企業型確定拠出年金とは
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは、企業が掛金を毎月拠出し、従業員が商品を選んで資産運用を行う制度です。企業型確定拠出年金を導入している企業で働く従業員が加入できる、年金の3階建て部分にあたります。
運用した資金は、原則として60歳から受け取り可能です。老齢給付金として受け取る場合には、5年以上20年以下の有期年金・終身年金・規約で規定している場合には一時金として受給できます。
このとき受給できる金額は、従業員の運用によって決まります。商品の選び方によっては運用益で大幅に増やせるかもしれません。その反面、商品の価格が下がれば元本割れの恐れもある点に注意が必要です。
給付額には従業員が自ら責任を負うため、制度を導入するなら従業員向けの投資教育を実施するといでしょう。
関連記事:【社労士監修】企業型確定拠出年金とは?2024年12月からの変更を確認
確定給付型企業年金についてもチェック
確定給付型企業年金(DB)とは、企業型確定拠出年金と同様に年金の3階建て部分にあたる制度です。掛金の拠出から給付までの全てに企業が責任を負う部分は、企業型確定拠出年金と異なります。
拠出した掛金は、企業とは別の生命保険会社・信託会社・企業年金基金で運用されるため、万が一企業が倒産しても従業員の受給権が保護されるのも特徴です。
ただし企業が給付額にまで責任を負う性質上、企業の業績が大幅に悪化すると、当初予定していた給付額を実現できない可能性があります。
関連記事:【社労士監修】中小企業の企業型確定拠出年金導入ガイド|導入メリットと2024年改正点
企業型確定拠出年金の2024年12月からの変更点
企業型確定拠出年金は2024年12月から掛金の上限額が変わります。この変更の背景には、企業型確定拠出年金にのみ加入するケースと、企業型確定拠出年金に加えて確定給付型企業年金やその他の制度にも加入するケースとで、優遇の度合いに差があることが挙げられています。
具体的にどのようなケースに対応するために、現状の制度がどのように変わるのかを見ていきましょう。
確定給付型企業年金と併用するケースが対象
2024年12月から企業型確定拠出年金の掛金の上限額が引き上げられます。この引き上げの対象となるのは、企業型確定拠出年金と確定給付企業年金等を併用しているケースです。
現在の掛金上限額
企業型確定拠出年金の2024年7月時点の拠出金上限額は、企業型確定拠出年金のみを導入している企業であれば月5万5,000円です。
企業型確定拠出年金と確定給付型企業年金等を併用している企業では、確定給付型企業年金等を一律で月2万7,500円と考え、企業型確定拠出年金の拠出金上限額を2万7,500円としています。
この場合、確定給付型企業年金等の実際の拠出額が2万7,500円より高ければ高いほど、税制上の優遇をより多く受けられる状態です。
ただし実際には確定給付型企業年金等の掛金は月1万3,000円程度の企業が多く、企業型確定拠出年金を掛金上限額の月2万7,000円まで拠出しても、合計で月4万円と月5万5,000円に届きません。
このことから2024年12月からの変更後は、企業型確定拠出年金のみでも、確定給付型企業年金等を併用するケースでも、不公平にならないよう上限額が設定されます。
参考:厚生労働省|確定拠出年金の拠出限度額
2024年12月からの掛金上限額
2024年12月からは企業型確定拠出年金の掛金上限額が「5万5,000円から確定給付型企業年金等の掛金相当額を差し引いた金額」に変わります。
企業型確定拠出年金のみを導入している場合は、確定給付型企業年金等の掛金は0円のため、企業型確定拠出年金の掛金上限額はこれまでどおり月5万5,000円です。
一方、確定給付型企業年金等を併用するケースでは、確定給付型企業年金等の掛金が月2万7,500円を下回っているとき、企業型確定拠出年金の掛金は2万7,500円を超えます。
例えば確定給付型企業年金等の掛金が月1万3,000円なら、企業型確定拠出年金の掛金は月4万2,000円まで拠出可能です。
参考:厚生労働省|確定拠出年金の拠出限度額
変更に伴い企業実施すべき対応事項
企業型確定拠出年金と確定給付型企業年金等を併用するときの、企業型確定拠出年金の掛金上限額が確定給付型企業年金等の掛金に応じて月2万7,500円を超えるケースを認める変更により、企業には対応事項があります。
早いタイミングで確認して準備を進めていきましょう。
の有無を決める
2024年12月から新制度を適用するか、経過措置によりこれまでと同様の制度を継続するかで、必要な手続きが異なります。
新制度を適用する場合には、企業型年金規約の変更と企業型RKへの通知手続きが必要です。
また経過措置を適用するときに必要なのは規約変更のみで、届出は不要です。
確定給付型企業年金等の掛金相当額を登録する
今回の制度改正から、企業年金プラットフォームで企業型確定拠出年金・個人型確定拠出年金(iDeCo)・確定給付型企業年金等の加入者データを管理して、拠出限度額をチェックすることになります。
この仕組みに対応できるよう、企業型確定拠出年金と確定給付型企業年金等を併用している場合には、記録関連運営管理機関に確定給付型企業年金等の掛金相当額の登録が必要です。
従業員に制度改正について周知する
制度改正は従業員に影響します。制度の変更に伴い、自社ではどのように対応し、それによりどのような変更点があるのかを事前に知らせておきましょう。
関連記事:【社労士監修】福利厚生としての企業年金|DCがもたらす従業員満足度と人材確保
2024年12月からの変更はiDeCoにも影響
2024年12月からの制度改正によって、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金上限額も変わります。iDeCoの制度について確認した上で、どのように掛金上限額が変わるのかをチェックしましょう。
iDeCoとは
iDeCoとは自分で拠出した掛金を自分で運用する制度のことです。自営業者を含む第1号被保険者や、専業主婦(主夫)の第3号被保険者、企業で働く第2号被保険者が加入できます。
掛金は拠出限度額を上限に月5,000円から1,000円単位で設定できるため、予算に合わせた運用が可能です。
現在のiDeCoの掛金上限額
iDeCo公式サイトによると、2024年7月時点のiDeCoの掛金上限額は以下の通りです。
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加入資格
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拠出限度額
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自営業者などの第1号被保険者
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月2万3,000円
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勤務先に企業年金がない会社員
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月2万3,000円
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企業型確定拠出年金のみに加入している会社員
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月2万円を上限に5万5,000円から企業掛金を差し引いた金額
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企業型確定拠出年金と確定給付型企業年金に加入している会社員
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月1万2,000円を上限に2万7,500円から企業掛金を差し引いた金額
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確定給付型企業年金のみに加入している会社員
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月額1.2万円
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公務員
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月額1.2万円
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専業主婦(主夫)の第3号被保険者
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月2万3,000円
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参考:iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等
関連記事:【iDeCo】2024年12月の制度改正で何が変わる?必要な手続きは?
2024年12月からのiDeCoの掛金上限額
iDeCoの掛金上限額が以下のように変わるのは、企業型確定拠出年金や確定給付企業年金などの企業年金に加入している人です。
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第2号被保険者
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2024年7月時点
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2024年12月から
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企業型確定拠出年金のみに加入している会社員
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月2万円を上限に5万5,000円から企業掛金を差し引いた金額
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月2万円を上限に「月5万5,000円-(企業型確定拠出年金の掛金額+確定給付型企業年金等の掛金)」で算出される金額
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企業型確定拠出年金と確定給付型企業年金に加入している会社員
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月1万2,000円を上限に2万7,500円から企業掛金を差し引いた金額
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確定給付型企業年金のみに加入している会社員
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月額最大2.0万円
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参考:厚生労働省|2020年の制度改正|◇企業型DC、iDeCoの拠出限度額にDB等の他制度ごとの掛金相当額を反映(2024年12月1日施行)
iDeCoのその他の注意点、変更点
制度改正によってiDeCoは掛金上限額以外にも注意点や変更点があります。それぞれの内容を見ていきましょう。
iDeCoの掛金を拠出できなくなったときの対応
2024年12月の制度改正で、確定給付型企業年金等の掛金相当額によっては、iDeCoの掛金上限額が小さくなることや、最低額の5,000円を下回ることがあります。
このような状況で掛金を拠出できなくなった場合には、以下の要件を満たすと脱退一時金の受給が可能です。
- 60歳未満である
- 企業型確定拠出年金の加入でない
- iDeCoに加入できない
- 日本国籍を持つ20歳以上60歳未満の海外居住者でない
- 障害給付金の受給権者でない
- 企業型確定拠出年金もしくはiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であるか、個人別管理資産の金額が25万円以下である
- 最後に企業型確定拠出年金もしくはiDeCoの資格を喪失してから2年以内である
※企業型DC加入者は脱退一時金対象外(iDeCo資産を企業型DCへ移換可能)
関連記事:【社労士監修】2025年の年金改革法案でiDeCoはどう変わる?ポイントをわかりやすく解説
加入時等の事業主証明書の廃止
企業年金プラットフォームで企業型確定拠出年金・個人型確定拠出年金(iDeCo)・確定給付型企業年金等の加入者データを管理して、拠出限度額をチェックする仕組みの運営が始まることで、国民年金基金連合会は企業年金の加入状況を確認できるようになります。
現在企業が行っている、従業員がiDeCoへ加入時と転職時に発行している企業年金の加入状況についての個人払込の事業主証明書は廃止です。また、事業主払込(給与天引き)の場合は『事業主払込に関する証明書』が必要です。
企業型確定拠出年金の充実によるメリット
制度改正に合わせて企業型確定拠出年金を充実させると、人材確保につながることが期待できます。
少子高齢化が進む中、多くの企業で人手不足が進行中です。厚生労働省の「労働経済動向調査(令和6年2月)の概況」で業種ごとの人手不足感を見ると、以下のように約半数の業種で人手不足を感じている企業が50%を超えていると分かります。
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順位
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業界
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正社員等労働者過不足判断D.I.
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1位
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学術研究、専門・技術サービ ス業
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66%
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2位
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建設業
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65%
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3位
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情報通信業
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62%
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4位
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医療・福祉
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59%
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4位
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運輸業・郵便業
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59%
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4位
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サービス業(他に分類されないもの)
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59%
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7位
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宿泊業・飲食サービス業
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56%
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8位
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製造業
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47%
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9位
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不動産業・物品賃貸業
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46%
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10位
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生活関連サービス業・娯楽業
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46%
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11位
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金融業・保険業
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37%
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12位
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卸売業・小売業
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30%
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調査産業計
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51%
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人手不足感が全体に広がっている中、自社に合う人材の採用や今いる人材の定着により人材確保を行うなら、従業員の待遇改善が欠かせません。企業型確定拠出年金の掛金上限額引き上げを活用し、さらに従業員にプラスになる制度にするとよいでしょう。
入社を迷っている内定者にとっては入社の決め手になるかもしれませんし、転職を検討している従業員にとっては自社に残る選択につながるかもしれません。
参考:厚生労働省|労働経済動向調査(令和6年2月)の概況
関連記事:業界別の人手不足ランキングをチェック!人手不足への対策方法も確認
人材確保には福利厚生の充実度アップもポイント
待遇改善を行い人材確保につなげるには、企業型確定拠出年金の他にも福利厚生の充実度を高めるのが有効です。
就活生を対象としたマイナビの調査「2025年卒大学生活動実態調査 (4月)」によると、福利厚生の手厚さにより大手企業の選考に参加した人は51.5%と半数を超えています。就職先を選ぶとき、福利厚生の充実度は重要な判断材料といえるでしょう。
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関連記事:【2025年最新】チケットレストランとは?採用・定着・健康経営を支える「食の福利厚生」
企業型確定拠出年金の掛金上限額の引き上げに対応しよう
2024年12月の制度改正によって、企業型確定拠出年金と確定給付型企業年金等を併用しているときの、企業型確定拠出年金の掛金上限額が引き上げられます。
企業は12月から新制度を適用するか、これまでと同様の制度で運用する経過措置を取るか選択し、対応しなければいけません。
企業型確定拠出年金の掛金上限額の引き上げを従業員の待遇改善につなげれば、人材確保につながることも期待できます。併せてその他の福利厚生も充実させることで、スムーズな採用や人材定着を目指せるでしょう。
エデンレッドジャパンの提供する食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」も、従業員の待遇改善に役立ちます。
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