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【社労士監修】育児介護休業法とは?制度の概要を分かりやすく解説

【社労士監修】育児介護休業法とは?制度の概要を分かりやすく解説

2025.02.28

監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)

育児介護休業法とは、育児中の現役世代や仕事と介護を両立しているビジネスケアラーをサポートする目的で、2017年4月1日に施行された法律です。具体的にどのような制度や措置について定められているのでしょうか。2025年4月1日から施行される、育児介護休業法改正についても見ていきましょう。

育児介護休業法とは

2017年4月1日に施行された育児介護休業法は、正式名称を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。同法律の目的について見ていきましょう。

参考:e-GOV法令検索|育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

育児中の現役世代やビジネスケアラーを支援する法律

育児介護休業法の目的は、仕事と育児や介護を両立している人を支援することです。

妊娠・出産をしたいと思っても、仕事と育児を両立できなさそうと感じると、どちらか一方を諦めてしまうかもしれません。

また介護と仕事を両立しているビジネスケアラーは、両立が難しくなると離職を選ぶケースもあります。

育児や介護を担う人が、仕事と両立しやすくなるように、制度を整えたのが育児介護休業法です。

関連記事:女性が働きやすい職場づくりで飛躍!効果的な取り組みや制度、事例を解説

両立支援による人材不足対策

人材不足への対策も育児介護休業法の目的の1つです。育児や介護と仕事の両立が難しく、退職を選ぶ人が増えると、企業の人材不足はますます深刻になってしまいかねません。

仕事があったとしても、働く人がいなければ企業は事業を継続できなくなってしまいます。帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査(2024年)」によると、2024年の人手不足倒産件数は342件で過去最多となりました。

育児介護休業法で定められている制度により、育児や介護を担っている人が働きやすい環境づくりをすることは、人手不足倒産の回避にもつながります。

関連:帝国データバンク|人手不足倒産の動向調査(2024年)

関連記事:人手不足倒産が急増⁉業種ごとの傾向や中小企業の割合をチェック

育児介護休業法で定められている制度

育児介護休業法では、従業員が育児や介護と仕事を両立しやすくなるよう、複数の制度を定めています。ここではそれぞれの制度の概要を見ていきましょう。

また紹介している制度に加えて、育児介護休業法では「育児・介護のための所定外労働・時間外労働の制限」「育児・介護のための深夜業の制限」「育児・介護のための所定労働時間短縮の措置」「事業主が講ずべき措置」といった措置についても定めています。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法の概要

育児休業制度

育児休業制度とは、原則として1歳未満の子どもを養育する従業員が休業できる制度です。ただし子どもが1歳になる日までに保育所への入所が決まらない等の一定の事由に該当した場合は1歳6カ月に達する日まで、さらに1歳6カ月時点で同様の事由に該当した場合は2歳に達する日までの休業延長が認められています。

また両親ともに育児休業を取得する場合には、子どもが1歳2カ月まで最長1年間休業できる「パパ・ママ育休プラス」という制度もあります。

制度の対象となるのは、1日単位で雇用契約を結ぶ従業員以外の従業員です。

期限の定めのある雇用契約を結んでいる従業員が対象となるには「育児休業を申し出るタイミングで、子どもが1歳6カ月もしくは2歳に達するときまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが確定していない」という要件を満たしていなければいけません。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法のあらまし|育児休業制度

産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)

産後休業をしていない従業員が取得できるのが、産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)です。育児休業とは別に、子どもが生まれてから8週間の間に4週間まで取得できます。2回までであれば分割での取得も可能です。

対象となるのは、1日単位で雇用契約を結ぶ従業員以外の従業員です。

期間の定めのある雇用契約を結んでいる従業員の場合には「子どもの出生日か出産予定日のうち遅い方から起算して、8週間を経過する日の翌日から6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが確定していない」という要件を満たすと、制度の対象となります。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法のあらまし|産後パパ育休制度

関連記事:中小企業の7割が反対!?「男性の育児休業」は企業のデメリットか?

介護休業制度

家族が要介護状態になったとき、従業員は介護休業制度を利用できます。対象となる家族1人につき、合わせて93日まで休業可能です。1度に93日間休業することもできますし、3回まで分割して取得もできます。

介護休業制度を利用できるのは、1日単位で雇用契約を結ぶ従業員以外の従業員です。期間の定めのある雇用契約で働いている従業員も「介護休業開始予定日から起算して、93日経過する日から6カ月経過する日までに労働契約が満了し、更新されないことが確定していない」なら、利用できます。

また対象となる家族は、事実婚を含む配偶者・父母・子ども・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫と定められています。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法のあらまし|介護休業制度

子の看護休暇制度

子の看護休暇制度とは、子どもが6歳の誕生日を迎える年度の3月31日までの間、病気やけがの看護・予防接種・健康診断を理由に休暇を取得できる制度のことです。

子どもが1人であれば1年度に5日間まで、2人以上であれば10日間まで取得できます。休暇は1日単位か時間単位での取得が可能です。

1日単位で雇用契約を結ぶ従業員以外が対象となります。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法のあらまし|子の看護休暇制度

介護休暇制度

要介護状態の家族を介護するために利用できるのが介護休暇制度です。対象となる家族が1人であれば1年度に5日間、2人以上であれば10日間まで取得できます。1日単位での取得に加えて、時間単位での取得も可能です。

1日単位の雇用契約を結ぶ日々雇用以外の従業員が対象となります。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法のあらまし|介護休暇制度

育休取得後の労働環境・家庭環境の変化

育児介護休業法で定められている育休ではありますが、実際に取得した人はどのように感じているのでしょうか。調査を元に育休取得後の変化について紹介します。

約70%が挙げた育休取得後のネガティブな変化

withworkを運営しているXTalent株式会社は「女性の育休実態調査」を実施しました。同調査によると、育休取得経験のある女性304人の回答者のうち252人が「保育園の入園タイミング」に合わせて育休を取得しており、全体の71.1%が期間は「適切だった」と回答しています。

ただし育休取得後の仕事では、70.6%にネガティブな変化があったそうです。例えば「少なくなった勤務時間の割に求められる成果が大きい」「納得のいく説明がないままポジションが変わった」「子育てを理由に何かを言われたくなかったため倒れそうになるまで働いた」などの声が見られました。

制度として育休を取得できるようになっていても、実際に取得するとネガティブな変化に直面するケースは少なくないようです。

参考:withworkMagazine|女性の育休実態調査(取得期間、復職後のサポート、働き方、仕事とプライベートの変化)

育児による変化のジェンダーギャップ

育休取得後に起こるネガティブな変化は、夫婦に同じように起こっているわけではありません。Indeedの「共働き子育て夫婦の働き方・キャリアにおけるジェンダーギャップ調査」によると、男女間には「育児分担の偏り」や「仕事の調整格差」があると分かりました。

第一子の妊娠・出産や育児をきっかけに、仕事や働き方を変えた女性は62.3%ですが、男性は34.5%です。さらに第一子の妊娠・出産や育児をきっかけに仕事を辞めた人の割合は、女性13.7%・男性3.4%で4倍以上の差があります。

また仕事や働き方を変えた人のうち、不満を感じている人は女性34.7%・男性14.7%です。不満の理由は「やりたい時間・量で働けていないため」「目指す収入が得られなくなったため」が男女ともに1位・2位となっています。

女性44.0%・男性12.2%で男女間に31.8%の差があったのは「パートナーではなく、自分だけが変更を強いられていると感じるため」です。ジェンダーギャップへの不満が表れている回答といえます。

育児を目的とした仕事の調整頻度については、男女ともに大きな違いはありません。ただし「子どもの急な体調不良など不慮の対応」「子どもの関連行事への参加」といった突発的でイレギュラーな調整は女性の割合が10ポイント以上高くなっています。

欠勤・有給休暇・遅刻・早退・中抜けなど、仕事を中断したり休んだりする対応は、女性の割合が20ポイント以上高い結果でした。

参考:Indeed|「共働き子育て夫婦の働き方・キャリアにおけるジェンダーギャップ調査」を実施

育児介護休業法改正についてもチェック

現時点で、女性は70.6%が育休取得後に仕事においてネガティブな変化があったと回答している調査がありますし、育児をきっかけにした仕事の調整にはジェンダーギャップがあることを示した調査もあります。

これらの調査結果から、育児介護休業法で制度が定められていても、働きにくさを感じている人は存在しているといえるでしょう。

このような働きにくさを取り除き、男女ともに育児と仕事の両立が可能になることや、介護離職防止を目的として、改正された育児介護休業法が2025年4月から段階的に施行されます。

厚生労働省の「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」を元に改正されるポイントを見ていきましょう。

参考:厚生労働省|育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和7(2025)年4月1日から段階的に施行

関連記事:【社労士監修】育児介護休業法が改正。2025年4月から施行される制度を確認

2025年4月1日施行

改正された育児介護休業法の中で、2025年4月1日から施行される内容は以下の通りです。

改正される制度や措置

施行後の制度

子の看護休暇の見直し

・対象となる子どもの範囲を、小学校3年生修了までに拡大
・取得事由「感染症等に伴う学級閉鎖等」「入園(入学)式・卒園式」を追加
・労使協定により除外できる労働者から「継続雇用期間6カ月未満」を撤廃
・名称を「子の看護等休暇」に変更

所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

・請求可能となる労働者の範囲を、小学校就学前の子どもを養育する労働者へ拡大

短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置追加

・短時間勤務制度の代替措置に「テレワーク」を追加

育児のためのテレワーク導入

・3歳未満の子どもを養育する労働者がテレワークを導入できるようにするための措置を講ずることが努力義務化

育児休業取得状況の公表義務適用拡大

・公表義務の対象となる企業が、従業員数300人超の企業に拡大

介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

・労使協定により除外できる労働者から「継続雇用期間6カ月未満」を撤廃

介護離職防止のための雇用環境整備

・介護休業や介護両立支援制度などの申出がスムーズに行われるよう、制度に関する「研修」「相談窓口設置」「事例の収集・提供」「利用促進に関する方針の周知」のいずれかの義務化

介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

・家族の介護が必要となった申出をした労働者へ、制度内容・制度の利用方法・介護休業給付金について、面談・書面交付などによる個別の周知や意向確認の義務化
・労働者が40歳に達する日の属する年度か、40歳に達する日の翌日から1年間の間に、制度内容・制度の利用方法・介護休業給付金について、面談・書面交付などによる個別の情報提供実施の義務化

介護のためのテレワーク導入

・家族を介護する労働者がテレワークを導入できるようにするための措置を講ずることが努力義務化

2025年10月1日施行

改正された育児介護休業法の施行は段階的に行われます。2025年10月1日から施行される内容をチェックしましょう。

改正される制度や措置

施行後の制度

柔軟な働き方を実現するための措置等

・3歳から小学校就学前の子どもを養育する労働者に対して「始業時刻等の変更」「月10日以上のテレワークなど」「保育施設の設置運営など」「就業しつつ子どもを養育することを容易にするための休暇の年10日以上付与」「短時間勤務制度」のうち2つ以上の措置講ずることの義務化
・労働者の子どもが1歳11カ月に達する日の翌々日から2歳11カ月に達する日の翌日までに「事業主が選んだ対象措置」「対象措置の申出先」「所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度」について、面談や書面交付などで個別に周知や意向確認することの義務化

仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮

・労働者本人かその配偶者が妊娠・出産を申し出たときか、労働者の子どもが1歳11カ月に達する日の翌々日から2歳11カ月に達する日の翌日までに「勤務時間帯」「勤務地」「両立支援制度などの利用期間」「仕事と育児の両立のための就業条件」を、面談や書面交付などで個別に意向聴取することの義務化

育児介護休業法を守った制度で働きやすい環境づくりを

育児介護休業法とは、育児や介護と仕事を両立している人が働きやすくなるよう、制度や措置を定めている法律のことです。妊娠・出産や育児による変化にはジェンダーギャップがあるという調査結果もあります。

男女ともに、育児や介護と仕事を両立しやすくなるよう、改正された育児介護休業法が2025年4月から段階的に施行されます。変化する法律に合わせて制度を整えることで、従業員の働きやすい環境づくりに取り組みましょう。

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