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70万円の壁が2025年から出現?年収の壁を徹底解説|対策と支援制度も

70万円の壁が2025年から出現?年収の壁を徹底解説|対策と支援制度も

2024.11.22

2025年、新たな「年収の壁」が出現する可能性が指摘されています。社会保険に関連し、すでに存在する「106万円の壁」が「70万円の壁」へ引き下げられることが予測されているのです。この年収の壁は、パート・アルバイト従業員の働き方に大きな影響を与える可能性があります。人手不足が深刻化する昨今、これは企業にとって避けて通れない課題です。

本記事では、年収の壁の全体像をはじめ、政府の支援策や企業がおこなうべき対策についてわかりやすく解説します。年収の壁の対策としても、従業員満足度を高める施策としても効果的な福利厚生についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

「2025年」社会保障制度の転換期

2025年、「2025年問題」「年金制度改革」という二つの要因から、日本の社会保障制度が大きな転換点を迎える可能性について指摘されています。

「2025年問題」

SMBC日興証券が公開している「初めてでもわかりやすい用語集」では、2025年問題について以下のように解説しています。

日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、社会構造や体制が大きな分岐点を迎え、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが予想されることを指します。

出典:SMBC日興証券|2025年問題|初めてでもわかりやすい用語集

2025年、1947年〜1949年の第一次ベビーブームに生まれたいわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になります。団塊の世代が約800万人にのぼることをふまえると、日本人口の実に1/4が後期高齢者となる計算です。

後期高齢者の割合が多い社会では、医療や介護のニーズが高まる一方で、それを支える生産年齢人口(15歳以上65歳未満)が不足します。このアンバランスを補うため、社会保障制度の大幅な改革がおこなわれる可能性が指摘されているのです。

関連記事:【2025年問題】とは?企業に迫る危機と対策をかんたんに解説!

「年金制度改革」

日本の年金制度は、社会経済情勢の変化に対応するために、原則として5年ごとに見直しがおこなわれますが、2025年はこの定期的な見直しの年に当たります。見直しに伴い「社会保険の適用範囲拡大」「年収の壁の引き下げ」「第3号被保険者制度の見直し」等が検討される可能性があります。

中でも特に注目されているのが「年収の壁の引き下げ」です。

現在の社会保険の加入基準は「健康保険料は標準報酬月額5万8,000円〜」「厚生年金保険料は8万8,000円〜」と、二つの異なる基準が存在しています。

2023年5月30日に開催された「第4回社会保障審議会年金部会」では、厚生年金保険料の下限について「もっと大胆に下げられるのでは」との意見が出されました。この引き下げを、健康保険料の下限と統一する形でおこなう場合、「106万円の壁」が実質的に「70万円の壁」になることを意味します(月額5万8000円を年収に換算すると、約70万円となるため)。

この変更が実現すれば、より多くのパートタイム労働者や短時間労働者が社会保険の適用対象となり、企業の人事実務にも大きな影響を与えることが予想されます。

参考:厚生労働省|第4回社会保障審議会年金部会|被用者保険の適用拡大

知っておくべき年収の壁の全体像

年収
(以上)
住民税 所得税 社会保険料 配偶者控除 配偶者特別控除
100万円以下 かからない 対象
100万円 かかる かからない
103万円 かかる かからない 対象
106万円 かかる場合あり
130万円 かかる
150万円 段階的に
減少
201万円 対象外

年収の壁は、企業の人事労務実務に大きな影響を与える重要な課題です。現在、主な年収の壁は税金に関する「100万円」「103万円」、社会保険に関する「106万円」「130万円」、そして配偶者控除に関する「150万円」「201万円」の6つが存在します。ここでは、それぞれの壁について詳細を解説します。

関連記事:【税理士監修】年収の壁がもたらす問題と対策をわかりやすく解説!

税金に関する年収の壁

税金に関する年収の壁は、住民税が発生する「100万円の壁」と、所得税が発生する「103万円の壁」の二つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

住民税が発生する「100万円の壁」

住民税が発生する100万円の壁は、パート・アルバイト従業員の年収が100万円を超えた場合に課税対象となります。

課税対象となった場合、企業は特別徴収義務者(従業員の代わりに税金を納付する役割)として従業員の給与から住民税を天引きし、市区町村へ納入しなければなりません。税率は市区町村民税6%・都道府県民税4%の合計10%が基本ですが、税額は居住地によって異なります。

未成年者の場合に限り「前年の収入が給与収入のみ」「204万4千円未満」の条件を満たすことで非課税となる特例もあるため、従業員の年齢に応じた適切な対応が求められます。

所得税が発生する「103万円の壁」

所得税は国税として課される税金で、年収103万円を超えると課税対象です。基礎控除額が48万円のため、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が48万円を超えた場合に課税されます。

この金額を超えると扶養親族の対象から外れ、扶養者の税負担が増加します。この影響は、扶養されている従業員の家庭全体の家計に響くため、企業から従業員に対し適切な説明が必要です。

昨今のマイナンバー制度の普及により、扶養控除等申告書の電子化対応も進んでいるため、実務のデジタル化への対応も求められています。

関連記事:【税理士監修】「103万の壁」学生やパートタイム労働者が直面する年収の壁とは?

社会保険に関する年収の壁

社会保険に関連する年収の壁は「106万円の壁」と「130万円の壁」の二つです。2025年には、「106万円の壁」が「70万円の壁」へと大幅に引き下げられる可能性が言及されています。社会保険の適用拡大は、企業の人事労務管理においても重要な課題です。詳しく見ていきましょう。

社会保険制度の基礎知識

社会保険は、健康保険と厚生年金保険で構成されています。保険料は、標準報酬月額に各保険料率を乗じて算出され、原則として事業主と従業員が半額ずつ負担します。

2024年3月現在、厚生年金保険料率は18.3%・協会けんぽの健康保険料率は全国平均で10.0%前後(介護保険料率1.60%)です。この保険料負担を避けるための就業調整(働き控え)が、企業の人手不足に拍車をかけているのが現状です。

参考:日本年金機構|厚生年金保険料額表
参考:全国健康保険協会|令和6年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|協会けんぽ
参考:全国健康保険協会|協会けんぽの介護保険料率について

条件付きで適用される「106万円の壁」

年収が106万円を超え、以下に挙げる加入要件のすべてに該当する場合、扶養者の扶養から抜け、厚生年金保険や健康保険へ加入しなければなりません。

  • 1カ月の収入が8万8,000円(年収約106万円)以上
  • 週あたりの労働時間が20時間以上
  • 2カ月以上の継続勤務
  • 学生ではない
  • 事業所の従業員数が51人以上

関連記事:【税理士監修】年収106万の壁にはどう対応すべき?企業におすすめの施策とは

2024年10月の適用拡大の影響

2024年10月の適用拡大により、社会保険の適用要件が「従業員数101人以上の企業」から「従業員数51人以上の企業」へと変更になりました。たとえば、週20時間以上勤務し、月収8万8,000円以上のパート従業員が、101人規模の企業から51人規模の企業へ異動した場合も、新たに社会保険加入が必要となります。

この変更に伴うパート・アルバイト従業員の働き控えは、人的リソースに限りがある中小企業に対し特に大きな影響を与えています。影響を最小限に留めるためには、企業が従業員へ社会保険加入によるメリット(将来の年金受給額の増加・傷病手当金等の保険給付)について丁寧に説明し、理解を得ることが必要です。

参考:日本年金機構|短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内

一律適用される「130万円の壁」

年収130万円を超えると、勤務先の企業規模や労働時間に関係なく社会保険への加入が義務付けられます。具体的には、扶養者の健康保険や厚生年金の被扶養者から外れ、国民健康保険と国民年金に加入しなければなりません。

社会保険へ加入する場合、収入に応じて相応の保険料負担が生じ、手取りがかえって減少するリスクがあるため、130万円の壁を意識した就業調整がおこなわれやすい状況となっています。企業は従業員の手取り減少リスクを軽減するため、昇給や手当の見直しを検討する必要があります。また、従業員に社会保険の長期的なメリットを説明することで理解を得る努力も重要です。

関連記事:【税理士監修】年収130万を超えたらどうなる?130万の壁を徹底解説!

2025年に生じる可能性がある「70万円の壁」

2025年の年金制度改革において、社会保険の標準報酬月額の最低額が現行の健康保険料の基準である5万8,000円に引き下げられる可能性が指摘されています。これにより、年収約70万円から社会保険への加入が必要となる可能性があります。

この改正はあくまでも予測にすぎず、2024年11月現在、裏付ける明確な情報はありません。しかし、実際に70万円の壁が生じた場合、短時間労働者の社会保険加入が増えるため、企業コスト負担は増加します。この動向を注視しつつ、福利厚生や労働条件の見直しを進めることが求められます。

参考:厚生労働省|第4回社会保障審議会年金部会|被用者保険の適用拡大

配偶者控除に関する年収の壁

配偶者の収入増加は、世帯全体の税負担に大きく影響します。関連する「150万円の壁」「201万円の壁」について、詳細を解説します。

「150万円の壁」で始まる段階的減少

配偶者控除・配偶者特別控除 早見表-1

出典:国税庁|No.2672 年末調整で配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けるとき

配偶者控除とは、配偶者の年間合計所得金額が48万円以下(年収で103万円以下)である場合に、納税者が受けられる所得控除です。最大で38万円が控除され、納税者の税負担が軽減されます。

一方、配偶者の年収が103万円以上150万円以下の場合は配偶者特別控除の適用対象です。この場合、配偶者の合計所得金額が48万円以上133万円以下(年収で103万円以上201万円以下)であれば、納税者の所得に応じて最大38万円の控除が受けられます。したがって、130万円までの年収では控除額は同じですが、150万円を超えると控除額が段階的に減少していきます。

このため、150万円の壁は、配偶者が働き方を考える際に意識すべき重要な基準です。特に、年収が130万円から150万円の範囲では控除額が最大38万円に維持されるため、このラインを意識することが重要です。

企業の人事担当者は、配偶者の収入が150万円を超える場合の具体的な税負担の変化について、わかりやすい説明資料の準備が求められます。

参考:国税庁|No.2672 年末調整で配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けるとき

関連記事:【税理士監修】「150万の壁」とは?企業に求められる取り組みを分かりやすく解説

「201万円の壁」で完全に対象外に

配偶者の年収が201万円を超えると、配偶者控除・配偶者特別控除、共に適用外となり、控除は受けられなくなります。

近年、共働き世帯の増加や働き方の多様化により、年収の壁を意識せずフルタイムで働くことや、キャリア形成を優先する従業員も増えています。企業としては、従業員のライフスタイルや価値観の変化に対応するため、柔軟な勤務体制の整備や、能力開発支援の充実を図ることが大切です。

また、配偶者控除に依存しない待遇を整備するため、家族構成に関係なく適用できる給与体系や、福利厚生の導入を検討することも今後の課題となっています。

年収の壁に対する政府の支援策

少子高齢化による労働力人口の減少が進む中、年収の壁に伴う就業調整により、企業の人材確保を困難にしています。この課題への対策として、政府はさまざまな支援策を整備しています。ここでは、2023年10月から提供されている「年収の壁・支援強化パッケージ」について見ていきましょう。

「年収の壁・支援強化パッケージ」

「年収の壁・支援強化パッケージ」は、パート・アルバイト従業員等が年収の壁を意識せずに働ける環境づくりを目指す政策パッケージです。

具体的には、社会保険適用に伴う企業負担を軽減する「キャリアアップ助成金」の拡充と「一時的な収入増への対応策」の二つが柱となっています。企業はこれらの支援を戦略的に活用することで、人材の確保と定着を図ることが可能です。

なお、支援を受けるためには事前の計画策定が必要となるため、中長期的な人材活用戦略を推し進める施策としても有効です。

年収の壁に対する意識

出典:厚生労働省|年収の壁・支援強化パッケージ概要

キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

キャリアアップ助成金メニュー

出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、労働者を新たに社会保険に加入させるとともに、収入を増加させる取り組みをおこなった企業を助成する制度です。

賃金の15%以上の追加支給や、労働時間の延長をおこなうことで、従業員1人あたり最大50万円が支給されます(両コースの併用)。

支給額は中小企業で最大50万円、大企業で最大37.5万円です。申請には事前のキャリアアップ計画書提出が必要で、賃金規定等の整備や労使協定の締結も求められます。

なお、支給申請は6カ月ごとにおこない、最大5回まで受給が可能です。綿密な準備と計画的な実施が助成金活用のポイントです。

関連記事:【社労士監修】年収の壁を乗り越える!「社会保険適用時処遇改善コース」とは

一時的な収入増の特例措置

130万円の壁への対応

出典:厚生労働省|パート・アルバイトで働く「130万円の壁」でお困りの皆さまへ

「一時的な収入増の特例措置」は、事業主の証明により、一時的な収入増で130万円の壁を超えた場合でも、最長2年間は被扶養者の地位を維持できる制度です。

これにより、繁忙期の労働時間増加や突発的な業務増加にも、年収の壁を気にすることなく柔軟に対応できます。ただし、基本給の増額など恒常的な収入増は対象外となるため注意が必要です。

年収の壁に対する企業の対策

企業にとって年収の壁は、人材確保と定着に大きく影響する重要な課題です。政府の支援制度を活用しつつ、自社独自の取り組みにより、従業員が安心して働ける環境を整備することが重要です。ここでは、年収の壁への対策として、企業が実践できる具体的な取り組みを紹介します。

従業員の長期的なキャリア形成を支援する

年収の壁は、特にライフイベントの影響を受けやすい女性従業員のキャリア形成の妨げとなります。女性従業員の就業調整を防ぎ、働きやすい環境を提供するためには、育児・介護との両立支援制度の整備をはじめ、長期的な視点での人材育成が重要です。

また、従業員のキャリアプランに合わせた能力開発機会の提供や、多様な働き方を可能にする制度設計も効果的です。働き方の自由度が高まっている現代だからこそ、企業には、従業員一人ひとりの状況に応じた柔軟な支援体制を構築することが求められています。

社会保険料負担増を補う福利厚生

社会保険に加入し、社会保険料を負担すると、従業員の手取りが減少します。これを防ぐため、就業調整をおこなうパート・アルバイト従業員が増えることで、企業の人手不足はますます深刻化します。

この課題に対しては、食事補助などの福利厚生サービスの活用が有効です。福利厚生として提供されるサービスは、一定の条件を満たすことにより経費として計上されるため、従業員の課税額に影響を与えません。これにより、実質的な手取りを増やす効果が期待できます。また、毎日の生活に直結するサービスを提供することで、従業員の満足度向上にも大きく貢献します。

なお、福利厚生費用は法人税法上の損金として認められることから、企業の税負担を軽減できるのも大きなメリットです。

3,000社以上が導入「チケットレストラン」

食事補助の福利厚生サービスの中でも、特に人気を集めているのが、エデンレッドジャパンの「チケットレストラン」です。

チケットレストラン」は、一定の条件下であれば、従業員は、税制優遇を受けながら、食事が半額になる仕組みで、全国25万店舗以上の加盟店で利用できます。導入企業での満足度93%・利用率98%・継続率99%という高い実績が示すように、従業員の実質的な処遇改善と満足度向上に効果的なサービスです。

年収の壁を意識する従業員への支援策としてはもちろん、食事を通じて従業員の健康を促進する効果も期待され、すでに3,000社を超える企業で活用されている人気サービスです。

関連記事:チケットレストランの魅力を徹底解説!ランチ費用の負担軽減◎賃上げ支援も

2025年に向けた企業の対応準備

2025年、年金制度の改革により「106万円の壁」が「70万円の壁」へ引き下げられる可能性が浮上しています。

もちろん、これはあくまでも可能性であり、現状で何かしらの確定情報が提供されているわけではありません。しかし、少子高齢化に伴う社会保障制度の未来に鑑みるに、企業にはあらゆる可能性を想定した早期の対策が求められます。

政府の支援制度を活用しながら、自社独自の福利厚生の充実を図ることで、従業員が安心して働ける環境を整備することが可能です。特に「チケットレストラン」などの非課税となる福利厚生は、年収の壁に影響されない効果的な支援策となります。

人材確保が困難な時代だからこそ、従業員の働きやすさを重視した制度設計により、企業の持続的な成長を目指しましょう。

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