最低賃金1,500円を目指す政府方針が発表されています。計画ではいつから最低賃金は1,500円になるのでしょうか?また実際に最低賃金がそこまで上がったとき、どれだけの企業が最低賃金に合わせた賃上げを実施できると見込んでいるのでしょうか?企業を対象とした調査を元に見ていきましょう。
最低賃金1,500円はいつから始まる
最低賃金が1,500円になる時期は、2025年3月時点では明確になっていません。当初2030年代半ばまでに目指す目標とされましたが「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」で以下のように示されました。
労働生産性の引上げ努力等を通じ、2030年代半ばまでに1,500円となることを目指す目標について、より早く達成ができるよう、中小企業・小規模企業の自動化・省力化投資や、事業承継、M&Aの環境整備等について、官民連携して努力する。
さらに石破政権では、最低賃金1,500円への引き上げを、2029年までに達成する目標を掲げています。
関連記事:最低賃金1,500円はデメリット?賃上げの効果と限界をレポートから分析
なぜ最低賃金1,500円を目指すのか
最低賃金1,500円は、1日8時間・1週間に5日間働けば、25歳単身者が人間らしく暮らせる時給として示されている金額です。人間らしく暮らすというのは、憲法25条で保障されている健康で文化的な最低限度の生活のことをいいます。
参考:全国生協労働組合連合会|最低賃金は全国一律制度へ!8時間働いたら暮らせる時給1500円へ
パート・アルバイトは最低賃金1,500円実現に期待
マイナビ キャリアリサーチLabの実施した「最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)」によると、パート・アルバイトとして働いている従業員の83.1%が「最低賃金1,500円を実現してほしい」と回答しています。
物価が上昇し続けていることも相まって生活が苦しい状況であることや、仕事内容の大変さから、最低賃金1,500円の実現を希望しているそうです。
参考:マイナビ キャリアリサーチLab|最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)
2029年までの実現には懐疑的
パート・アルバイトで時給1,500円の実現を希望する人は多数派ですが「2029年までに実現すると思う」との回答は20.7%と限定的です。半数近い47.6%が「実現しないと思う」と回答しています。
参考:マイナビ キャリアリサーチLab|最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)
最低賃金1,500円が「無理」な理由
最低賃金1,500円を希望しているパート・アルバイトは83.1%ですが、企業が実現するのは難しいという見方が多数派です。
マイナビ キャリアリサーチLabの実施した「最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)」では、最低賃金1,500円への引き上げに合わせた賃上げが「できないと思う」と回答した企業が56.3%でした。
東京商工リサーチの「2024年「最低賃金1,500円に関するアンケート」調査」によると、2029年までに最低賃金1,500円への対応が可能か、という質問への回答は「不可能だ」が最多の約48.5%です。
また日本商工会議所の「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」では、最低賃金1,500円への「対応は不可能」「対応は困難」と回答した企業は74.2%でした。
ここでは企業が認識している、最低賃金1,500円への引き上げが難しい理由もチェックしましょう。
参考:
マイナビ キャリアリサーチLab|最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)
東京商工リサーチ|2024年「最低賃金1,500円に関するアンケート」調査
日本商工会議所|中小企業における最低賃金の影響に関する調査
人件費の増加が経営を圧迫するため
マイナビ キャリアリサーチLabの実施した「最低賃金1,500円引き上げに関する意識調査(アルバイト就業者・企業)」、企業が抱いている最低賃金1,500円への不安点・懸念点で最も高い割合だったのは52.7%の「人件費の増加による経営圧迫」です。
最低賃金が1,500円になれば毎月の人件費が増加するため、経営状況が悪化する企業が出てくる可能性があります。利益が減ったり、赤字に転じたりするケースもあるかもしれません。
価格転嫁により競争力が下がるため
最低賃金1,500円への不安点・懸念点として「価格転嫁した際の価格競争力低下」と回答した企業は29.2%でした。
人件費を上げても企業が十分な利益を得られるようにするには、商品やサービスの価格に人件費の上昇分を上乗せしていく必要があります。
ただし値上げをすると、より安価な競合他社から購入する顧客も出てくるでしょう。見込んでいた収益が期待できなくなるかもしれません。
関連記事:中小企業が賃上げできない理由は?賃上げに活用できる制度や福利厚生を解説
働き控えで人手不足が進むため
「働き控えによる人手不足の加速」を最低賃金1,500円への不安点・懸念点としてあげた企業は29.0%です。
パート・アルバイトの中には、扶養範囲内で働くことを希望している人もいます。例えば年収100万円未満になるよう就業調整している場合、時給1,000円なら働けるのは月83時間までです。一方、時給1,500円で働けるのは月55時間ほどと計算できます。
パート・アルバイト1人あたりの勤務時間が減れば、不足分を補うために新たな人材の採用が必要となります。業種を問わず人手不足が進んでいる現状では、人手不足の進行により事業の継続が難しくなるケースもあるでしょう。
関連記事:【社労士監修】年収の壁に悩まない経営|中小企業におすすめの対策を解説!
政府目標の通り進むとどうなる?
2029年までに最低賃金1,500円という政府目標を実現するには、2025年から7.3%の引き上げを行う必要があります。
日本商工会議所の「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」で、政府目標の通りに最低賃金の引き上げが行われると「収益悪化により、事業継続が困難」と回答した企業は全体の15.9%でした。
政府目標達成に向けた最低賃金の引き上げは、都市部より地方、大きな企業より小規模企業への方が大きい傾向があります。地方にある小規模企業では、20.1%が「収益悪化により、事業継続が困難」になると回答しました。
参考:日本商工会議所|中小企業における最低賃金の影響に関する調査
人件費高騰による倒産は増加中
最低賃金1,500円になると、事業継続が難しくなり廃業や休業などを選択する企業が増加する可能性があります。東京商工リサーチの調査によると、実際に人件費高騰による倒産件数は増えているそうです。
「2024年の「人手不足」倒産」の調査では、人件費高騰による倒産件数が2年連続で前年より増えています。また「2025年2月の全国企業倒産」の調査でも、人件費高騰による倒産件数が増えています。
参考:
東京商工リサーチ|「人件費高騰」の倒産が急増、人手不足が深刻に 2024年の「人手不足」倒産 過去最多の289件
東京商工リサーチ|2025年2月の全国企業倒産764件
賃上げが難しいときに有効な第3の賃上げ
給与は1度上げるとなかなか下げられません。そのような中で、賃上げの実施をリスクと捉えている企業もあるでしょう。
このようなときに有効なのが、定期昇給(第1の賃上げ)・ベースアップ(第2の賃上げ)に対して、エデンレッドジャパンが定義した福利厚生を支給する第3の賃上げです。仕組みについての解説や、導入企業の事例などを見ていきましょう。
第3の賃上げの仕組み
食事補助や社宅などの福利厚生は、一定の条件下で支給すると、所得税を非課税枠で運用できるため従業員の実質的な手取り額アップにつながります。この仕組みを利用したのが第3の賃上げです。
第3の賃上げが可能な福利厚生サービスには、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」があります。
「チケットレストラン」で提供できる福利厚生の内容や、所得税の非課税枠に関するご質問は、こちらの「資料請求」へお問い合わせください。
「チケットレストラン」による待遇アップがモチベーション向上につながった事例
運送業を展開している共進運輸株式会社では「ドライバーに役立つ福利厚生を整えたい」と考えて、食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」を導入しました。
全国に25万店舗以上の加盟店があり、いつでもどこでも利用できる「チケットレストラン」は、ドライバーの働き方に合っており満足度アップにつながっているそうです。
また株式会社sumarchからは、気軽にカフェやコンビニで息抜きのスイーツやドリンクを購入できるようになる「午後も頑張ろう!」という気持ちになる、という声が出ています。転職のために求人をチェックしていたら「自社より好待遇の企業がない」と踏みとどまったケースもあったそうです。
実際の導入事例から、モチベーション向上や人材確保につながる福利厚生サービスであることが分かります。
詳細な導入事例はこちら:
共進運輸株式会社
株式会社sumarch
最低賃金1,500円は今後の動向を要チェック
政府目標では2029年までに最低賃金1,500円を目指すこととしていますが、実際にいつから最低賃金が1,500円になるかは、2025年3月時点ではまだ分かっていません。今後の動向を確認しつつ、自社で取る対応について検討しておきましょう。
賃上げは難しいけれど従業員の待遇改善は必要だと考えているなら、エデンレッドジャパンの提供している食事補助の福利厚生サービス「チケットレストラン」がおすすめです。
従業員の実質的な手取りアップにつながる制度の導入で、待遇改善とともにモチベーション向上や人材確保の取り組みを行いませんか。
参考記事:「#第3の賃上げアクション2025」始動、ベアーズが新たに参画~中小企業にこそ“福利厚生”による賃上げを! “福利厚生”で、より働きやすく、暮らしやすい社会へ~
「賃上げ実態調査2025」を公開~歴史的賃上げだった2024年も“家計負担が軽減していない”は7割以上!~
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