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【社労士監修】育児介護休業法が改正。2025年4月から施行される制度を確認

【社労士監修】育児介護休業法が改正。2025年4月から施行される制度を確認

2025.02.28

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

2024年に育児介護休業法が改正され、2025年4月1日から段階的に施行されます。今回の改正で、制度はどのように変わるのでしょうか?育児介護休業法の目的や、定められている制度・措置について確認した上で、改正の理由や内容を見ていきましょう。

育児介護休業法の目的と定められている制度

育児介護休業法はどのような目的で制定されたのでしょうか。同法律で定められている制度や措置とともに紹介します。

関連記事:【社労士監修】育児介護休業法とは?制度の概要を分かりやすく解説

育児介護休業法の目的は育児や介護を担う人のサポート

育児介護休業法が定められたのは、仕事をしながら育児をしている人や、仕事をしながら介護を担うビジネスケアラーをサポートすることで、より多くの人が希望に合わせて働ける環境をつくるためです。

日本の生産年齢人口は少子高齢化の影響で減少しており、今後も減り続ける予測となっています。帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査(2024年)」によると、人材不足が原因で起こる人手不足倒産の件数は、2024年に342件で過去最多となりました。

このような中で人材不足に対策するには、仕事をしながら育児や介護を担っている人が、無理なく両立できる環境が必要です。

関連:帝国データバンク|人手不足倒産の動向調査(2024年)

関連記事:人手不足倒産が急増⁉業種ごとの傾向や中小企業の割合をチェック

育児介護休業法で定められている制度や措置

育児介護休業法では、仕事と育児や介護を両立するために、以下の制度や措置を定めています。2025年2月時点の内容は以下の通りです。

制度・措置

内容

育児休業制度

・原則として1歳未満の子どもを養育する労働者が休業できる制度
・子どもが1歳になる日に保育所への入所が決まらないといった理由がある場合には休業を1歳6カ月に、それでも入所が決まらないといった理由がある場合には休業を2歳に達する日まで延長可能
・両親ともに育児休業を取得する場合には、子どもが1歳2カ月に達する日までの1年間休業できる「パパ・ママ育休プラス」という制度もある

産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)

・産後休業をしていない労働者が産後休業とは別に、子どもが生まれてから8週間の間に4週間まで取得可能

介護休業制度

・家族が要介護状態になったときに、対象家族1人につき、合わせて93日まで休業できる制度
・最大3回まで分割可能

子の看護休暇制度

・子どもが6歳の誕生日を迎える年度の3月31日までの間、病気やけがの看護・予防接種・健康診断を理由に休暇を取得できる制度
・子どもが1人であれば1年度に5日間まで、2人以上であれば10日間まで取得可能

介護休暇制度

・要介護状態の家族を介護するために利用できる休暇制度
・対象となる家族が1人であれば1年度に5日間、2人以上であれば10日間まで取得可能

育児・介護のための時間外労働の制限

・小学校就学前の子どもを養育しているか、要介護状態の対象家族を介護している労働者が、養育もしくは介護のために請求した場合、1カ月に24時間・1年に150時間を超える時間外労働をさせてはいけない
※事業の正常な運営を妨げない範囲で

育児・介護のための所定外労働の制限

・3歳に満たない子どもを養育しているか、要介護状態の対象家族を介護する労働者が、養育もしくは介護のために請求した場合、所定労働時間を超えて労働させてはいけない
・1回の請求につき1カ月以上1年以内の期間を、回数の制限なく請求可能
※事業の正常な運営を妨げない範囲で

育児・介護のための深夜業の制限

・小学校就学前の子どもを養育しているか、要介護状態の対象家族を介護している労働者が、養育もしくは介護のために請求した場合、22~翌5時までの間に労働させてはいけない
・1回の請求につき1カ月以上1年以内の期間を、回数の制限なく請求可能
※事業の正常な運営を妨げない範囲で

育児のための所定労働時間短縮の措置

・3歳に満たない子どもを養育する労働者について、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなければいけない

介護のための所定労働時間短縮の措置

・要介護状態の対象家族を介護している労働者について、所定労働時間短縮などの措置を講じなければならない
・対象家族1人につき、利用開始日から連続する3年以上の期間内に2回以上

事業主が講ずべき措置

・本人か配偶者の妊娠・出産などを労働者が申し出たときには、育児休業制度などを個別に周知して取得意向を確認するために、面談などの措置を講じなければいけない
・育児休業・産後パパ育休の申出が円滑に行われるための措置を講じなければいけない
・小学校就学前の子どもを養育している労働者に、育児休業に関する制度・所定外労働の制限に関する制度・所定労働時間の短縮措置やフレックスタイム制などの措置に準じて必要な措置を講ずる努力義務。加えて配偶者出産休暇などの育児に関する目的で利用できる休暇制度を講ずる努力義務
・要介護状態の対象家族を介護している労働者について、介護休業制度もしくは所定労働時間の短縮などの措置に準じて、その介護を必要とする期間・回数などに配慮した必要な措置を講ずる努力義務
・就業場所の変更を伴う配置の変更により、子どもの養育や家族の介護と仕事の両立が難しくなる労働者がいるときには、養育や介護の状況に配慮する義務
・労働者数1,000人超の事業所では、育児休業取得状況を公表しなければいけない。年1回、男性の育児休業等取得率も公表する

参考:厚生労働省|育児・介護休業法の概要

育児介護休業法が改正された理由

2024年に育児介護休業法が改正されました。まずは「女性の育休実態調査」と「共働き子育て夫婦の働き方・キャリアにおけるジェンダーギャップ調査」で育休後の環境変化や、男女間に起きている仕事の調整格差について確認した上で、今回の法改正の理由について見ていきましょう。

制度があってもネガティブな変化

withworkを運営しているXTalent株式会社の実施した「女性の育休実態調査」によると、育休取得経験のある女性304人の回答者のうち、70.6%が育休取得後の仕事でネガティブな変化があったそうです。

例えば「少なくなった勤務時間の割に求められる成果が大きい」「納得のいく説明がないままポジションが変わった」「子育てを理由に何かを言われたくなかったため倒れそうになるまで働いた」などの声が見られました。

その一方で、71.1%が育休の期間は「適切だった」と回答しています。制度として適切に育休を取得できるようになっていても、実際に取得するとネガティブな変化に直面するケースは少なくないようです。

参考:withworkMagazine|女性の育休実態調査(取得期間、復職後のサポート、働き方、仕事とプライベートの変化)

共働きで発生する働き方のジェンダーギャップ

育休取得後に起こるネガティブな変化には、男女による差があることも分かっています。Indeedの「共働き子育て夫婦の働き方・キャリアにおけるジェンダーギャップ調査」によると、具体的には「育児分担の偏り」や「仕事の調整格差」があるそうです。

例えば第一子の妊娠・出産や育児をきっかけに、仕事や働き方を変えた女性は62.3%ですが、男性は34.5%です。さらに第一子の妊娠・出産や育児をきっかけに仕事を辞めた人の割合は、女性13.7%・男性3.4%で4倍以上の差があります。

また仕事や働き方を変えた人のうち、不満を感じている人は女性34.7%・男性14.7%です。不満の理由は「やりたい時間・量で働けていないため」「目指す収入が得られなくなったため」が男女ともに1位・2位となっています。

一方、女性44.0%・男性12.2%で、不満の理由に31.8%の差があったのは「パートナーではなく、自分だけが変更を強いられていると感じるため」です。ジェンダーギャップへの不満が表れている回答といえます。

育児を目的とした仕事の調整頻度については、男女ともに大きな違いはありません。ただし「子どもの急な体調不良など不慮の対応」「子どもの関連行事への参加」といった突発的でイレギュラーな調整は女性の割合が10ポイント以上高くなっています。

加えて欠勤・有給休暇・遅刻・早退・中抜けなど、仕事を中断したり休んだりする対応は、女性の割合が20ポイント以上高い結果でした。

参考:Indeed|「共働き子育て夫婦の働き方・キャリアにおけるジェンダーギャップ調査」を実施

改正の理由はより働きやすい環境づくり

現時点で、女性は70.6%が育休取得後に仕事においてネガティブな変化があったと回答している調査がありますし、育児をきっかけにした仕事の調整にはジェンダーギャップがあることを示した調査もあります。

これらの調査結果から、育児介護休業法で制度が定められていても、働きにくさを感じている人は存在しているといえるでしょう。

このような働きにくさを取り除き、男女ともに育児と仕事の両立が可能になることや、介護離職防止を目的として、改正された育児介護休業法が2025年4月から段階的に施行されます。

育児介護休業法の改正は2025年4月から施行

改正された育児介護休業法が2025年4月から段階的に施行されます。ここではこれまでの制度と改正後の制度の違いを解説します。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和7(2025)年4月1日から段階的に施行

子の看護休暇の見直し

子の看護休暇は2025年4月から以下のように変わります。看護休暇を取得できる期間が延びて、休暇の取得事由も増えました。

施行前

施行後

名称「子の看護休暇」

名称「子の看護等休暇」

対象となる子どもは「小学校就学の始期に達するまで」

対象となる子どもは「小学校3年生修了まで」

取得事由は「病気・けが」「予防接種・健康診断」

取得事由は「病気・けが」「予防接種・健康診断」「感染症等に伴う学級閉鎖等」「入園(入学)式・卒園式」

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」「継続雇用期間6カ月未満」

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

所定外労働の制限(残業免除)は、請求できる労働者の範囲が広がっています。2024年度までは請求の対象外だったけれど、2025年度から請求したいという従業員がいれば、対応しなければいけません。

施行前

施行後

請求可能な労働者の範囲は「3歳未満の子を養育する労働者」

請求可能な労働者の範囲は「小学校就学前の子を養育する労働者」

短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置追加

短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にはテレワークが加わります。テレワークで働ける体制を整えることで、より柔軟に働きやすい環境づくりにつながるでしょう。

施行前

施行後

代替措置は「育児休業に関する制度に準ずる措置」「始業時刻の変更など」

代替措置は「育児休業に関する制度に準ずる措置」「始業時刻の変更など」「テレワーク」

育児のためのテレワーク導入

努力義務化されたのは、育児のためのテレワーク導入です。3歳未満の子どもを養育する労働者が、テレワークを選択できるよう制度を整えることで、仕事と育児を両立しやすくします。

育児休業取得状況の公表義務適用拡大

育児休業取得状況の公表を義務付けられていたのは、これまで労働者数1,000人超企業でした。改正された育児介護休業法の施行で、より多くの企業に育児休業取得状況を公表する義務が生じます。

施行前

施行後

公表義務の対象は「労働者数1,000人超の企業」

公表義務の対象は「労働者数300人超の企業」

介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

より多くの労働者が必要となったときに介護休暇を取得できるよう、要件が以下のように緩和されます。継続雇用期間の要件が撤廃されるため、入社直後から必要に応じて介護休暇を取得可能です。

施行前

施行後

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」「継続雇用期間6カ月未満」

労使協定により除外できる労働者は「週の所定労働日数が2日以下」

介護離職防止のための雇用環境整備

介護離職の防止に向けて、介護休業や介護両立支援制度などの申出がスムーズに行われるよう、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければいけません。

  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施研修
  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談窓口設置
  • 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度などの事例の収集・提供
  • 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度などの利用促進に関する方針の周知

介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

改正された育児介護休業法が施行されると、介護離職防止に向けた個別の周知と意向確認が義務化されます。

個別に周知や制度利用の意向確認を行うのは、家族の介護が必要となった申出をした労働者です。「制度内容」「制度の利用方法」「介護休業給付金」について、面談・書面交付などで伝えます。

また介護離職防止のために、介護に直面する前の段階で利用できる制度について情報提供も行わなければいけません。

具体的には、労働者が40歳に達する日の属する年度か、40歳に達する日の翌日から1年間の間に、制度内容・制度の利用方法・介護休業給付金について、面談・書面交付などによる個別の情報提供を実施します。

介護のためのテレワーク導入

介護を担う労働者がテレワークを選択できるよう、措置を講じることが努力義務化します。必要に応じてテレワークができれば、仕事と介護を両立しやすくなり、介護離職の防止につながるでしょう。

2025年10月1日から施行される改正も

改正された育児介護休業法は、2025年10月1日から施行される内容もあります。内容を確認した上で、施行に向けて早めの準備に取り掛かりましょう。

柔軟な働き方を実現するための措置等

3歳から小学校就学前の子どもを養育する労働者が、柔軟な働き方で仕事と育児を両立しやすくなるよう、以下の5つから2つ以上の措置を実施しなければいけません。

  • 始業時刻等の変更
  • 月10日以上のテレワークなど
  • 保育施設の設置運営など
  • 就業しつつ子どもを養育することを容易にするための休暇の年10日以上付与
  • 短時間勤務制度

労働者は企業が選択した措置の中から、1つを選んで利用できる仕組みです。労働者が必要に応じて制度を利用できるよう、労働者の子どもが1歳11カ月に達する日の翌々日から2歳11カ月に達する日の翌日までに、以下の3点を面談や書面交付などで個別に周知し意向確認することも義務化されました。

  • 事業主が選んだ対象措置
  • 対象措置の申出先
  • 所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度

仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

労働者本人かその配偶者が妊娠・出産を申し出たときか、労働者の子どもが1歳11カ月に達する日の翌々日から2歳11カ月に達する日の翌日までに、以下4点を面談や書面交付などで個別に意向聴取することが義務化されています。

  • 勤務時間帯
  • 勤務地
  • 両立支援制度などの利用期間
  • 仕事と育児の両立のための就業条件

労働者の子どもが3歳になる前に、仕事と育児の両立について意向をヒアリングすることで、両立の難しさによる離職を避けやすくなることが期待できます。

2025年4月から施行される改正された育児介護休業法に合わせて制度を整備しよう

育児介護休業法が改正され、2025年4月から段階的に施行されます。子の看護休暇や介護休暇の適用拡大などが盛り込まれた今回の改正により、育児や介護と仕事の両立がより実現しやすくなるでしょう。

育児や介護を理由とした離職を回避するには、働きやすい環境づくりが欠かせません。育児介護休業法に合わせて制度を整備するとともに、福利厚生の拡充にも取り組むとよいでしょう。

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