公務員の福利厚生の特徴
公務員の福利厚生が民間企業と大きく異なる点は、「法律による義務づけ」と「組織規模・部署を問わない平等性」の2つに集約されます。
地方公務員については地方公務員法第42条において、(厚生制度)「地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならない」と明記されています。
国家公務員についても人事院規則によって制度が体系化されており、勤務先や配属部署によって水準が大きく変わることはありません。
出典:e-Gov 法令検索|地方公務員法
公務員の福利厚生を担う3つの組織
公務員の福利厚生は、民間企業のように企業(単一の組織)から提供されるのではなく、役割の異なる3つの組織が分担して提供しています。
| 組織 |
主な役割 |
提供する福利厚生の例 |
| 行政機関 (省庁・自治体) |
勤務条件の整備 |
各種手当、休暇制度、退職手当 |
| 共済組合 |
社会保障の補完 |
医療保険(短期給付)、年金(長期給付)・福祉事業(貸付等) |
| 互助会・職員厚生会(加入は任意) |
生活支援・福祉事業 |
割引サービス、保養施設、慶弔見舞金、貸付・外部福利厚生サービスとの提携等 |
行政機関が提供するのは、通勤手当・住居手当・扶養手当などの諸手当と、年次休暇・特別休暇などの休暇制度です。
共済組合は公務員版の健康保険組合に相当し、病気・けが・出産などへの給付と年金を担います。互助会は職員の相互扶助を目的とした任意組織で、割引サービスや保養施設の運営、慶弔見舞金の給付などを行っています。
レジャー割引・旅行・ジムといった具体的なサービスは、互助会・職員厚生会が提供しているものがほとんどです。これは、民間企業における法定外福利厚生に相当します。 法定外部分は自治体ごとに内容が異なり、詳細は後述します。
【手当】主な諸手当一覧
公務員の給与は「俸給(または給料)+各種手当」で構成されており、手当の種類は勤務条件・家族構成・居住状況によって変わります。以下に、国家公務員を基準とした主な手当を紹介します。
諸手当
扶養手当や超過勤務手当などの一般的な手当があります。
| 手当の種類 |
手当の内容 |
| 扶養手当 |
扶養親族のある職員に支給 |
| 住居手当 |
借家等に居住する職員等に支給 |
| 通勤手当 |
通勤のため、交通機関等を利用又は自動車等を使用している職員に支給 |
| 単身赴任手当 |
採用や異動等に伴い、配偶者等と別居して単身で生活することとなった職員に支給 |
| 在宅勤務等手当 |
住居等において在宅勤務等を中心とした働き方を3か以上の期間について1か月あたり平均10日を超えて命ぜられた職員に支給 |
| 地域手当 |
主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給 |
| 広域異動手当 |
広域的な異動等を行った職員に対し、官署間の距離に応じ、異動等の日から3年間支給 |
| 超過勤務手当 |
正規の勤務時間を超えて勤務した職員に対し、勤務時間数に応じて支給 |
| 休日給 |
祝日法による休日等の正規の勤務時間中に勤務した職員に支給 |
| 夜勤手当 |
正規の勤務時間として深夜に勤務した職員に支給 |
| 宿日直手当 |
宿日直勤務を行った職員に支給 |
| 本府省業務調整手当 |
本府省の業務に従事する職員に支給 |
その他、28種類の業務については、高所作業手当や航空手当等の特殊手当もあります。
出典:人事院|国家公務員の給与制度の概要
賞与等に相当する手当
ボーナスに相当する手当です。
| 手当の種類 |
手当の内容 |
| 期末手当 |
民間における賞与等のうち一定率分に相当する手当として6月・12月に支給 |
| 勤勉手当 |
民間における賞与等のうち考課査定分に相当する手当として勤務成績に応じて6月・12月に支給 |
出典:人事院|国家公務員の給与制度の概要
退職手当
退職時に支給される退職手当は、国家公務員退職手当法に基づいて計算されます。
なお、内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和6年度)」によれば、定年退職した常勤職員の平均支給額は約2,160万円です。自己都合退職の場合は約345万円、平均で1,094万円と、退職理由によって大幅に異なります。
出典:内閣官房内閣人事局|退職手当の支給状況(令和6年度)
【休暇】年次休暇・特別休暇・育児休業・介護休業等
国家公務員の休暇に関する主な福利厚生を紹介します。
| 休暇の内容 |
休暇の内容 |
| 年次休暇 |
年間20日支給 |
| 病気休暇 |
療養のために勤務しないことがやむを得ない場合に取得でき、原則90日(有給) |
| 介護休暇 |
要介護者の介護をする場合の休暇。通算6か月まで(3回まで分割可) |
| 介護時間 |
要介護者の介護をする場合に取得でき、1日2時間まで |
| 育児休業 |
子が3歳まで取得可(原則2回まで分割取得可、無給) |
| 育児短時間勤務 |
短い勤務時間(4時間55分×5日等)での勤務(子が未就学まで) |
| 育児時間 |
1日2時間まで、または1年につき10日相当の時間まで選択取得(子が未就学まで、無給) |
出典
:人事院| 一般職の国家公務員の休暇制度(概要)
:人事院|妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援のページ
特別休暇(有給)の主な種類
年次休暇とは別に、私生活・社会生活上の理由で取得できる有給の特別休暇が多数設けられています。
| 種類 |
取得可能日数 |
官公署出頭休暇 (裁判員等) |
必要と認められる期間 |
| 骨髄等ドナー休暇 |
必要と認められる期間 |
| ボランティア休暇 |
年5日以内 |
| 結婚休暇 |
5日以内 |
|
出生サポート休暇 (不妊治療を受けるための通院が目的)
|
年5日以内 |
| 産前産後休暇 |
産前6週間・産後8週間 |
| 妻の出産休暇 |
2日以内 |
| 男性の育児参加休暇 |
産前産後期間中に5日以内 |
| 子の看護休暇 |
年5日(子2人以上は10日) |
| 短期介護休暇 |
年5日(要介護者2人以上は10日) |
| 忌引休暇 |
親族に応じた期間 |
| 父母の追悼休暇 |
1日 |
| 夏季休暇 |
3日間(7〜9月の間で取得) |
出典:人事院|一般職の国家公務員の休暇制度(概要)
【保険・年金・貸付】共済組合の仕組み
共済組合は、短期給付・長期給付・福祉の3事業を通じて、民間の「健康保険組合+企業年金+福利厚生サービス」に相当する機能を担っています。
短期給付(医療保険)
公務員は職種に応じた共済組合に加入します。共済組合の短期給付事業は、民間の健康保険組合に相当します。
民間の協会けんぽ等との主な違いは「附加給付」の存在です。法定の高額療養費制度に加え、多くの共済組合では独自の附加給付を設けており、1件あたりの自己負担を一定額(例:25,000円)以下に抑える仕組みが整っています。協会けんぽや国民健康保険にはない公務員特有の手厚さが、ここに表れていると言えるでしょう。このほか、育児休業・介護休業中の給付も短期給付事業に含まれます。
出典:財務省|国家公務員共済組合制度について
長期給付(年金)
2015年の制度改正により、公務員の年金は民間企業と同じ厚生年金に統合されました。ただし公務員には独自の「年金払い退職給付」が上乗せされており、これが民間の企業年金に相当する部分です。厚生年金統合後も3層構造は維持されており、「公務員の年金は手厚い」と評価される根拠となっています。
出典:財務省|国家公務員共済組合制度について
福祉
共済組合では、健康診断等の保健事業に加え、通常の金融機関より有利な条件での貸付事業も行っています。
地方職員共済組合の場合:
- 普通貸付:冠婚葬祭・医療費・車購入など用途が幅広い
- 住宅貸付:住宅購入・リフォーム時に低金利で借り入れができる
- 修学貸付:修学に必要な資金を低金利で借り入れができる
- 高額医療貸付:無利息などの場合もある
出典:地方職員共済組合|貸付事業の詳細
【割引・慶弔・健康管理】互助会・共済組合等のサービス
互助会は職員の相互扶助を目的とした任意組織で、会員(公務員)が会費を出し合って運営します。慶弔見舞金の給付やレジャー施設の割引チケット提供などが主な役割です。
国家公務員の場合、割引サービスや保養施設といった生活支援系の福祉事業は、共済組合の連合体であるKKR(国家公務員共済組合連合会)の福祉事業が担っています。地方公務員の場合は各自治体の互助会・職員厚生会が同様の役割を担いますが、内容は自治体ごとに異なります。
割引・レジャー・旅行
レジャー施設や宿泊施設の割引が、法定外福利厚生の中でもっとも広く知られている部分です。テーマパーク・映画館・スポーツジム・ゴルフ場等を提携価格で利用できます。
国家公務員の場合、KKRが運営する「KKRホテルズ&リゾーツ」を組合員価格で利用できるほか、全国の提携ホテルも割引対象です。自治体によっては、共済組合がレジャー・グルメ・スポーツ・旅行などの提携サービスをパッケージで提供しているケースもあります。地方公務員の場合は提携先が自治体ごとに異なるため、具体的な内容は各互助会の案内を確認する必要があります。
出典:KKR-国家公務員共済組合連合会
慶弔・見舞い
人生の節目や突発的な出来事に対して、互助会から金銭的な給付が行われます。
| 給付の種類 |
対象となる場面の例 |
| 祝金 |
結婚・出産・子の入学・卒業 |
| 見舞金 |
入院・長期療養・災害 |
| 弔慰金 |
本人・家族の死亡 |
金額は互助会ごとに異なり、公表されていない場合もあります。
健康管理
人間ドックの費用補助は、多くの互助会で整備されている項目の一つです。通常数万円かかる検査を、自己負担数千円程度で受診できるケースもあります。このほかメンタルヘルス相談(電話・面談)、スポーツ施設の利用補助なども提供されています。
公務員の福利厚生にまつわる質問
一般的に手厚さで知られる公務員の福利厚生について、民間企業の担当者が参考になる質問を紹介します。
Q1. 公務員の福利厚生が「手厚い」と言われるのはなぜですか?
A. 理由は大きく3つあります。①法律で水準が義務づけられており安定性が高い、②結婚・忌引き・骨髄ドナー・ボランティアなど事象ごとに有給の特別休暇が網羅的に設けられている、③KKRの保養施設割引や互助会の祝金・見舞金など現物・サービスの給付が充実している、という点です。ただし法定外部分は自治体ごとに差があり、「すべての公務員が同水準」というわけではありません。
Q2. 公務員はレジャー施設(東京ディズニーランド等)が割引になりますか?
A. 勤務先の互助会・共済組合の提携内容によります。互助会や共済組合がディズニーのチケット割引を提供しているケースはありますが、一律に「使える」とは言えません。
Q3. 公務員はスポーツジムが割引で使えますか?
A. 多くの互助会・共済組合でスポーツ施設の利用補助が設けられています。「無料」ではなく「割引」が一般的で、提携施設の範囲は自治体ごとに異なります。
Q4. 公務員の食事補助はありますか?
A. 省庁・自治体によって職員食堂や食券が整備されているケースがあります。現金での支給は国家公務員では基本的に行われておらず、食堂のない部署や在宅勤務・外勤の職員には届きにくい面があります。
公務員の福利厚生を参考に制度を見直そう
公務員の福利厚生は、法律に基づいて提供されるため、勤務先による格差が少なく、高い安定性が特徴です。特に育児や介護と仕事の両立支援など、ライフサポートが手厚く充実しています。
また、公務員独自の共済組合や互助会によるサービスとして、旅行や宿泊の割引、ライフイベント(結婚・出産など)の支援なども提供されています。
民間企業が自社の制度を見直す際には、公務員の制度の公平性や手厚さが参考になります。福利厚生の見直しには、物価高に喜ばれる生活サポート系の制度が有効です。なかでも食事補助は、勤務形態を問わず公平に届けられる現物給付として、導入しやすい選択肢の一つです。
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食事補助を福利厚生に加える選択肢「チケットレストラン」
現物給付の代表例として食事補助が挙げられます。一定の条件を満たすことで企業負担分が非課税扱いとなり、現金の給与と比べて税負担を抑えながら従業員の手取りを増やす効果があります。
2026年度税制改正大綱では、食事補助の非課税上限が月3,500円(税別)から月7,500円(税別)へ引き上げられる予定です。上限が拡大されることで、企業が負担できる補助額の幅が広がり、従業員の実質的な手取りアップに活用しやすくなります。
「チケットレストラン」は全国25万店舗以上で利用できる食の福利厚生サービスです。食事補助の非課税枠を活用した仕組みで、食事負担の軽減と手取りアップを同時に実現できます。コンビニやチェーン飲食店など日常的に使えるため、在宅・外勤・夜勤など勤務形態を問わず公平に利用でき、導入後の従業員利用率98%、サービス継続率99%という高い実績があります。
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チケットレストランが選ばれる理由
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