従業員の仕事のパフォーマンス低下は、個人の問題に留まらず、企業の経営にも深刻な影響を及ぼす重要な課題です。本記事では、パフォーマンス低下が企業にもたらすリスクや、主な要因を徹底分析するとともに、パフォーマンス向上をかなえる具体的な対策を解説しました。企業の損失を防ぎ、従業員にとって働きやすい職場環境を整えるヒントが満載です。
従業員の仕事のパフォーマンス低下が招くリスクとは
「株式会社Smart相談室」の調査では、一般社員の52.6%が、勤務中に心身の不調による「パフォーマンス低下」を感じた経験があると回答しています。これは、半数以上の従業員が何らかの理由で本来の能力を発揮できていない状況にあることを意味します。
では、従業員の仕事のパフォーマンスが低下すると、企業はどのような影響を受けるのでしょうか。以下、主なリスクを紹介します。
参考:Smart相談室|一般社員編|心身の不調とパフォーマンスの相関に関する実態調査
利益が減少する
従業員のパフォーマンス低下は、企業の生産性の低下、ひいては業績に直接影響する深刻な課題です。
一例として注目したいのが、出勤しているにもかかわらず、本来の能力を発揮できていない「プレゼンティーイズム(Presenteeism)」の影響です。プレゼンティーイズムとは「欠勤にはいたっておらず勤怠管理上は表に出てこないが、健康問題が理由で生産性が低下している状態」を指します。

出典:厚生労働省|データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン
厚生労働省の資料によると、調査対象企業・組織の健康関連の総コストのうち、プレゼンティーイズムによるものが77.9%と、8割近くを占めています。コストは利益と相殺されるため、企業にとって大きなリスクです。
健康問題に限らず、本来のパフォーマンスが発揮できない状態が続くと、仕事の質が低下します。納期の遅延やミスが増え、顧客満足度の低下につながり、最終的には企業の利益減少という形で表れます。
離職率が上昇する
従業員のパフォーマンス低下は、離職の原因にもなります。
パフォーマンスの低下が長期化すると、従業員は「この会社は自分に向いていない」「このままここにいてよいのだろうか」と感じ始めます。より良い環境を求めた結果、転職を検討するケースも少なくありません。
人材の流出は、採用コストの増加だけでなく、その従業員が持っていた知識やスキル・社内外のネットワークの喪失にもつながります。さらに、新たな人材の育成にかかる時間やコストも無視できません。
一般的に、優秀な人材ほど自分の能力を発揮できる環境を求める傾向にあります。従業員のパフォーマンスの低下は、人材流出防止の観点からも無視できない課題です。
関連記事:離職率の平均は?日本の現状と改善に向けた効果的な取り組みを紹介
社内の雰囲気が悪化する
社内の雰囲気の悪化も、従業員のパフォーマンス低下がもたらすリスクのひとつです。
1人の従業員のパフォーマンス低下を放置すると、知らずしらずのうちに周囲の従業員が影響を受けます。同様にパフォーマンスが低下し、活気がなく、生産性も上がらない職場へと環境が劣化してしまいます。
仮に、直接影響を受けることがなかったとしても、パフォーマンスが低下した従業員をフォローし、負担が増加する従業員も、遠からずパフォーマンスが低下することになるでしょう。
このように、一部の従業員のパフォーマンス低下は最終的に組織全体の雰囲気を悪くさせ、健全性と生産性を脅かす要因となるのです。
従業員のパフォーマンスを低下させる要因とは

出典:Smart相談室|一般社員編|心身の不調とパフォーマンスの相関に関する実態調査
Smart相談室の調査結果によると、従業員が自覚しているパフォーマンス低下の主な要因として「人間関係のトラブル」や「業務量の多さ」などが挙げられています。
ここでは、従業員のパフォーマンス向上を目指すヒントとして、パフォーマンスを低下させる主な原因を深掘りします。
職場の人間関係
職場における人間関係の問題は、パフォーマンス低下の大きな原因のひとつです。
上司や同僚との関係が悪化すると、職場でのコミュニケーションがうまくいかず、必要な情報が適切に共有されなくなります。これにより業務の効率が落ち、ミスやトラブルが発生しやすくなります。
特に若い世代では「職場の人間関係が悪いと、ほかの条件がどんなに良くても耐えられない」との価値観を持つ人が珍しくありません。
また、職種によっては、チーム内の信頼関係の欠如が重大な事故を招くリスクもあります。職場の人間関係は、従業員のパフォーマンスを考える上で欠かせないポイントといえます。
ワークライフバランス
ワークライフバランスが崩れた結果、仕事のパフォーマンスが低下するというのもよくある話です。
ワークライフバランスが崩れる具体的な要因としては「業務量の多さ」「長時間労働」「過度な責任」「仕事と家庭の両立の難しさ」などがあります。
実際にワークライフバランスが崩れ、仕事とプライベートのどちらを優先するかの決断を迫られたとき、すべての従業員が仕事を選ぶとは限りません。大切な人材をみすみす逃してしまわないためにも、従業員のワークライフバランスに注目するのがおすすめです。
関連記事:【社労士監修】ワークライフバランスの取り組み事例を紹介。メリットや注目の理由も解説
心身の健康
従業員の心身の健康状態は、仕事のパフォーマンスに直接影響します。
健康問題がある従業員は、集中力や判断力・意欲が低下し、本来の能力を発揮できません。特にメンタルヘルスの問題は目に見えにくく、深刻化しやすい傾向があるため注意が必要です。
パーソル総合研究所の「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」によると、20代の正規雇用の従業員のうち、5人に1人が過去3年以内にメンタルヘルスの不調を経験しています。また、メンタルヘルス不調を「職場内で相談・報告」したのは2人に1人程度であり、相談しなかった20代の退職率は35.2%にのぼります。
身体的な健康問題も見逃せません。Smart相談室の調査では、アレルギーや偏頭痛などの健康問題(21.7%)がパフォーマンス低下の要因として挙げられています。これらの症状は集中力を奪い、作業効率を低下させます。
参考:パーソル総合研究所|若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査
やりがい・動機づけ
仕事に対するやりがいが感じられるかどうかも、従業員のパフォーマンスを左右する重要な要因です。
「自分の仕事が組織や社会に貢献している」「自分の努力が認められ、評価されている」というやりがいの実感は、従業員のモチベーションを向上させます。モチベーションはパフォーマンスに直結するため、やりがいとパフォーマンスにも相関関係があります。
なお「自分の貢献が適切に評価されていない」と感じている従業員は「どうせ頑張っても認められない」という諦めの気持ちから、最低限の労力で業務をこなすようになりがちです。これは「内発的動機づけ」の低下を意味するもので、長期的にはパフォーマンスの質的低下を招きます。
関連記事:働きがいのある会社とは何か-従業員がいきいきと輝く組織づくり
待遇
従業員のパフォーマンスが低下する理由の中でも、特に影響度が高いのが、給与や昇進機会・福利厚生などの「待遇」です。
同業他社と比較して待遇面で劣る場合、優秀な人材ほど転職を検討しやすくなります。これは企業にとって大きな損失です。また、待遇への不満は心理的なストレスとなり、集中力や創造性の低下・ミスの増加など、日々のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
待遇面の改善というと、費用がネックとなってためらう企業が少なくありません。しかし、長期的な視点で見てみると、従業員の定着率向上や生産性アップ・採用コストの削減など、企業の競争力強化が期待できる重要な施策です。
従業員のパフォーマンスを向上させるために企業ができること
従業員のパフォーマンス低下の要因を理解したところで、次に知っておきたいのが、企業として取り組むべき具体的な対策です。ここでは、特に注目したい5つの施策について解説します。
従業員の現状を知る機会を設ける
従業員のパフォーマンス向上の第一歩は、従業員一人ひとりの現状を正確に把握することです。定期的な面談を実施して、パフォーマンス低下の兆候や原因の早期発見を目指しましょう。
この際、重要なのは、従業員が本音を話せる環境づくりです。直属の上司との1on1ミーティングなどを通じ、業務の進捗だけでなく、困りごとや将来のキャリアに関する希望など、多面的に聞き取るのが効果的です。
こうした調査結果を適切に分析することで、自社の抱える問題点が浮き彫りになります。たとえば、特定の部署でのパフォーマンス低下が顕著であれば、その部署は特有の課題(業務量・人間関係など)を抱えていると推察できます。
相談しやすい職場環境を整える
従業員が抱える問題を早期に解決するためには、相談しやすい職場環境が不可欠です。心理的安全性が確保され、自分の悩みや困りごとを気軽に相談できる雰囲気があれば、パフォーマンス低下の予防や早期改善につながります。

出典:Smart相談室|一般社員編|心身の不調とパフォーマンスの相関に関する実態調査
Smart相談室の調査によると、パフォーマンスが低下した際に「上司や同僚に相談する」と回答した人のうち、61.1%が「やや改善した」または「大きく改善した」と回答しています。これは、充実した相談体制がパフォーマンス向上に効果的であることを示しています。
併せて重要なのが「相談したことで不利益を被らない」という安心感です。状況に応じ、相談内容の秘密保持や、ハラスメント防止のための明確なルールづくりも検討しましょう。外部の専門家(カウンセラーなど)に相談できる仕組みがあると、より深刻な問題にも対応できます。
働きやすい環境づくりを進める
多様な働き方を支援する環境づくりは、従業員のワークライフバランスを改善し、パフォーマンス向上につながります。
具体的には、以下のような施策を検討しましょう。
- リモートワーク
- フレックスタイム制
- 時短勤務
- 週休3日制
このような多様な選択肢を用意することで、従業員一人ひとりのライフスタイルや状況に合わせた働き方が可能になります。心身の負荷が軽減され、パフォーマンスの向上が期待できます。
業務のミスマッチを見直す
従業員の適性や能力と担当業務のミスマッチは、パフォーマンス低下の重要な要因です。どんなに優秀な人材でも、自分の強みや興味を生かせない仕事では、十分なパフォーマンスを発揮できません。
ミスマッチを解消するためには、まず従業員の強み・スキル・興味・苦手分野を正確に把握し、適性を見極める必要があります。具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- ジョブローテーションの実施
- プロジェクト型の業務への参加
- スキルアップのための教育機会の提供
併せて、業務負荷の調整も必要です。能力以上の過度な業務負担はストレスとバーンアウトを招き、逆に能力を生かし切れない単調な業務は退屈さと意欲低下につながります。適切なチャレンジと達成感のバランスが、高いパフォーマンスを引き出す鍵となります。
待遇を改善する
従業員の待遇改善は、モチベーションとパフォーマンス向上に直結する重要な施策です。
理想的には、市場価値や業績に見合った賃上げが効果的ですが、経営状況によっては難しい場合もあるでしょう。そのような場合でも、賃上げの代替となる福利厚生を提供することで、従業員満足度を高めることができます。
さらに、非金銭的な待遇改善も重要です。柔軟な働き方の導入やキャリア開発支援といった制度のほか、社内表彰制度の充実・リフレッシュ休暇の付与なども、従業員のパフォーマンス向上に寄与します。
これらの施策は、単に「与える」のではなく、従業員の声を聞きながら真のニーズに応える形で設計することが大切です。
3,000社以上が導入!食の福利厚生「チケットレストラン」
数ある福利厚生サービスの中でも、近年特に注目度を高めているサービスのひとつに、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」があります。
「チケットレストラン」は、一定の条件下において、所得税の非課税枠を活用しながら全国25万店舗以上の加盟店での食事を実質半額で利用できる、食の福利厚生サービスです。加盟店の種類は、有名ファミレスやカフェ・コンビニなど多種多様で、勤務時間内にとる飲食物の購入であれば時間や場所の制限もありません。
企業規模や業種を問わず導入しやすい「チケットレストラン」は「従業員を大切にする企業」としてのアピール度が高く、従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上に効果的です。
関連記事:チケットレストランの評判が知りたい!導入企業の生の声をチェック
従業員のパフォーマンス向上が企業の成長を支える
従業員のパフォーマンス低下は、個人の問題ではなく、企業が積極的に取り組むべき重要な経営課題です。パフォーマンス低下は、利益の減少・離職率の上昇・職場の雰囲気の悪化など、企業経営に多大な悪影響をもたらします。
パフォーマンス低下の要因は多岐にわたりますが、企業側の取り組みによって改善できる要素が多くあります。働きやすい環境づくりや「チケットレストラン」のような福利厚生の導入など、適切な対策を実施することで、従業員のパフォーマンス向上を図ることが可能です。
従業員を自社の重要な「資産」と捉え、その価値を最大化するための投資として、パフォーマンス向上の施策に取り組むことが大切です。
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