役員も福利厚生の対象になる
役員も福利厚生の対象です。
福利厚生には、法律で義務付けられた法定福利厚生(健康保険・厚生年金・雇用保険など)と、企業が任意で設ける法定外福利厚生(住宅補助・食事補助・健康診断の追加オプションなど)の2種類があり、役員はいずれも対象となります。
法定外福利厚生は、原則として「全従業員に平等に提供されること」が要件です。役員もこの全従業員の一員に含まれるため、条件を満たした福利厚生であれば利用できます。
ただし、役員「だけ」を対象にした福利厚生は認められません。この点は後述する税務リスクとも深く関わるため、制度設計の段階から正確に理解しておく必要があります。
出典:国税庁|No.2508 給与所得となるもの
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福利厚生費として認められる3つの条件
役員・従業員を問わず、福利厚生費として計上するには以下の3つをすべて満たす必要があります。3条件のうち一つでも欠けると、税務上「役員報酬(給与)」とみなされ、企業側では損金不算入、役員個人には給与として支給したものとみなされて所得税が課税されます。
条件1. 現金支給ではないこと
金銭そのものを渡す場合は給与性が高く、福利厚生費とは認められません。商品券・ギフトカードなど、換金性の高いものも同様に扱われます。
条件2. 企業の役員・従業員のすべてを対象としていること
役員のみ、または特定の職位・部署のみを対象とした場合は福利厚生費と見なされません。すべての役員や従業員が制度として利用できる状態にあることが前提です。
条件3. 社会通念上、妥当な内容・金額の範囲であること
支給額や内容が常識的な範囲を超える場合、福利厚生費ではなく給与として課税される可能性があります。
関連記事:福利厚生費とは?該当条件や要件、具体例を税理士が丁寧に解説
役員への福利厚生が適用される制度
実務で判断に迷いやすい法定外福利厚生を、役員に適用できる条件とともにまとめました。
| 制度 |
適用 |
主な条件・注意点 |
| 健康診断(法定) |
OK |
全従業員・役員が対象であること |
| 人間ドック・追加オプション |
OK |
全従業員・役員が同じ条件・金額であること |
| ジム・スポーツ施設補助 |
OK |
全従業員・役員が利用できること |
| 食事補助※(現物支給) |
OK |
従業員・役員負担50%以上・企業負担月3,500円(税別)以下(2026年度中に月7,500円以下へと引き上げ予定) |
| 社宅 |
OK |
賃貸料相当額の100%を役員が負担すること |
| 養老保険 |
OK |
全員(全従業員・役員)を被保険者とする場合、保険料の1/2を福利厚生費として経費計上可能。著しく高額な場合は認められない |
| 慶弔見舞金 |
OK |
従業員と著しい差がないこと |
※食事補助の非課税上限額について
令和8年度税制改正大綱において、企業負担の非課税上限が月額3,500円(税抜)から7,500円(税抜)へ引き上げる案が盛り込まれています。2026年1月時点では現行の3,500円が適用されており、通達が出るまで正式な効力はありません。最新情報は国税庁や財務省の発表を確認してください。
なお、この改正を推進した「食事補助上限枠緩和を促進する会」の幹事社は食の福利厚生「チケットレストラン」を提供するエデンレッドジャパンです。
参照:
国税庁|No.2594 食事を支給したとき
国税庁|食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げについて
財務省|令和8年度税制改正の大綱
関連記事:【税理士監修】食事補助の非課税上限が7500円へ!給与にしないための非課税の条件を解説
関連記事:食事補助非課税枠上限アップについて
役員への福利厚生が適用されない制度
役員への福利厚生は「福利厚生費(非課税)」と「役員報酬(給与課税)」の判断が厳しくチェックされます。以下はNGとなりやすい制度例と判定理由の一覧です。
| ケース |
判定 |
理由 |
| 役員だけの社員旅行・会食 |
NG |
全従業員が対象ではないため |
| 役員のみ対象の人間ドック |
NG |
全従業員が対象ではないため |
| 役員のみへの高額な慶弔見舞金 |
NG(場合による) |
従業員と著しく差がある場合 |
| 役員だけに過度に高額な社宅 |
NG(豪華社宅) |
社会通念上妥当な範囲を超えるため |
NGと判定された場合、企業側では「損金不算入」となり法人税が増え、役員個人には所得税や社会保険料が課されます。
役員と従業員で条件が異なる福利厚生
多くの制度は役員・従業員で同じルールが適用されますが、一部は計上条件や運用基準が異なります。代表的なのが社宅と慶弔見舞金です。
社宅
社宅は役員・従業員いずれも利用できますが、給与として課税されないための家賃負担条件が異なります。
| |
給与課税されないための条件 |
| 従業員 |
賃貸料相当額の50%以上を負担 |
| 役員 |
賃貸料相当額の全額を負担 |
「賃貸料相当額」とは実際の家賃とは異なり、固定資産税の課税標準額や床面積をもとに国税庁が定める算式で求められる金額です。役員が賃貸料相当額より低い家賃しか負担していない場合、その差額が給与として課税されます。
なお、住宅手当の現金支給や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないため給与課税の対象となります。
床面積240㎡超などの「豪華社宅」に該当する場合は算式の適用外となり、通常支払うべき家賃に相当する額が賃貸料相当額となります。
出典:
国税庁|No.2600 役員に社宅などを貸したとき
国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
慶弔見舞金
役員への慶弔見舞金(結婚・出産・弔事など)の支給は、福利厚生費として認められます。ただし、他の従業員とのバランスに注意が必要です。職位や勤続年数に応じた金額差は一般的な範囲内で設定できますが、他の従業員と比較して著しく高額な場合は、給与として課税されるリスクがあります。
役員への福利厚生が認められる経営パターン
「役員しかいない」「一人社長」「家族経営」など、実務でよく迷うケースを一覧で整理しました。
| 状況 |
法定外福利厚生費の計上 |
理由 |
| 役員+従業員がいる |
OK |
全従業員対象の制度であれば可 |
| 役員兼従業員 |
OK |
全従業員対象の制度であれば可 |
| 役員と社長のみ(従業員なし) |
NG |
従業員がいないため法定外福利厚生の概念が生まれない |
| 個人事業主のみ(従業員なし) |
NG |
従業員がいないため法定外福利厚生の概念が生まれない |
| 家族経営(家族以外の従業員なし) |
NG |
税法上、事業主と同一会計上の扱いと判断されるため |
| 家族経営+家族以外の従業員あり |
OK |
家族以外の従業員がいれば制度の整備が可能 |
なお、役員と社長のみの企業では法定外福利厚生費の計上は認められませんが、法定福利厚生(健康保険や介護保険など)は対象となります。
食事補助を福利厚生として導入する際のポイント
食事補助は役員・従業員ともに利用できる制度のひとつで、社宅や健康診断と比べて導入のハードルが低い選択肢です。
非課税で運用するためには以下の2条件を両方満たす必要があります(国税庁 No.2594食事をしたとき)。
- 従業員(役員含む)が食事代の半額以上を負担すること
- 企業負担額が月額3,500円(税別)以下であること(令和8年度税制改正で2026年中に月7,500円(税抜)へ引き上げ予定。2026年3月時点では3,500円が適用)
注意点として、上限を超えた場合は超過分だけでなく企業負担額の全額が給与として課税対象になります。また、現金支給は原則として非課税対象外です。
「チケットレストラン」は、この非課税要件を満たした食事補助の運用ができる食の福利厚生サービスです。全国25万店舗以上のコンビニ・飲食チェーン等で利用でき、内勤・外勤・在宅勤務など勤務形態を問わず全従業員が公平に使えます。役員も従業員と同じ条件で利用できるため、制度の公平性を保ちながら食事補助を運用できます。
4000社以上への導入実績があり、従業員利用率98%、契約継続率99%。契約締結から最短2週間でサービスを利用できます。
出典:国税庁|No.2594 食事を支給したとき
関連記事:正しく知って正しく使おうチケットレストラン
役員にも適用できる法定外福利厚生を活用
役員も原則として福利厚生の対象ですが、「全従業員が対象であること」「社会通念上妥当な金額であること」「現金支給でないこと」の3条件を満たす必要があります。役員のみを優遇する制度は福利厚生として認められません。
社宅や慶弔見舞金など、役員と従業員で計上条件が異なる制度については、国税庁の基準を正確に把握したうえで設計・運用することが求められます。判断が難しいケースは、税理士・社会保険労務士へ相談するとよいでしょう。
食事補助は、役員・従業員ともに利用でき、非課税要件を満たせば導入コストを抑えながら運用できる法定外福利厚生の一つです。福利厚生をより良くしたい場合は、まずは「チケットレストラン」の資料を取り寄せてみてください。
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