実績のある補助金は次年度以降も継続となる可能性が高いです。紹介する制度を参考に、定期的な情報収集をおすすめします。
【東京都】中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金
東京都では都内中小企業を対象に、外国人従業員の定着を促進およびウクライナ避難民の就労を後押しするため、ビジネスに必要な日本語教育への助成を行っています。主な助成内容は、日本語学校への通学や日本語教員による企業内研修などの経費における半分、最大25万円の支給です。
※令和7年度の受付期間は令和8年1月15日までです。
出典:東京都TOKYOはたらくネット|人材確保の支援
出典:都庁総合ホームページ|中小企業の外国人従業員研修等助成 募集開始
【大阪府】外国人留学生等マッチング支援事業
「外国人留学生等マッチング支援事業」は、府内企業の人材確保ニーズと外国人留学生、就労希望者をマッチングさせることで、地域における外国人の就労促進と定着支援を実現する取り組みです。外国人を活躍・定着させたい企業へ自社PRの機会を提供します。支援の中心となるのは「MEET IN OSAKA」と呼ばれる就活支援サイトです。次のような支援で府内企業との出会いをサポートします。
- 外国人留学生・就活希望者・外国人労働者を採用したい企業の無料登録
- 最短翌日からの面接実施が可能
- オンライン・対面での合同企業説明会の開催
- 就活支援セミナーの実施
- 企業向け外国人採用セミナーの提供
令和7年度の登録受付期間は、令和7年5月14日から令和8年3月17日までです。
出典:大阪府|大阪府外国人留学生等マッチング支援事業
出典:大阪府|令和7年度外国人材受入加速化支援事業
【沖縄県】外国人介護人材受入施設等環境整備事業
沖縄県では、外国人介護人材(特定技能1号または技能実習「介護」)の受入費用の支援として、スムーズな就労のための事業所整備、定着のための生活支援に取り組む事業所を補助します。1事業所あたり、以下3つの合計のうち3分の2、最大20万円の補助を行います。
- 外国人介護要員とのコミュニケーションを促進する取り組みを支援(マニュアル翻訳・作成や日本語学習支援)
- 介護福祉士の資格取得支援(研修の受講や教材購入)
- 生活支援に関する支援(ホームシック対策、地域住民との交流会、自転車購入)
受付期間は令和7年6月9日〜令和7年12月26日であり、令和7年度の申請はまもなく終了となります。
出典:沖縄県|令和7年度外国人介護人材受入施設等環境整備事業
関連記事:介護施設の人材定着を促す方法は?現状の離職率と今後の見通しも解説
若年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター制度)
お金の支援ではなく"人"による支援をする事業として、ものづくりマイスター制度があります。日本の高度な技能を持つベテラン技能者が、直接企業に赴いて実技指導を行うもので、外国人従業員の技能向上にも活用できる制度です。
指導料はかからず、指導に必要な材料費も規定の範囲内で運営側の地域技能振興コーナー(厚生労働省)が負担してくれます。金銭的な助成金ではありませんが、熟練の技を直接学べることから、むしろそれ以上の価値があるかもしれません。
出典:厚生労働省|若年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター制度)
外国人雇用管理アドバイザー制度
厚生労働省が運営する外国人雇用管理アドバイザー制度は、外国人雇用に関する無料の相談窓口です。外国人雇用にあたって悩みがちな労働契約、職場教育、現状からの改善策を相談すると、外国人雇用アドバイザーから的確で効果的な助言を提示してもらえます。全国のハローワークに申し込むとアドバイザーが派遣され、気軽に専門家の支援を受けることが可能です。
※厚生労働省の令和8年度予算概算要求に「外国人労働者の適正な雇用等に関する体制整備等」として記載があり、2026年度も継続見込みです。
製造業外国人従業員受入事業
製造業は外国人労働者の約3割(26.0%)が活躍している分野です(厚生労働省「外国人雇用状況」)。この状況を踏まえ、経済産業省は「製造業外国人従業員受入事業」を通じて、製造業における国内外の生産拠点の連携強化と技術移転を促進しています。
本制度では、海外拠点の従業員を最長1年間、国内事業所で受け入れ、生産技術の移転を行います。企業にとってのメリットは以下です。
- 国内外で作業工程の標準化が進められる
- 海外拠点の中核となる人材を育成できる
- 海外拠点とのつながりが強化できる
利用には経済産業大臣の認定が必要で、技術移転に関する計画書を作成・申請し、認定を受けることを前提に従業員が在留資格「特定活動」を取得して来日する流れとなります。
※経済産業省関係令和8年度予算概算要求に記載があり、2026年度も継続見込みです。
出典:経済産業省|製造業外国従業員受入事業
出典:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)
国際化促進インターンシップ事業
国際化促進インターンシップ事業は、外国人インターンの受け入れを通じて企業の国際化を支援する事業です。中堅・中小企業向けの制度として活用されており、外国人労働者の受け入れ経験が少ない企業が、段階的に受入体制を整備していくためのきっかけづくりとして機能しています。
2025年度の場合、受け入れ1日につき人材育成支援費として一人あたり2,000円が支給されました。来日コース(原則30営業日)、オンラインコース(最大20営業日、1日あたり2〜8時間程度の活動)という2つの参加形態から選択できるため、企業の状況に応じた活用が可能です。
※経済産業省関係令和8年度予算概算要求に記載があり、2026年度も継続見込みです。
【2026年度新規】外国人介護人材獲得強化事業
外国人介護人材獲得強化事業は、外国人介護人材の確保と定着を促進するため、令和8年度から新たに創設が期待される事業です。資料中では、海外現地での採用活動や、小規模事業所への受入支援に取り組む介護事業所・介護福祉士養成施設・日本語学校等に対して補助を行うとされています。
資料中で提示されている補助内容:
- 送り出し国でのマーケティング活動・情報収集
- 海外現地の学校や送出機関との関係構築
- 現地での説明会開催等の採用・広報活動
- 自治体主導のセンターを活用した小規模事業所への受入支援
補助率:国2/3、都道府県1/3
※厚生労働省の令和8年度予算概算要求で2.3億円が計上されており、新規事業として創設が見込まれます。

(参考)技能実習生・特定技能の外国人雇用をサポートする機関
国をまたぎ外国人を雇用する企業は、生活環境が異なる日本で実生活が起動にのるよう、包括的なサポートが求められます。ここでは、雇用側となる日本企業と外国人従業員の橋渡しをサポートする機関を確認します。
監理団体
監理団体は「技能実習生」の受け入れ企業を支援する非営利団体です。個々の技能実習生の受け入れの調査や監理を行い、企業と技能実習生双方をサポートします。定期監査や訪問指導で企業を支援し、採用面談への同行や入国後講習により技能実習生への支援を行います。
また、外国の送り出し機関との連携も担当業務です。入会費、管理費のほか、個別支援費用は必要ですが、適切な労務管理や技能実習生の定着を促せます。
登録支援機関
「特定技能」で外国人を雇用する際に活用できる支援機関です。主に、支援体制の整備、並びに支援計画書の作成を行っています。
初めて「特定技能」の外国人を雇用する企業では、外国人労働者の生活面のサポートに難しさを感じますが、ごく自然なことです。登録支援機関への委託により、企業の負担を軽減しつつ、外国人労働者の安定的な就労を実現するためのきめ細かなサポートが実現します。ただし、支援を受ける際は費用がかかるため、企業のリソースに応じての利用が現実的です。
以下の出入国在留管理庁「支援計画の概要②」では、具体的に支援を委託できる内容がわかります。

出典:出入国在留管理庁|「特定技能外国人受け入れる際のポイント」
参考:外国人を採用する日本企業をサポート特定技能Online|「登録支援機関」とは?特定技能制度における登録支援機関の役割・選び方、取得条件や注意
国際研修協力機構(JITCO/ジツコ)
国際研修協力機構(JITCO)は、内閣府所管の公益財団法人として、主に外国人技能実習制度全般のサポートを行う組織です。技能実習制度に関する申請書類の作成支援や、制度に関する情報提供、セミナーの開催を通じて、外国人労働者を受け入れる企業をサポートします。
JITCOは技能実習(監理団体が支援)と特定技能(登録支援機関が支援)の両制度において、これらの両制度をサポートしています。
出典:JITCO|国際人材協力機構(JITCO)とは JITCOの支援サービス
助成金で「働く環境」を整備し、福利厚生で「生活の安心」を提供
助成金・補助金・支援制度の多さは、外国人労働者が日本で就労するにあたって、生活支援から労働環境の整備まで多様な支援が必要であることの表れです。このような支援体制の充実は、グローバル人材の獲得においても重要な要素となっています。
そのため、企業は全ての従業員に公平で、かつ外国人労働者の就労支援としても効果的な独自の取り組みに注力しています。長く働き続けたい企業として選ばれるためには、国籍を問わず全ての従業員の生活基盤を整える福利厚生を取り入れる方法がおすすめです。
参考記事:人手不足対策に外国人労働者を!受け入れメリット・デメリット 成功事例も紹介
日々の小さなサポートで安心感を醸成する「チケットレストラン」
食事は活力の源です。物価高の今だからこそ、毎日使える小さな食事サポートの積み重ねが、日々の満足度を高め、安心感をもたらします。
食事に関する福利厚生の一つに、エデンレッドジャパンが提供する食の福利厚生サービス「チケットレストラン」があります。日本人従業員はもちろん、外国人従業員も使いやすいシンプルな仕組みです。
使用方法は専用のICカードを食事の購入時に「iDで支払います」と伝えかざすのみで、全国25万店舗の加盟店で利用できます。ファミレスやファーストフードチェーンはもちろん、何かと便利なコンビニでも利用可能です。
導入事例より:「好きな食事が選べる」から使いやすい
北海道で自動車の販売・修理・整備を手掛ける日免オートシステム株式会社では、「チケットレストラン」を導入し、技能実習生や特定技能の外国人従業員から高齢従業員まで、幅広い層からの支持を得ています。企業内での評判は上々。特に「自由にメニューを選べる」ことが高い満足度や利用率につながりました。
多様な背景を持つ従業員の定着率向上や、人材確保にも貢献しています。同社の事例は、年齢、性別、国籍を問わず全従業員が平等に恩恵を受けられる福利厚生導入の好例です。
「チケットレストラン」を外国人従業員に支給している導入事例:日免オートシステム株式会社
関連記事:「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
外国人雇用の助成金を有効活用
外国人雇用に関する支援制度は、助成金から補助金まで多岐にわたります。企業の状況に応じて制度を組み合わせ、採用から定着までの一連の流れをスムーズに進めましょう。
また、福利厚生の充実も重要な施策の一つです。エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」のような食事補助は、国籍を問わず全従業員が平等に利用でき、かつ企業の運用負担も少ない福利厚生であると注目されています。ぜひ「チケットレストラン」の導入を検討してみませんか。
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社会保険労務士 吉川明日香
