監修者:舘野義和(税理士・1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和税理士事務所)
福利厚生費の課税・非課税の区分は、実務上判断が難しい項目の一つです。適切な処理を行わないと税務調査で指摘を受ける可能性もあるため、国税庁の基準に沿った正確な判断が求められます。
本記事では、福利厚生費が課税対象となるケースと非課税となるケースを区別し、実務で迷いやすいポイントを具体例とともに解説します。
福利厚生費の課税・非課税が一目でわかる一覧表
福利厚生費の課税・非課税は制度ごとに条件が異なり、判断を誤ると給与扱いとなるリスクがあります。以下は、代表的な福利厚生について「非課税となる条件」と「課税されるケース」を整理した一覧です。詳細は記事の中で順次解説していますが、まずは全体像を把握し、自社制度の確認にお役立てください。
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福利厚生費の種類
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非課税の主な条件
(原則) |
課税されるケース
(注意点) |
|---|---|---|
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社宅制度
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・賃貸料相当額の50%以上を徴収
・会社名義の契約(借り上げ社宅) |
・従業員負担の不足
・住宅手当(現金)、個人契約への補助 |
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通勤手当
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・公共交通:月15万円まで
・車・自転車:片道2km以上かつ限度額内 |
・非課税限度額を超えた部分
・経済的・合理的な経路でない場合 |
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健康診断
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・全従業員が対象
・会社が医療機関へ直接支払い |
・特定の者のみ対象
・従業員への現金渡し(立替精算含む) |
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食事補助
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・従業員が50%以上負担
・会社負担が月3,500円(税抜)以下※ |
・条件のいずれかを欠く場合(会社負担分全額課税)
・現金での支給 |
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資格取得費
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・業務に直接必要なもの
・会社が直接支払い・精算 |
・業務に無関係な資格(趣味など)
・「資格手当」としての定額現金支給 |
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レクリエーション
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・全従業員が対象
・社会通念上妥当な金額 |
・対象者が限定的(役員のみ等)
・不参加者への現金支給 |
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社員旅行
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・4泊5日以内、参加率50%以上
・会社負担額が妥当(10万円程度) |
・参加率が低い、海外滞在が長い
・不参加者への現金支給(全員課税のリスク) |
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慶弔見舞金
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・規程に基づき支給
・社会通念上相当な額 |
・特定の者のみ対象
・相場を大きく超える高額支給 |
福利厚生の基礎知識:給与との境界線と税務リスク
福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して、給与以外の形で提供するサービスを指します。
福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類に分けられます。
まず「法定福利厚生」は、法律で企業負担が定められているものです。健康保険や厚生年金保険が該当します。
一方「法定外福利厚生」は、企業が独自に導入するもので、住宅補助や食事補助などが該当します。
福利厚生費は原則非課税です。しかし法定外福利厚生は、内容や運用次第で国税庁から「給与」と判断される場合があります。給与として扱われた場合、以下のような影響が生じます。
-
従業員に所得税・住民税が課される
-
社会保険料の算定基礎に含まれる
-
企業側の源泉徴収義務が発生する
そのため、福利厚生費が非課税として認められる要件を正しく理解し、適切に運用することが不可欠です。
福利厚生費が所得税非課税となる4つの条件
福利厚生費が所得税の課税対象とならず、非課税として認められるためには、次の4つの条件を満たす必要があります。
条件1:福利厚生の目的として適切である
福利厚生費が非課税と認められるには、従業員の健康維持や生活支援、労働環境の改善など、福利厚生本来の目的に合致していることが求められます。
認められやすい例:
- 健康診断
- 食事補助
- 住宅補助
- スキルアップのための研修費
- 育児支援サービス
- 従業員同士のレクリエーション費
一方、娯楽目的のみのサービスや、業務との関連性が薄いものは、所得税の課税対象となる可能性があります。
条件2:すべての従業員に公平に提供されている
福利厚生費として非課税扱いとなるには、特定の従業員だけでなく、全従業員に平等に提供される制度であることが必須です。
例えば、役員や一部の従業員だけに限定された福利厚生は給与扱いとなり、所得税の課税対象です。実際に利用するかどうかではなく、利用する権利が全従業員に与えられているかが判断のポイントとなります。
条件3:社会通念上妥当な金額である
福利厚生費として認められるには、金額が常識の範囲内であることが条件となります。例えば、一人当たり10万円を超えるような豪華な社員旅行などは、福利厚生の趣旨から外れるため税務署から指摘を受ける可能性があります。
条件4:現金や換金性の高い支給ではない
福利厚生は物品やサービスでの提供が基本とされています。現金や換金可能な商品券を支給する場合は、給与と同じ性質を持つと判断されるため課税対象です。
ただし、慶弔見舞金のように、例外として現金でも福利厚生費として認められるケースもあります。
関連記事:【税理士監修】福利厚生費は全て非課税?導入時には課税・非課税の要件をチェック
福利厚生費と所得税|8つの具体例で課税・非課税を判断
ここでは、企業が実際に導入しやすい法定外福利厚生を8つ取り上げ、所得税が非課税となる条件や課税されるケースについて解説します。
1. 社宅制度の所得税
企業が保有・賃借する物件を従業員の住居として提供する社宅制度は、一定の条件を満たせば福利厚生費として所得税が非課税になります。
非課税となる主な条件
従業員から賃貸料相当額の50%以上を徴収していることが必要です。賃貸料相当額は、以下の計算式で算出されます。
(1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2)12円×(その建物の総床面積(㎡)÷3.3(㎡))
(3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
賃貸料相当額=(1)+(2)+(3)
出典:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
所得税が課税されるケース
従業員負担が「賃貸料相当額の50%未満」の場合、賃貸料相当額と従業員負担額の差額が所得税の課税対象となります。
なお、住宅手当を現金で支給する場合や、従業員が自ら契約した賃貸物件の家賃補助は社宅とは認められず、全額が所得税の課税対象です。
出典:国税庁|No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
関連記事:【税理士監修】住宅手当は課税・非課税どちら?それぞれのケースや課税額を解説
2. 通勤手当の所得税
通勤手当は原則として所得税が非課税ですが、非課税となる金額には上限があります。
非課税となる主な条件
以下の通り、非課税限度額内であれば課税されません。
- 電車・バス(※)などの公共交通機関:月15万円まで
- マイカー・自転車通勤:通勤距離に応じて月額上限が設定(下表参照)
※電車・バスの場合、最も経済的かつ合理的な経路で通勤した場合の費用(通勤定期券などの金額)が対象となります。
マイカー・自転車通勤者の通勤手当に関する非課税限度額:
| 片道通勤距離 | 1カ月あたりの非課税限度額 |
| 2km未満 | 非課税限度額なし(全額課税) |
| 2km以上10km未満 | 4,200円 |
| 10km以上15km未満 | 7,300円 |
| 15km以上25km未満 | 13,500円 |
| 25km以上35km未満 | 19,700円 |
| 35km以上45km未満 | 25,900円 |
| 45km以上55km未満 | 32,300円 |
| 55km以上 | 38,700円 |
出典:国税庁|No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
出典:国税庁|No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
所得税が課税されるケース
非課税限度額を超えた通勤手当は所得税の課税対象となります。
- 電車・バスなどの公共交通機関:月15万円超の部分
- マイカー・自転車通勤:上記表の限度額を超えた部分
関連記事:【税理士監修】通勤手当の課税・非課税はどう決まる?旅費交通費との違いもチェック
3. 健康診断・人間ドックの所得税
企業には従業員の健康を管理する義務があります。健康診断や人間ドックの費用を企業が負担する場合、原則として所得税は非課税です。
非課税となる主な条件
以下を満たすことで、非課税扱いが可能です。
- 業務上必要な範囲内の健康診断であること
- 全従業員が公平に受診できる制度であること
- 企業が検診機関に法人名義で直接費用を支払うこと
※正規雇用・契約社員などの雇用形態、性別、役職にかかわらず、条件を満たす全従業員に機会が与えられている必要があります。人間ドックの場合、一定年齢以上の希望者全員を対象とし、受診した全員の費用を負担すれば非課税扱いとなります。
所得税が課税されるケース
以下の場合は所得税の課税対象となります。
- 役員や特定の従業員のみを対象とする場合(公平さを欠くため)
- 企業が医療機関に直接支払わず、従業員へ現金で費用を渡した場合(給与扱いとなるため)
- 一般的な水準を大きく超える高額な検診費用(福利厚生として認められないため)
関連記事:【社労士監修】健康診断を福利厚生費として計上するには?条件と実務ポイントを解説
4. 食事補助の所得税
食事補助については、非課税扱いとなる条件に加えて、例外規定があります。
非課税となる主な条件
企業が従業員に支給する食事の費用は、以下の2つの条件を両方満たすことで非課税扱いとなります。
- 従業員が食事代の半額以上を負担していること
- 企業の負担額が月額3,500円(消費税および地方税を除く)以下であること※
例えば、1か月あたりの食事代6,000円のうち、従業員が3,000円・企業が3,000円負担した場合、両方の条件を満たすため非課税です。
※「令和8年度税制改正の大綱」にて、上限を3,500円から7,500円へ引き上げる政府の方針が示されました。上限金額は2026年中に変更される予定です。
参考:財務省|令和8年度税制改正の大綱
関連記事:【2026年版】食事補助とは?福利厚生に導入するメリットと支給の流れ
例外規定
ただし、例外があります。以下のケースは、上記の条件を満たさなくても非課税となります。
- 深夜勤務者に対する1食300円(税抜)※以下の現金補助
- 残業や宿直勤務に伴って提供される食事(従業員負担がなくても非課税)
※2026年中に650円へ引き上げ予定
所得税が課税されるケース
以下の場合は所得税の課税対象となります。
- 2つの条件のいずれか一方でも満たさない場合(企業負担分が給与扱い)
- 現金による食事手当の支給(原則として課税対象)
例えば、月間の食事代5,000円のうち従業員が2,000円を負担する場合、従業員の負担額が半額(2,500円)未満のため、企業負担の3,000円に所得税が課されます。
関連記事:【税理士監修】食事補助を非課税にする条件は?給与にしないための非課税限度額
チケット型サービスも非課税枠の対象
食事用途に限定されたICカード型サービス(例:「チケットレストラン」)は、現物支給として認められます。上記の非課税条件を満たせば所得税は課されません。社員食堂の設置が難しい企業や、在宅勤務・外回り中心の働き方にも対応できます。
関連記事:【税理士監修】チケットレストランで食事補助を非課税に!控除方法とメリット完全ガイド
5. 技術・資格取得費の所得税
職務に必要な技術や知識の取得にかかる費用は、一定の条件を満たすことで所得税が非課税となります。
非課税となる主な条件
以下の条件を満たすことで、非課税として扱えます。
- 業務に必要な資格や免許の取得を目的としている
- 研修費、講習会費、教材費など、職務に直接必要な知識や技術の習得に関する費用である
- 費用が社会通念上適正である
出典:国税庁|No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき
所得税が課税されるケース
以下の場合は、所得税の課税対象となります。
- 業務に直接関連しない趣味や私的な目的の資格取得
- 現在の職務遂行に直接必要でない資格
税理士、公認会計士などの国家資格は、現在の職務で必須の場合は非課税となる可能性がありますが、職務との関連性が明確でない場合は課税対象となります。税務調査で判断が分かれるケースもあるため、事前に税理士へ相談するとよいでしょう。
6. 社内イベント・レクリエーション費用の所得税
社内サークルの活動費や忘年会、新年会などの社内イベントにかかる費用については、社会通念上一般的と認められる範囲で、福利厚生費として所得税が非課税になります。
非課税となる主な条件
非課税となる条件は以下の通りです。
- 全従業員を対象として開催される
- 社会通念上一般的な会食、旅行、演芸会、運動会等の行事である
- 飲食の提供は金銭ではなく現物である
- 社会通念上妥当な金額である
ただし、イベントに参加しなかった従業員へ参加の代わりに金銭を支給する場合や、役員のみを対象とした企画である場合は、課税対象となります。
所得税が課税されるケース
以下の場合は所得税の課税対象となります。
- 役員のみなど参加者を限定した企画
- イベントに参加しなかった従業員へ現金を支給する場合
- 一人あたりの費用が社会通念上高額な場合(交際費とみなされる)
一人あたり数万円を超える飲食費など、明らかに高額な場合は交際費扱いとなり課税対象です。
7. レクリエーション旅行・研修旅行の所得税
社員旅行や研修旅行の費用は、条件を満たすことで福利厚生費として所得税が非課税となります。
非課税となる主な条件
以下の条件をすべて満たすと、所得税が非課税となります。
- 旅行期間が4泊5日以内(海外旅行の場合は現地滞在が4泊5日以内)
- 参加者が全従業員の50%以上
- 社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められる
- 現物支給であること
出典:国税庁|No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行
所得税が課税されるケース
以下の場合は所得税の課税対象となります。
- 参加者が全従業員の50%未満(特定の部署のみ、役員のみの旅行)
- 旅行の不参加者に代わりに金銭を支給する場合
- 接待目的の旅行(取引先との同行など)
- 旅行と業務の関連性が薄い場合
上記に一つでも該当する場合は、従業員個人への給与または交際費とみなされ、所得税の課税対象となります。
8. 慶弔見舞金の所得税
結婚祝いや出産祝い、香典、見舞金などの慶弔見舞金は、福利厚生として支給する場合、原則として所得税は課税されません。
非課税となる条件
以下を満たすと、所得税が非課税となります。
- 全従業員を対象にしていること
- 金額が社会通念上相当と認められる範囲内であること
災害見舞金については、被災状況に応じた合理的な基準を設けて、被災従業員へ公平に支給することが必要です。退職者や内定者へ、在職中の従業員と同じ基準で支給する場合も非課税です。
出典:国税庁|13 源泉所得税の取扱い
出典:国税庁|5 従業員等に支給する災害見舞金品
所得税が課税されるケース
以下の場合は所得税の課税対象となります。
- 特定の従業員のみを対象とする支給(公平性を欠く場合)
- 金額が社会通念上著しく高額な場合(給与や交際費とみなされる)
一般的な慶弔見舞金の相場(結婚・出産祝い:1〜3万円程度など)を大きく超える金額は、課税対象となる可能性があります。
福利厚生費が節税につながる理由
福利厚生費を適切に活用すれば、企業と従業員の双方にとって節税効果が生まれます。
企業側のメリット
福利厚生費は法人の経費として扱えるため、法人税の計算対象となる所得を減らすことができます。
法人税は、収益(益金)から経費(損金)を引いた金額(課税所得)に対して課されます。
課税所得=収益(益金)-経費(損金)
福利厚生費を損金に算入することで課税所得が減少し、結果として法人税の負担を軽減できます。
また、給与は消費税の仕入税額控除の対象外ですが、福利厚生費は控除対象となるケースがあるため、消費税面でもメリットがあります。
関連記事:【税理士監修】チケットレストランの非課税メリット!非課税管理も簡単クリア
関連記事:【税理士監修】福利厚生による節税の仕組みとは?法人税を適切に抑える実務ポイント
従業員側のメリット
企業が非課税枠内で福利厚生費を提供すれば、その企業負担分は給与として扱われず、従業員の所得税も発生しません。給与で同額を受け取る場合より、実質的な手取りが増えることになります。
比較例:
- 給与として1,000円を支給した場合
→所得税・住民税・社会保険料が控除される - 非課税の福利厚生費として1,000円を支給した場合
→1,000円分をそのまま受け取れる
福利厚生費の活用により、税負担を軽減しながら手取り額を実質的に増やせます。
福利厚生費を適切に運用するための実務上の注意点
福利厚生費と所得税の関係は複雑で、企業や従業員が誤解しやすいポイントがあります。ここでは、実務で役立つ5つの注意点を解説します。
福利厚生費の課税・非課税を正しく理解する
「福利厚生費はすべて非課税」ではありません。現金や商品券の支給は原則として所得税の課税対象となります。ただし、食事専用チケットの支給など、一定の条件を満たす福利厚生は非課税となる場合があります。
社内規定を整備する
福利厚生費として適切に処理するには、制度の透明性と公平性が必要です。就業規則に福利厚生の支給内容や利用条件を具体的に定め、全従業員へ周知しましょう。
明文化された就業規則があることで、税務調査時に制度の適切な運用を証明できます。従業員間での不公平感を防ぐためにも重要な役割を果たし、経費計上の根拠も明確になります。
予算とのバランスを考える
福利厚生費には節税効果があるものの、出費が伴います。手元資金の不足を招かない範囲で収めることが大切です。継続的な運用により、福利厚生費は毎年発生する固定費となります。企業の業績悪化時にも対応できるよう、慎重な計画が求められます。
税理士などの専門家に相談する
福利厚生費が課税対象か非課税かの判断は、支給方法や金額、対象範囲など複数の要素によって変わります。判断を誤ると、税務調査の際に「給与」とみなされ、従業員への課税や追徴課税が発生することになりかねません。
リスクを避けるには、制度導入時に税理士へ相談し、税法要件を満たしているか確認を受けることが有効です。税制改正もあるため、定期的に専門家の助言を得ながら運用すれば、適切な福利厚生制度を維持できます。
制度改正に留意する
福利厚生に関する税制は改正されることがあり、最新動向のチェックが欠かせません。ここでは、現在見直しが期待されている「食事補助の非課税限度額」について紹介します。
【食事補助の非課税限度額見直しの動き】
現行の食事補助の非課税枠(月額3,500円)は、40年以上前に定められた基準が今なお適用されており、物価上昇に対応できていないとの指摘があります。
経済産業省の「令和8年度税制改正要望」には、「食事支給に係る所得税非課税限度額の見直し」が明記されました。今後、食事補助の非課税限度額が変更される可能性があります。税制改正の動向を定期的に確認し、自社の福利厚生制度へ反映させることが重要です。
※「令和8年度税制改正の大綱」にて、上限を3,500円から7,500円へ引き上げる政府の方針が示されました。上限金額は2026年中に変更される予定です。
参考:エデンレッドジャパン|「食事補助」非課税上限の引き上げに向け、 政府へ要望書を提出
福利厚生の課税・非課税にまつわるよくある質問
ここでは、福利厚生の課税・非課税について多く寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
Q. 福利厚生費はすべて非課税になりますか?
A. すべて非課税ではなく、一定の条件を満たした場合のみ非課税となります。
福利厚生費のうち、課税・非課税の判断が問題となるのは主に法定外福利厚生です。これらは運用方法によって国税庁から「給与」とみなされ、課税対象となるケースもあるため注意が必要です。一般的には、福利厚生として認められるために「目的の妥当性」「全従業員への公平性」「金額の妥当性」「現物支給であること」といった条件を満たす必要があります。これらの条件を満たさない場合、福利厚生費として処理していても給与扱いとなり、所得税が課されます。
Q. 現金で支給する福利厚生は課税されますか?
A. 現金で支給する福利厚生は、原則として給与扱いとなり課税対象になります。
福利厚生は、現物支給が原則で、物品やサービスとして提供されることを前提としています。そのため、現金支給は給与と同様の性質を持つと判断されます。例えば、食事手当や住宅手当を現金で支給した場合は、福利厚生費ではなく給与として扱われ、所得税や社会保険料の対象となります。また、社内イベントに参加しなかった従業員に現金を支給するケースも課税対象です。ただし、慶弔見舞金など、一部例外的に現金でも非課税と認められるものもあるため、制度ごとの判断が重要です。
Q. 福利厚生費が「給与扱い」になるのはどんな場合ですか?
A. 福利厚生としての要件を満たさない場合は、給与として課税されます。
福利厚生費が給与扱いになるかどうかは、制度の内容や運用方法によって判断されます。たとえば、特定の従業員だけを対象とする制度や、社会通念上高額すぎる支給は、福利厚生とは認められず課税対象となります。また、現金や商品券など換金性の高い支給も給与とみなされやすいポイントです。福利厚生として非課税にするには、「目的の妥当性」「公平性」「金額の適正」「現物支給」といった要件を満たしているかを確認する必要があります。
Q. 福利厚生費と社会保険料の扱いは同じですか?
A. 所得税と社会保険料では扱いが異なる場合があります。
福利厚生費は、所得税では非課税とされる場合でも、社会保険料の算定対象に含まれるケースがあります。たとえば、現金支給の手当は給与と同様に扱われるため、社会保険料の対象となります。一方で、現物支給による福利厚生は、条件を満たせば所得税・社会保険料ともに対象外となることがあります。このように、税務と社会保険では判断基準が異なるため、両方の観点から制度設計を行うことが重要です。
福利厚生費と所得税の正しい理解が企業を守る
福利厚生費は、適切に運用すれば企業と従業員の双方に節税効果をもたらします。しかし判断基準は複雑で、わずかな認識の違いが課税・非課税を分けることもあります。
福利厚生費と所得税の関係を正しく理解し、適切な制度設計と運用を行うことで、税務リスクを回避しながら従業員満足度を高めましょう。
なお、食事補助の非課税限度額は、令和8年中に現行の3,500円から7,500円への引き上げが予定されています。今後の税制改正により、より充実した食事補助を非課税で提供できる可能性があります。
食事補助を導入するなら「チケットレストラン」がおすすめです。一定の利用条件を満たすことで現行の非課税枠を活用でき、将来的な限度額引き上げにも対応可能です。
関連記事:食事補助非課税枠上限アップについて
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税理士 / 1級ファイナンシャルプランニング技能士 舘野義和
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