監修者:吉川明日香(社会保険労務士・ 吉川社会保険労務士事務所)
男性の育児休業取得を促進するための制度が、法改正を重ねながら段階的に施行されています。本記事では、話題のトピック「男性育休」について、基礎知識から法改正のポイント・企業のメリット、具体的な対応策まで、企業が知っておきたい情報を分かりやすく紹介しています。
男性育休の基礎知識
2021年、男性の育児休業取得を促進するため、育児・介護休業法が改正されました。男性の育児参加は、女性の継続就業やキャリア形成を支え、少子化対策にも寄与する重要な取り組みです。まずは「男性育休」にまつわる基礎知識から整理していきましょう。
男性育休とは
男性育休とは、男性が子の養育のために取得する休業のことです。
2021年の育児・介護休業法の改正にともない、2022年10月から、新たに産後パパ育休(出生時育児休業)の制度が創設されました。従来の育休に加え、より柔軟な形での育休を追加取得できる制度で、この法改正により、男性の育休の取得しやすさが大幅に向上しています。
男性育休制度の充実を通じ、育児を自分事として考えていなかった男性が積極的に育児へ参加したり、育児休業を取得したいと言い出せなかった男性の育児休業が可能になったり等、従業員のワークライフバランスへ良い影響が与えられることが期待されています。
育休・産休・産後パパ育休の違い
産後パパ育休(出生時育児休業)も含めた3つの休業制度の比較表を作成しました。
項目 | 育休 (育児休業) |
産休 (産前産後休業) |
産後パパ育休 (出生時育児休業) |
---|---|---|---|
対象者 | 子を養育する労働者 | 出産した方 | 産休を取得しない労働者 |
期間 | 原則子が1歳になるまで(最長2歳まで延長可能) | 産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間) 産後8週間 |
子の出生後8週間以内に4週間まで |
根拠法 | 育児・介護休業法 | 労働基準法 | 育児・介護休業法 (2022年10月1日施行) |
経済的支援 | 育児休業給付金(休業開始時賃金の67%、180日経過後は50%) | 出産手当金(休業前の給与の3分の2相当額) | 育児休業給付金(休業開始時賃金の67% |
申出期限 | 原則1カ月前まで | 産前休業は請求時 産後休業は自動的に取得 | 原則2週間前までに申し出。ただし、労使協定を締結している場合は1カ月前までとすることも可能 |
分割取得 | 2回まで分割可能 | 分割不可 | 2回まで分割可能(まとめて申し出る必要あり) |
休業中の就業 | 原則不可 | 産後6週間は原則就業不可 産後6週間〜8週間は医師の許可が必要 | 労使協定の締結と本人の同意があれば、1回の育休期間につき最大10日(または80時間)まで就業可能 |
社会保険料 | 免除(一定条件あり) | 免除(一定条件あり) | 免除(一定条件あり) |
育休(育児休業)・産休(産前産後休業)・産後パパ育休(出生時育児休業)は、対象者や期間、根拠法など多くの点で異なります。
「育休」は、男女を問わず子を養育する労働者が対象で、原則子が1歳になるまで(最長2歳まで延長可能)の期間、育児・介護休業法に基づいて取得できる休業です。一方「産休」の対象は出産した方で、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)〜産後8週間の期間、労働基準法に基づいて取得できます。
また、2022年10月に施行された産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる休業で、主に男性を対象としています(女性も養子の場合等は取得可能)。通常の育児休業とは別に取得でき、申出期限も原則2週間前までと短く、労使協定を締結していれば休業中の就業も可能という柔軟性があります。
育休中の社会保険料はどうなる?
育児休業中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険)は、一定の条件を満たせば事業主負担分・被保険者負担分ともに免除されます。2022年10月からは免除要件が拡大され、月末時点で育児休業を取得している場合の従来の免除に加え、同月内に14日以上の育児休業を取得した場合も保険料が免除されることになりました。
この改正は、短期間の育児休業でも社会保険料免除のメリットを受けられるようにすることで、男性の育児休業取得を促進する狙いがあります。また、賞与に係る社会保険料についても、賞与月の末日を含む連続1カ月を超える育児休業を取得した場合には免除されます。
育児休業給付金について
育児休業給付金は、雇用保険から支給される給付金で、一定の条件を満たした場合、育休開始時賃金の67%(育児休業の開始から180日目以降は50%)が支給されます。
給付金を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者であること
- 育児休業開始前の2年間に11日以上働いた月が12カ月以上あること
- 育児休業期間中に、就労がないこと(例外として一時的・臨時的な就業が発生した場合は、ー支給単位期間内で10日以下または80時間以下であること)こと
- 養育対象の子どもが1歳6カ月に達する日までの間に、労働契約期間が満了することが明らかでないこと(有期雇用の場合)
なお、就業日数が多い場合でも、1日当たりの労働時間が短ければ給付金の対象になることもあります。
男性育休の現状
男性の育児参加を促進するため、政府は男性の育休取得率について「25年度に50%、30年度に85%」を目標に掲げています。では、2025年3月時点の現状はどうでしょうか。
参考:日本経済新聞|男性の育休取得率「30年度に85%」岸田文雄首相が新目標
男性育休の取得率は30.1%
厚生労働省が発表した「令和5年度雇用均等基本調査」によると、2023年度の男性の育休取得率は30.1%となり、前年度の17.13%から約13ポイントと大きく上昇しました。
一方、女性の育休取得率を見ると、男性とは大差の84.1%(前年度80.2%)です。依然として男女間には大きな開きがあることが分かります。
男性育休の取得が進まないのはなぜ?
男性の育休取得が進まないのは、どういった背景によるものなのでしょうか。主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 職場の理解不足や前例の少なさ
- 仕事への影響に対する懸念
- 経済的な不安
- 育児に関する知識や自信の不足
- 制度の認知不足
企業には、こうした懸念や不安・誤解を取り除くための情報提供や環境整備が求められています。
参考:厚生労働省|男性の育児休業取得促進等に関する参考資料集
育児・介護休業法の改正のねらい
2021年の育児・介護休業法改正の最大の目的は、企業ごとの温度差をなくし、男性育休を含めた育児休業の取得促進を義務化することです。特に、男女間の育児休業取得率の大きな差を埋めるために、男性が取得しやすい仕組みを導入しました。
法改正を通じ「育児は女性の仕事」「男性に育休は不要」といった固定観念を変え、社会全体で男性の育児参加を促進することを目指しています。
「育児・介護休業法」改正の流れポイント
2021年に改正された育児・介護休業法は、2022年4月・10月、2023年4月と段階的に施行されてきました。また、2024年の更なる改正により、2025年4月から一部制度の対象が拡大しています。
ここでは、主要な改正ポイントを詳しく解説します。
雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
2022年4月1日より、すべての事業主は育児休業を取得しやすい雇用環境整備と、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の制度周知と意向確認が義務付けられました。
雇用環境整備措置としては、以下のうち少なくとも1つを実施する必要があります。
- 育児休業制度に関する研修の実施
- 育児休業に関する相談体制の整備
- 自社の育児休業取得事例の収集・提供
- 育児休業制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
また、労働者やその配偶者が妊娠・出産した旨の申出があった場合、その労働者に対して個別に育児休業制度を周知し、取得の意向を確認することが必要です。この個別周知・意向確認は、単に制度を知らせるだけでなく、取得を控えさせるような対応をしてはならないとされています。
【企業の対応ポイント】
・就業規則の改定や社内制度の整備(申請書類、運用フロー等)
・周知・意向確認の方法の決定(面談、書面、メール等)と実施
・対象者の把握方法の確立と周知文書のテンプレート作成
・意向確認後のフォロー体制の整備
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
2022年4月1日より、有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件が緩和されました。従来は「引き続き雇用された期間が1年以上」、「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」という2つの要件がありましたが、前者が撤廃され、「1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件のみとなっています。
これにより、入社1年未満の有期雇用労働者でも、契約更新の可能性があれば育児休業を取得できるようになりました。企業側は、有期雇用労働者も含めた育児休業制度の周知と、取得しやすい環境整備が必要です。
なお、労使協定を締結することにより、入社1年未満の労働者を育児休業の対象から除外することは可能ですが、その場合でも「1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件を満たす有期雇用労働者については育児休業の対象となります。
【企業の対応ポイント】
・就業規則の改定(有期雇用労働者の育休取得要件の変更)
・有期雇用労働者への制度周知方法の確立
・有期雇用労働者の育休取得に関する管理職への研修実施
産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
2022年10月1日より、男性の育児休業取得促進のため、「出生時育児休業」(通称:産後パパ育休)が創設されました。これは子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる休業制度で、通常の育児休業とは別に取得可能です。
産後パパ育休の主な特徴は以下の通りです。
- 取得可能期間:子の出生後8週間以内に4週間まで
- 申出期限:原則休業の2週間前まで(労使協定を締結している場合は、1カ月前までとすることも可能)
- 分割取得:2回まで分割して取得可能(初めにまとめて申し出ることが必要)
- 休業中の就業:労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能
この制度は、出産直後の大変な時期に男性も育児に参加することを促進するためのものであり、通常の育児休業よりも柔軟な取得が可能になっています。
【企業の対応ポイント】
・就業規則への産後パパ育休制度の追加
・申請書類や運用フローの整備
・産後パパ育休に関する社内研修の実施
・休業中の就業を認める場合は労使協定の締結
育児休業の分割取得
2022年10月1日より、育児休業(産後パパ育休を除く)を分割して2回まで取得することが可能になりました。従来は原則として1回のみの取得でしたが、法改正により、子の成長に合わせた柔軟な休業計画が可能となっています。
たとえば、子どもが生後2カ月のときに1回目の育児休業を取得し、保育所入所を控えた生後10カ月のタイミングで2回目の育児休業を取得する、といった使い方が可能です。また、夫婦で交代しながら休業を取得することにより、より長期間にわたって家庭内で子どもを育てることもできます。
なお、産後パパ育休も2回まで分割して取得可能であり、産後パパ育休と通常の育児休業を合わせると、男性は子が1歳になるまでに最大4回の育児休業を取得できることになります。
【企業の対応ポイント】
・就業規則の改定(育休の分割取得について明記)
・複数回の育休取得に対応した業務体制の整備
・分割取得の申請方法や手続きの明確化
育児休業取得状況の公表の義務化
2023年4月1日より、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主に対して、育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられました。2025年4月からは従業員300人超の企業も対象です。
公表内容は、男性の「育児休業等の取得割合」または「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかを選択します。自社のウェブサイトや厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」などを通じ、一般の人が閲覧できるようにすることが求められます。
この義務化は、企業における男性の育児休業取得状況の「見える化」を図ることにより、企業間の格差を是正するとともに、求職者が企業選びの際の判断材料とすることができるようにするためのものです。
【企業の対応ポイント】
・育休取得者の集計方法の確立(対象者と取得者の定義、計算方法)
・公表方法の決定(自社サイト、「両立支援のひろば」等)
・データ管理の仕組みづくり
・定期的な取得状況の確認と改善策の検討
改正前と改正後の比較(2022年改正)
育児・介護休業法の改正により、男性の育児参加がより促進される環境が整備されました。以下、改正前と改正後の主な違いを整理し、企業として対応すべきポイントを整理しました。
項目 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
男性の育休取得促進 | 子の出生後8週間以内に父親が育休取得した場合、再度取得可能(最大2回まで取得可能、パパ休暇※) | 出生時育児休業(産後パパ育休)が創設され、出生後8週間以内に4週間まで取得可能(2回まで分割可)。通常の育休とは別枠。合計最大4回取得可能。 |
育休の分割取得 | 原則1回のみ(例外としてパパ休暇利用時のみ2回可) | 通常の育休は2回まで、産後パパ育休も2回まで分割取得可能。合計で最大4回取得可能。 |
有期雇用労働者の取得要件 | 1年以上の継続雇用 + 1歳6ヶ月以降も雇用継続の見込み | 1歳6ヶ月以降も雇用継続の見込みのみ(1年以上の継続雇用要件を撤廃) |
育休取得の手続き | 企業の任意の周知 | 妊娠・出産の申出をした労働者への個別周知・意向確認が事業主の義務 |
雇用環境整備 | 努力義務 | 義務化(研修、相談体制整備、事例提供、方針周知のいずれかの実施) |
休業中の就業 | 原則不可 | 産後パパ育休中は労使協定と本人同意があれば可能 |
取得状況の公表 | 任意 | 1,000人超の企業は義務化(2025年4月からは300人超も対象) |
※パパ休暇とは:子の出生後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合に再度取得を認める特例制度。産後間もない時期の妻のサポートと、その後の時期(例:保育所入所前)にも育休取得を可能にする目的があった。2022年10月施行の法改正で廃止され、より柔軟な「産後パパ育休」と「育休の分割取得」に発展的に見直された。
これらの変更点を踏まえ、企業は制度の理解と対応策の検討が必要です。特に、産後パパ育休の導入と周知、個別の制度周知と意向確認の実施方法、雇用環境整備の具体的な取り組みなどについて、自社の状況に合わせた対応が求められます。
2025年に予定されている法改正
2023年までの改正に続き、2025年にも育児・介護休業法の更なる改正が予定されています。企業は現行法対応と並行して、これらの変更にも準備が必要です。
2025年4月施行の改正
- 育休取得状況の公表義務対象拡大:1,000人超の企業から300人超の企業にまで拡大
- 子の看護休暇の対象拡大:小学校就学前から小学校3年生まで拡大され、取得理由も「学校行事参加」等に拡充
- 所定外労働(残業)免除の対象拡大:3歳未満の子から小学校就学前の子まで拡大
- 育児期の柔軟な働き方の推進:テレワークやフレックスタイム等の柔軟な働き方の導入を促進
2025年10月施行の改正
- 育児と仕事の両立に関する個別意向確認:「妊娠・出産の申し出時」と「子どもが3歳になる前」の2回、労働者の働き方やキャリアに関する意向確認と配慮が義務化
これらの改正は、男性育休の促進に加え、育児期全体を通じた柔軟な働き方を実現し、より長期的な仕事と育児の両立を支援することを目的としています。企業は今から社内制度の見直しや柔軟な働き方の環境整備を進めておくことが望ましいでしょう。
男性育休の推進による企業のメリット
男性育休の推進は、法令遵守の観点だけでなく、企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、男性育休を積極的に推進することで得られる企業側のメリットを解説します。
女性の離職防止につながる
男性の育児参加が進むことで、女性の育児負担が軽減され、出産・育児を理由とした女性の離職防止につながります。
人手不足が深刻化する中、出産や育児を原因とする女性の離職防止は企業にとって喫緊の課題です。女性が継続して就業することで、長期的な人材育成が可能になり、多様な視点を持った管理職の輩出も可能となります。
また、採用・育成コストの削減と、女性人材の活用による組織力強化も、企業にとって大きなメリットです。
生産性が向上する
男性育休の取得促進は、業務の見直しや効率化・多能工化(一人が複数の業務をこなせるようにすること)・組織全体の生産性向上につながります。
それというのも、育休取得者の業務を円滑に引き継ぐためには、業務内容の「見える化」や「属人化」の解消が必要となるからです。これらの取り組みを通じて業務の無駄や改善点が明らかになり、結果として組織全体の業務効率化、ひいては生産性の向上につながります。
なお、管理職が育休を経験することで、部下のライフイベントに対する理解が深まる効果も期待できます。
人材確保・定着につながる
育児と仕事の両立支援に積極的な企業は「働きやすい企業」として認知され、優秀な人材の確保や従業員の定着率向上につながります。
特に、若い世代は仕事と家庭の両立を重視する傾向が強く、男性育休を含む両立支援制度の充実度も、就業先を選択する際の重要な基準です。
企業が男性育休を積極的に推進する姿勢をアピールすることで、他社との差別化ができ、採用市場での競争力も高まることが予想されます。
企業イメージアップ(ブランディング効果)
男性育休の取得促進を含む両立支援の取り組みは、企業の社会的責任(CSR)の一環としての評価が高く、企業イメージの向上が向上しやすい傾向にあります。
近年「くるみん認定」や「プラチナくるみん認定」等、子育て支援企業としての認定を取得し、対外PRに活用する企業が増えています。同様に、男性育休を積極的に推進していることを対外的に発信することで「先進的な企業」「従業員を大切にする企業」というブランディング効果が期待できるのです。
さらに、ESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮した投資)の観点からも、ダイバーシティや従業員のウェルビーイングに配慮した企業として評価され、投資家からの評価向上にもつながる可能性があります。
参考:厚生労働省|くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて
関連記事:【税理士監修】くるみん認定・えるぼし認定で税制優遇!賃上げ促進税制の上乗せ要件とは
男性育休を推進するために企業ができること
男性育休の取得を促進する一方で、企業として注意すべき点もあります。ここでは、男性育休にまつわる主な注意点を解説します。
パタハラ(パタニティ・ハラスメント)の防止に取り組む
パタハラ(パタニティ・ハラスメント)とは、育児休業の取得を希望する男性従業員に対して、「男のくせに育児休業を取るなんてあり得ない」などの言動で取得を妨げたり、取得を理由に不利益な取り扱いをしたりすることを指します。
「改正育児・介護休業法」では、事業主に対して職場におけるハラスメントの防止措置を講じることが義務付けられています。
パタハラを防止するためには、管理職を含めたすべての従業員への研修や啓発が重要です。また、相談窓口の設置や相談対応のフローを整備し、問題が起きた際に適切に対応できる体制を整えることが必要です。
育休後のキャリアへの影響を最小化する
男性育休の推進には、育児休業の取得が従業員のキャリア形成に悪影響を与えないための配慮も欠かせません。特に男性の場合、育休取得によって「仕事に対する意欲が低い」「出世競争から脱落した」というレッテルを貼られることへの懸念が、育休取得の障壁となりやすいからです。
育休取得がキャリアに悪影響を与えないようにするための施策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 育休取得者の公正な評価制度の確立:育休期間中の評価方法や昇給・昇格への影響を明確にし、不当な不利益が生じないようにする
- 復職後のキャリア面談の実施:育休から復帰した従業員と上司が今後のキャリアについて話し合う機会を設ける
- 段階的な業務復帰の支援:フルタイム勤務に戻る前に時短勤務やテレワークなどの選択肢を提供する
- 育休取得管理職のロールモデル化:管理職が育休を取得し、復帰後も活躍する姿を社内に発信する
管理職層の育休取得を推進することで「育休を取得してもキャリアに影響しない」という社内文化を醸成することができます。また、育休から復帰した従業員が活躍する姿を社内外に発信することも、育休取得者のキャリア不安の解消に効果的です。
業務の見直し・チーム体制の強化に取り組む
男性の育休取得を促進するためには、「この人がいないと回らない」という状況をなくし、誰が休んでも業務が滞らない体制づくりが不可欠です。そのためには、以下のような取り組みが効果的です。
- 業務の棚卸しと再分配:全員の業務内容を可視化し、偏りがあれば再分配する。不要な業務や効率化できる業務を特定し、業務量を適正化する
- 多能工化(クロストレーニング)の推進:一人が複数の業務を担当できるようにする研修やOJTを実施する。定期的なジョブローテーションによるスキルの多様化を進める
- チーム制の導入:個人ではなくチームで業務を担当する体制に移行する。チーム内で情報共有の仕組みを整備する
- デジタルツールの活用:クラウドツールによる情報共有を促進する。マニュアルやナレッジを電子化・共有する
- 代替要員の確保:長期休業に備えた人員計画を策定する。派遣社員や契約社員を活用する
これらの取り組みは、育休対応だけでなく、病気や介護など他の理由で従業員が休む場合にも役立ちます。また、業務の見える化や効率化は生産性向上にもつながるため、企業全体のパフォーマンス向上にも寄与します。
福利厚生の活用で育児支援
育児と仕事の両立を支援するためには、育休制度だけでなく、復帰後の働き方や日常生活をサポートする福利厚生も重要です。特に、家事支援サービスや、育児世帯の負担軽減となる食事補助などの福利厚生サービスは大きな支援となります。
たとえば、食事補助の福利厚生として日本一の実績を持つエデンレッドジャパンの「チケットレストラン」の場合、一定の条件下において、所得税の非課税枠を活用しながら全国25万店舗以上の加盟店での食事を実質半額で利用できます。加盟店には、有名ファミレスやカフェ・コンビニなどの人気店が名を連ね、勤務時間内であれば時間や場所の制限もありません。
何かと忙しく、また出費も増える子育て世帯をサポートする福利厚生として注目されています。
関連記事::「チケットレストラン」の仕組みを分かりやすく解説!選ばれる理由も
まとめ
育児・介護休業法改正により、男性の育児休業取得を促進するための制度が大きく変わりました。2025年には、さらなる制度拡充も予定されています。
企業には、これらの法改正に対応するだけでなく、職場の意識改革、育休取得しやすい制度設計、業務体制の見直し、復帰後の支援など、総合的な取り組みが求められます。「チケットレストラン」のような福利厚生サービスを活用した育児支援も、育休取得後も含めた長期的な両立支援に効果的です。
男性の育児参加は、女性の継続就業やキャリア形成の支援、少子化対策、多様な働き方の実現など、さまざまな社会課題の解決につながる重要な取り組みです。男性育休の取得推進を通じ、男女ともに育児と仕事を両立できる職場環境づくりを進めていきましょう。
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