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【税理士監修】交際費等の損金不算入制度の延長・拡充を解説【令和6年度税制改正】

【税理士監修】交際費等の損金不算入制度の延長・拡充を解説【令和6年度税制改正】

2024.08.01

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監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)

令和6年度税制改正で交際費等の損金不算入制度が延長・拡充されました。この改正の背景や主な変更点、そして企業への影響を解説します。また、効果的な経費管理を支援する食事補助の福利厚生サービスなど、企業の経営者や人事担当者の方に役立つ情報も紹介します。

交際費等の損金不算入制度の延長・拡充の背景

令和6年度の税制改正で交際費等の損金不算入制度が延長・拡充された背景を掴みましょう。改定のポイントや政府の狙いが見えてきます。

1.経済活性化の促進

とくに中小企業の営業活動において、交際費は不可欠です。そこで、「800万円までの損金算入特例」や、「1人当たり10,000円までの飲食費の経費化」など条件緩和を認めることで、企業活動を支援する意図があります。

2.景気回復への期待

企業の交際費は減少しています。国税庁の会社標本(2022)によると、交際費等支出額はとくに令和2年で−24.9%となるなど、急激に減りました。景気低迷や新型コロナウイルス感染症の影響が大きいです。そのため、交際費等の損金不参入制度を見直す税制改正により、取引拡大や売上増加を促そうとしています。

交際費等の損金不算入制度の延長・拡充

出典:国税庁|会社標本(2022) 調査結果の概要

3.飲食業界の支援

新型コロナウイルス感染症流行以降、飲食業は厳しい状況が続いています。そこで交際費の基準額を5,000円から10,000円に引き上げることで、飲食業の売上増加を図り、経済全体への好循環を生じさせるものです。

交際費損金不算入制度の概要

交際費等の損金不算入制度は、企業が支出する交際費等を原則として経費(税務上の「損金」)として認めない税法上の仕組みです。この制度には以下に挙げる重要な目的があります。

  • 企業の無駄な支出を抑える
  • 公平な税金の納付を実現する
  • 過度な節税対策を防ぐ

交際費等には、取引先への接待費、贈答品代、慰安旅行の費用など、事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用が含まれます。企業の健全な経営を促進し、過度な節税対策を防ぐために、交際費は原則として損金不算入とされています。

交際費が損金不算入とされる理由

「交際費が損金不算入なのはなぜか」という点について、税金、税収の側面から詳しく見ていきましょう。

1.健全な企業経営を促進する

交際費を無制限に経費として認めてしまうと、本来の事業活動とは関係のない過度な接待や贈答が行われる可能性があります。過剰な接待を抑制することで、企業が本業に集中し、効率的な経営ができるよう促しています。

2.必要な税収を確保する

交際費は、性質上、私的な支出との境界が曖昧になりやすいです。すべての交際費を経費として認めてしまうと、本来課税されるべき利益が減少し、結果として税収が減ってしまう恐れがあります。適切な課税により国の財政を支える税収を確保するため、交際費の損金算入を制限しています。

3.企業間の公平な競争環境を維持する

企業間の公平な競争環境を維持する目的もあります。もし交際費が無制限に経費として認められると、資金力のある大企業ばかりが、豪華な接待によって取引先を獲得してしまいます。このような状況は、中小企業や新規参入企業にとって不利です。交際費の損金算入を制限することで、不公平な競争を防ぎ、企業間の健全な競争を維持しています。

令和6年度税制改正における交際費等の主な変更点

令和6年度税制改正では、交際費などの損金不算入において2つの大きな変更がありました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

飲食費の損金算入基準額の引き上げで交際費の損金不算入1万円に

令和6年度税制改正により、交際費等から除外される飲食費の金額基準が引き上げられました。

  • 【改正前】1人当たり5,000円以下の飲食費
  • 【改正後】1人当たり10,000円以下の飲食費

改正前は1人当たり5,000円以下の飲食費が除外されていましたが、改正後は1人当たり10,000円以下の飲食費が除外されます。具体的には、得意先等の接待で1人あたり1万円以下の飲食費の支出であれば交際費としないで会議費等として処理して良いことになります。改正は、令和6年4月1日以後に支出される飲食費から適用されます。

特例措置の適用期限が3年間延長

以下の特例措置の適用期限が3年間延長されました。

  • 接待飲食費の50%を経費として認める特例
  • 中小法人向けの年間800万円までの交際費全額経費化される特例

上記の延長により、とくに中小企業の交際費支出の柔軟性が向上し、経済活動の活性化が期待されています。

交際費等の損金不算入制度の延長・拡充01出典:国税庁|令和6年度法人税関係法令の改正の概要 7 交際費等の損金不算入制度の見直し

中小法人向けの特例措置とは

交際費などの損金不算入制度では、従来より中小法人(資本金1億円以下の法人等)に対しては、特別な配慮がなされており、2つの特例措置が用意されています。

1つ目は「接待飲食費の50%を損金算入できる特例」です。2つ目は、「年間800万円までの交際費等を全額損金算入できる特例」です。中小法人は、2つの特例のうち、企業に有利な方を選択できます。

具体例で確認しましょう。年間の交際費等の支出が800万円を大きく下回る場合は、1つ目の特例を選択することで、全額を損金算入できる可能性があります。一方、交際費等の支出が800万円を超え、かつ接待飲食費の割合が高い場合は、2つ目の特例を選択する方が有利です。

出典:中小企業庁|交際費課税の特例

「交際費等」から除かれる費用を確認

交際費等の範囲は迷うことが多いことから、国税庁のタックスアンサーNo.5265でも細かく言及されています。ここでは、交際費から除かれる費用についても具体的に確認しましょう。

従業員の慰安のための企業内での行事に係る費用や、製品等の広告宣伝のための試供品等の費用は交際費等に含まれません。また、見本品や試用品等の費用、カレンダーや手帳等の贈答品で広告宣伝物品と認められるものも交際費から除外されます。新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会などの取材に要する費用も交際費にはなりません。

出典:国税庁|タックスアンサー No.5265 交際費等の範囲と損金不参入額の計算

企業内での「飲食費」の取り扱いを確認

企業内での飲食費の取り扱いについても、企業が適切な税務処理を行う上で重要です。ここでは、代表的な飲食費についての取り扱いを確認します。

企業での飲食費(役員や従業員、その家族のための接待等の費用)は、原則として交際費等に該当し、経費としては認められません。ただし、次の場合は例外です。

  • 企業内実施の会議での飲食費
  • 全従業員が参加する忘年会での飲食費
  • 研修時の飲食費

上記については、一定の条件を満たせば、交際費等ではありませんが、経費(「福利厚生費」や「会議費」)として認められる可能性があります。

関連記事:【税理士監修】福利厚生費の飲食における上限は?会議費や交際費との違いも

効果的な経費管理を支援する「チケットレストラン」を紹介

交際費等の損金不算入制度の改正を受け、より効果的な経費管理への意識を高める企業も多いでしょう。その解決策として、エデンレッドジャパンの食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を紹介します。

チケットレストラン」とは、専用のICカードでの支払いを通じて、勤務日のランチ代を企業が半額補助するサービスです。全国にある25万店以上の飲食店、コンビニ、ファミレス、そして Uber Eats での食事購入で利用できます。豊富な魅力やメリットを見ていきましょう。

福利厚生費として計上可能

チケットレストラン」では、食事補助の非課税枠を活用できます。企業支給額は、従業員1人当たり月額3,500円(税別)までとなっており、同等以上の従業員負担により、「福利厚生費」つまり経費として計上できます。

従業員の実質的な収入増加

企業が従業員の食事代を半額補助することで、食事代に余裕ができます。しかも、給与ではない形での還元策であることから、所得税の増加を抑えられるのもメリットです。物価高騰時代に喜ばれる実質的な賃上げ効果が期待できます。

中小企業の競争力強化

導入にかかる時間や運用の手間が少なく、企業規模も問わないなど、企業にとっての運用面でもメリットも魅力です。とくに中小企業では、大企業に負けない魅力的な福利厚生として活用する企業も増えています。「毎日使える」、「キャッシュレスで利便性が高い」といった点も、導入企業から支持されています。人材獲得・定着化に貢献し中小企業の経営課題解決にも効果的です。

経済活性化への貢献

加盟店での飲食を促す「チケットレストラン」は、政府の経済活性化の方針である「飲食業界の支援」と合致しているサービスです。従業員の外食機会の増加により、地域経済にも好影響が期待できます。

経済活性化の促進として交際費を有効に活用しよう

交際費等の損金不算入制度は複雑ですが、適切に運用、活用すれば、経済の活性化にもよい効果が期待されます。改正を機に、交際費等の取り扱いを見直し、法令を守った運用を心がけることが大切です。

チケットレストラン」は、税制改正の趣旨を踏まえつつ、企業と従業員双方にメリットをもたらす食事補助の福利厚生サービスです。企業の健全な経営促進と従業員満足度向上の両立の一助として、「チケットレストラン」を導入してみませんか。

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