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エデンレッドブログ

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【社労士監修】カフェテリアプランとは?メリット・デメリットと費用をわかりやすく説明

2021.07.08

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

企業の福利厚生制度である「カフェテリアプラン」をご存知ですか?
求職者の80%以上が企業を選ぶ際に重視していると回答した福利厚生制度。なかでも医療健康に関するものは年代問わず高いニーズがあります。しかしそのほかの項目は年代によって利用したい福利厚生の割合に差が出ているのです。世代別のニーズに答える福利厚生として、カフェテリアプランというものがあります。
昨今、改めて注目されているカフェテリアプランとはどんなものか解説していきます。

カフェテリアプランとは

ポイントの範囲内で選択できる福利厚生制度

カフェテリアプランとは、従業員のさまざまなニーズに対応可能な「選択型福利厚生制度」のことを言います。
企業は従業員に対し、あらかじめ一定数のポイント(カフェテリアポイント)を配布します。従業員は配布されたポイントの範囲内で、企業が設定した複数の福利厚生施策(以降メニューとする)のなかから、自分のライフスタイルや必要性に応じたサービスを選んで利用することができます。

価値観が多様化した現代において、従業員のライフスタイルや求めるものもさまざまに変化しています。従来企業が提供してきた単一的な福利厚生制度では、利用できる人と利用できない人の差が大きくなり、見直しが必要となってきたことなどからカフェテリアプランを導入する企業が増えていきました。

たとえば子育てのための福利厚生は未婚や子どものいない従業員には使えません。カフェテリアプランを導入することによって、子育て支援メニューを選択したい人は子育て支援を利用し、そうでない人は他のメニューにポイントを充当することができるのです。

カフェテリアプランを導入することにより、企業は従業員の多様化したニーズに備えることができます。従業員にとっては公平に受益を得ることが可能になるのです。その結果従業員満足度の向上にもつながります。

カフェテリアプランの背景と歴史

カフェテリアプランは1970年代にアメリカで生まれた制度です。食べ物や飲み物を豊富なメニューのなかから好きなものを選んで注文できる「カフェテリア」が制度の名前の由来と言われています。
日本でのカフェテリアプランは1995年頃から導入され始めました。福利厚生のアウトソーシングの登場です。1997年頃までは、施設投資型の福利厚生が主流で、社宅や寮・保養所など住宅や余暇施設の提供によって従業員満足度を高めていました。

しかし2003年頃から少子高齢化により人材投資型福利厚生へと徐々に流れが変化しています。現代の多様化に対応する福利厚生制度の原点です。可児俊信さんの著書「実践!福利厚生改革~戦略的アプローチと採用・定着成功事例」(※1)に掲載されている日本経済団体連合会の福利厚生費調査をもとに作成したグラフを参照しても、社宅関連は緩やかではありますが減少傾向。医療関連は徐々に上昇していることがわかります。
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出典:実践!福利厚生改革~戦略的アプローチと採用・定着成功事例より

・ヘルスケア支援
・ワークライフバランス支援
・ライフプラン支援
上記の項目は国にとっての問題にも対応していると考えられています。

ヘルスケア支援は企業にとっては従業員の健康保持および生産性の向上、国にとっては医療費の抑制。ワークライフバランス支援は、企業にとっては人材確保・人材流出防止、国にとっては少子化対策。ライフプラン支援は、企業にとっては従業員の生活の充実、国にとっては社会保険抑制への対応とみることができます。
社会的課題の面からも福利厚生は見直され、公平性のあるものへと整備されてきました。
設備投資型の福利厚生は予算のある大企業には実現できても中小企業等には困難でした。人材投資型への変化により福利厚生は企業規模によらず取り入れやすくなってきたといえるでしょう。
多様化した従業員ニーズに対応するようにひとつひとつ充実させると福利厚生費は増加します。カフェテリアプランを導入すれば、付与したポイントを超える費用は発生しません。
多様化したニーズに答えながらも福利厚生費の抑制が可能であることから時代の変化に合ったサービスの提供として現在に浸透してきたと言えます。

付与される平均ポイント数と単価

年間の平均付与ポイント数

発行団体 参考文献 カフェテリアプラン
年間平均消化総額
備考
日本経済団体連合会 第64回福利厚生費
調査結果報告
55,920円 2019年度の従業員1人1ヶ月あたりの
平均ポイント消化総額4,660円×12ヶ月で計算
株式会社労務研究所 旬刊 福利厚生
(2020年のデータ)
56,278円 -
株式会社労務研究所 旬刊 福利厚生
(2019年のデータ)
65,277円 -

カフェテリアポイントの付与数は企業の福利厚生費によってさまざまです。
日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」(※2)では、カフェテリアプランを導入している104社の平均額が年間55,920円。
株式会社労務研究所が発行する「旬刊 福利厚生 No.2324」2021年7月下号(※3 p.7)では、2020年の年間の平均額は56,278円でした。
同社の調査で2019年の平均額は65,277円で比較すると2020年は減少しているように見えますが、これは調査対象の入れ替えがあったことが影響していると書かれています。
配分類の分布では、4万円未満が36.1%と最も多くなっていますが、前年度最も多かった4~6万円、6万円~8万円の分布を合計すると41.8%、8万円以上は22.2%となっています。
目安としては、やはり約60,000円前後が導入企業の平均付与ポイント総額と言えるでしょう。

とはいえ、企業によってカフェテリアプランに割ける予算も異なるので、企業がどのくらいの割合でカフェテリアプランの費用を設定しているかご紹介します。
日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」(※2)によると、法定外福利厚生費のうちカフェテリアプラン費用が占める平均の割合は14.0%です。最も多い割合は10%未満となっています。自社の法定外福利厚生費の予算に合わせそのなかから10%程度と考えて算出することを一つの目安としてみてはいかがでしょうか。

ポイント単価

ポイント単価は、1ポイント=1円・100円・1,000円など、それぞれ企業がニーズに応じて設定できます。特に1ポイント=100円として設定している企業は27.8%と最多となっています。次いで1ポイント=1円が22.2%、1,000円が5.6%となっています。(※3)
1ポイント=1円で設定すると端数も使いやすくなるので便利です。

とある企業ではおおむね1ポイント=1,000円として換算し、メニューによって若干単価を変動させて設定しているそうです。
ポイント単価の設定は企業が導入するメニューによって従業員が使いやすく、換算しやすいポイント単価で設定することをおすすめします。

優遇単価方式について

ポイント単価の項目で、メニューによって単価が変動する設定があるとお伝えしました。
これを「優遇単価方式」と言います。
企業が利用促進したい特定のメニューに対しポイント単価を優遇すること。たとえば通常は1ポイント=100円としているところ、自己啓発関連メニューでは1ポイント=120円と単価を優遇し、従業員の資格支援を促進するなどです。
優遇単価方式を採用する企業は2020年では44.4%(※3)と年々増加傾向にあります。

カフェテリアプランのメリット

公平性を保ちやすい

従業員のライフスタイルの多様化により、未婚であったり子どもがいなかったりすることが珍しくない時代となっています。少子化支援として子育てに対する福利厚生を充実させたいと考えても使えない人は不満を感じてしまいます。カフェテリアプランでは、従業員が自分の利用したいメニューを選択できるので、そのぶん他の福利厚生を利用でき公平性を保つことが可能です。

コストを再配分できる

これまで活用されやすかった福利厚生も、時代の変化により活用されにくくなってきたものがあり、制度の見直しをする時期に来ています。しかし、これまであったものを取りやめるということは、少なからず利用していた人にとってマイナスの印象になりかねません。
利用者に偏りの出る制度を廃止し、全従業員にかけていたコストを一度回収することにより原資をつくります。その原資をもとにカフェテリアプランのポイントとして再配分します。そうすることで、今まで通り使いたい人は利用を継続することができ、使えていなかった人は他のメニューで活用することができるようになるのです。結果、従業員満足度の向上につながります。

福利厚生受益の可視化

カフェテリアポイントの消化率をみることにより、誰がどんなことにどのくらい活用しているかを把握することができます。福利厚生制度で従業員が等しく恩恵を受けられているかを可視化し、従業員のニーズがどんな傾向にあるかも明確化しやすく、受益格差をなくすことが可能となります。

年代に応じたメニューの利用

カフェテリアプランは企業によっていろいろなメニューを備えることができるので、さまざまな世代のニーズに答えられるメニューを設置することができます。
たとえば、30代では子育て支援のメニューに使っていたポイントを、50代になったら介護支援のメニューにあてるなど自分の状況に応じて利用するメニューを変更して使うことができるのです。世代に応じて利用するメニューを変えていけることはカフェテリアプランの大きなメリットです。

予算管理がしやすい

カフェテリアプランでは、企業が決めたポイントをあらかじめ従業員に配布しその範囲のなかで、従業員が自由に選択し福利厚生制度を利用することになります。
付与したポイント以上の予算になることはないので、管理がしやすいです。

カフェテリアプランのデメリット

原資の確保が必要

カフェテリアプランは、「対象の従業員数×1人あたりの付与ポイント額」の原資が必要となってきます。付与ポイント額が少ない場合、従業員にとって使えるメニューの選択の幅が十分でなく、ニーズに対応できなくなるのである程度の予算が必要です。

課税・非課税の仕訳

カフェテリアプランのメニューには課税されるものと非課税のものが混在します。
従業員が個別に選択して利用するものなので、後々のトラブルにならないよう内容によって課税・非課税がわかるようにしておくことをおすすめします。カフェテリアプラン導入時の説明の際は、消費税区分についてきちんと確認するようにしましょう。

福利厚生費の消費税区分については、こちらの記事も参考になさってください。
[社労士監修]福利厚生費の消費税課税基準は?健康診断など場合分けに説明

維持管理コストの発生

カフェテリアプランを自社で運用する場合も、アウトソーシングする場合も管理コストがかかります。自社で運用する場合は、システム開発費用や管理の煩雑さから人件費がかかってきます。アウトソーシングした場合も、従業員一人あたりで月額の管理費がかかります。企業規模によってかかるコストは異なりますが、多くの場合一人数百円程度です。自社運用と外注のどちらのコストを選択するか比較検討する必要があります。

単年度清算方式による未利用分に対する従業員の不満

単年度清算方式とは、当年度に未消化のポイントがあっても来年度に繰り越しをしない方式です。2020年度で単年度清算方式を採用していた会社は61.1%(※3 p.7)を占めています。
カフェテリアプランのポイントについてその年度のみで繰越不可とした場合、企業としての管理は簡潔になりますが、使いきれないポイントは消滅してしまいます。毎年使いきれないポイントが多くあると、従業員の満足度が下がる可能性があります。単年度清算にしている場合は、使いきれるようなメニューの設定や利用の促進などの考慮が必要です。

カフェテリアプランの使い道は?

カフェテリアプランで利用できるメニュー

カフェテリアプランで提供されるメニューは各企業で設定が異なります。「旬刊 福利厚生 No.2324」2021年7月下号(※3 p.9)によると2020年の1社あたりの平均メニュー数は26本。40本以上も19.4%といろいろなメニューを備えている企業が増えているのがわかります。

どのようなメニューがあるか日本経済団体連合会の福利厚生調査(※2)を参考にご紹介します。

住宅メニュー
・寮・社宅、賃貸物件入居補助
・持家援助
・引っ越し費用補助

医療・健康メニュー
・人間ドックオプション検査補助
・健康機器取得支援
・メンタルヘルス利用補助

ライフサポートメニュー
・食事補助
・介護
・保険
・財産形成

文化・体育・レクリエーションメニュー
・活動
・自己啓発

上記のほかにも、確定拠出年金加入者掛金補助メニューや家事代行補助メニュー・海外赴任者メニュー・募金メニューなどさまざまなメニューが取り入れられるようになってきています。

よく利用される人気のメニュー

企業によりそのメニューの設定はさまざまですが、なかでも採用率が高いメニューは「ライフサポートメニュー」「健康増進・疾病予防」「余暇・リラックス」「自己啓発」です。
実践!福利厚生改革~戦略的アプローチと採用・定着成功事例(※1)より
従業員の労働生産性を高めるものや働きやすい環境(ワークライフバランス)を整えるものが人気と言えます。
日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」(※2)では、2019年時点で「文化・体育・レクリエーションメニュー」「財産形成」「食事手当・給食補助」の利用率が高めでした。この結果は、家族サービスや従業員間のコミュニケーションをはかる際に活用されていたと読み取れます。現在はコロナ禍により働き方や環境が一変していますので、人気のメニューも変化してきているかもしれません。
カフェテリアプランは時代の変化や従業員ニーズに応じて見直しがしやすい点もメリットと言えます。

あまり利用されないメニュー

カフェテリアプランにおいてメニューを設定してもあまり活用されないものもあります。
企業の性質にもよりますが、保険など自己負担でなんとかできてしまうものや、海外赴任者向けのプランなど特定の人へ向けたメニューなどは、ポイントの消化率は低い傾向です。
ただし、消化率が低いからといってすぐにそのメニューを廃止にしていいとは限りません。消化率が低いメニューでも従業員満足度に貢献しているのであれば、継続して様子を見ましょう。

ポイントの利用頻度

カフェテリアプランのポイント消化率は過去10年間を見ても8割以上となっており、2020年度時点のポイント消化率も81.6%(※3)と高い数値を示しています。
カフェテリアプランの導入は、従業員の福利厚生の充実に役立っていると言えるでしょう。

カフェテリアプランを導入している企業は?

カフェテリアプランを利用している企業数と割合

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出典:日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」より

日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」(※2)によると、2019年時点で、カフェテリアプランを導入している企業は、回答企業数608社のうち104社(17.1%)でした。
導入企業規模は、従業員5,000人以上が48.1%を占め、大企業での導入が多い傾向です。とはいえ、500人未満の中小企業も6.7%と導入され始めていることがわかります。

カフェテリアプランを利用している企業例

カフェテリアプランは自社運営している場合と福利厚生代行サービス企業に外注している場合があります。カフェテリアプランに関しては外注することで運営コストや業務負担が抑えられるので、外注する企業が多い傾向です。
2020年度において外注サービスを利用している企業は82.4%。自社運営している企業は11.8%(※3 p.6)でした。
ここでは福利厚生代行サービスを利用して導入している企業と自社運用で導入している企業の一部を紹介します。

外注サービスを利用している企業

従業員数 導入企業例
10,001名~ 日立製作所
三菱UFJ銀行
日本製鉄
トヨタ自動車
NTTファイナンス
5,001名~ 富士ゼロックス
オリンパス
雪印メグミルク
TOTO
日本たばこ産業
1,001名~ カゴメ
東急電鉄
日本オラクル
津島製作所
東洋テック
~1,000名 デンソーエアクール
興和電気
エクスプライス
シュゼット・ホールディングス
カウネット

自社運用している企業

導入企業例 アイシン(アイシングループ企業に提供)
日本ペイント
山九

 

カフェテリアプランを外注している企業数

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出典:実践!福利厚生改革~戦略的アプローチと採用・定着成功事例より

上記のグラフを参考にみると、カフェテリアプランを外注している企業は右肩上がりに増えており、2017年度始時点で1,500団体以上、対象従業員は233万人に上っています。カフェテリアプランを請け負う企業も増えてきています。

カフェテリアプランをサービス提供している企業は?

ベネフィット・ワン

「ベネフィット・ステーション」のなかでカフェテリアプランを提供。
導入企業数:13,005社
カフェテリアプラン会員数:91万人
入会金:2万円~(従業員数による)
月額/1名:プランによって1,000円または1,200円 (別途カフェテリアプラン月額/1名)

特徴
全国47都道府県で使える140万件以上の福利厚生サービスを提供
オールインワンで管理業務の負担を軽減できるアウトソーシングサービス
大手企業などからの豊富な受託実績に基づき企業状況をヒヤリング、必要なプランをコンサルティング・設計
日本初の「自動決済」システムを導入により高い利便性を保持

リロ・クラブ

「福利厚生倶楽部」のなかでカフェテリアプランを提供。
導入企業数:14,800社
カフェテリアプラン会員数:19.5万人
入会金:3万円~10万円(従業員数による)
月額/1名:550円~(コースおよび従業員数による)

特徴
導入企業数No.1の実績
従業員数100名未満の契約企業数の割合77.8%と中小企業にも適したプランを提供
全国50エリアのお得なサービス情報を会員専用サイトで配信
低コストで充実した福利厚生の構築が可能

JTBベネフィット

「えらべる倶楽部」のなかでカフェテリアプランを提供。
導入企業数:3,117社
カフェテリアプラン会員数:60.2万人
入会金:5万円~(従業員数による)
月額/1名:350円~(コースおよび従業員数による)

特徴
全国1,000個所以上のJTBグループ店舗と連携した簡便性の高い差額精算方式でポイント利用推進
定額コースと精算コースの2つのコースが選べる
1,000社1,000通りの最適な福利厚生プランをデザイン
社内での告知媒体に利用できる情報発信ツールの提供

イーウェル

「WELBOXメニュー」と併せて利用可能。
導入企業数:約1,300社(2021年4月現在)
カフェテリアプラン会員数:約92万人
会員登録手数料:別途要
月額/1名:400円~(コースおよび従業員数による)

特徴
福利厚生パッケージサービス「WELBOX」や情報プラットフォーム「c-CANVAS」育児・介護の情報サイト「行政情報サービス」など他のサービスを組み合わせ制度設計可能
企業戦略に対応する福利厚生制度を設計・構築・運用するコンサルティングサービスを提供
料金体系が明確「清算方式」「固定方式」を選択可能
「WELBOX」導入企業は内定者に向けて入会費・年会費無料で「WELBOX for Freshers」のサービスを利用可能

《番外編》

ベネフィットプラン

「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会」が提供しているフリーランス向けプランです。
独立系フリーランスの方でも、副業系フリーランスの方でも加入できます。
賠償責任保障なども含めさまざまな特典が受けられるお得なサービスです。
なかでも福利厚生サービスはイーウェルのパッケージサービス「WELBOX」が利用できるようになっています。

入会条件(対象者):
(1)フリーランスとして働いている方
(2)小規模企業の経営者と従業員
(3)パラレルキャリアで兼業副業をしている会社員の方
(4)フリーランスやパラレルワーカーをめざす全ての方
年会費:1万円

カフェテリアプランの運用工数は?

自社運用の場合

カフェテリアプランを自社運用する際の作業工程を挙げてみます。

・人員データの作成
・マニュアルの作成
・制度の内容検討/周知
・申請書の集約
・申請不備の対応
・支給データの処理
・課税処理
・ポイント管理
・申請状況管理

カフェテリアプランを自社運用する際の工数は企業にもよりますが、作業工程は多岐に渡り、自社システムなどを開発する場合はその工数もかかってきます。

外注で運用した場合

外注によるカフェテリアプランを導入した場合は、福利厚生代行サービスを提供している企業が、「ポイントに関する集計」や「問い合わせ」「申請書類の確認」「申請不備の確認対応」「課税処理」など多くの作業工程を代行してくれます。システムも福利厚生代行サービス企業側のものを利用可能で、自社で行う工程は大幅に抑えられます。

パッケージプランとカフェテリアプランの違い

総合型と選択型

パッケージプランは「総合型福利厚生制度」、カフェテリアプランは「選択型福利厚生制度」と分類されることがあります。
パッケージプランは提供された福利厚生サービスを、定額で全て利用することができるサービス。カフェテリアプランは企業のニーズに応じてメニューを選択して設定できる福利厚生サービスです。

定額制とポイント付与制

パッケージプランでは、月額でかかるサービス利用料を支払うことで全てのサービスを利用することができます。カフェテリアプランでは、サービス利用料のほかにあらかじめ従業員に付与するためのポイント原資が必要です。

メニューのカスタマイズ

パッケージプランではさまざまな種類のメニューがパッケージ化されあらかじめ用意されているものから企業が選びます。カフェテリアプランではメニューを企業が自社に合わせてカスタマイズし設定することができます。

パッケージプランはできるだけ予算をかけずに福利厚生を充実させたい企業や包括的な福利厚生を従業員に提供したい企業向き。カフェテリアプランは福利厚生の利用率を高め公平性を高めたい企業や、独自性を出したい企業向きです。
企業のなかには、両方のプランを併用しているところもあり、企業のニーズや運用目的によって検討するとよいでしょう。

カフェテリアプランの課税要件は?

役職や報酬額によってポイント付与数が異なる場合

国税庁の「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」(※4)における回答要旨のなかで、

企業の福利厚生費として課税されない経済的利益とするためには、役員・従業員にとって均等なものでなければならないことから、役員・従業員の職務上の地位や報酬額に比例してポイントが付与される場合には、カフェテリアプランの全てについて課税対象となります(所得税基本通達36-29)。

と記載されていることからわかるように、カフェテリアプランにおける付与ポイント数が均等でない場合は非課税になりうる要件でも全て給与課税されることとなります。

個人が負担すべき趣味・娯楽の費用を企業が補填する場合

国税庁の「カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合」(※5)の照会要旨/回答要旨では以下のような記載があります。

照会要旨(抜粋)
A社のカフェテリアプランには、次のようなメニューがありますが、これらのメニューを利用することにより従業員等が受ける経済的利益の課税関係はどのようになりますか。
(1) リフレッシュメニュー
旅行費用、レジャー用品等の購入代、映画・観劇チケットやスポーツ観戦チケットの購入代を一定限度額(10,000円)まで補助するものです。
なお、契約している福利厚生施設等を利用する場合には、全従業員等一律の割引料金(契約料金)から更にポイントを利用することができます。

回答要旨(抜粋)
(1) リフレッシュメニュー
照会のリフレッシュメニューは、使用者が企画・立案したレクリエーション行事のように従業員等に対して一律にサービスが供与されるものではなく、ポイントを利用する従業員等に限り供与されるものであることから、個人の趣味・娯楽による旅行等の個人が負担すべき費用を補填するものと認められ、給与等として課税対象となります。
なお、契約施設を利用した場合の一般料金と割引料金の差額については、全従業員等が一律に供与を受けるものである限り、課税しなくて差し支えありません(所得税基本通達36-29)。

上記の回答からわかるように、全従業員等が一律に供与を受けるものでなく、ポイントを利用する従業員のみ提供されるものは、企業からの個人への経済的利益の供与になります。したがって給与課税対象となるのです。

ポイント利用によって換金性のあるもの

こちらも、国税庁の「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」(※4)における回答要旨のなかで、

課税されない経済的利益は企業から現物給付の形で支給されるものに限られますので、ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランは、その全てについて課税対象となります。

と記載されています。

カフェテリアプランで課税された事例

チケットの割安購入メニューを利用した場合

カフェテリアプランのメニューのなかから、たとえば1万円のチケットを購入するケースでは、以下のように課税されます。

(1)システムから6千円分をカフェテリアポイントで支払い、残りの4千円を自分で支払う
(2)1万円を立替払いした後、領収書等を提出して申請することで6千円がキャッシュバックされる

企業のシステムにより差はありますが、どちらの場合も課税処理としては企業が支給する6千円分に対して給与課税されることになります。

自社製品を割引で購入した場合

カフェテリアプランにおいて自社製品を割引価格にて購入可能なメニューを設置した場合、国税庁の所得税基本通達36-23(※6)における課税しない経済利益の「通常他に販売する価額のおおむね70%未満」でないことを基準に、自社製品を値引きして販売した場合は、ポイント利用相当額のみ課税対象になります。

同庁のカフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合に掲載されている事例(※5)を紹介します。

照会要旨(抜粋)
A社のカフェテリアプランには、次のようなメニューがありますが、これらのメニューを利用することにより従業員等が受ける経済的利益の課税関係はどのようになりますか。
(2) 自社製品購入
従業員等に対しては、通常販売価額の70%相当額で自社製品を販売していますが、この金額から更にポイントを利用して自社製品を購入することができます。

回答要旨(抜粋)
(2) 自社製品購入
個人が負担すべき購入代価をA社が負担するものと認められますので、給与等として課税対象となります。
なお、このメニューを利用した場合には、値引率が30%を超えることとなりますので、原則として値引額全体が課税対象となりますが(所得税基本通達36-23)、自社製品を一定の条件で値引販売することが確立している場合には、個人が負担すべき購入代価をA社が負担した部分、すなわちポイント利用相当額のみを課税対象として差し支えありません。

と記載されています。

最後に

カフェテリアプランは、企業と従業員の双方に多くのメリットがあります。
時代の変化にも適応させやすく、コロナ禍で急変した働き方にも臨機応変に対応できます。
売り手市場の採用においても福利厚生でカフェテリアプランを導入していることはアピールになるのです。
多様なニーズに柔軟に対応可能なカフェテリアプランを導入することで、従業員満足度の向上と福利厚生の充実に役立ててみませんか?

<参考資料>

(※1)「実践!福利厚生改革~戦略的アプローチと採用・定着成功事例」/可児俊信
(※2)日本経済団体連合会の「第64回福利厚生費調査結果報告」/日本経済団体連合会
(※3)「旬刊 福利厚生 No.2324」2021年7月下号/株式会社労務研究所
(※4)カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合/国税庁
(※5)カフェテリアプランによる旅行費用等の補助を受けた場合/国税庁
(※6)所得税基本通達36-23/国税庁